冷戦時代の核実験や民間防衛をめぐるカルチャー

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The Protection of Your Home Against Air Raid(1938)


1938年の英国内務省の民間防衛ブックレット"The Protection of Your Home Against Air Raid"には、後のProtect and Surviveにも載っている「避難部屋の選び方」が書かれている。このときは、放射性降下物ではなく、毒ガス対策が主目的となっていたが、記述は類似している。

避難部屋の選び方

正しく建設され、容易に到達できて、脱出できるのであれば、大半の部屋は避難部屋として使える。窓は少なく小さいほうがいい。他の建物か壁か狭い通りに面しているのが理想的だ。大通りや広い野原に面した一階の部屋の場合、可能なら窓を特に防護すること。壁や床や天井は頑丈なほど良い。木造や漆喰よりレンガの壁の方がよい。天井は木造よりコンクリートの方がよい。屋内の廊下は両端を閉じれば、良い避難部屋になる。

避難部屋に最適な階

合理的に毒ガス対策がなされていて、近隣の河水の決壊や水道管の破裂で浸水しないなら、地下室は避難部屋に最適である。浸水のリスクがある場合、最寄りの民間防衛支所に相談すること。

その代わりに、最上階以外の部屋が使えるだろう。最上階や屋根裏は小型焼夷弾に対しても十分な防護にならない。小型爆弾は屋根を貫通するが、最上階で止まると思われる。ただし、迅速に対処しなければ、火災になる。

合理的に毒ガス対策がなされていれば、地下室は避難部屋に最適である。

地下室のない2階建ての場合は、頭上の危険性から防護できる1階の部屋を選ぶ。

[Home Office: "The Protection of your home against air raids (1938), p.8 (source) ]

また、本や筆記具やトランプや子供用おもちゃも避難部屋に用意すべきものとして推奨してことも、Protect and Surviveと同様。



[Home Office: "The Protection of your home against air raids (1938), p.18 (source) ]

このような記述に対して、JBS Haldaneは同じ1938年に"A.R.P."(Air Raid Precautions)で、次のように評した。(Duncan Campbell: "War Plan UK" (1982))


18ページの「避難部屋に用意するもの」リストには、家具・食料・水・トイレ用品・救急用品・本・トランプ・おもちゃ・ラジオセットかグラモフォンを挙げているが、消火用具はない。適切な爆弾防護シェルターがないスペインの街で、避難部屋として地下室を使うばあに重要だと考えられるものが一つ欠けている。それは、地下室の上の家が崩壊したが、地下室が壊れていない場合に、地下室から脱出するために使うツルハシである。公式ハンドブックは、空襲とピクニックの区別をきっちりつけてはいない。スペインでは、その区別は明確だ。

[ JBS Haldane, FTS: "A.R.P." (1938), Victor Gollancz, p.119 Ltd. ]
この反応は、「国民を守るために、何もしていないに等しい」というProtect and Surviveへの反応でも見られるものと同様である。





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