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ウクライナの「さらば、ジェド・マローズ」(2023)


ウクライナ文化情報政策省戦略広報情報安全センター(Dovidka)は、2023年12月7日に「さよなら、ジェド・マローズ!クリスマス休暇の新しい日付と伝統を子供に説明する方法」という記事を掲載した。これは...
  • ウクライナ政府が暦を西側世界に合わせたことで、「聖ミコライの日」が12月19日から12月6日に、クリスマスが1月7日から12月25日に移動する
  • クリスマスのキャラクターを、ロシア発祥のジェド・マローズから、ウクライナ(を含む欧州)の伝統である聖ミコライ(聖ニコラウス)あるいは、西側世界のサンタクロースに切り替える
ことによる。
さらば、ジェド・マローズ!クリスマス休暇の新しい日付と伝統を子供に説明する方法

ウクライナのクリスマス休暇は現在、新しいカレンダー日付となっている。聖ミコライは12月19日ではなく、12月6日に子供たちのもとにやってくる。ウクライナ人は、世界のほとんどのキリスト教徒と同様に、グレゴリオ暦と新ユリウス暦に基づいて12月25日にクリスマスを祝う。ただし、日付と伝統については、主に子どもたちが混乱してしまうかもしれない。

「ウクライナの伝統に子どもを参加させる方法」や「成長する子供に休暇の贈り物は親が与えるものであり、好きなヒーローが与えるものではない」ことをどう伝えるかについて、医学心理学者のドミトロ・ヴァクーレンコは、Dovidka.infoに語った


聖ミコライの日と、ジェド・マローズの新年の日と、祝日がいくつかある。子供が混乱しないようにするには、どうしたらよいか?

それはあまり難しいことではない。これらは別々の祝日、別々のキャラクター、別々の習慣だからだ。子どもが、これらの祝日やキャラクターや伝統や儀式について知っていることは、親が教えたものだ。親は子どもに、これらについて話し、童話を読み聞かせ、自分たちの子ども時代のことを語ること。これで、子どもは、これらの祝日を区別できるようになる。逆に、子どもに、そのようなことを話さないままだと、子どもは混乱してしまうかもしれない。

子供どもが一つのキャラクターの存在を信じている場合、他の祝日を祝う意味はあるだろうか?

それは家族の伝統によるものだ。子どもは生まれたとき、どのキャラクターも信じていない。なぜなら、それらについて知らないからだ。しかし後で、子どもはそれにらついて保育園、学校、そして家庭で学ぶだろう。したがって、家族の伝統に従って祝うべきであり、子どもが信じているかどうかは気にすることはない。

昨年はジェド・マローズが来たけれども、今年は子どもに聖ミコライの存在を信じさせたい。親はどのようにすればいいか?

まず第一に、ジェド・マローズと聖ミコライの物語をよく理解する必要がある。そのイメージが何を伝え、その背後にどのような物語があるのかを理解する必要がある。そして、この知識の基礎を持って、子どもに対して会話や童話、物語で共有するのがいいだろう。新しい伝統を子どもに提案し、子どもがそれを受け入れるようにするには、子どもにわかりやすく伝え、子どもをこれらの休暇の準備のプロセスに参加させる必要がある。

ジェド・マローズのイメージを捨てたいと思うが、(4歳位以下の)子どもにジェド・マローズがいなくなったことを、どう説明すればいいだろうか?

やるべきは、子どもを別のキャラクターに切り替え、それが機能するようにすること。別のキャラクターについて話し始め、そのキャラクターが来るだろうとか、贈り物をくれるだろうと言っておこう、これでうまくいくはずである。ただし、子どもがこれまで信じていたキャラクターが消えることにフォーカスしないこと。ジョークでジェド・マローズが防空に撃墜されたとか言わないこと。単にジェド・マローズをサンタクロースに置き換えること。今では我々はサンタクロースと呼ぶと言っておくこと。イギリスではサンタクロースはクリスマスの父である。このキャラクターにはたくさんの名前がある。子供は小さいので、まだジェド・マローズをとの経験が少ないので、うまく受け止める必要がある。

しかし、子どもがすでにすべてを理解し、よく覚えている場合がある。その場合、戦争の年が多くを変え、我々の生活も変わり、我々自身も変わったことを説明しなければならない。我々の伝統や祝日も変わり、今では別のキャラクターでお祝いしていることを説明しなければならない。そして今、我々は彼をジェド・マローズをではなく、サンタクロースと呼んでいる。真実を伝え、冷静な口調で行うこと。

「ジェド・マローズがどこへ行ったか?」と問われたら、どう答えればいいか?

ジェド・マローズはいなくなってはいないが、ウクライナではなくロシアだけでなく、他の国、隣国に行ったと言うのがよい。しかし、今は我々には他の伝統がある。

ジェド・マローズが悪い、ジェド・マローズが行ってしまった。ジェド・マローズが我々に腹を立ててどこかに行ってしまった、あるいは我々がジェド・マローズに腹を立てた、といった点にフォーカスする必要はない。なぜなら、過去に、子どもはジェド・マローズが良いキャラクターであるという経験をしていたからだ。そして、それを子どもが知っていたのは我々親がそうしたからだ。そして、もし急にジェド・マローズが悪いとか、敵の同調者だとか言い出したら、それはあまり良くないだろう。真実を話さなければならない。変化があると子供に伝え、これらの変化が良い方向にあると説明する必要がある。

年長の子どもたちにジェド・マローズがいないことを説明するにはどうすればよいか?

7歳からの学齢の子どもたちには、ウクライナには常にクリスマスと聖ミコライに関連する伝統があったことを伝えることができる。ジェド・マローズは東からやってきたキャラクターで、ウクライナのものではない。ジェド・マローズは帝政ロシアの時代でも存在しており、ソビエト時代より前から存在していたが、我々の文化に本来あったものではない。ジェド・マローズは我々の文化に押し付けられたものだ。

ティーンエイジの子どもたちには、さらに広く説明できる。ソビエト連邦は多くの民族を結集しなければならない大きな組織、大きな国家だった。そのためには共通の伝統、共通の目標、共通の恐れ、共通の休日のキャラクターが必要だった。しかし、同時に、異なる文化、例えば聖ミコライなどの伝統的なキャラクターや伝統は破壊された。それはソビエト時代には禁止されていた。

つまり、ジェド・マローズ自体は普通のキャラクターだが、ソビエト時代にはジェド・マローズに多くの共産主義のシンボルが取り付けられ、クリスマスツリーさえも共産政府のシンボルで飾られるようになった。そして、このようにしてジェド・マローズはソビエト連邦、特にウクライナへの影響の手段となった。

なのので、現代のロシアの侵略の状況下で、我々は意識的にこれらのキャラクター、イメージ、伝統を放棄し、自己のアイデンティティとウクライナの文化を強化するためにこれを行っている。これは我々の勝利ができるだけ早く訪れ、将来にこれらの出来事が繰り返されないようにするためである。

なぜ子どもの前で「ジェド・マローズが防空に撃墜された」と冗談を言ってはいけないのか?

なぜなら、子どもはジェド・マローズが子どもちにプレゼントをくれる良いキャラクターであるという概念と理解を持っているからだ。そしてその後に、子どもはジェド・マローズが防空に撃墜されたことを知ることになる。もし子ども防空について知らないなら、子どもは質問し始め、それについて説明しなければならなくなる。結局のところ、良いキャラクターであるジェド・マローズが、我々のヒーロー、我々の守護者によって倒されたことになる。これでは、子どもをデッドエンドに追い詰めてしまう。そして、何らかの良いキャラクターが別の良いキャラクターと対立して殺したことを知るのという、子どもとっては非常に悲しいことになる。これは、子どものジェド・マローズへの信仰を破壊するか、我々の軍への不信を招くことになる。

子どもにサンタクロースとジェド・マローズの違いを説明するにはどうすればよいか?

これは異なる文化から来た似たようなキャラクターだと説明する。地球は大きく、我々の歴史は非常に豊かなので、異なる国々には似たような役割を果たす異なるキャラクターがいる。たとえば、新年やクリスマスにサンタクロースがいるは世界中に広まった伝統だ。そして、我々はウクライナの伝統を保持しつつ、西側の伝統と価値観に向かっているので、今はこのように祝い、サンタクロースを待っている。そして、我々に提供されたソビエト連邦の伝統を拒否しているからだ。

これまでは1月7日にクリスマスを祝い、12月19日に聖ミコライが来た。今年は早く来ることを子どもに伝えるにはどうすればよいか?

もし子dどもが未就学児であれば、同じ方法で進んで新しい日付に移行するだけで、変更にフォーカスしないこと。子どもがもう少し年上でこれらが異なる日付であることに気付いた場合は、我々は東の隣国とは異なる文化と伝統を持っていることを説明する。今は、西側の国々と同じように、サンタクロースを待ち、他の日に祝っていると。

サンタクロース/聖ミコライ/ジェド・マローズが実在しないことを予想した子どもに説明する方法は、実際に存在しないことをどう伝えればよいか?

子どもが成長し、これらのキャラクターの一つが実在しないことに気づき、衣装とひげの中に実際にはパパがいることに気づくと、そのような瞬間には子どもに対して理解を示し、伝統的な贈り物の習慣に参加させ始めるのがよいだろう。

例えば、子どもが6〜7歳の場合、これは子どもが何かがおかしいと気づき始める年齢だ。あるいは、親が子どもが既に疑念を抱いているのを見る場合もある。その時、親は子どもを大人として、真剣に話をすべきで、1年で成長し、ますます強くなり、体も大きくなり、それに応じて心も大きくなったと伝える。これは今、子どもが他の人にもっと愛を与えることができることを意味している。そして、この瞬間に、たとえば聖ミコライの日に、我々自身がサンタクロースになれる秘密を教えること。休日の贈り物を誰かに贈るために、その前に1年間その人とコミュニケーションをとり、その人が何を望んでいるか、どんな願いがあるか、どんなニーズがあるかを理解するため。このようにして、サンタクロースという概念を一つのキャラクターから、一定の年齢に達したすべての人が演じる役割に転換する。

そして、これについてまだ知らない年少の子どもたちには話さない方が良い。なぜなら、そのような子どもたちはまだサンタクロ^スに成長していないからだ。

この転換は、子どもがクリスマスの精神や奇跡への信仰を失わないように助けることになる。そして、これは子どもがサンタクロースから贈り物を受け取ることを排除するものではない。それはママとパパというサンタクロースからの贈り物だ。

しかし、もし子どもが親からではなく、例えば幼稚園や学校で祝日のキャラクターが存在しないと聞き、質問を始めた場合は、これらの質問から逃れず、むしろその真実を明確に伝えるよう心がけること。

[「"Прощавай, Діду Морозе! Як пояснити дитині нові дати та традиції різдвяних свят"(さよなら、ジェド・マローズ!クリスマス休暇の新しい日付と伝統を子供に説明する方法)」(2023/12/07) on dovidka(ウクライナ文化情報政策省戦略広報情報安全センター)]

このようなキャラクター切り替えは、2014年のロシアによるクリミア併合のときに始まっている:
New Year celebrations in Ukraine's capital Kiev this year will be spearheaded by Saint Mykolay — the country's Orthodox analogue of Santa Claus — instead of his secular Soviet-era counterpart Father Frost, according to an outline of the festivities published by the city administration.
...
The statement by the Kiev administration did not specify whether its decision to put Saint Mykolay in charge of the holidays was motivated by a wish to break away from Russian or Soviet practices.

ウクライナの首都キエフ市当局が発表した祝賀行事概要によれば、今年のウクライナの首都キエフの新年祝賀行事は、世俗的なソ連時代のジェド・マローズではなく、サンタクロースのウクライナ正教バージョンである聖ミコライ神父が主導権を握ることになる。
...
キエフ政権の声明では、聖ミコライを祝日の担当者とする決定が、ロシアやソ連の慣例から脱却したいという願望によって動機付けられたのかどうかは明らかにされていない。

[ "Kiev Brings Back Orthodox Santa Claus Instead of Soviet-Era Father Frost" (2014/11/20) on Moscow Times ]




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