残りコンティニュー回数は 【 1 】 です
部屋を出たあなたは気付くだろう。
通路がやや薄暗いような気がした。
だが、ここは朝も夜もない迷宮の中である。
感じた差異はほんの僅かなものだ。
ここでは随分と色々な事態に見舞われている。
恐らくは気疲れのせいだろう。
あなたはそう考え、違和感を脇に置き捨てた。
さて、扉である。
その中央にはめ込まれた青い球体は、見れば見るほど宝箱のあった小部屋の物と同じに思える。
球体以外に何の装飾もないのも、同様だ。
僅かな期待を籠めて扉を動かそうと試み、心中でも開放を命じる。
……残念ながら、あなたの予想通り、扉はぴくりとも動かない。
>>↓1  どうする?
※無限ループ防止のため、>>428と同じ行動は指定できません

青い球体に蕾の蜜をかけてみる

あなたはふと閃いた。
小部屋の球体に奪われたもの。
その時は分からなかったそれが魔力であると、今のあなたには理解出来ている。
そして、あなたは魔力を豊富に含んだ物に心当たりがあった。
蕾の蜜である。
扉を開くのに必要なのが魔力なのであれば、蜜をかける事によって解決できるかも知れない。
あなたはすぐさま踵を返し、再び大部屋へと侵入した。

大部屋の天井では、相変わらず無数の鼠が蔓を齧っている。
やはり彼らはあなたに全く注意を向けていない。
あなたも鼠を無視して、蕾にナイフを当てた。
>>↓1 コンマ判定 【不運の回避】
幸運 7
目標値 7

【不運の回避】
目標値 7  出目 3
判定に成功しました

特に何事もなく、あなたは蕾を採取した。
鼠の内何匹かが、妙な行動を取るあなたをチラリと見たようだが、それだけだ。
大半の鼠は食欲を満たす事に夢中になっている。
あなたは手の中の蕾をじっと見つめる。
もし今後魔力が尽きる事があれば、この蕾が生命線となる可能性もある。
眠りに誘う毒の事は気になるが、十分な時間を置いて少しずつの摂取ならば、あなたの体は耐えてくれるだろう。
もしもの時のため、もう幾つか採取していくべきだろうか?
>>↓1 採取しますか? 採取するならば個数も指定して下さい

持ち物制限とかないし、システム的にどれくらい回復するかもわからんな
とりあえず5個で

あなたは悩んだ末、蕾を採取していく事とした。
魔力が尽きた時もそうだが、
もし扉が蜜で開くなら、そして今後も青い球体の扉があったなら、
それを危険なく開く事が出来るというのは大きな強みになるはずだ。
そういった判断である。
あなたは、再び蕾へとナイフを向けた。
>>↓ コンマ判定 【不運の回避】
幸運 7
過剰採取 -2
目標値 5

【不運の回避】
目標値 5  出目 8
判定に失敗しました……

初め、それは小さな鳴き声だった。
文字で表すならば、ぢ、という一文字で済むだろう。
それはあなたの真上、天井からあなたの耳へと届いた。
正体を探ろうと顔を上げたあなたの前で、声は徐々に広がっていく。
ぢ、ぢ、ぢ、と。
一匹の鼠から始まった連鎖はすぐに勢いを増し続ける。
天井の全てから大合唱が響くまでにかかった時間は、ほんの僅かなものだった。
鼠達は蔓を齧るのを止め、警戒するように、あるいは威嚇するように、じっとあなたを見つめている。
※【マナ・イーターの蕾 x5】 を入手しました
>>↓1  どうする?

刺激しないようにネズミの様子を伺いながら小部屋の扉まで移動
蔦の大部屋の向かいの扉でいいのかな?
とりあえず青い球体の埋め込まれた扉で

あなたはすぐさま警戒心を最大にまで引き上げた。
鼠達は今やあなたを完全に、外敵と見做していると考えて間違いない。
原因は恐らく鼠達の前で蕾を切り取った事だろう、とあなたは考えた。
この鼠達は蔓を餌としているようだ。
蔓自体を切り取った訳ではないが、自分達の餌を奪われると思ったのかも知れない。
知識の足りないあなたでは、現時点ではその推測が限度だった。
可能な限り刺激しないよう、様子を窺いつつ後退する。
鼠達は大合唱を続けているが、動きはない。
あなたの動きを、赤い瞳で追うだけだ。
やがて、あなたは無事蔓の部屋からの脱出に成功した。
壊れた扉の向こうから、鼠が飛び出してくる様子はなかった。
そのまま少し待つと、蔓を齧る音が少しずつ聞こえ出す。
危機は脱したようだ。
それでも後方への注意は残したまま、青い球体の扉に向き直る。
手に持ったままだった蕾の内、四つを道具袋へ仕舞い、残る一つをナイフで傷付け、
青い球体にかかるよう、蕾を強く握り蜜を搾り出す。
青い球体は輝きを増しながら蜜を吸い、しばしして満足したように明滅した後、扉に吸い込まれるように姿を消した。
そして、やはり完全なる無音で扉は開ききった。
命じていないにも関わらず動いたそれにあなたは慌て、閉まるようにと念じるが、
小部屋の扉と違い何の反応もない。
自身の魔力を捧げていないからだろうか。
あなたは予想通り扉は開いたものの、全てが思い通りとはならなかった事に腹を立て、蕾を床に叩き付けた。
蕾はそう硬い物ではないために、ろくに音も出さずに転がっていく。
その手ごたえの無さも、あなたを更に苛立たせた。

扉の向こうは、再び通路になっている。
軽く見た限りでは左と正面に伸びている。
その奥を良く覗こうとしてあなたは、蕾の採取に向かう前よりも周囲が暗くなっている事に気付く。
どうやら気のせいではなかったようだ。
間違いなく光量を落とした壁の葉脈は、通路の先を完全に照らし出す事はなく、薄いながらも確かな闇の向こうへと隠してしまっていた。
>>↓1  どうする?

小部屋に戻って扉を閉めてからランタンに火を灯す

あなたは視界を確保するため、ランタンに火を灯そうと考えた。
ランタンを床に置き、油を注ぎ、着火しようと……
※【ランタンの油 x1】 を消費しました
……そこで、触腕の怪物の脅威を思い出した。
慌てて、しかし決して音は立てないように周囲を探る。
幸い、あなたの視線の届く範囲には、異常はない。
だが、とあなたは扉の向こうの通路に目を向けた。
この先は未知の領域である。
あの怪物の同種が居るか居ないか、扉を潜って探るまでは、あなたに知る術はない。
ここで火を付けるのは危険だ。
そう考えたあなたはランタンを持ち上げ、暗くなりはじめた通路を慎重に歩き、宝箱の小部屋へと向かった。

途中、落ちた触腕や溶けた鉱石を越え、何の問題もなく小部屋へと辿り付く。
扉へ開放を命じれば、こちらの扉は素直にあなたに従った。
やはり、自身で捧げたかどうかの違いなのだろうか。
内部には何かが侵入した様子はない。
あなたが最後にこの部屋を後にした時のままだ。
それをしっかりと確認してから扉を閉め、ランタンの仕掛けを操作し着火した。
薄赤い炎の微かに揺れる光が、白い壁にあなたの影を描き出す。
暗くなり始めていた部屋の中は、今やランタンによって十分に照らされている。
だが、この部屋では十分であろうが、ランタンは小型の物でしかない。
通路の端までを明らかにできる光量ではありえない。
葉脈が完全な光を放っていた時のような視界をあなたに提供する事は不可能だ。
あなたは今後、それを十分に心に刻んでおく必要があるだろう。

さて、安全にランタンを着火できた以上、この部屋にはこれ以上用は無い。
あなたは部屋の扉へ向き直った。
>>↓1 コンマ判定 【魔力の感知】
魔力 5
目標値 5

【魔力の感知】
目標値 5  出目 6
判定に失敗しました……

あなたの目の前には、あなたの意思で開閉する扉がある。
>>↓1  どうする?

開ける

あなたは扉を開けた。
特に何もない。
今やあなたも見慣れた葉脈の通路があるだけだ。
顔を出し周囲を窺うも、入り口の方向、葉脈が途切れ岩壁となっていた辺りは最早見えない。
光量が足りないためだろう。
蔓の部屋へ通じる通路の方は、薄暗いながらも何とか見える。
それを基準に考えれば、蜜で開いた扉の先は、この通路よりも遥かに長いようだと、あなたは気付いた。
>>↓1  どうする?

葉脈って燃えるのか?
とりあえず試してみる

ランタンは一応あると言えど、やはり葉脈の光が確保できるならば、それに越した事はない。
あなたは頭を働かせ、衣服の一部を千切り取ると、それを紙縒り状に捻った。
その先端へとランタンの火を灯し、そっと壁の空隙へと差し込んでみる。
……しばらく待つも、葉脈に火が移る事はなかった。
どうやら、この光を放つ物は可燃性を持たないようだ。
空隙内一杯に流し込む油でもあれば火も着くだろうが、そんな大量の油は当然、あなたの荷には存在しない。
あなたは手元近くまで燃え始めた布を放り捨て、足で踏んで完全に消化した。
衣服の裾は少々無駄になったが、元々ボロボロの上に、迷宮内で切り裂かれた部分である。
さして惜しいとは、あなたは思わなかった。
>>↓1  どうする?

けど進まないことにはどうしようもないしな、二つ目の青い玉の扉入って正面の道を周りを警戒しながら慎重に行こう

ランタン以外の光の確保を断念したあなたは、じっとしていてもどうしようもないと考え、腹を括った。
触腕の落ちる通路を進む。
と、その時、あなたは一つ違和感を感じた。
その正体は何かとしばし考え、そして気付く。
通路を濡らしていたはずの粘液が、どこにも見当たらないのだ。
あなたは粘液の見た目を思い出す。
粘性はそれなりにありそうで、簡単に乾くとも、水のように床の葉脈に流れ落ちていくとも考えにくい。
だが、粘液の実物がない以上、原因を探るには無理がある。
とりあえず足を滑らせる危険が消えたのは良い事だと、あなたは疑問を頭の隅に追いやった。
行きと同様、何事もなく突き当たりに辿り付いた。
相変わらず見通せない通路の先を睨み、そして、足を踏み入れる。

扉の向こうへと身を入れたことで、通路内の見えなかった部分もよく見えるようになった。
あなたはあらためて、周囲の様子を注意深く探る。
※ 【目視】 および 【聞き耳】 に自動成功します
ランタンの光が届く範囲に、生物は居ない。
触腕の怪物を特に警戒し天井を見上げたあなたは、一先ず視線を下ろした。
生物は居ない。
だが、あなたはとても安堵の息を吐く気にはならなかった。
たった今潜った扉側の壁。
そこに大きな傷を発見してしまったのだ。
それは壁の模様では決してありえない。
拳大の幅で上下にぶれながらあなたの歩幅で数歩分も続いている。
あなたは、ナイフで壁を傷付けようとした時の事を当然覚えている。
その時にあなたがどれ程力を籠めようと、僅かな跡すら付ける事は出来なかった。
ならば、この抉られたような傷はどのような化け物ならば刻み込めるというのだろうか。
その力が自身に振るわれる様を想像し、あなたは心臓を握られるような恐怖を感じた。

恐怖を振り切り、先に進もうとしたあなたの足を止めたものは、左手側の通路から聞こえた悲鳴だった。
悲鳴、といっても、それは人間のものではない。
文字で表すならば、ぢぃ、となる。
それに似た音を聞いた事のあるあなたは、それが大部屋で蔓を齧る鼠の断末魔だと気付けただろう。
耳を澄ませば、聞こえなくなった悲鳴の代わりに、何かを、恐らくは鼠を咀嚼する音を聞き取る事が出来た。
……その方向へ進む選択肢は、つまりその悲鳴の原因に接近するという事である。
とてもではないが御免だと、あなたは正面の通路を選択した。

通路は暗い。
葉脈の光はいよいよか細いものとなり、迷宮は完全な闇に包まれようとしている。
あなたはランタンの光に目を落とした。
今入っている油は、およそ二時間ほどで燃え尽きる。
果たしてそれまでに、葉脈は再び光を灯してくれるだろうか。
不安を感じるあなたの前に、薄赤いランタンの光に照らされる何かが見えた。
……触腕の怪物だ。
ハンマーを手に入れた時は威勢の良い事を考えたあなただったが、
実物を目の前にしてそのような無謀に身を任せられる程、勇敢ではない。
今にも震えようとする手足を抑え、よくよく観察する。
触腕の先はゆらゆらと揺れ、あなたの予測が正しければ、それは怪物が目を覚ましている事を示している。
周囲に扉や分かれ道はなく、前方と後方に道が続くのみだ。
あなたが進んだ距離を考えれば、後方の扉へは全力で駆けて恐らく十秒と少々、
怪物に気取られないよう音を殺して走るなら、その倍はかかる程度の距離がある。
>>↓1  どうする?

見つかるの覚悟で全力疾走

周囲の闇。
壁の大傷。
鼠の悲鳴。
そして、目前の怪物。(天井に張り付いています。)
……あなたの恐怖は、ついに堤防を突き崩し、巨大な衝動をもって手足に命を下した。
>>↓1  どちらへ走る?

恐怖で走り出すなら後ろしかねぇな!

あなたは湧き上がる恐怖の命じるまま、体を反して全力で駆け始めた。
暗い通路に乱雑な足音が響き渡る。
当然、鋭敏な聴覚を持つ怪物が、それを聞き逃すわけがない!
>>↓1 コンマ判定 【敏捷対抗】
基準値 5
敏捷 9
触腕の怪物の敏捷 -6
目標値 8

【敏捷対抗】
目標値 8  出目 5
判定に成功しました

粘着質の音に背を負われながら、駆ける。
怪物はその体躯からは全く想像もつかない速度で、
まるで飛ぶように、壁と壁の間を跳ねながら疾走する。
常人ならば、この追跡から逃げ切る事は難しいだろう。
だが、幸いな事にあなたの俊足は常人の枠に収まるものでは全くない。
背を追う音は徐々に引き離され、あなたは開け放たれたままの扉へと無事に到着する。
>>↓1 コンマ判定 【不運の回避】
幸運 7
鋭敏な聴覚 -1
目標値 6

【不運の回避】
目標値 6  出目 2
判定に成功しました

あなたは何事もなく扉を潜り、通路へと躍り出た。
正面には蔓の部屋。
左へ走れば曲がり角には宝箱の小部屋がある。
後方の音を探れば、距離は幾分取れたものの、未だあなたを追う触腕が跳ねていると分かる。
この追跡を振り切るためにどうすべきか。
あなたに与えられた思考の猶予はなく、助かりたいならば迅速に判断しなければならないだろう。
>>↓1  どうする?

小部屋に入る

あなたは左へと曲がり、小部屋を目指す事を選択した。
鼠達の警戒音に囲まれ、赤い瞳で凝視される不気味さは先程味わったばかりだ。
さして時間も経っていない今踏み入れば、今度こそ襲われる可能性もある。
それに比べれば、扉を自在に閉められる小部屋の方が良いと思えたのだ。
【敏捷対抗】
基準値 5
敏捷 9
触腕の怪物の敏捷 -6
瞬発力 3
距離有利 2
判定に自動成功します
小部屋へと走る途中、あなたは一つの事に気が付いた。
怪物の立てる音の間隔が、明らかに広がっている。
一瞬だけ振り向けば、闇の中にうっすらと、当初の爆発的な加速が見る影もない程に弱っている怪物の姿を捉えられた。
どうやら、あの怪物は莫大な瞬発力の代償として、ろくな持久力を持っていないらしい。
あなたは十分な余裕を持って、小部屋に飛び込み扉を閉める事に成功した。
※魔物の能力看破に成功しました、一部情報が追加されます
■不確定名:触腕の怪物
【特殊能力】
2)瞬発力
この生物は極めて高い瞬発力を持つ。
静止状態からの初撃の回避判定に-5、追撃に-3の補正。
この能力の代償としてこの生物は持久力に欠け、長時間の全力行動を行った場合、あらゆる判定に-3の補正を受ける。

扉を閉めた数秒後。
あなたの耳にべたりという音が届いた。
音源は扉の向こうから。
どうやらあなたを追っていた怪物が、無様に扉に激突したのだろう。
……今扉を開ければ、そこには弱った怪物が居るはずだ。
>>↓1  どうする?

少しだけ扉を開けて入ってきたら閉める

あなたは怪物を仕留められないかと考えた。
先程垣間見た怪物の弱りようは相当な物であったし、扉に衝突した時の衝撃も酷く弱弱しかった。
今この時だけは、恐るべき触腕の脅威は失われているかも知れない。
とは言え、それは賭けになるだろう。
幾ら弱ろうとも怪物は怪物。
一度でも触腕を回避し損ねれば、どうなるかは分からない。
それでも、あなたは腹を決めた。
ほんの少し、怪物の柔軟な体が潜り込める分だけ扉を開け、待ち構える。
決着の場所はここ、他の生物の邪魔が入らない小部屋でつける……!
……そう意気込んだあなただが、しかし、怪物は入ってこない。
何故だ、と考えて、気付く。
扉の隙間から見えた怪物は床に這い蹲り、大きな呼吸音と共に球状の頭部を上下させている。
荒い息を整えているように、あなたには思えた。
更に、この扉は開閉時に一切の音を立てない。
扉が開いた事に全く気付いていないのだろう。
そう、触腕の怪物は獲物を逃がした落胆を抱いたまま、無防備に体力の回復に努めているのだ。
怪物を仕留めようと身構えるあなたの前で、間抜けな姿を晒しながら。
>>↓1  どうする?

ハンマーを具現化してから思いっきり叩き潰す
できれば急所狙いで

これ以上ない好機である。
怪物は弱り、こちらに気付いておらず、急所である頭部は簡単に手の届く位置にある。
やるべきだ。
あなたは精神を集中し、魔力をハンマーの形に成型する。
怪物があなたに気付いていたならば、そんな余裕は無かっただろう。
だが何の障害も無い以上、失敗する理由が無い。
さして使っていないにも関わらず、やけに手に馴染むハンマーを握り締め。
そして、外す訳も無い至近距離から、怪物の急所たる脳を目掛けて、全力で振り下ろす!
>>↓1 コンマ判定 【ハンマーの一撃】
筋力 1
武器攻撃力 5
魔力撃 3
目標値 9
※この判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します

【ハンマーの一撃】
目標値 14  出目 4
判定に成功しました
※ 【急所補正+3】 および 【衝撃直撃+2】 を忘れていたので修正しています
あなたの一撃は正確に怪物の急所に吸い込まれた。
あなたはこのハンマーを実に軽快に振るえるが、実際の重量は軽いという訳ではない。
自身の魔力であるために自由に扱えるだけであり、その重みは同量の鉄と大差はないのだ。
十分な速度をもって振り下ろされる甚大な重量を耐え切るだけの強靭さは、いかに常識を知らぬこの怪物だろうと持ちはしない。
唐突に脳へと叩き込まれた強烈すぎる衝撃に、怪物は死神を幻視しただろう。
もし、これが横から振るわれた一撃ならば、結果は違ったかも知れない。
柔軟な体はたわむ事で衝撃を逃がし、威力を幾分か軽減できたはずである。
しかしこの一撃は上から下へ、力をどこへも逃がしようのない、床へと向けて叩きつけるものだ。
あなたは、ハンマーが床にまで到達した瞬間、怪物の内臓の幾つかが弾け、頭部を破って飛び出すのを、確かに見た。
怪物の死を半ば確信するあなたの前で、更に無慈悲な追撃が与えられる。
ハンマーから闇に溶け込むようなドス黒い雷が走り、怪物の潰れた頭の中を蹂躙したのだ。
痙攣する怪物は雷に焼かれ、たちまちの内にその身を白く濁らせていく。
十数秒後、あなたの前には、ぴくりとも動かない、白い怪物が横たわっていた。
どう見ても命があるようには思えない。
あなたは勝利の喜びに声を上げようとし、その直前で慌てて咆哮を飲み込むのだった。

あなたの前には怪物の死体がある。
これを調べるも、捨て置いて探索に戻るも、あるいは小部屋に篭って興奮を収めるのも、あなたの自由だ。
少なくともランタンの光が届く範囲に異常は無い。
何をするにしても、最低限の時間はあるだろう。
>>↓1  どうする?

物音が聞こえないか確認してから死体を調べる

ステータスが更新されました
【筋力】 1  【耐久】 9
【敏捷】 9  【感覚】 8
【知識】 1  【意志】 4
【魔力】 5  【幸運】 7
【盗賊】 様々な感知・回避判定が有利になる
【男】
■身体的損傷
 【なし】
■精神的損傷
 【なし】
■探索の目的
 あなたが満足する額の宝物を入手し生還する
■ 所持品一覧
 【使い慣れたナイフ】
 【予備のナイフ】
 【襤褸の服】
 【牛皮のベルト】
 【襤褸の靴】
 【小さなランタン】
 【ランタンの油 x2】
 【開錠道具】
 【干し肉 x5】
 【焼き固めたパン x4】
 【水の入った袋】
 【粘液塊の核の欠片 x6】
 【マナ・イーターの蕾 x4】 ←NEW
 【?外套】
■ 習得魔法一覧
 【マナ・エクスチェンジ / ハンマー】
■ 胃の内容物
 【なし】

あなたは怪物の死体を調べる事とした。
一見して分かる事として、この怪物の触腕は千切れていない。
つまり、あなたが最初に遭遇したものとは別の個体という事だ。
となれば、この二体目で終わりとは考え難く、むしろ更に多くの同種が居ると思われる。
ここで死体を調べて得られるだろう情報は、あなたの大きな助けになるだろう。
だが、死体の調査が短時間で終わるとは限らない。
邪魔に入るような生物が居ないかどうか、あなたはそっと耳を澄ませた。
周囲は暗く、ランタンの明かりだけがか細く揺れている。
闇の中、普段よりも研ぎ澄まされたあなたの聴覚は、一つの音を確かに拾った。
【聞き耳】
感覚 8
盗賊 2
暗闇 2
目標値 12
判定に自動成功します
曲がり角を越えた先、恐らくは蔓の大部屋からだ。
至近距離で威嚇の声を耳にした経験のあるあなたは、はっきりと分かる。
鼠達の鳴き声だ。
それらはあなたに向けられたような剣呑な音域のそれではなく、仲間内で何かを相談しているような雰囲気を持っている。
鼠達はどうやら移動せず、蔓に囲まれて屯しているようだ。
捉えられた音はそれだけだった。
通路を叩く小さな爪の音が聞こえない以上、今すぐこちらに向かってくる、などという事は無いだろう。

※ 目視判定に自動成功します
直近に迫る危険がない事を確認し終えたあなたは、目の前の死体の様子を改めて観察する。
透明だった怪物の体は完全に白く濁り、今やどれ程視力の低い者だろうと問題なく発見できるだろう。
潰れた頭部は大きく裂け、収納されているべき内臓の様子が手に取るように分かる。
更に、力なく広がる触腕は明らかに体液とは異なる液体に塗れているようだ。
>>↓1  どこを調べる? (一箇所調べる度に時間経過)

触腕

あなたはまず触腕の調査に取り掛かった。
指で液体を一撫でしたあなたは、それが通路を濡らしていた粘液と同じ物であると感じた。
そっと鼻に近付け臭いを嗅げば、明らかに無臭であるという事も当然分かっただろう。
粘液が付着した指同士をすり合わせてみれば、二本の指の間からは摩擦が完全に消えうせている。
非常に厄介な代物であると、あなたは考えた。
もしこれが通路に撒かれ、それを踏んだならば、とても立っている事は出来ないはずだ。
一度転倒してしまえば、当然全身が粘液塗れになる。
そうなれば、後はろくに抵抗も出来ずこの怪物の腹に収まる以外の未来はありえない。
更に、身に纏ってしまえば、粘液は特殊な鎧となる。
怪物の肉体自体が持つ弾力がある上に、この潤滑性だ。
どれ程武器を叩きつけようと、その威力の大半は受け流されてしまうだろう。
そこまで考えて、あなたは一つ違和感を覚えた。
粘液が鎧であるならば、何故この怪物は触腕にのみ粘液を纏い、頭部を無防備のままにしていたのだろうか?
>>↓1 コンマ判定 【粘液の正体】
魔力 5
?????? 3
目標値 8

【粘液の正体】
目標値 8  出目 6
判定に成功しました
判定補正が判明します
?????? → 同種魔法習得

思考を廻らせるあなたは、七番目の感覚が俄かに疼くのを感じた。
魔力だ。
この粘液は魔力によって形作られているのだ。
唐突な閃きが、急速に答えを導き出す。
それは、全く同じ種の魔法を知る者だけが得られる、共感覚の一種である。
第七感に従い、未だ消していなかったハンマーを、静かに粘液を纏う触腕に振り下ろす。
鎚頭の先端が表皮に触れると、その周囲の粘液が瞬時に消し飛んだ。
魔力はより強い魔力によって打ち消される。
この法則を今、あなたは知った。
この怪物は頭部を無防備に晒していたのではない。
あなたが振り下ろした一撃が、偶然にその鎧を剥ぎ取っていたのだ。
"なんだ、やはりお前は良い武器じゃないか"
口元を喜悦に歪めて、ランタンの火を反射し鈍く光る相棒に、あなたは語りかけた。
あなたの手にこのハンマーがある限り、怪物の鎧を恐れる必要は無さそうだ。

周囲に変化は無い。
調査を続ける余裕は、まだありそうだ。
>>↓1  どうする?

隠し扉がないか探す

調査が切り上げられたため、鑑定結果を表示します
■不確定名 : 触腕の怪物
◆特殊能力
【マナ・エクスチェンジ / 粘液】
この生物は魔力を潤滑性の高い液体に変化させて運用する。
トラップとして利用した場合、踏み入った対象を確実に転倒状態にする。
身に纏った場合はあらゆる物理的ダメージを50%軽減する。
この能力は主に、休息・睡眠・逃走において使用する。

あなたは死体の調査を切り上げ、周囲の壁を調べる事とした。
迷宮と言えば隠し扉。
迷宮の怪物に追われた英雄が、偶然に発見した隠し扉に飛び込み、命を拾った上に財宝を見つける。
実にありきたりで、吟遊詩人の物語で散々語られ尽くした事である。
それをふと思い出したあなたは、少し探してみようかと思い立ったのだ。
葉脈のパターンの狂い、壁の不自然な切れ込み、叩いた時の音の違い……。
あなたの考え得る全ての方法で、隠し扉を探していく。
>>↓1 コンマ判定 【幸運な出来事】
幸運 7
目標値 7

【幸運な出来事】
目標値 7  出目 1
クリティカル!!

あなたは壁を叩きながら、歩き回る。
蔓の部屋へ繋がる通路……何もない。
分かれ道へ至る道……何もない。
小部屋の中……やはり、何もない。
……どうやら、少なくともこの辺りに隠し扉はないらしい。
無駄な時間を使ってしまったか。
そう落胆の溜息を吐いた、その時だ。
※ クリティカルのため【魔力の感知】判定に自動成功します
小さな魔力の波動を、あなたは感じた。
魔法を操るまでに魔力の扱いを理解したあなたは、その恐ろしい程に整った力の流れに驚愕する。
あなたの能力では、残りの生涯の全てを修行に費やしたとして、その足元にも及ばない。
その事実を完全に理解できてしまったのだ。
とはいえ、魔力を含めたあなたのあらゆる感覚は危険を告げてはいない。
悪意のある魔法、という訳ではどうやら無さそうだ。
魔力の出所は、小部屋の中の宝箱。
一度調べ、もう何もないはずのそこから、今は確かに異常を感じる。
>>↓1  どうする?

あけるしかない!

あなたは即座に宝箱を開けた。
既に鍵は開け、罠がない事は確認している。
これを開けないなどという理由はない。
宝箱の内部は分厚い木製の板で覆われている。
外から見た容積とは僅かの違いもなく、間違いなく底面は隙間なく床と密着している。
実際に叩いてみても、鈍い音が返るだけだ。
しかし、その更に奥から魔力を感じ取った今のあなたには、確信があった。
その直感に従い、取り出した予備のナイフを力強く突き立てた!
果たして、あなたの予想通り、ナイフは深々とその刀身を沈めた。
割れた板の向こうからは、密度を増した魔力の波動が漏れ出してくる。
あなたはその魔力を読み取り、理解した。
人知を超えた魔法によって作られた空間がこの奥に広がっている。
この宝箱は、盗賊の技だけでは気付く事のできない二重底になっていたのだ。
あなたはこみ上げる興奮に身を任せ、板を次々と剥がしていく。
そして、その奥からついに……
>>↓1 コンマ判定 【宝箱の中身】
幸運 7
隠された宝物 2
目標値 9
※この判定は、成功した場合、目標値と出目の差が大きい程獲得アイテムが高品質になります

【宝箱の中身】
目標値 9  出目 5
判定に成功し、中身が一段階高品質化します

ついに隠された宝が、あなたの前に姿を現す。
それは、細長い四角錐を二つ底面同士で張り合わせたような、八面体の水晶だった。
冬の空のように透き通った蒼いその内側には、四つの光が絡み合うように舞っている。
>>↓1 コンマ判定 【水晶の鑑定 / 知識】
知識 1
盗賊 2
常識 3
目標値 6
※この判定は、成功した場合、目標値と出目の差によって情報量が変化します
>>↓2 コンマ判定 【水晶の鑑定 / 魔力】
魔力 5
目標値 5

【水晶の鑑定 / 知識】
目標値 6  出目 3
判定に成功し、情報量が一段階増加します
>>↓2 コンマ判定 【水晶の鑑定 / 魔力】
目標値 5  出目 3
判定に成功しました

あなたはその宝の価値に、思わず息を呑んだ。
魔晶石と呼ばれるそれは、王侯貴族の間で占有される、まさに至宝と呼ばれる物である。
製法は厳重に秘匿され、その素材となる特殊な水晶ですら民間に出回る事は殆どない。
その力は、魔法の強制的な習得。
手で砕き溢れた光を浴びる事で、例えどれほど知識がなく魔力に乏しい人間であろうと、
魔晶石の中に封じられた魔法を自在に操る事が可能になるのだ。
あなたは過去に、王の代替わり、つまりは戴冠式を目にした事があった。
その式典において、新王は魔晶石を天に掲げて砕き、その身に授けられた大河の水を制御する魔法を披露してみせた。
王家に伝わる最大の大魔法であり、この魔法の力によって、国に水害が起きた事は開国以来一度もないという。
当然それほどの常軌を逸した魔法が封じられているとは、あなたも期待はしていない。
しかし、内包されているのが些細な魔法であろうと、凄まじい高値が付くだろう事は疑いようもない。
その最低額を、あなたは幸運にも知り得ていた。
盗品の鑑定と売却のために度々接触する裏社会の知り合いが、あなたには存在する。
その人物が、魔晶石の横流しに関わった事をぽろりと零した事があったのだ。
その知り合い曰く、最下級の魔晶石ですら貴族が三年は豪遊して暮らせる程であるという。
更に、あなたは魔晶石の魔力と、二重底を生み出していた魔法の、その波動の相似に気付く。
残念ながら全く同じという訳ではない。
だが恐らく、空間に作用する物ではあるだろう。
空間を操作する魔法が低級であるなどとは、あなたには全く思えない。
となれば、その価値はいかほどの物になるか。
少なくとも二段階三段階と跳ね上がる事は間違いないのではなかろうか。

あなたは魔晶石を手に、迷う。
これで満足するべきだろうか。
それとも、入り口近くでこれである、更なる価値の宝を求めて迷宮の奥へと進むべきか。
進むのならば、いっそ魔晶石を自身に使って戦力を強化するという手もある。
あなたの選択は……
>>↓2  どうする?

欲に溺れるのは良くない、戦略的撤退というなの脱出

あなたは自身を迷宮の奥へ連れ去ろうとする欲望を、必死に抑えた。
つい先日の騎士団の襲撃を思い出せ。
欲に駆られ、踏み越えてはならない一線を越えた自分達はどうなった。
吟遊詩人の語る、数多の大英雄を思い出せ。
輝かしい栄光を積み上げた人間の形の怪物は、その最期を間抜けな失敗で汚しているではないか。
これで満足するべきだ。
最低でも、貴族の基準で三年の豪遊。
十分過ぎる成果ではないか。
あなたは静かに立ち上がり、小部屋を後にする。
迷宮の出口はすぐそこだ。
脱出までに、そう時間はかかるまい。
>>↓1  どうする?

魔物に気をつけて帰り道を歩く

小部屋を出たあなたを出迎えたのは、横たわる触腕の怪物だ。
当然それは既に確認しているのだが、脱出しようという今になって万が一があっては堪らない。
間違いなく死んでいる事を再度確かめ、あなたは入り口へ向けて歩を進める。
【聞き耳】 判定に自動成功します
それ程慎重になっているあなたは、当然気が付けるだろう。
道の中程、ランタンの光が分かれ道に届くまであと少し、という所まで差し掛かった時だ。
あなたの耳が音を捉える。
音は硬質な物で、酷く軽い。
恐らく、音源たる生物は一匹。
そして、少なくとも二足歩行ではありえない。
それがゆっくりと、前方からあなたへと向かって近付いている。
>>↓1  どうする?

ランタンの明かりを消して分かれ道まで進み前から来る生物の姿をこちらの姿が見えないように確認する

あなたはランタンの蓋を開き、揺れる炎を吹き消した。
周囲は暗闇である。
あなたの持つランタンの光は酷く目立つ事であろう。
それが相手を刺激し、先制攻撃を受ける事は避けたい、との判断だ。
次に、あなたは分かれ道にまで進み出た。
気配を消したままその先の暗闇に目を凝らし、音の主を盗み見る……。
>>↓1 コンマ判定 【目視】
感覚 8
盗賊 2
暗闇 -5
????? -3
目標値 2

【目視】
目標値 2  出目 9
判定に失敗しました……

あなたは何も発見する事は出来なかった。
当然と言えば当然である。
葉脈の光は既に消え、光源となる物は何もない。
それに加え、あなたはつい先程までランタンの光に目が慣れていたのだ。
暗闇に目が慣れるまでに、まだ幾らかの時間がかかる。
落胆するあなたの耳が、異変を捉える。
……足音が止まった。
こちらに気付いたのだろうか?
あなたの脳裏に、空想が描かれる。
こちらをじっと見つめ、闇の中でゆっくりと自身の持つ武器を構える、異形の怪物の姿が。
>>↓1  どうする?

音 ┬ あなた
 入口方面
こんな感じです

パンを音のする方へ投げつつ入口方面へ

あなたは咄嗟に道具袋からパンを取り出し、正面の暗闇へと放り投げた。
迷宮の出口はもうすぐそこである。
そして、脱出したならば後は慣れ親しんだ、真っ当な自然がそこにはある。
いざとなれば、元仲間の死体を貪る事になっても構う物か。
保存食ごとき惜しくもない!
心中で吐き捨て、あなたは一歩目に全力で力を籠めた。
……ところで、あなたは覚えているだろうか?

※囮の一文が抜けてました、すみません、パンは囮として扱っています
この分かれ道には罠があったはずだ。
小部屋の方向へと進む際、確かにあなたは一度気付き、心に留めていた。
だが、この視覚の役に立たぬ暗闇の中、一切の明かりもなしに、
更には正面から謎の生物が迫る緊迫感に包まれ、宝物を得た高揚を抱いたままに。
それを回避できるほど、あなたの記憶は確かであろうか?
>>↓1 コンマ判定 【記憶の想起】
意思 4
目標値 4

【記憶の想起】
目標値 4  出目 8
判定に失敗しました……

あなたの一歩が、地に着いた時だ。
がくりと、床が拳一つ分ほど沈み込んだ。
その瞬間、あなたは分かれ道の罠の存在を思い出す。
壁に走る一直線の不自然な葉脈。
そして、そのスイッチと思われる、葉脈によって区切られた、床の島。
そこに足を踏み入れてしまったのだと、あなたは気付く。
だが何もかもが遅い。
今にも走り出そうとしていたあなたは、予想もしていなかったその異変に当然足を取られるだろう。
>>↓1 コンマ判定 【転倒の回避】
敏捷 9
不意打ち -3
目標値 6

【転倒の回避】
目標値 6  出目 8
判定に失敗しました……

あなたは体勢を立て直す事も出来ず、無様に床に向かい倒れ込む。
体を強かに打ちつけた痛みに呻く暇もない。
急激に沸き起こる焦燥感に突き動かされるまま、あなたはその場から飛び退こうと四肢に力を籠める。
しかし当然、それを待っていてくれる程、この迷宮は慈悲に満ちてなどはいなかった。
>>↓1 コンマ判定 【罠の回避】
敏捷 9
転倒 -5
非視認 -3 (暗闇を原因とする無視界による)
目標値 1

【罠の回避】
目標値 1  出目 3
判定に失敗しました……
追加判定が発生します
>>↓1 【被害箇所の選定】
幸運 7
目標値 7
>>↓2 【身体的被害の軽減】
耐久 9
目標値 9

※ >>595に以下の一文が抜けていました
※ この判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します
【被害箇所の選定】
目標値 7  出目 6
判定に成功しました
【身体的被害の軽減】
目標値 9  出目 9
判定にかろうじて成功しました……

あなたは実に幸運であった。
倒れた方向が良かったのが一つ。
少しでも足掻こうと四肢を動かしたのが二つ。
飛び退こうとした方向がたまたま正解を選んでいたのが三つ。
素晴らしい事である。
あなたがこの迷宮の入り口で得た幸運と、同じ数だ。
そう、あなたは自身の幸運に感謝すべきである。
空気が弾けるような激しい音が耳に届き、直撃すれば胴を二つに裂いたであろうその衝撃を受けて。
千切れ飛んだのは左手の中指、薬指、小指。
たったそれだけだったのだから。

あなたは左手に残された二本の指の内、皮一枚で残る人差し指を押さえ、迅速に身を起こす。
一体どれ程の鋭さを持っていたのか、余りにも綺麗に切られすぎている。
そのためだろうか、確かに指は失われているというのに、痛覚が一切の反応を返さない。
背骨が丸ごと氷に入れ替わったような寒気に、あなたは震えた。
だが概ね幸運な結果だと、あなたは死の恐怖を抑え込む。
利き腕である右手も、脱出に不可欠な両足も、傷一つない。
脱出に成功しさえすれば、金に物を言わせて超高額の治療も受けられるだろう。
あらゆる病と傷を癒すとされるそれならば、再生の目もないではないのだ。
罠の追撃が放たれる様子はない。
あなたは即座に次の行動を決定した。
>>↓1  どうする?

魔力を使って残りの罠を見つける

※ハンマーに関する描写をここまで書き忘れていたので、今回は消していたという事にします
あなたは集中し、その両目に魔力を集中させようと試みた。
謎の生物が迫る中、とても罠に気を取られてなどいられない。
今の罠は、どう考えても尋常の罠ではなかった。
ならば、魔力を利用しているに違いなく、魔力の可視化に成功すれば全てを発見できるだろう。
>>↓1 コンマ判定 【魔力の目視】
魔力 5
覚醒 3
目標値 8

試みは成功し、あなたの視界に可視化された魔力が溢れる。
そうして開かれた世界に、あなたは愕然とした。
葉脈が光を取り戻し、通路の何もかもが完全な姿を見せ付けたのだ。
正確には、実際に光り始めたわけではない。
葉脈のように走る空隙、その中にある魔力が、今のあなたは淡い光として認識している。
結果として、全てを見る事が出来ているだけ。
もし、この視界を初めから展開できていたならば、罠になど引っ掛かりはしなかっただろう。
決して小さくない後悔を抱きながら罠を探そうとして、それどころではない事に、あなたは気付いた。
この明瞭な視界の中、唯一その実態を捉える事のできない何かが、
あなたの頭部目掛けて振り抜かれようとしていたのだ!
>>↓1 コンマ判定 【攻撃の回避】
敏捷 9
目標値 9

あなたは頭部目掛けて振るわれた、細く長い凶器を紙一重で回避した。
眼前を鋭く通り過ぎるそれに、あなたは見覚えがあるだろう。
ただの黒ではない、真の闇としか感じられない影であったが、確かにあなたはその目で捉えた。
七つの関節の先に、三又の槍のような指。
石板の下に潜んでいた、あの異形の脚である。
不意の一撃を回避された脚は、急速に折り畳まれ、
細かったそれは束ねられる事で太さを増しながら縮んでいく。
その先にあるものも、一点を除いて黒い影としか見て取れない。
胴体はまるで三日月のようだ。
尖った先端を前方と後方に、それぞれ地面へと向けている。
そこから生えるのは六本の太い脚。
勿論、たった今目撃したばかりのあなたには折り畳まれた槍だと理解できるそれが、昆虫のように伸びる。
そして、胴体の前面中央部には異常な濃度の魔力が滞り、単眼を形作っている。
それは少しもぶれる事はなく、あなたの目へと向けられていた。
異形の佇む場所は音の主が居たはずの地点。
この生物が、硬質な音の主に違いないと、あなたは確信した。
石板の下に居たものと同一の個体か、それとも同種なだけの別個体か。
現状では判断は付けられないが、あなたの目の前に居るそれが脅威である事だけは間違いのない事実
である。
>>↓1  どうする?

単眼をハンマーで殴る

この異形が、石板の下に居た個体と同一かどうかは分からない。
ならば、挟み撃ちにされる可能性は、ここで潰しておくべきだ。
あなたは両目に集中させていた魔力を霧散させ、ランタンを床に置き、着火の仕掛けを指で弾く。
あなたの最大の武器は、魔力で作られたハンマーである。
それを取り出すためには全身のあらゆる魔力を集中させねばならず、魔力視は同時には扱えない。
ここで倒すと決めた以上、明かりの確保は当然やっておかねばならないのだ。
あなたのその様子を、異形はじっと見つめて……いや、どういう事だろうか。
確かに先程まであったはずの単眼を、今のあなたはどう探しても発見できない。
だが、それに気を取られている暇は無い。
あなたは一秒でも早く行程を終えられるよう、異形を睨んだまま右手に魔力を集中させた。
>>↓1 コンマ判定 【異形の行動変化】
幸運 7
??? 2
目標値 9

【異形の行動変化】
目標値 9  出目 5
判定に成功しました
十秒程の集中の後、あなたの右手には頼みの綱たるハンマーが握られていた。
異形はその間、一切の行動を起こしていない。
ただ僅かに体勢を変え、ハンマーを正面に見据えるように体を傾けただけだ。
理由は分からないが、動かないというならば好機である。
あなたは片腕だろうと問題なく振るえる大鎚の能力に感謝し、先程まで単眼が存在した場所へと振り下ろした。
……異形は、それを避けようともしない。
>>↓1 コンマ判定 【魔力対抗】
基準値 5
魔力 5
異形の魔力 -8
目標値 2

(白目)

【魔力対抗】
目標値 2  出目 1
クリティカル!!
判定に成功したため、追加判定が発生します
>>↓1 コンマ判定 【ハンマーの一撃】
筋力 1
武器攻撃力 5
急所狙い 3
衝撃直撃 2
会心の一撃 5
目標値 16
※この判定は、目標値と出目の差によって結果が変動しま……しま……本当にすんのかこれ

振り下ろされた巨大な質量は、何の妨害もなく異形へと直撃した。
硬質の外殻は衝撃に打ち負けて容易く砕け、
その内部に溜め込んでいた青い体液と黒色の繊維質を辺り一面にぶちまけた。
六本の脚はことごとくが根元から千切れて吹き飛び、壁へと衝突して空しい金属音を奏でる。
……余りのあっけなさに、あなたは呆然とした。
この異形は、何故抵抗しなかったのだろうか。
その答えは右手の相棒からもたらされた。
急速に何かが失われる感覚にハンマーを見れば、その鎚頭には所々に皹が入っている。
その修復のために、あなたの魔力が費やされていた。
その傷だらけの姿に、触腕の粘液をふと思い出す。
粘液の調査中、あなたは魔力はより強い魔力によって打ち消されると学んだはずだ。
そして、異形の単眼には、異常な濃度の魔力が集まっていた。
異形は、あなたのハンマーを打ち消すだけの自信があったのだ。
ハンマーはあなたの魔力で出来ている。
もしこれが失われたならば、あなたは突然の魔力欠乏で行動不能に陥るだろう。
そうなってから、確実に仕留める。
異形の狙いはそれであったと、あなたは推測した。
"はっ、頭は良かったのかも知れんが、自信過剰で死んでるんじゃあ世話ぁねぇな"
死後の痙攣を起こす余地すらない、バラバラの死体へ向けて、あなたは得意げに嘲笑った。
>>↓1  どうする?

ハンマーを戻して蕾で魔力を回復

あなたはハンマーの修復を途中で切り上げ、魔力へと戻し体内に取り入れた。
行動に支障をきたすほどではないが、とても万全とは言いがたい魔力残量だ。
もしこの異形が石板のものと別個体だったならば、もう一戦交える可能性がある。
あなたは片手だけではやはり不便だといらつきながらも、何とか蕾を取り出し、口に含んだ。
>>↓1 コンマ判定 【毒抵抗】
耐久 9
時間経過不足 -2
目標値 7

……襲い来るであろう眠気に備え、気を張っていたあなたは、何の異変もない事に首をひねる。
たまたま毒のない蕾であったのだろうか?
ともかく、何もないならばそれに越した事はない。
魔力残量を探れば、あなた自身も驚くほどの力が心臓に宿っている。
毒がないどころか、内包する魔力すら多い物であったらしい。
あなたは何度目になるか分からない自身の幸運への感謝を、真摯に捧げた。
>>↓1  どうする?

倒した化物の死骸を漁って金になりそうな物を探す

十分な回復を終えたあなたは、戦利品の獲得に取り掛かった。
とはいえ、胴体部分は完全に潰れ、その甲殻はバラバラに砕けている。
片手しか扱えないあなたでは回収に時間を取られすぎる上に、そもそも左程強度の高い物ではないようだ。
恐らくは予備のナイフでも上手くすれば貫けるだろう。
青い体液は……どう考えても無理だ。
小部屋の粘液塊の末路と同様、床の葉脈へと零れ落ちていっている。
今から必死で集めたとしても、指先で摘めるような小瓶一つ分にもなるまい。
黒色の繊維質はどうかと言えば、これも微妙な所。
拾い上げて調べてみようとした段階でバラバラとほつれ、抜けた頭髪のような状態になってしまう。
唯一まともそうに見えるのは、原型を保ったまま千切れ飛んだ脚くらいの物だ。
ただしこちらはこちらで、関節が脱力しきっている。
槍のように使う事は何らかの加工をしなければ不可能だろう。
切れ味鋭いナイフとしての用途が、この迷宮内では限界だ。
>>↓1 どれを鑑定しますか?(全て鑑定する事も可能ですが、一つ増える度に時間が経過します)

体液と脚

>>↓1 コンマ判定 【体液の鑑定】
魔力 5
目標値 5
>>↓2 コンマ判定 【脚の鑑定 / 知識】
知識 1
盗賊 2
目標値 1
>>↓3 コンマ判定 【脚の鑑定 / 魔力】
魔力 5
目標値 5

あなたはまず、僅かに残された体液を指先に掬い、調べた。
角度を変えて眺め、臭いを嗅ぎ、ついには舌の先で軽く舐めもした。
当然、そのすぐ後には毒を警戒し、吐き出したが。
結果として、あなたはこれは何の変哲もないただの体液であると判断した。
……実に無駄な時間であった。
いらついたあなたは、残った体液を靴の裏で踏み躙り、その鬱憤を晴らすのだった。
※ ファンブルにより、青い体液は完全に破棄されました

次にあなたは、脚の鑑定に取り掛かった。
……が、あなたに分かる事は少ない。
盗賊団において、手に入れた略奪品を捌く者はあなたを含めて幾人か居た。
そして残念ながら、武器の担当はあなたではなかったのだ。
見た通り、相当に鋭く、武器としては強力な部類だろうという推測が精々である。
ただ、先端の刃ではなく、折り畳まれた脚自体があなたの感覚に引っ掛かった。
あなたの視覚も、触覚も、確かにそこに脚があると認識している。
しかし、第七感、魔力による知覚だけが、そこには何もないと告げている。
あなたは魔力が可視化された世界を思い返し、その時も闇としか捉えられなかった事に気付く。
この脚は、いや、この異形の体は、魔力による影響を遮断しているのではないだろうか?
>>↓1  どうする?

無理のない程度に持って帰ろう

あなたは道具袋に苦労して脚を放り込む。
道具袋は限界近く膨らんでいるが、折り畳めるその性質が幸いし、六本全てを回収する事ができた。
恐らく魔力遮断効果を持つ甲殻は希少であるはずだ。
どれ程の値が付くかはあなたには分からなかったが、その辺りは馴染みの鑑定士に任せれば良い。
あなたは戦利品に満足し、意気揚々と出口へと向かい、足を進める。
>>↓1 コンマ判定 【不運の回避】
幸運 7
目標値 7

【不運の回避】
目標値 7  出目 4
判定に成功しました
あなたは石柱に警戒し、最大限距離を取りながら回り込む。
あの異形は、同一個体か、それとも別個体だったのか……。
その答えは、ランタンに照らされる石柱の上にあった。
石板が大きくずらされ、その下の空洞が口を見せている。
中には何も居ない。
先程の異形は、ここから抜け出し徘徊していたものだったのだろう。
漏れ出しかけた息を飲み込み、気を引き締める。
……出口までは残り十歩。
こんな所で何かあっては馬鹿らしい。
気を抜くのは、この迷宮から完全に抜け出たその時だ。
耳を澄ませ、一歩、二歩、三歩進み。
目を凝らし、四歩、五歩、六歩進み。
魔力を漲らせ、七歩、八歩、九歩進み。
そして…………。

あなたを出迎えたのは、三つの死体だった。
あなたと良く似た襤褸を着た、三人の元仲間。
これを置き去りにしてきたのは、どこだっただろうかとは、思い出す必要すらない。
振り向けば、そこには明確な境界があった。
ただの岩壁に囲まれるこちら側と、葉脈に支配されるあちら側。
今、あなたは確かにそれを踏み越えた。
吟遊詩人が語る物語にも、英雄の生涯を綴った書物にも、等しく伝えられる一つの事実がある。
迷宮の魔物は、決して、外へと溢れ出る事はない。
咆哮が響き渡る。
それは他の何者も比肩しえぬような、巨大な歓喜と安堵の発露であった。

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