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| [レッスン初日] |
| ベテラントレーナー「よし、さっそく始めるぞ。 まずは、基礎からだ。 お前たちの能力を見せてもらおうか。」 |
| 柚「へへー、基礎ぐらいヨユーヨユー。 今までずっとプロデューサーサンとレッスンしてきたんだもん! はやく次のステップに進んじゃおー!」 |
| 比奈「うーん……。 そんな上手くいきまスかねぇ……。」 |
| ベテラントレーナー「やればわかる。さぁ、はじめ!」 |
| 巴「普段通りにぜんぜん動けん……! なんじゃ!狭っ苦しいのう!」 |
| 裕美「や、やっぱり……。 私、みんなの足手まといになっちゃってた……。」 |
| ベテラントレーナー「……ふむ。 初めてならこんなところだろうな。 気長にやるしかない。その為のレッスン期間だからな。」 |
| 肇「そうですよね。 ユニット初心者として、学ばせていただきます。」 |
| 『一歩ずつ進んでいこう』 |
| 巴・裕美「はい! はい!」 |
| 柚・肇・比奈「はい! はい! はい!」 |
| [レッスン2日目] |
| 柚「比奈サン、びっくりするぐらい身体硬いね。 もう一回押すよー。……よいしょっと!」 |
| 比奈「あだだだだだっ! ちょ、も、もうちょっと手加減を〜! レッスン前から動けなくなったら、洒落にならないっスよ!」 |
| 肇「柚ちゃん。 よければ私の背も押してもらえないでしょうか。」 |
| 柚「はいはーい。柚にお任せ〜。 …………にひ♪ こちょこちょこちょこちょ〜。」 |
| 肇「へっ!?あ、ちょ、ちょっと! 柚ちゃん、や、やめ、あ、あはははっ! す、ストレッチ、し、しなきゃ、あ、あぁっ!」 |
| 比奈「いや……あの、柚ちゃん。 肇ちゃん、ビクビクしてまスし…… そのぐらいでやめてあげたほうが……。」 |
| 柚「うりゃうりゃうりゃうりゃ! こっちか!こっちか!」 |
| 肇「あっ……あのっ……柚ちゃ〜んっ! や、やめてください〜!」 |
| 比奈「あーあー……。 真面目な肇ちゃんとお気楽な柚ちゃん……なんか対照的っスね。 これから仲良くできるのかな……。」 |
| ベテラントレーナー「今日は3人か。ストレッチが済んだら始めるぞ……ん? お前ら、何を遊んでいるんだ……。」 |
| ベテラントレーナー「ファイブ、シックス、セブン、エイト! そこまで!」 |
| 比奈「はー、はー。 いやー、これくらい、軽いっス、軽い、軽い……。」 |
| 柚「ふぃー、あ、肇チャンのダンスさー。 なんかもっとこう、ヒュンヒュンって動いた方がよくない? あ、もっとセクシーにお尻振ったりとか〜♪」 |
| 肇「ひゅ、ヒュンヒュン?せくしー? えっと……すみません、柚ちゃん、もう少しわかりやすく……。 っと、えっと、こ、こうでしょうか……?」 |
| 比奈「あ、肇ちゃん、それたぶん適当に言ってるだけなんで、 あんまり気にしない方が……。 ああ、どんどんリズムが崩れて……。」 |
| ベテラントレーナー「…………うーむ。 これはもうダンスレッスン以前の問題というべきか……。 プロデューサー殿。これは時間が掛かりますよ。」 |
| 『まずは、もっと 基礎からやりますか』 |
| ベテラントレーナー「ふむ……。 もっと基礎、か……。そうですね。時間もありますし。 よし、お前ら、仲良くランニングでもするか。」 |
| [土手] |
| 比奈「はー。なんていうか、青春って感じっスね……。 いまはもう、遠い思い出っスけど……。」 |
| 柚「……わかるわかる! アタシも、バド部でよくこうやって走ってた〜! 最近走ってなかったから、なんか懐かしいな〜。」 |
| 比奈「あー……自分は運動部じゃなかったんで、 みんな走ってたなーって感じっスけど……。 肇ちゃんも、わかりまス?」 |
| 肇「私は、早く帰って窯にこもっていたので 放課後にそういう経験をしたことはありませんね。 ですが、なんだか、新鮮で気持ちがいいです。」 |
| 比奈「ふぅ……はぁ……ぜぇ……。 げ、限界っス……。ひきこもりに、スポ根はちょっと……。 す、少し、休みません……?」 |
| 肇「そうですね。 ちょうどいい時間ですし、お昼ご飯に戻りましょうか。」 |
| [食堂] |
| 比奈「アタシは……うっ。 いまはたべれそうにないんで、少し休んできまス……。 ふたりは、食べちゃっててください……。」 |
| 肇「そうですか。 ……じゃあ、元気になったら来てくださいね。 柚ちゃん、いきましょう。」 |
| 柚「かまぼこ、もーらいっ!」 |
| 肇「あっ!もう、柚ちゃんってば……ふふっ。 じゃあ、お返しに私もなにかもらっていいですか?」 |
| 柚「んー、いいよー。 っていうか、そういうのは、聞く前にとっちゃわないと! 柚のをとれるなら、とってみよー♪」 |
| 肇「……ハンバーグ定食から、 ハンバーグをいただくのは、ちょっと……ふふっ。」 |
| 柚「そういえばさー。 肇チャンって、食器とか作ってたんだよね? こういう感じのやつ?」 |
| 肇「そうですね……私がやっていたのは備前の陶芸です。 こう、土をこねて形を作って、それを焼いて固めます。 器とか、湯呑みなどを作っていました。」 |
| 柚「へぇー、すごいじゃん!あれでしょ、粘土みたいなやつ。 テレビで見たことあるよ〜。職人サンみたいじゃん! あれ?んじゃあ、なんでアイドルになったの?」 |
| 肇「それは……。私が未熟者だったから、でしょうか。 土を通して、器にこめるべき『なにか』…… それを持っていなかった私は……探しに来たんです。」 |
| 肇「アイドルという華やかな、私の知らなかった、憧れの世界。 そこで自分を磨いていくうちに、なにかが見つかる気がして。」 |
| 肇「まだまだ、探している途中ですから…… 今回、それが見つかったら……うれしいですね。」 |
| 柚「ふぅーん……肇チャン、難しいこと考えてるんだねぇー。 アタシなんて、ふつーに道を歩いてたら プロデューサーサンにスカウトされただけだよっ」 |
| 柚「歌って踊って、アタシは楽しいし? お客さんも楽しそうにしてくれたら、超楽しいしっ! それでいっかなーって。へへぇ、肇チャンには怒られちゃうかなー?」 |
| 肇「いえ……怒るだなんて、そんな。 自分もお客さんも楽しい……。 それは、とっても素敵なことだと思いますよ。」 |
| 柚「えへへ。ありがとー。そうだよねー。 何事も、楽しいのが一番! 今回は、肇チャンとみんなと楽しいのが、超一番!」 |
| 肇「超一番、ですか。ふふっ。」 |
| 比奈「ふぅ……やっと復活してきたっス……。 あれ、ふたりとも、なんだか楽しそうっスね。」 |
| 柚「あ、比奈サン。でしょでしょ〜? 柚チャンのウリは、楽しくハッピー超一番だからね〜。」 |
| 肇「ふふっ、そうですね。 柚ちゃんと話していると、私も楽しくなってきます。」 |
| 比奈「はぁ……? なんだかわからないっスけど…… 楽しそうなんで、よしとしまスか。」 |
| 比奈「アタシも復活したんで、練習再開といきましょ。 ちょっとずつちょっとずつ、みんなでやっていくっス。」 |
| 柚「みんなで、楽しくね!」 |
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