フィギュアスケート×ファンタジーのテキストベースRPG


呪われし旧き都


「氷都の舞姫」での、主な冒険の舞台となる巨大な都市の遺跡。それが「旧都」です。
古くは「蒼薔薇の都ローゼンブルク」と呼ばれ、「五王国」の中でも最も北方に栄えた
「ローザンヌ王国」の首都だったと伝わっています。

旧都の探索が始まってから、およそ150年の歳月が過ぎました。
冒険者たちの「紋章ハント」によって発見された古の「失われた紋章」
氷都の発展に大きな貢献を果たしています。

しかし「氷結の呪い」を原因とする、通常の生物が一切生息できないほどの
過酷な環境と、現状ではいかなる手段をもってしても完全には倒せない
不滅の怪物の存在が、探索の大きな障害として今でも残り続けています。

現在、旧都の中で調査の完了した区域は、まだ全体の一割にも満たないと言われています。

氷都からの距離


旧都が謎の怪奇現象で都市ごと凍りついてから、数百年。
今もなお、旧都からは常に「異常な冷気」があふれ出し続けています。
その影響を避けるため、氷都は、旧都から徒歩で一週間ほどかかる場所に建設されています。

旧都と氷都間の行き来には、道中の案内や荷物運び、犬ゾリやトナカイの扱いに長けた者が
不可欠です。ボッカ族の若者や駆け出し冒険者たちには、収入を得ながら修行を積める
良い仕事になっています。

パーティは必ず5人


冒険に出る時は、5人一組でチームを組むのが定石とされています。
このチームを「アタックチーム」と呼びます。

舞姫は、必ず1人はチームに必要で、残り4人の冒険者が舞姫を護衛します。
初期の探索においては、3人や8人などのパーティもあったようですが
不測の事態に弱い、迅速な探索に支障が出るなどの理由から、5人に落ち着きました。

現在では、旧都からの脱出用アイテム「転移紋章石」で一度に転移できる人数も
5人に設定されており、メンバーに過不足がある状態での出発は認められていません。

また、舞姫の人数が足りなくなった時のために、普段から舞姫の修行も積んでいる
冒険者も増えてきています。

複数チームの連携


登山家たちのチームが、複数協力しあって登頂へのルートを整備していくように
冒険者たちのチームもまた、同じように協力して探索を進めています。

旧都の探索では、後から来るチームのために
以前に探索したチームが残した「サイン」を見つけることがあります。

これらのサインは、旧都で危険を避けるための助けとなるでしょう。

氷結の呪い


「氷結の呪い」と呼ばれる、世界中でもここでしか見られない謎の超常現象は
旧都の探索を、困難で危険なものにしている最大の原因です。

旧都の中では、極端なまでの低温により、あらゆるものが凍りついています。
旧都の外から、中に足を踏み入れたものも、その場でただちに凍りつきます。

そして厄介なことに、一度凍りついてしまったもの
どんな手段でも解凍不可能となり、その場から動かせなくなります
同時に、この世界に存在するどんな手段でも破壊不可能となり
凍りついた瞬間の姿のまま、青白い氷像として永久に美しく保存されるのです。

これは、自然現象でものが凍るのとは、明らかに異質です。
名前こそ「氷結の呪い」ですが、この不可解な現象を便宜上そう呼んでいるだけ
この世界に存在する氷系の紋章術とは全くの別物です。
こんな異常な力を発現させる何かは、本来この世界に存在しません

ですが、氷結の呪いの「対象物を保存する性質」のおかげで、旧都には
この世界の他地域では、五王国の崩壊と共に失われた技術の産物が残されていました。
旧都は、美しくも危険な死の世界であると同時に、富をもたらす宝の山なのです。

女神アウロラの加護


この世界でただひとつ、「氷結の呪い」を受けずに旧都へ入る方法があります。
それは、女神アウロラの加護を受けた「舞姫」を、冒険に同行させること。

女神アウロラが舞姫に授ける加護には、いくつかの種類がありますが
寒さと氷結の呪いから身を守る加護は、効果発動時の見た目から
「オーロラヴェール」と呼ばれています。

ほとんどの舞姫は、冒険者と比べれば戦いの素人ですが
旧都の探索においては、アウロラの加護こそがパーティの命綱
だからこそ、冒険者たちは舞姫をお姫様のように大切に護ります。

探索において特に収穫を得られなかった場合でも
舞姫には必ず、冒険者たちから報酬が支払われます。

氷都でのランキング上位を目指し、練習を続ける舞姫には、多くのお金が必要です。
冒険に出ることは、危険を差し引いても舞姫にとって収入源として魅力あるものですが
あえて自ら危険に飛び込むことで、本番のプレッシャースランプに負けない
心の強さを養えると前向きに考える舞姫もいます。そして何より

舞姫は「氷結の呪い」から冒険者たちを護り
冒険者は、道中の危険や怪物から舞姫を護る。

そんな両者のお互いに支えあう関係の美しさを
アウロラ神殿も何よりの美徳だとたたえています。

アウロラの加護は、もともと単に寒さから舞姫と従者を護るだけの力だったかもしれません。
ですが、それを思いもよらぬ形でボッカ族のために活かそうとした
冒険者オティスの知恵と勇気に、女神もほれ込み
氷結の呪いを退ける新たな加護を舞姫たちに与えたのでは、とも伝わっています。

紋章ハント


旧都に眠る、古の遺産
それこそが、冒険者たちを旧都の探索に駆り立てる大きな動機です。
しかし、氷結の呪いで凍りついたそれらを、旧都の外に直接持ち出すことはできません
そこで考え出されたのが「紋章ハント」です。

旧都の中には、現代では失われた「紋章建築技術」を用いて建てられた建築物が
氷結の呪いの効力により、全く劣化せず数百年前の姿のまま残っています
それらに描かれている紋章を、素早く正確にスケッチし、氷都に持ち帰る
旧都の探索で得られる財宝とは、紋章そのものなのです。

持ち帰った紋章は、氷都における紋章術の研究機関「紋章院」鑑定に出され
模写の正確さや、紋章の珍しさに応じて報酬が支払われます。

つまり、氷都の冒険者はデッサンができないと稼げません。
デッサンができなくても、拓本を取るようにして写し取れる紋章もあります。
けれども、希少価値の高い紋章は表面に凹凸が全く無かったり(拓本不可能)
紋章術による立体映像であるため、直接触れなかったりするのです…!

紋章院では、旧都で発見された紋章を実際に建築物や武具に刻んで
その効果を確認したり、二つ以上の紋章の組み合わせ実験をしています。
また、人体そのものに紋章を描くこともあります。
こうすることで紋章の力が対象者に宿り、その人を護る「守護紋章」となります。
紋章院のこうした地道な努力が、氷都の発展を支えてきたのです。

150年に及ぶ旧都探索の成果で、発見済みの紋章については
どの紋章がどのあたりで見つかるか、ある程度判明しています。

冒険者が持ち帰った紋章は、「旧都の探索で、どこまで到達できたか」を証明する
証拠にもなり、それを利用した「冒険者の段位認定制度」もありますが
莫大な報酬が出ることもある「失われた紋章の発見」こそが、冒険者たちの目標なのです。

探索のタイムリミット


失われた紋章の発見は、ごく限られた幸運な冒険者に巨万の富をもたらし
彼らは氷都における最初の富裕層となりました。

けれども、ここ最近50年ほどは、新たな紋章の発見が途絶えてしまっています
旧都にはまだまだ、未探索の広大な領域が残されていますが
「氷結の呪い」から冒険者たちを護る「アウロラの加護」にも、限りがあるのです。

探索初期の頃、オティスの発案で舞姫と共に旧都へ踏み込んだ冒険者たちは
「氷結の呪い」から自分たちを護ってくれる「アウロラの加護」に
感謝と畏敬の念を覚えました。

しかし、時間の経過と共に、アウロラの加護さえも蝕んで少しずつ伝わってくる寒さ
彼らは底知れぬ恐怖を感じたともいいます。
身の危険を感じた彼らは、加護が完全に消える前に旧都を脱出し、仲間に語りました。
神の加護すら蝕む「氷結の呪い」は、決してこの世のものではないと。

この「探索のタイムリミット」の存在ゆえに、旧都の中で探索が可能なのは
外縁部だけに限られ、都市中心部の探索はいまだ手つかずのままとなっています。

不滅の怪物、アニメイテッド


制限時間つきの探索を続けるうち、短時間で障害を乗り越え先へ進む術に習熟した
冒険者たちに、またも困難がふりかかります。

旧都の中では、氷結の呪いによって青白く凍りついた、数百年前の住人が
当時と変わらぬ姿のまま、街中に立ち尽くしているのをよく見かけます。

それらが突然動き出し、襲いかかってきたのです。
凍りついているはずなのに、まるで生きているような俊敏さで…!
氷像たちはみな、「驚き」や「苦悶」、「絶望」に歪んだ表情を浮かべていたといいます。
その異様な姿から、怪物は「アニメイテッド」と呼ばれるようになりました。

はたして、氷結の呪いの中でアウロラの加護も無しに、いかなる力が彼らを動かしているのか?
彼らはいったい、生きているのか?死んでいるのか?
時には、命を持たない器物や、帝国時代の技術で作られた自動人形までもが
操り人形のように動き出し、冒険者たちの行く手を阻みます。

やむを得ず、彼らと交戦した冒険者の一人は、奇妙な感触をおぼえたといいます。
「なんか、すっげえ硬ぇもんをぶっ叩いたみたいな感じだったぞ!?」
氷結の呪いによって凍りついたものは、いかなる手段でも破壊不可能。
この怪物は不死身なのか?冒険者たちの間に、戦慄が走ります。

でも、幸運なことに。
ある程度攻撃を加えると、氷像の怪物は操り人形の糸が切れたかのように、動きを止めました。
怪物と戦った者たちは、こんな感想を残したといいます。

「敵が動きを止める直前、目に見えぬ何かを斬ったような手ごたえがあった」
「こんな怪物に襲われたら、探索どころじゃないな。タイムロスが大き過ぎる」

後に、一度動きを止めた氷像も、ある程度時間が経つと再び動き出すこと、
旧都の探索で犠牲になった冒険者も、怪物の同類と化してしまうことが確認されています。
唯一の救いは、怪物は決して旧都の外には出てこないこと。

それから年月が過ぎ、現代においても、この現象の正体や原因は判明していません。
一説には、氷結の呪いそのものが、旧都への侵入者を排除するために
氷像を動かしているのでは?ともいわれています。

転移紋章石


「探索のタイムリミット」と「不滅の怪物」の存在により、長い間停滞していた旧都の探索。
ですが、「転移紋章石」の実用化が、状況を変えました。
これは、紋章術研究の長年の成果が結実した魔法道具で、石に刻まれた紋章の力を解放すれば
旧都のどこにいても、一瞬で外へ脱出できるようになったのです。

今まで冒険者たちは、「氷結の呪い」から身を護ってくれる「アウロラの加護」が切れる前に
旧都の内部を探索して、なおかつ入口まで戻ってこなければなりませんでした。

けれども、転移紋章石があれば、制限時間ギリギリまで探索して、帰りは一瞬で脱出できる
これにより、冒険者たちが探索可能な範囲が広がりました。
しかし、長い間限られた区域のみの探索に慣れていた現代の冒険者では、
旧都の未踏領域まで踏み込める熟練者はそう多くなく、思ったほど探索は進んでいません。

さらに、転移紋章石はその後改良と高機能化が進み、壊滅寸前に陥った冒険者パーティ
自動的に外へ転移させるまでになっています。
これにより、探索における犠牲者の数は格段に減りました。

冒険仲間はバイト仲間


便利な転移紋章石ですが、多くの冒険者にとって頭の痛い問題もあります。
転移紋章石は非常に高価で、一度使えば壊れてしまいます

本来「転移の紋章」は、とても高度な術。
これを扱えるのは、ごく一部の限られた紋章士(ヘラルディック)だけでした。
それだけに、転移紋章石を作るのにも手間がかかるのです。

その上、現在の氷都では、旧都に立ち入る者に転移紋章石の携行が義務化されています。
これは、冒険者ギルドアウロラ神殿紋章院商人ギルドなどの代表が
集まって合議する氷都評議会が定めたことで、
旧都探索における犠牲者増加氷都の労働力減少を最小限に抑えることが主な理由です。
それほど、氷都の労働力不足は深刻なのです。

「お金が無ければ働けばいい、仕事ならいくらでもある」

結果的に、冒険者たちが冒険に出るには、まず転移紋章石を買うだけのお金をためる
必要に迫られました。

冒険者は、氷都の総人口の過半数を占める多数派です。
彼らが一斉にアルバイトを始めたものですから、氷都では今まで以上に
バイト先で自分と同じ冒険者に出会うことが増えました。
もちろん、バイト中の舞姫にもです。

そして、バイト先で意気投合した冒険者たちがそのままパーティを組み、
割り勘で転移紋章石を共同購入して、旧都の探索に向かうようになったのです。

ほとんどの冒険者は平等に貧乏であり、多くの舞姫もお金のやりくりに苦労していますが、
だからこそ助け合いの精神が根付いています。氷都は下町情緒と人情の街でもあるのです。

冒険のあとは


旧都の探索から帰還した舞姫と冒険者たちは、旧都に満ちる呪いの穢れを清めるために、
一緒にサウナに入ることが通例となっています。
これは、東方の和人たちの文化である「ミソギ」に似ています。

心身の疲れを癒し、明日への活力をもたらしてくれるサウナは
ボッカ族にとって、聖なる場所なのです。

ちなみに、サウナは混浴が普通、水着は禁止というのが氷都のスタイル。
力を合わせて、旧都の探索という困難を乗り越えた舞姫と冒険者たちは、
裸の付き合いによって、より親睦を深めるのです。

氷都には、東方の和人たちが持ち込んだ温泉の文化もありますが、
地元民の文化であるサウナの方が、数も大きさも充実しています。

そして、サウナで身体を清めた後は、酒場で打ち上げの宴会をします。
一杯の酒と美味しい食事、仲間との語らいが、
次なる冒険の準備に取り組む、彼らのモチベーションを高めるのです。

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