夕方、事務所近く | |
ライラ | うぅー、日本の冬は寒いでございますねー……。 |
ライラ | 事務所まで、あとちょっとでございます。おー。 |
千鶴 | 次のLIVEは新春ね。みんなと年越し……まぁ、いいけど。 |
晶葉 | 正式な打ち合わせはまた改めてあるそうだが、来られるもの同士であらかじめ顔合わせもいいだろう? |
晶葉 | ただでさえこの事務所は曲者ぞろいだからな。 |
千鶴 | 曲者で悪かったですね。私だって、もうちょっと素直になれたら……ハッ、な、なんでもない……。 |
晶葉 | そうだな。今のは何でもないということにしておこう。あとはライラが来るはずだが…… |
ガチャ | |
ライラ | みなさん、お疲れさまでございますで……くちゅんっ。 |
千鶴 | ちょっと……どうしてそんな薄着なのよ。コートとか持ってないの? |
ライラ | コートですかー。ライラさんは持ってないですねー。 |
晶葉 | それなら、私の白衣をやろう。何着も持っているからな。 |
ライラ | おぉー、これが白衣……。 |
晶葉 | ああ。防寒のためのものではないが、ないよりはマシだろう? |
ライラ | ありがとうございますー。これで、冬でもぽかぽかですねー。 |
千鶴 | はぁ……晶葉さんも言ってるけど、白衣は防寒着にはならないから。コートくらいはちゃんと着て。 |
千鶴 | アイドルなんだから、体調管理はしっかりしないと、私だって心配になるし……よ、余計なお世話かもしれないけど。 |
晶葉 | いや、千鶴の言葉ももっともだ。なにしろ、日本はこれからもっと寒くなる。 |
晶葉 | 風邪も流行り出すからな。万全を期すにこしたことはない。 |
ライラ | なるほどー。みなさん、ありがとうございますー。ライラさん、次のお給料でコートを買いますです。 |
晶葉 | 次の給料って……そんなに切羽詰まった暮らしなのか? |
ライラ | 今のライラさんは、豆苗ともやしのお世話になっていますねー。 |
千鶴 | ……今度、私も服持ってくる。探せば着なくなったコートもあると思う。 |
ライラ | ほんとでございますかー。 |
千鶴 | 嘘でこんなこと言ってもしかたないでしょ。代替案もない意見なんて意味ないし。 |
ライラ | ありがとうございますー。アイドルのみなさんも、優しい人ばかりでライラさんは嬉しいですねー。 |
晶葉 | これでコートについては一応解決だが……豆苗ともやしでは栄養面も心配になるな。 |
晶葉 | ちゃんとバランスよく食べているのか? |
ライラ | はいー。一緒に日本に来てくれたメイドさんが、たくさん考えてお料理をしてくれてますですよー。 |
晶葉 | そうか。それなら安心だな。 |
ライラ | でも、ライラさんも、栄養たくさんのお料理ができるようになりたいですねー。 |
千鶴 | どうして?一人暮らしする予定でもあるの? |
ライラ | いいえー。でも、ライラさんはひとりで生きていけるしっかり者のライラさんになりたいのでございます。 |
ライラ | みなさんにお世話になってばかりですからー。 |
ライラ | ひとりでも大丈夫なライラさんで、みなさんと一緒にいたいのでございますよ。 |
晶葉 | ほぅ……いい心がけだな。そんなライラにおすすめできる栄養ある料理といえば…… |
千鶴・晶葉 | 鍋……かな。 鍋だな。 |
ライラ | 仲良しさんでございますねー。 |
千鶴 | べ、別に……私は一般的な意見を言っただけだし。そう思いたければ、思っててもいいけど……っ。 |
晶葉 | まぁ、私たちが仲良しさんかどうかは、LIVEでファンに確かめてもらうとして、だ。 |
晶葉 | 鍋が初心者向けなのは間違いないな。切って煮ればいいからな。 |
千鶴 | それに、鍋は暖もとれるから。おすすめは水炊きかな……私の故郷の名物で、美味しいの。 |
ライラ | みずたき……ぜひ、ライラさんにも教えてほしいですねー。 |
千鶴 | そう。ならレシピを渡すから…… |
晶葉 | それよりも、一度みんなで作ってみたらいいんじゃないか?幸い、この事務所にはキッチンもある。 |
晶葉 | プロデューサーに許可をとれば、いけるだろう。 |
ライラ | チヅル、「なべぶぎょう」になりますですかー。 |
千鶴 | ならないし……。それに、事務所でやるには少し狭い気も……。 |
千鶴 | って、別にみんなと鍋したくないってわけじゃ……ああ、もう何言ってるんだろ、私……。 |
晶葉 | はは、まぁ千鶴の本音は、あたたかい鍋をつつきながら聞くとしよう。 |
ライラ | はいー。ライラさんは、狭くても大丈夫でございますからー。 |
ライラ | 狭いと、みんなが近くになって、楽しいでございますね。 |
千鶴 | そう……みんながそれでいいなら、いいけど。 |
ライラ | コタツにアイスにお鍋。ライラさん、いろんな日本の冬を知りましたねー。どれも素晴らしいでございます。 |
千鶴 | アイスって冬なの……? |
晶葉 | ほら、よく言うだろう?暖かい部屋での冷たいアイスは至高だという話だ。 |
晶葉 | もちろん、夏のアイスもいい。年中通して旬というやつだな。 |
ライラ | アイスは「しゅん」……ライラさん、また日本語の勉強になりましたねー。 |
晶葉 | それは良かった。では、当日は私が鍋の器具を一式用意しよう。 |
晶葉 | 調理に役立つロボを開発してもいいかもしれないな。 |
千鶴 | じゃあ、私は食材を買ってこようかな。水炊きなら、素材にはこだわりたいし。 |
ライラ | それでは、ライラさんはみんなの分もアイスを買っていくですねー。 |
千鶴・晶葉 | なんで!? |
ライラ | だ、だめでございますか? |
千鶴 | ううん、違うの……。お金に困ってるみたいだし、無理しなくても……。 |
ライラ | お洋服もいただけますし、大丈夫でございますよー。 |
晶葉 | その分、貯金に回してもいいんじゃないか? |
ライラ | んー……でもライラさん、もらってばかりではいけないと教えられてきましたねー。 |
ライラ | それに、アイスは自分で買ってみなさんと一緒に食べるのが、一番美味しいのでございます。 |
千鶴 | ライラさんが困らないなら別に構わないけど……。 |
晶葉 | それじゃあ、話もまとまったことだし、プロデューサーに鍋パーティーの打診へ行くとしよう。 |
ライラ | プロデューサー殿も「なべぶぎょう」に誘いましょうー。 |
ライラ | お鍋パーティー、プロデューサー殿も楽しみにしてると言ってくれましたですねー。 |
ライラ | るんるんでございますー♪ |
ライラ | 日本の冬は、とても寒いでございます。 |
ライラ | けれどライラさんは、みなさんのおかげで、いつも幸せぽかぽかなのですよ。 |
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