愛梨の実家 | |
私は、普通の女の子でした。 | |
アイドルになるって決めた時も、アイドルって何なのか、本当はよくわかってなかったんです。 | |
だって、アイドルって英語だし……。 | |
それから、デビューして、たくさんの人が応援してくれて、シンデレラにもなれて。 | |
私は、変わったのかな? | |
今も変わらず、お菓子を作って、みんなと笑い合って、悩みがないのが悩みくらいで……。 | |
私は、まだ少しだけ、自分のことを普通の女の子だって思ってるのかもしれません。 | |
愛梨 | ふあぁ〜。ママ、おはよ〜。 |
愛梨の母 | おはよう、愛梨♪あらあら、また上着が脱げてるわよ。ほら、来て。直してあげる♪ |
テレビ | 『密着取材だなんて、なんだか緊張しちゃいますねっ!でも密着して何を撮るんでしょう……?』 |
愛梨 | あっ、また録画したの見てるっ!昨日も一緒に見たのに〜♪ |
愛梨の母 | 娘の可愛いところは、何度だって見ていたいの。そうそう、朝食、もうできてるわよ。 |
愛梨 | わぁ、おいしそう……♪ |
サラダにスープ、オムレツにクロワッサンサンド。それが、十時家定番の朝食メニュー。 | |
愛梨の母 | 今日はご飯を食べたら、もう東京に帰るのよね? |
愛梨 | うん。お昼から、大学の友だちと約束があるの。みんなも、シンデレラガールになったお祝いをしてくれるんだって! |
愛梨の母 | ふふ、愛梨が楽しそうでママも嬉しいわ。プロデューサーさんにも感謝しなきゃね。 |
愛梨の母 | 家族でお祝いができるよう、お休みをくれたんでしょ? |
愛梨 | うん♪昨日は楽しかったなぁ。みんなで作った焼きたてのアップルパイを食べて、私の出てる番組を見て…… |
愛梨の母 | パパ、途中で感動してうるうるしてたわね。芸能界のことは詳しくは知らないけど、シンデレラに |
愛梨の母 | なれるなんてさすがだ、うちの愛梨はすごい、かわいいって♪ |
愛梨 | えへへ……♪私も、シンデレラガールが何か、よくわかってないんだけど……みんなの応援のおかげだって思う! |
テレビ | 『はぁい!お菓子のお家ですよ!……これ食べていいですか?えっ、だめ!?』 |
愛梨 | あっ、これ、ちょっと前のお仕事だよね。もしかして、全部録画してあるの? |
愛梨の母 | もちろんよ。可愛い娘の姿がいつだって見ていたいものなの♪ |
愛梨の母 | それに……愛梨がアイドルになって、たくさんお仕事をして、夢が叶うところも見たいのよ。 |
愛梨 | 夢……? |
愛梨の母 | あらあら、覚えてないの?幼稚園の頃、愛梨はたくさんの夢を私たちに語ってくれたじゃない。 |
愛梨の母 | お菓子の家に済むケーキ屋さんになりたい、お姫様になりたい、あとは、お嫁さんだったわね。 |
愛梨の母 | お菓子の家でお仕事もしたし、お姫様みたいな衣装も着たもの。夢、叶ってるでしょ? |
愛梨 | そっかぁ。あとはウェディングドレスだけど……事務所の子が撮影で着てたし、お嫁さんの夢も叶っちゃうかもっ! |
愛梨の母 | その時は、パパにも教えてあげないとね。でも、きっとまた泣いちゃうわね。 |
愛梨の母 | 今朝も、「ギリギリまで愛梨と一緒にいたいよ〜」って言いながら、泣く泣く仕事に行ってたんだけどね。 |
笑顔で朝ごはんを食べた後は、部屋で東京に戻る準備をしました。 | |
愛梨 | それじゃあ私、そろそろ行かなきゃっ。 |
愛梨の母 | その前にいつもの……でしょ? |
愛梨 | うん。ぎゅーっ♪ |
愛梨の母 | 愛梨、また来月も会いに行くわね。愛梨ったらいつも服を脱ぎ散らかすんだもの。掃除もしてあげる♪ |
愛梨 | えへへ……毎月助かってます♪じゃあまたね、お母さん。いってきますっ! |
友人A | お、愛梨ちゃん、もうこっちに着いたって。 |
友人B | 待ち合わせの時間通りだけど、ふらふらしてないかちょっと心配……。 |
友人A | ウワサをすれば……あれ、愛梨ちゃんじゃない? |
愛梨のファン | あのっ、私、愛梨ちゃんのファンですっ!天然で可愛くて、大好きで……握手とサイン、いいですか!? |
愛梨 | はい、どうぞ〜♪ |
友人B | 愛梨さん、見つけた! |
友人A | 確かに集合場所は駅前って言ったけど、自分の看板の前にいるって……そりゃあファンも見つけるって。 |
愛梨 | だって、ここが一番わかりやすいかなって思ったのっ♪ |
愛梨のファン | あ、あの……愛梨ちゃんのお友だちですか?いつも話してる、オーディションに応募したっていう…… |
友人A | そうそう、同じ大学の友だちなんです。 |
愛梨のファン | あ、ありがとうございます!いつも傍で、愛梨ちゃんを守ってくれてるんだなって思ってて……! |
友人B | いえいえ、こちらこそ、いつも愛梨さんを応援してくれてありがとうございます♪ |
愛梨 | も〜、またみんな、私のお母さんみたいなこと言ってるっ! |
3人 | だって、愛梨ちゃんって放っておけなくて……。 |
3人 | あら♪ えへへ♪ |
愛梨のファン | じゃあ、私はこれで!愛梨ちゃん、サインと握手、ありがとうございました!またLIVE、見にいきます! |
友人B | 本当に、愛梨さんのファンはいい子が多いよね。 |
友人A | 可愛いから絶対アイドルに向いてるとは思ってたけど、しっかりやれてるようでよかったよ。 |
2人 | それじゃあ改めて……シンデレラガール、おめでとうっ! |
愛梨 | えへへ、ありがとうございますっ♪ |
愛梨 | あとあと、私にはファンの人たちだけじゃなくて、友だちもいい子ばっかりですからねっ♪ |
2人 | 愛梨さん……! 嬉しい〜っ!! |
友人B | アイドルになったら、遠くに行っちゃうのかなって思ってたけど、私たちといる時の愛梨さんは変わらないよね。 |
友人A | そうそう!暑がりですぐ脱ぐし、ぽやぽやしてるから放っておけなくてさ。 |
友人B | でも、シンデレラガールなんだよね。密着取材の番組を観て思ったもん。愛梨さんはやっぱりアイドルだって。 |
愛梨 | はいっ!私も見ててそう思いましたっ♪ |
友人A | こらこら当事者〜!天然なところも相変わらずだよね〜♪ |
やっぱり、私にはシンデレラの実感がないのかも……? | |
まだ少し、自分のことを普通の女の子のままだって思ってて。 | |
でも、もし、アイドルになる前と今で、違うところがあるのなら…… | |
私には、ステージに立った時、キラキラと輝く景色を見せてくれる人がいるっていうところでしょうかっ。 | |
ファンのみなさん、パパとママに、友だち。それから…… | |
考えたら、会いたくなってきちゃいました。あの人はまだ、仕事中かな? | |
この後、差し入れのケーキを持って、会いに行こっと♪ | |
愛梨 | プロデューサーさん、お疲れさまですっ!今は、次のお仕事の企画中ですか? |
愛梨 | なるほど〜、大事な記念日のLIVEですか〜。主役は……私!? |
愛梨 | えっと、ドキドキしてきましたっ!なんていうか……胸がいっぱいですっ♪ |
愛梨 | そうだ!今日も頑張るプロデューサーさんに、ケーキの差し入れを持ってきたんですよ♪ |
愛梨 | 私は、お休みをもらったから今朝まで実家に戻ってて、その後はこっちで友だちと遊んでましたっ! |
愛梨 | いつもと変わらない、普通の一日で……ううん、変わったこともあったのかな? |
愛梨 | 私、アイドルなんだって改めて思ったんです。いつもみんなに支えられて、応援してもらってるんだって。 |
愛梨 | そしたら、アイドルの私を一番に支えてくれるプロデューサーさんに会いたくなって…… |
愛梨 | だから、会いにきちゃいましたっ♪ |
愛梨 | 私、難しいことはよくわからないんです。みんなが褒めてくれるし、大好きって言ってくれるし、 |
愛梨 | プロデューサーさんとずっと一緒にいたいから、アイドルやっていこうって、簡単に考えていました。 |
愛梨 | 今でも、その気持ちはあるんですけど……そこに、また別のものがあって……目標?そう、目標ですっ! |
愛梨 | 私が立つステージはたくさんの人のおかげで、いつもキラキラしてるじゃないですか。 |
愛梨 | だから、今度は私が、そんなみんなの心を、キラキラ輝かせることができたら嬉しいなって♪ |
愛梨 | えへへ、プロデューサーさんには伝えたかったんです。私の目標っ! |
愛梨 | 私は、あなたにシンデレラにしてもらって終わりじゃありません。 |
愛梨 | もっともっと高いところに行きたいんですっ!プロデューサーさんと一緒に♪ |
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