| 昼下がり |
早苗 | 二人とも、待ってたわ。時間は……うん、ぴったり♪遅刻はギルティだものね!よしよし♪ |
雫 | 間に合ってよかったですー。それでは、行きましょうー♪…………あらー? |
??? | おいこら!待てっ、こらーっ!! |
早苗 | なにか事件かしら? |
男性 | ひぃーっ!いやっ、僕はその……!あの!わわわっ……!! |
| ダダダダダッ |
| 声のする方を見ると、男性が、慌てた様子で走ってきた。すると…… |
店主 | 食い逃げだーっ!だれか、捕まえてくれ!! |
裕子 | へっ?食い逃げ!? |
早苗 | ちょっとあなた!止まりなさーいっ! |
早苗 | ていやーっ!!! |
| ガシィッ |
男性 | ぐぇぇ…… |
| 早苗は、男性の腕を掴み、あっという間に確保した。 |
雫 | わぁ、お見事ですー。 |
早苗 | このくらいお手のものよ♪ |
| 程なくして食い逃げ犯(?)を追いかけていた定食屋の店主と思しき男性がやってきた。 |
店主 | いやぁー、助かったよ!そのお客さん、お代も払わず走って行っちゃってさ。 |
男性 | あ、あの……その……。 |
店主 | ちょーっと目を離した隙に出ていこうとしやがって。俺の店で食い逃げしようなんざ許さんぞ、兄ちゃん! |
男性 | すみませんっ!そんなつもりはなかったんです!本当ですっ! |
早苗 | みんな、そう言うのよね。「そういうつもりはなかったんですー」って! |
早苗 | でも、ダメなものはダメ。訳は署で訊かせてもらうわ! |
店主 | ……ん?もしや姉ちゃん、警察の人かい? |
早苗 | えっ!?ああ〜、しまった!つい昔のくせが……。 |
裕子 | その人……早苗さんは、元警察官なんです! |
雫 | 今はアイド…… |
早苗 | ええっと!そ、そうっ!そうなの!元警察官なの!だからつい口走っちゃって。 |
早苗 | それはそうと…… |
| ザワザワ…… |
早苗 | 騒動になりそうだし、とりあえず場所を変えない?この人も、逃げるつもりはないみたいだし。 |
男性 | 逃げません、絶対!絶対にっ!! |
| 早苗たちは、男性をつれて食い逃げ現場……もとい、定食屋へやってきた。 |
早苗 | それで?訳を訊かせてもらおうじゃない。 |
雫 | 食い逃げはダメですよー?立派な犯罪です! |
男性 | 本当に、食い逃げするつもりはなかったんです。信じてください!お代もちゃんと払います! |
雫 | そうは言ってもー……ねぇー? |
店主 | そうさ。お代を払わずに逃げようとしたじゃないか。俺の目はごまかせんぞ! |
裕子 | ムムム……わかりました!もしかしたら、お財布をうっかり忘れてしまっただけじゃないですか? |
裕子 | それで、慌てて取りに帰ろうとついお店を飛び出した、とか!その男性から、そんな感じのパワーを感じます!たぶん! |
早苗 | いやいや、まさかそんなことないで…… |
男性 | そうなんですっ!!! |
早苗 | へ……? |
男性 | ご飯を食べ終わってから、財布を家に忘れたことに気がついて……。あっ、僕、近所に住んでるんですけど。 |
男性 | それで取りに帰らなきゃ!と、慌ててしまって……。声をかけるのも忘れて、店を飛び出してしまったんです。 |
雫 | ユッコちゃん、ご名答ー♪ナイスサイキックですねー! |
早苗 | ……つまり、うっかり食い逃げみたいになったけど、本当に食い逃げるつもりはなかったってこと? |
男性 | はい。お代は必ず払います!その……自宅へ財布を取りに行ければ、ですけど……。 |
裕子 | テレパシーで見てみましょう。ムムムム……なるほどぉ!この人の言っていること、嘘じゃないと思いますよ。 |
早苗 | んー、そうは言ってもねぇ。……じゃあ、こうしましょ!あたしが、その人の家まで一緒についていくわ。 |
早苗 | で、お財布を取りに行って、またここに戻ってくる。それでどう?逃げようもんなら、あたしが連行するわ! |
店主 | 姉ちゃんたちがそこまで言うなら仕方ねぇ……。兄ちゃん、待っててやるから、とっとと行って来い! |
早苗 | ……よし、と。お代は無事払えたわね! |
雫 | これにて一件落着ですねー。 |
男性 | 本当にすみませんでした。それから……セクシーギルティのみなさん、ありがとうございます。 |
店主 | せくしーぎるてぃー……??? |
裕子 | あれ?もしかして私たちのこと、知ってます? |
男性 | 途中で気づいたんですけど、アイドルの方々ですよね?この前、テレビで流れてたLIVE映像を思い出しまして。 |
雫 | テレビの特集……あ、もしかしてハワイのLIVEのことでしょうかー? |
早苗 | ああ、あれね!たしかプロデューサー君もそんなこと、言ってた気がするわ!観てくれたのね、ありがとっ♪ |
店主 | ほぉー、なんだ姉ちゃんたち芸能人なのか!それなのにこんな下町で人助けとは、お人よしだねぇ。 |
裕子 | いえいえ、それほどでも!サイキックで、パパッと解決できましたしねっ♪ |
早苗 | 血が騒いじゃうのよね。あたし、元警察官だし!それと可愛いサイキッカーとキュートな酪農家の娘、ね♪ |
雫 | 困った人がいたら、助けるのは当然ですからー。私もいつも、多くの人たちに助けられていますしー。 |
男性 | セクシーギルティのみなさんって、素敵な人たちだったんですね。僕、ファンになりそうです。 |
早苗 | そこは『なりそう』じゃなくて『なりました』って言ってほしいわね♪ |
男性 | あ……いや、ははは……。なりました!はい! |
店主 | ほぉー……姉ちゃんたちがアイドルなんてなぁー……。気に入った!俺もファンになったよ。はっはっは! |
雫 | ありがとうございますー♪ |
店主 | よかったら、今度はうちの飯を食べに来てくれ!たんまりご馳走するからさ。 |
裕子 | わぁっ、本当ですか!やったー♪ |
| かくして、下町で起きた騒動は、いっけん落着。 |
| その後……男性と店主は、モーレツなセクシーギルティファンになったとかならないとか。 |
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