| 海沿いの道 |
| ─アイドル?それは何者ですか!? |
| ─アイドルとは、トップをねらうお仕事!?そうと聞いたら、詳しく知りたくなってきました!! |
| ─そのアイドルをするフィールドは、どこですか!?走って行かねば!!! |
| タッタッタッタッ…… |
茜 | (あの後……もっと詳しく説明してもらいましたが、何がなんだか、さっぱりわかりませんでしたね!!) |
茜 | (……だけど今、私の胸は強く熱く燃えている!!それだけは、たしかです!) |
| アイドルとは……アイドルになって私は……アイドル・日野茜は…… |
茜 | ボンバーっ!!!!! |
| ダーッ |
茜 | はぁ……はぁ……ただいま帰りましたっ!!! |
母 | お帰り。ちょうど夕飯ができたところよ。今日のご飯は、茜の好きな─ |
茜 | カレーですねっ!! |
茜 | 美味しそうな匂いがそれはもう、ぷんぷんと!家を突き抜けて、外にまで漂っていました!! |
母 | ほらほら、わかったから。早く手を洗って、ご飯をよそってちょうだい。 |
茜 | 了解です!!今日もルーは大盛り、白米はその上をいく特盛りにしますよ!! |
| ジャーッ |
| 『ワァァァッ!!!』 |
父 | 茜ー!試合始まったぞー! |
茜 | えっ!?そういえば今日はラグビーの親善試合の日でした!わーっ!観ます観ます!! |
父 | まだ始まったばっかりだ!!よかったな、間に合って!! |
茜 | はい!!ラグビーはどこから観ても楽しいですが、楽しい時間は長く味わいたいですからねっ!! |
| 『ワァァァッ!!!』 |
茜&父 | わーっ!!!!! |
母 | まったく……。ほら、ご飯にするわよ。茜の分は、モリモリでよそっておいたから。 |
茜 | ……はっ!すみません!ついテレビに夢中になってしまって!! |
母 | いいから、どんどんテーブルに運んじゃってちょうだい。 |
茜 | わっかりましたー!! |
茜 | 今日も元気だカレーがうまい!走った後はごくごく飲める!お母さん、おかわり!! |
母 | はいはい。茜、今日部活だったんだっけ? |
茜 | 部活はお休みでした!代わりに海沿いで、走り込みをしていたんです!! |
父 | 走り込みか!父さんも昔はよく、休みの日は走ったもんだ!家の前の土手を、朝から晩までな!! |
茜 | お父さんもですか!! |
父 | ああ!道を走っていると、いろんな出会いがあるだろう?同じ様に走り込みをする人、犬の散歩をする人、 |
父 | 散歩するご老人……挙げきれないが、そんな人たちとの出会いが、楽しくてなぁ! |
茜 | 出会い…………はっ!そうでした!! |
茜 | 今日私は、アイドルになって、トップを目指すことに決めたんです!! |
父 | ははっ、トップか!!それはいいな!! |
母 | えっ……えっ?アイドルになるって……茜が!? |
茜 | あっ、お母さん!おかわり、ありがとうございます!!いただきます!! |
茜 | それでですね……はふっ。走ってたら、プロデューサーって人と出会ったんですよ……はふっ。 |
茜 | そしたら、トップを目指さないかって言われて……はふっはふっ。 |
母 | 食べるか喋るか、どっちかにしなさい! |
茜 | カッカッカッカッ……ゴクンッ グビグビグビグビ…… |
茜 | ぷはぁーっ!やっぱりカレーにはお茶ですね!! |
茜 | えっと、それでですね……そうそう、アイドルとして、トップを目指すことに決めたんです!! |
母 | 全然わからないわよ……。第一、信用できる人なの?その、プロデューサーって人は……。 |
茜 | 格好と名刺とビルは、しっかりしてましたよ! |
母 | ビル? |
茜 | アイドルの拠点ですね!立派な建物でした!あ、今度プロデューサーが家までご挨拶に来るそうです! |
母 | ええ!?そんな急に言われても─ |
父 | まあまあ、いいじゃないか!茜の心は決まってるみたいだし茜がやりたいことをやるのが、一番だ! |
父 | 人生は、いつだって挑戦!挑戦!また挑戦!挑戦の連続だからな!! |
母 | まぁ……そう、ね。反対してもやるだろうし。でも、無理はしないこと。いいわね? |
茜 | 無理はしません!無理なことなんてないですから!やってやれないことは、どこにもないんです! |
父 | はっはっはっ!元気があれば、なんでもできるからな!! |
茜 | お茶お茶〜っと!……あれ、お父さん!晩酌ですかっ? |
父 | おお、茜もどうだっ?お茶でな! |
茜 | はいっ! |
父 | じゃあ、茜のアイドルとしての活躍を祈って…… |
茜&父 | カンパーイ!! |
父 | ……とはいえ、さっきは母さんの手前、ああは言ったがアイドルになったら、きっとツライこともあるだろう。 |
茜 | ツライこととは、なんでしょうか? |
父 | 好きなときにカレーが食べられなかったり、走りたいときに走れなかったり……だっ! |
茜 | それはツライ……! |
父 | それに、部活のマネージャー業は、続けられなくなってしまうだろう。 |
茜 | それは……たしかに…………そうです、ね。 |
父 | ははっ、考えてなかったのか?まだ時間があるなら、キチンと考えをまとめておくといい。父さんは心配してないけどな。 |
父 | 茜には、なんでも乗り越える力が、やる気と元気と勇気があるからな!父さんは茜を信じて送り出す!! |
父 | 何があっても、父さんは茜の味方だぞ!茜が生まれたときからずっと、ずっとな!! |
茜 | お父さん……!ありがとうございます!私、信じた道を、真っ直ぐ走り抜けます!! |
茜 | 見ててくださいね、お父さん!!! |
父 | 当然だ!!!茜、ファイトー!!!!! |
茜 | オー!!!!! |
母 | ふたりとも!!!静かにしなさいっ!!! |
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