| 事務所 |
留美 | あら……お疲れ様、久美子ちゃん。熱心に机にかじりついていったい何をしてるの? |
久美子 | 留美さん、ちょうどいいところに♪ねぇ、これ見て。よく撮れてると思わない? |
留美 | どれ……ああ、この前のブライダルイベントの写真ね。 |
久美子 | Pから、プレス用の写真を選んだから、確認しておいてって言われたの。 |
留美 | なるほどね。……本当に、いろんな意味で夢のようだったわ。あのイベント……。 |
留美 | まさか、私がこんなステージに立つときがくるなんて……ね。さぁ、手をとって。永遠の誓いを交わしましょう。 |
ナターリア | 約束したら、いつまでも一緒にいられるんだよネ!ナターリアの手、離しちゃダメだゾー♪ |
響子 | ウェディングドレス……とっても憧れてたんですっ!結婚して、新婚さんになって。幸せはどこまでも続きますね♪ |
久美子 | どう?似合ってる?ふふっ、その言葉が聞きたくて私はどんどんキレイになるの。これからも、ずっと……ね♪ |
留美 | なんだか、感慨深いわね。ウェディングドレスなんて……私の人生では、縁遠いもののように感じていたのよ。 |
久美子 | アイドル始める前とか、なかったんですか?その……いい人というか何というか…… |
久美子 | 留美さんみたいな素敵な人、周りが放っておかないかなって思って。 |
留美 | ふふっ、そう言われて、悪い気はしないわね。 |
留美 | だけどね、仕事と恋愛を完璧に両立できるほど……器用な人間じゃないのよ、私。 |
久美子 | ああ、そっか。それほど、仕事に打ち込んでたってことですよね。仕事が恋人、みたいな。 |
留美 | そうね。若い頃は、周りに認められたくて、忙しいことが悦びで……。脇目も振らず、働いたわ。 |
久美子 | 素敵ですね。その頃の努力があるから、今の留美さんがいるんだもの。 |
留美 | ええ、そうなのよね……。だから……そのせいで多少、色恋から遠ざかってしまったとしても……それが私なのよね。 |
久美子 | ふふ……恋愛を始めるのに、早いも遅いもないですよ。 |
留美 | 久美子ちゃんは、若いもの。でも……そう、ね。たしかに、その通りかも。 |
久美子 | あ、でもアイドルだから、恋人はファンのみんなですね♪ |
留美 | ふふっ、それはそうね。 |
ナターリア | おーっ!ここにいたカ! |
響子 | 久美子さん、留美さん、お疲れ様です♪ |
久美子 | お疲れ様♪ふたりして走ってきて、どうしたの? |
響子 | プロデューサーさんから、この前のイベントの写真ができてるって聞いて、飛んできちゃいました♪ |
ナターリア | ナターリアのドレス姿、可愛く写ってるカー? |
久美子 | うん、バッチリよ。ほら、見てみて♪ |
ナターリア | わー!すごいネー!この写真、あとでもらってもいいのカナ〜? |
留美 | プロデューサーさんに聞いてみましょうか。おそらく、問題ないとは思うけれど。 |
ナターリア | やったー!キレイなナターリア、みんなに見てもらうゾー! |
響子 | 私も、お願いしてみます!いつか、本物のお嫁さんになれる日まで……大切に、持っていたいから♪ |
留美 | 響子ちゃんは、やっぱり結婚願望があるの? |
響子 | んー、結婚願望っていうか……大切な人と、一つ屋根の下で暮らせたら、きっと幸せだろうなって思うんです! |
響子 | 悲しいことがあった日も、お家で待っててくれる人がいるって思ったら、励まされますから。 |
響子 | もちろん、相手が元気のないときは、一番傍で支えてあげられますし……それって、とっても素敵だなぁーって♪ |
久美子 | いいわね。響子ちゃんはきっと、あったかい家庭を築くんだろうな。 |
響子 | あははっ、改めて言われるとなんだか恥ずかしいですね♪久美子さんはどうなんですか? |
久美子 | そうね……私はずっと、お母さんの結婚式の写真に憧れ続けているの。だから…… |
久美子 | いつかはお母さんみたいに、素敵なウェディングドレスを着て、結婚式を挙げるっていうのも、ひとつの理想。 |
響子 | わぁ……!久美子さんのお母さんの花嫁姿、とってもキレイだったんでしょうね……♪ |
久美子 | それは、もう!幼い私が、心奪われちゃうくらいにね。 |
久美子 | だけど……今の私には、結婚はまだ遠い話かなって思ってて。アイドルのお仕事って楽しいもの♪ |
響子 | たしかに、毎日アイドルのお仕事が充実してると、結婚とかってなかなか考えられないですよね。 |
ナターリア | でもでも!ナターリアは結婚に憧れてるヨー! |
ナターリア | すっごく好きだったら、ずっと一緒にいられる約束、したいモン!大切な人、みんなにも、紹介したいナ! |
留美 | そうよね。大事な人を、みんなに紹介したいって気持ちは、よくわかるわ。 |
ナターリア | そうだヨー♪結婚式だって、日本でも挙げたいし、故郷でも挙げたいヨ〜♪ |
ナターリア | ン〜、夢は広がるナ! |
留美 | だけど……夢だけじゃ、結婚生活は、やっていけないこともあるのよね……。 |
響子 | ど、どういうことですか……? |
久美子 | やっぱり、結婚してから見えてくるアレやコレ……的なやつかしら? |
留美 | そう。私の友人にも、既婚者の子が増えてきたんだけど、話を聞いてると、随分大変そうなのよね。 |
留美 | 仕事、家事、貯蓄……理想が高ければ高いほど、現実との落差に悩むみたいで。 |
留美 | だけど……やっぱり、憧れてしまうのよね。結婚というものに、私は……じゃなくて、私たちは。 |
ナターリア | ふーん……?それは、相手選びが大事ってコトだナ! |
留美 | ま、まあ……それも、あるかもしれないわね。だから、慎重になるべきだと思うし……。 |
ナターリア | ナターリアは、難しいコトわかんないけど、悩む前にまずやってみたいヨ!ダメだったら……また考える! |
響子 | 私も……大変なことを一緒に乗り越えていくのも、家族の使命なんだって、思います! |
響子 | そこからまた、新しい愛が育まれていくはずですから♪ |
久美子 | ……だそうよ、留美さん? |
留美 | もう……困ったわ。友人の話を聞いて、過度な夢は見ないって気を引き締めたところだったんだけど。 |
久美子 | ふふっ、いいじゃない♪苦労してでも、一緒にいたいって人を見つければ。 |
久美子 | それに、苦労した分だけ……ううん、それ以上に、喜びや成長があるはずよ。アイドルと、同じようにね。 |
留美 | そうね……って、ちょっと待って。私、そんな予定は、本当にまだ、全然ないのよ? |
3人 | あははっ♪ |
| 結婚はまだ……私にとって、おぼろげな輝き。 |
| だけど、いつかはきっと、一番キレイな姿を、大切な人に見てほしい。 |
| 誰の隣に並んでも、胸を張れるように……今はただ、前を向いて、努力し続けるわ♪ |
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