凪 | ここは、少女たちが羽をとじる、安らぎの庭。とかなんとか。 |
颯 | なーじゃん!お疲れー!なにしてたの? |
凪 | 一瞬でお疲れ顔か判断できるとは、さすがですね、はーちゃん。 |
颯 | えっ!なー、疲れてたの? |
凪 | 大事なのは、気の持ちよう。全力で疲れていないフリをしています。それが疲れる。 |
颯 | なーが疲れてるわけなくない?レッスンだったんだよね?どうだった? |
凪 | 可もなく、不可もなく。そう思っていたのは、自分だけでしたね。 |
凪 | トレーナーからの評価は、ときに無慈悲です。 |
颯 | あー。はーもさー、新しい振り付けがうまくできなくて、けっこー厳しく言われたんだよね。 |
颯 | アイドルになってからが、今まで以上に大切なんだから、本気でやれ〜とかって。はぁ〜あ。 |
凪 | 初心者には優しくしないと。翌日には、行方をくらませます。これだから最近の若者は。 |
颯 | はーはそんなことしないしー! |
颯 | だってさ、逃げ出すのって、できないって認めるのと同じじゃん? |
颯 | はーは、ちゃんと練習して、絶対できるようになるもん! |
凪 | 何とかなることを、何とかするのがはーちゃんです。 |
凪 | ……何とかならなかったのを、見たことがないな? |
颯 | でしょ?でもなんかさ、ちゃんと考えなきゃーって、思ったんだよね。 |
凪 | 凪も考えます。はーちゃんの言う、ちゃんと考えるを、考える。 |
颯 | はーはさー?今までも、けっこー褒められてたし、うまくできてるって思ってたよ。 |
颯 | でも、本当は全然足りなくて、そーゆーとこ、いろいろ、見抜かれちゃった感じでさー。 |
凪 | 久川颯、トレーナーの千里眼を見破ったり。 |
颯 | そーだよ。はーは、空気とか、ちゃーんと読めちゃう子だからね!なーはどう?へこんでない? |
凪 | へこんでもタダでは起きないのが、久川凪のいいところ。ここから先は、有料です。 |
颯 | 知ってるけどさー。でもほら、流れでアイドルになったわけだし、イヤになったりしてない? |
凪 | はーちゃんは、心配性ですね。胃に風穴を空けてあげましょうか。 |
颯 | だって……はーは、なーと、ユニットも組んでるわけだし?一応、これからも頑張るじゃん? |
凪 | 凪がソロになる可能性もなきにしもあらずで、なしによらないありですよ。 |
颯 | そーゆーこと言うー?それは、はーだって同じだもん! |
凪 | つまり、問題ないということです。問題という問題がなさすぎて、一問解けば100点。ドン。 |
颯 | それって、一問間違えたら、0点じゃない? |
凪 | 凪が、名前を書き間違えるとでも?まあ昔は、久川颯と書くこともあったとか、なかったとか。 |
颯 | なにそれ、はーの名前、書いてたのっ!? |
凪 | それはさておき、凪もこう見えて、アイドルには、逃れられないカルマを感じています。どう見えて? |
颯 | それって、それって!なーも、アイドルの魅力に気付いちゃったーってこと? |
颯 | へへー!やっぱり、アイドルは最高だよねっ♪ |
凪 | 同じ気持ちだったとは、奇遇ですね。はーちゃん。 |
颯 | でもでも、はーの方が先に、アイドル目指したんだからねっ? |
颯 | それに……一緒に育ったんだから、同じ気持ちなのは、必然ってやーつ! |
凪 | 同じなのは、親の顔だけではなかったか。 |
颯 | そーだよー。まあ、でも……同じこといっぱいあるけどさ、違うこともいっぱいあるよね。 |
颯 | きっと、それが楽しいから、なーと一緒もありなわけだし! |
凪 | まったく同じ二人なら、はーちゃんとはーちゃんのユニットです。……それはそれで、ありよりのあり。 |
颯 | えー?はーは何人いても可愛いけど、本物が一人いればいいし!なーもね! |
凪 | わかりますか?凪がたくさんいたら、やかましい。 |
颯 | もー。なーは、そーやってすーぐ茶化すんだから! |
凪 | いいんじゃないですかね。茶化し、茶化され、茶を沸かす。 |
凪 | 沸かしていきましょう、世間を。 |
颯 | うん、そうだねっ。せっかくアイドルになったんだもん!絶対大人気になってやるーっ! |
凪 | 戻ってきましたね。親の顔より見た、はーちゃんのやる気。おかえりなさい。 |
颯 | ねえ、なー、次のレッスンに向けて作戦会議しよ!なーの部屋でっ! |
凪 | こうして凪の部屋は、いよいよ、たまり場の様相を呈するのであった(完)。 |
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