| 公園 |
| とある休日の、昼下がり。公園の奥の方から声がする── |
麗奈 | 『マジカルチェ〜ンジ!アタシは炎の魔女っ娘、マジカルガール・レイナよ!』 |
麗奈 | ……ないわー。やっぱりない。あり得ない。泣く子も黙るレイナサマになんて配役するのよ、もー。 |
麗奈 | 平和のために戦うですって?フン、笑わせるわ!目的のためには手段を選ばない悪名高いレイナサマが…… |
光 | ああ、そうだね。キミのすることで、みんなが笑顔になるなら良いよ。 |
光 | でも、相手が嫌がるイタズラをアタシは絶対見過ごせない!! |
麗奈 | ……あ〜〜〜、もうッ!この間からアイツの言葉が頭の中をグルグルと……! |
晶葉 | だいぶ悩んでいるようだね。 |
麗奈 | ……!?だ、誰よ、アンタ? |
晶葉 | おや?何度か事務所で顔を合わせているはずだが、記憶にないか。 |
麗奈 | ああ……思い出したわ。あの発明家アイドルね。池袋晶葉、だっけ? |
晶葉 | その通りだ。そして君は、イタズラ好きで有名な小関麗奈だろう? |
麗奈 | フフン、そうよ。アタシのことは、レイナサマと呼びなさい! |
晶葉 | いや、普通に麗奈と呼ばせてもらうよ。その方が、きっと君も相談しやすいだろうしな。 |
麗奈 | はぁ……?アタシがアンタに何を相談するって言うのよ? |
晶葉 | そうだな……君は今、何か悩んでいることがあるんじゃないか? |
晶葉 | 悪役もヒーローと同じく、困ったら博士に相談するもの。だからなんでも言って言ってごらん。力になれるかもしれないよ。 |
麗奈 | ……悪役も………………そうね。わかったわ。実はこの間── |
| ……………………………… |
晶葉 | ──なるほど。それで、君は自分のあるべき姿が分からなくなり、悩んでいるという訳だな? |
麗奈 | そんな深刻な話じゃないわよ!ただ、なんとなく頭を離れないっていうか……! |
晶葉 | フフッ、わかった。 |
晶葉 | 結論から言わせてもらうと、私は麗奈の言い分は間違っていないと思う。 |
麗奈 | !!! |
晶葉 | 生き方も考え方も、十人十色。麗奈みたいな考え方の人がいると世界が豊かになるのは確かだ。 |
麗奈 | やっぱり!?そうでしょ、そうでしょう!アンタ、天才って言うだけあって物分かりがいいわね! |
晶葉 | しかし、光の言い分も正しい。人には人が必要だからな。お互い不快にならないように、共存を忘れてはいけないんだ。 |
麗奈 | ……結局なにが言いたいの?どっちの味方よ、アンタ! |
晶葉 | 私はただ、バランスが大事だと言いたい。君だって、常に悪役でいられる訳ではないだろう? |
麗奈 | た、たしかに……今、まさに良い子の役をもらって困ってるわ……。 |
晶葉 | そうか。たまには良い子になるのもいいんじゃないか?きっと新たな発見があると、私は思うよ。 |
晶葉 | もしかしたら画期的なイタズラだって思いつくかもしれないな。 |
麗奈 | 画期的なイタズラ……発想の転換ってやつね? |
晶葉 | そうそう。基本的には、ありのままのイタズラ好きな麗奈でいい。 |
晶葉 | 光も、私も、みんな何だかんだ言って、麗奈のことが好きだからな。 |
麗奈 | …………フフッ、そうよね。ありがとう、スッキリしたわ! |
麗奈 | よし、決めた。アタシはアタシらしく、良い子にでも何にでもなってみせるわッ! |
麗奈 | 世界に名を轟かせるレイナサマとしてねッ! |
| 撮影当日── |
スタッフ | よーい……アクション! |
麗奈 | 『マジカルチェ〜ンジ!アタシは炎の魔女っ娘、マジカルガール・レイナよ!』 |
麗奈 | 『悪い奴らにはイタズラしてやるッ!怒りの炎、受けてみなさい!アーッハッハッハ!!』 |
光 | 麗奈らしい、見事な演技だな。うん……よかった! |
光 | 晶葉のおかげで、麗奈の笑顔を守れたよ。どうもありがとう! |
晶葉 | フフフ……私は何もしていないよ。 |
晶葉 | 麗奈がああやって輝いているのは、彼女自身の強さとヒーローの存在があったから。私はそう思っているよ。 |
光 | そっか……それなら、これからもアタシは目を光らせておくよ♪ |
| 誰にだって、夢のひとつくらいあるでしょ? |
| でもアタシの夢はそこら辺のザコとは違う。誰よりもデカくて、野心溢れるステキな夢…… |
| そう、それはこのレイナサマの名前を世界に轟かせることよ! |
| そのためだったらイタズラや悪巧み……時には、良い子にだってなってやるんだから。 |
| フッフッフ……みんな、せいぜい覚悟なさいッ! |
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