アヤ | んー…コイツ、どうすっかなぁ。持っていくってのも…なぁー……。 |
アヤ | …………お前さ、結構可愛い顔してるよな。名前、なんつーの? |
千奈美 | アヤ、ここにいたのね。探したわよ。 |
アヤ | おわっ!…っと、千奈美か。…今の、聞いてた? |
千奈美 | ぬいぐるみをナンパしてる、あやしい独り言のこと? |
アヤ | うわーーーっ!てか、ナンパじゃねえっ! |
千奈美 | ふぅん…まあ、いいけれど。その子、アヤの私物? |
アヤ | いやっ、事務所の小さいのから預かったんだ。仕事の間、頼むってさ。 |
千奈美 | お守りを任されたのね。アヤ、あなた相変わらずちびっ子に懐かれてるわね。 |
アヤ | へへっ、まあな。つーか千奈美、アタシに用だったか? |
千奈美 | ああ、そうそう。このチョコ、現場で貰ったからアヤも一緒にどうかなって。 |
アヤ | おー、サンキュ!さっきから美味そうだと思ってたんだ! |
千奈美 | ふふっ、目ざといことね♪でも、ひとりじゃ食べきれそうになかったから助かるわ。 |
アヤ | にしても、高そうなチョコだな。よく貰えたな、こんなの。 |
千奈美 | 千奈美はまだ子供なんだから、遠慮せず持ってきなさい…だって。さっきの現場、一番年下だったのよ。 |
アヤ | あーなるほどね。いいねぇ、可愛がられてる証拠だよ。 |
アヤ | そういや、千奈美はよく年上に囲まれてるイメージあるな。 |
千奈美 | そう?それを言うなら…アヤはよく小さい子たちのお世話をしてるイメージね。 |
アヤ | そうかぁ?まーでも…考えてみると面白いな。 |
千奈美 | 私たち、同じ19歳なのに大人に見られたり、子供扱いされたりこの違いって、何かしら。 |
アヤ | 別にアタシも年上と絡むし、千奈美も年下と遊ぶんだけどな。 |
千奈美 | まあ、基本的には大人として見てもらってることが多いけれどね。 |
アヤ | 大人ねぇ…。 |
千奈美 | あら、何かひっかかる? |
アヤ | 19歳って微妙なオトシゴロだなって思ってさ。大人だったり、子供だったりさ。 |
千奈美 | 大人か、子供か…難しいラインね。でも私は立派な大人だと思ってるわ。 |
アヤ | へえ…その心は? |
千奈美 | 『責任を負えるかどうか』かしら。私は自分自身に責任を持っているし、それを果たせる力もあるもの。 |
アヤ | ヒュウッ♪カッコいいじゃん。アタシもそこは同感! |
千奈美 | ただ…年上からすれば、まだ子供だっていうのもわかるの。 |
アヤ | だったらさ…ちょっとくらい、子供っぽいことしてもいいよな。 |
千奈美 | ん…?どういうこと? |
アヤ | ほら、アタシらってさ…いつも気ィ張って、自分のスタイル貫いてるだろ? |
アヤ | だからたまにはさ、子供の特権ってやつを使ってもいいんじゃないかって! |
千奈美 | なるほどね…例えば? |
アヤ | そうだな…。『千奈美チャン、遊んでくれワン♪』…とか! |
千奈美 | …なぁに、ごっこ遊び?さすがにそれは、子供すぎない? |
アヤ | へへっ、いいだろ?自由に遊べんのが子供の特権だぜ♪ |
アヤ | ほら、千奈美もなんかやってみろって! |
千奈美 | えっ、なんかって…ええ?えっと……。 |
千奈美 | わ、私はチョコの妖精…だチョコ。…………とか。 |
アヤ | ぶはっ!チョコの妖精!?ハハッ…おま、それはないだろ! |
千奈美 | なっ、何よ。アヤが急にやれっていうから…!もうっ!! |
アヤ | ははっ、ごめんごめん! |
千奈美 | …まあ、ごっこ遊びは置いておいてたまには子供らしく自由に過ごすのも悪くない考えね。 |
アヤ | だろ?幸い、アタシと千奈美しかいないしさ。チョコでも食べながら『子供同士』ゆっくり話そうぜ。 |
千奈美 | ええ。自由に、のんびり…リラックスして過ごしましょうか。 |
アヤ | おう!にしても、チョコの妖精…くくっ…。 |
千奈美 | もうっ…それは忘れて! |
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