奈緒 | うーん……。少し、物足りないなー。 |
美優 | どうしたの、奈緒ちゃん? |
奈緒 | 窓から見える景色がさ、こっからだと、アタシの部屋で見る眺めと、あんま変わんねーなって。 |
美優 | あら、そうかしら?オフィス街と住宅街では、随分と違うような……。 |
奈緒 | いやいや!違うよ、美優さん!ぜーんぜん、違うんだっ! |
美優 | ぜーんぜん……??? |
雫 | こんにちはー。ふたりとも、どうかしましたかー? |
奈緒 | おっ、雫!いいとこに来た!この窓からの眺めなんだけどさ…。 |
雫 | はいー。見慣れた景色が見えますねー。 |
奈緒 | そう!だからさ、今頃の、雫の部屋から見えた景色とは全っ然、違ってるよな? |
雫 | 今頃の、ですかー。あー、なるほどー……。全然違いますねー。 |
美優 | そうなの……? |
雫 | 美優さん、奈緒ちゃんはきっと、雪景色のことを言ってるんですよー。 |
雫 | 今頃の、私の実家の部屋からだと、雪がいーっぱい見えますからー。 |
奈緒 | そうそう、それっ!正解! |
奈緒 | ……って、アタシの言葉が全然足りてなかったよな。美優さん、ごめーん! |
美優 | いいのよ、奈緒ちゃん。ふふっ。意味がわかったら、今度は嬉しくなってきちゃった。 |
美優 | うちから見た景色を、思い出してくれていたのね? |
奈緒 | うんっ♪ |
雫 | あらー?何の話でしょうー?今度は、私がわかりませんねー。 |
奈緒 | ああ、えっとさ。アタシ、この前の正月に、岩手行ってたんだよ。美優さんの実家にご招待されて♪ |
美優 | 奈緒ちゃん、あまり雪を見たことがないって言うから…お誘いしてみたの。 |
雫 | おおー、それで岩手ですかー。良いところに行きましたねー♪ |
奈緒 | あ、そっか。おいかわ牧場も、岩手だもんな。行ってみたかったんだけど……。 |
美優 | ちょっとね……雪が、かなり積もってたから。 |
雫 | あはは、なるほどー。今年も積もりましたからねー。同じ県内でも、移動は大変ですー。 |
美優 | ええ。だから、ほとんどうちにこもりっきりだったのよ。 |
美優 | 見えるものといえば、雪くらい。奈緒ちゃん、退屈じゃないかなって不安だったのだけど……。 |
奈緒 | そんなことないよ、美優さん!何度も言ってるじゃんか!雪、すっげー綺麗だったし♪ |
奈緒 | 庭も、町も、遠くの山も、ぜーんぶ真っ白でさ!すごいよ! |
奈緒 | それに、カマクラとか雪だるまも!大きいやつ作るの憧れてたんだ〜♪もう、最っ高だった! |
奈緒 | そうそう、近所の日帰り温泉も!露天風呂で見た雪が、ロマンチックだったな〜♪ |
雫 | ふふふ〜♪とても楽しかったようですねー。 |
美優 | ええ、そうみたい。だから、私も……嬉しかったわ。 |
美優 | 私が生まれ育った、思い出の風景。その風景の中に、新しい仲間が加わってくれたんですもの…。 |
雫 | 素敵ですねー。あ、いいことを思いつきましたー! |
雫 | おふたりとも、次は、おいかわ牧場の雪を見に来てくださいー♪ |
奈緒 | いいのか!?やった!行く行くっ!絶対行くっ!!へへっ、牧場の雪も楽しみだなー。 |
美優 | 降る雪は、同じ岩手のもの。けれど、積もる場所は牧場。素敵な景色が見られそう…♪ |
美優 | …ありがとう、ふたりとも。 |
奈緒 | んー?何が? |
美優 | 私の故郷の雪……疎ましく思うこともあったけど…。 |
美優 | それも、新しい喜びが降り積もれば……もう、思い出ね。 |
雫 | それは何よりですー。これからも、いいこといっぱい降り続けますよー。 |
奈緒 | そうだな!じゃんっじゃん、積もらせてこー! |
美優&雫 | おー♪ |
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