とある登山家の手記2.5(蛇足)
最終更新：
zunzun_sigma 2023年02月09日(木) 01:53:38履歴
作者：Σずんずん 
同一シリーズ
前編：とある登山家の手記1
後編：とある登山家の手記2
蛇足：勇敢な妖精の末路←イマココ
※蛇足を書くに当たり、前作を一部修正しました。
時系列は、妖精制裁の途中からになります。ストーリーは2で完結しているので完全に蛇足です。
※2/8蛇足の蛇足(設定資料)を追加
前編：とある登山家の手記1
後編：とある登山家の手記2
蛇足：勇敢な妖精の末路←イマココ
※蛇足を書くに当たり、前作を一部修正しました。
時系列は、妖精制裁の途中からになります。ストーリーは2で完結しているので完全に蛇足です。
※2/8蛇足の蛇足(設定資料)を追加
本文：勇敢な妖精の末路
クソ虫を置いて私は地下室を後にした。
殺虫剤を手に取ると、クソ虫の言っていた住処を目指す。
道中にもいるわいるわ。大量の妖精ども。
「のだ、のだのだ…」
「うぜぇ！」
シュー！その群れへ殺虫剤をジェットて吹きかける。
「な…！？のだぁ！？くちゃい！くちゃすぎるのだ！何をするのだくちょ人間！」
「あがががが、息が、できな……」
「落ちてゆくのだ…！」
「ああああっ！ママずん！！僕に捕まるのだ！ーーあれぇ？ぼくも……？」
ボトボトと地面に落ちる妖精ども。
どうせ、こいつらはずんだもんの仇だ。
「苦しいっ！苦しいのだ！！」
「しぬっしぬしぬしんじゃうっ！！」
「あがががが！！」
「かひゅー、かひゅー……」
ゴキブリならイチコロの性能がある殺虫剤だが、なまじシブトイせいで、苦しんでのたうち回っているのが滑稽だった。
「人間さん、どうちて…こんなこと……ちゅるの……？」
やたらウルウルした目で私に話しかけてくる妖精が一匹。
元気そうだな。殺虫剤のかかりが甘かったか。
「お前らがずんだもんの仇だからだよ」
「ずんだもんってなんなのだ？ もしかしておかーちゃ達が言ってた『村』のことなのだ？ぼくは森で生まれたから知らないのだ！」
「ああ、そうだな。お前には罪はない。お前の親だか爺だかのせいだ。そいつを恨め」
そして、私のせいでもある。
「意味がわからないのだ！え？ーーやめて！変なのかけないで！」
地面のそいつに殺虫剤を集中的に浴びせてやる。
「くちゃい！！やめて！あばばば！！溺れちゃう！！やめてやめて！！あが、くるち！くるち！！ごほ、ごぼごほっ！」
ゴロゴロと地面を転がってジェットから逃れようとするが、私は執拗に追尾して殺虫剤をかけまくる。
「やめて！やめてやめて！！いちゃい！！かかった所がいちゃいよぉおお！！お目々さんがぁあああっ！！お口さんがぁああ！！お鼻さんがぁぁああ！！いちゃい、いちゃいよぉお！！」
視力を失い、前後不覚でただイヤイヤと首を振るだけになった妖精の口にノズルを接射する。
「あぼっ、あばばば！！溺れちゃ！！やめてやめて！！あが、くるち！くるち！！ごほ、げほっ！！ごぼごほっ！」
段々と変色して来る妖精。
殺虫剤が回ってきたか。
「ごほっ、ごほごほっ！！おぽっ、おぼぼぼぼ！！」
ブクブクと口から泡を吹き出した。
「かひゅ……かひゅ……、なん…どちて……かひゅー……」
まだ息はあるようで、ピクピクと細かく痙攣している。
「そうだな、お前の親だか爺だか…それか……」
ブチュリ。
緑色の中身が飛び出して、ズボンの裾を汚した。
そうだな。
「あとは、俺のことも恨んでいいぞ」
道中も構わず妖精共に殺虫剤を振り回す。
墓とボト落ちる妖精共は、勝手に潰れて死んでゆく。
いつの間にか、スプレー缶は空になっていた。
そして、目的地。
町外れのNoda Cola社の赤い自動販売機の下。
耳を澄まさなくても聞こえてくる奴らの声。
「「のだ、のだだ、のだのだ」」
「ふふふんふん♪おちびちゃんたちはかわいいわね。あの村にいたらおちびちゃんも作れなかったし、出てきてよかったわね。でも、今日はパパずんの帰りがおそいわね。心配だわ」
「お、いたいた」
十匹くらいの同じ年頃の子ずんが煩く鳴いている。
自販機の下をのぞき込んだ私に気づき、母親が目を丸くして停止している。
「人間、しゃん…？」
「そうだよ。人間さんだよ。いや、鬼威惨−−って呼んでほしいかな」
「おにいさんなのだ？ おにいさんはどうしたのだ？ おちびたちに何か用なのだ？」
「いや、君のツガイから頼まれてね。君のツガイは私の家で元気にずんだ餅を食べているよ」
「ずんだもち！ほち！ほち！！」
「パパずん！無事だったのね。こら、おちびちゃん。おにいさん、わたちたちもいいのだ？」
「もちろんいいとも。こっちへ出ておいで」
「やったのだやったのだ！」
メス妖精は自販機の下から出てきて、ガキ共に声をかける。
「おちびちゃん、こっちよ、親切なおにいさんよ。はやくでておいで」
「のだ。おかあちゃ。よいちょ、よいちょ……」
次、次とよちよち子ずんが這い出てくる。まだ飛ぶ力がないのか、もぞもぞと地面を這っている姿は実に滑稽な虫を思わせた。
「よいちょ、よいちょ……」
「その調子よ、おちびちゃんたち、がんばって！」
最後に這い出てきた子ずんの一匹。それを。
おもいっきり。腕を振りかぶって。
「よいちょ、よいーー」ぶちゅん。
飛び散る緑色の液体。
「え？−−」
こぶしで叩き潰した。
「ああああああああああああああああああ！！おちびちゃああああん！！！！」
無惨につぶれた自分の子を見て、母親はプルプルと震えている。
「あっ！？えっ！？おちびちゃん！おちびちゃんが！！ いきなり何をするのだ！くちょにんげん！！！」
「うるせぇ」
「うわっ！」
子ずんの突然の死に放心している妖精ファミリーをビニール袋へ次々に詰め込む。こうしてしまえば、鋭利な爪や牙を持たないクソ虫どもはどうしようもないだろう。
「だせ！だせだせだせ！！ まさか、おまえ、パパずんも！！」
「うるせぇな。全部お前のツガイのせいだ。大人しくしとけ」
私はビニール袋を、子供がそうするみたいに、ぶんぶんと振り回す。
「あああああああああああああ！！」
「目がまわるのだあああああ！」
「とめて！ だれかとめて！！」
「きもちわるいのだ……、うぷ……」
「耐えて、耐えておちび！！！」
「も、だめ……おげえええ！！」
「おちびいいいい！！！」
しばらくすると、気を失ったのか、袋の中は静かになった。
開けてみたら、一匹子ずんが潰れて、吐瀉物と混ざっていた。汚な。
家に戻り、地下室の扉を開けると、ずんだもちを平らげて、すっかり元気になったクソ虫がいた。
とはいえ相変わらず、四肢も、耳も、じっぽもついてないのに、へこへこ腰を振って地面を這っているウジ虫のような滑稽な姿だ。
それにしても、ガキどもに食事を残しとくかと思っていたが…
「もうずんだ餅を全部食ったのか」
「くちょにんげん！ やっとかえってきたのだ！ もうぼくをにがすのだ！！」
「ああ、これも食っていいぞ」
私は、ビニール袋から気を失っている子ずんを一匹つかむと、地面にたたきつけた。
ばちゅん、と小気味いい音がして、緑と白いモチモチが地面にたたきつけられた。
べちゃりとつぶれてはいるが。ん？この死体の姿、何かに似て…。
「ずんだもち！！ くちょにんげんのクセにきがきくのだ。つぎはもっとていねいにおくのだ！」
クソ虫が、子ずんの死体を食い始めた。しかも、「おいち、おいち！！」と言いながら、さも旨そうに食っている。
もしかしたら、彼らへの供え物であったずんだもちは、彼らの死体を模した食べ物だったのかもしれない。
「まだまだあるぞ」
私は、ビニール袋から掴み出したそれを見せた。
「おとうちゃ……！ たちゅけて…！」
「なーー！！？？ おちびちゃん！！ どうしておちびちゃんを！！」
「どうして、ってお前が場所を教えたせいだろ」
「おとうちゃ……？」
「ち、違うのだおちびちゃん…！ぼくはこいつに……」
クソ虫が弁明する。
「そ、そうなのだ！！もとはといえば、おまえがぼくをいためつけたせいなのだ！ いいから、おちびちゃんをはなすのだ！ そしてずんだもちをよこすのだ！」
「わかった。チビを離してやるし、ずんだもちもやるよ」
「やっとききわけがよくなったのだ！ このくちょにんげん！」
「ほら、よっ！！」
私は野球の投球フォームで、ゆっくりと振りかぶり。
「おとうちゃ！ こわいよー！」
「えーー？？？おちびちゃん！？！ダメーー！！！」
それを、クソ虫の目の前にたたきつけた。
ばちゅん。
「ああああ！！！！ おちびいいいいいいいいいいいいいいいいいいい！！！！！！」
目の前に広がる、つぶれた緑と白の物体。
「お、おちびが！なげられたちゃ！！つぶれちゃ！！ しんじゃったちゃ！！ ころされちゃ！ ひどいちゃ！！ ひどすぎるちゃ！！」
クソ虫はつぶれた子ずんに向かって、ゆっくりと這って行く。
「ああ、ひどいのだ……こんなむざんなすがたに……。あれ？くんくんくん…、あれ…？ くんくん、ずんだ…もち……？」
「そうだよ。お前、さっきも旨そうに食ってたじゃん」
「あれ…？ いつから？ あれ？ ちが、あれ？ ずんだ？おちび？ずんだ？おちびもち？ あれ……？ まさか……」
「共食いして訳分かんなくなってて草」
「とも、ぐ…？ あれ、じゃあ、ぼく…おちびを……。おち、おちおちおちおちおち……、おちび……うぽっ…おげぇええええええ……」
「うわきたね。吐くんじゃねぇよ」
自分の子だと認識するまでは、さも当然のように食らっていたクセに忙しい奴だ。
もしかしたら、自然界でも彼らは知らずに仲間の死体を処理していたのかもしれない。
死体すら見つからなかったのはそのためか。
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」
クソ妖精は機械のようにぶつぶつとつぶやいている。
「壊れたか。つまんね。おら、クソ雌。出番だぞ。起きろ」
べしべしと、モチモチしたケツをたたいてやる。
「……はっ！」
目を覚ましたメスはあたりを見渡して全てを思い出したようだ。
「目を覚ましたみたいだな」
「おまえは！ くちょにんげん！！ おちびをはなせ！！」
「おちびもいいが、お前のツガイはどうだ？」
「パパずん！ そうよパパずん！ パパずんをどうちたのよ！！」
「そこにいるけど」
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」とつぶやいている妖精に目を向けさせる。
「何を言ってるのだ？ パパずんは立派な妖精さんなのだ！ 手も足も耳も尻尾も無いなんて、あははは、へんなのだ！」
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」
「へこへこ動いて、まるで虫なのだ！ あははは……、は、は… え？？？」
「どうやらツガイがわかったみたいだな」
「な…、ぱぱ、ずん……？」
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」相変わらず、クソ虫は壊れたラジオのままだ。
「ああああああ！！！ おまえ！！ 何をしたのだ！！ パパずんになにをしたのだ！！！」
「いや、四肢を切って繋げてって繰り返しただけだけど。その四肢もぶよぶよになっちゃてもうダメみたい笑」
ほらそこ。とぶよぶよに膨れて紫色になっている四肢と枝豆と尻尾だったものを示す。断面はこすったりしゃぶらせたり色々とさせすぎたせいで、つるつるピカピカしている。
「これさ、一応くっつくんだけどさ」
無反応に譫言を呟いてるクソ妖精にグリグリと取れた足を擦り付けると、一応接着はするが。
ちょん、と突っつくと、それだけでポロリと落ちる。
ほらね、と私は肩を竦めると、ワナワナと雌が震えだす。
「なんて…なんて酷いことを……」
あと、子ずんも食わせたけど。言わなくても、ままええか。
「コイツ、壊れちゃって可哀想だからさ。生きるのより大事って言ってたへこへこでもさせてやろうかなって」
「何を言ってるちゃ！ こんな状態のパパずんが、へこへこなんて、できるわけないちゃ」
「だって可哀想だと思わないか？ お前ツガイだろ？ さっきまでへこへこへこへこ煩かったのに、ころしてころしてなんてさ。可哀想じゃん」
「お前のせいちゃ！ お前がパパずんにひどいことしたせいちゃ！！」
どん！と先程投げてすでに潰れた子ずんを踏みつけた。
「ああああ！！！ おちび！！！」
「……やるの？ やらないの？」
「わかったのだ！やる！やりますから！！」
雌ずんは、クソ虫に話しかける。
「パパずん、あたちよ。ママずんよ」
「ﾁﾃ……、ｺﾛ……」
「パパずん……、うう…こんなに…ひどいことになるまで……」
雌ずんはツガイを仰向けに転がす。すると皮を切られてズル剥けになったずんぽが現れた。
「あっ…パパずんのずんぽが…こんな…酷い……」
「はやくやらないと……」
「わ、わかったのだ！やりますのだ！」
メスずんがへこへこと腰を振り始める。
「パパずん！へこへこよ！早く正気に戻って！！」
「ｲﾁｬ……ｲﾀｲﾁｬ、ｲﾁｬﾉﾀﾞ……、ｷﾓﾁ…、ｲﾁｬ……ｷﾓﾁ……」
千切られたずんぽの皮が擦れて痛いのかもしれない。
「へこへこ。がんばって、パパずん、がんばるんちゃ。そして、みんなでかえるんちゃ！」
「ま、ママずんっ、あがっ、いた、いたいちゃ、きもちいいちゃ、いた、いたきもち、のだ……」
「よかった、反応してる……」
「へこへこなのだ、へこへこ、きもち、きもちいいのだ」
水を得た魚、という言葉が浮かぶくらい、へこへこと激しく腰を振り始めた。
「へこへこ、へこへこ−−うっ……！！」
クソ虫がぴくぴくと震える。
「パパずん！正気にもどって…！」
「ママ…ずん……」
「パパずん！ だいじょうぶ？！ 正気に戻ったのね、パパずん！！」
「ぼくは…なにを……？ はっ！！！」
キョロキョロと機敏にあたりを見渡すクソ虫。
「おまえはーー！！ くちょにんげん！！！！」
「おお、すごい。本当に正気に戻った」
「よくも…よくもおちびを…！おまえだけはぜったいにゆるさないのだ！」
そして、まだ反抗する元気があるとは、見上げた根性だ。
「よし。じゃあ、遊び再開だな」
「これいじょう、ぼくになにをするつもりなのだ！」
私は、またビニール袋から、子ずんを取り出し、野球の滑り止めのようにぽんぽんと軽く片手でお手玉する。
「はう、おかあちゃ、こわ、こわいのだ」
「おちび…！」
「おちびちゃ……！」
「やめて、おちびちゃんだけはーー！！」
「いくぞ！シュート！！」
それを雌ずんに向かって投げた。
「あああああ、おちびちゃん！！ ママが受け止めるからね！！」
ふよふよと浮かび上がった雌ずんは、見事子ずんをキャッチすることに成功する。
しかし、キャッチはしたものの、かなりの速度で投げられた子ずんだ。勢いを殺しきれずに、そのまま壁に激突。
「ノギャッーー！！ はう、はう……。痛い、痛いちゃ、でもおちびはまもっちゃ……、えーー？？？」
受け止めた子ずんを見た雌ずんは驚愕する。
いくら受け止めたとはいえ、やわらかい子ずんの身体は衝撃に耐えきれず、間に挟まった母の手の中でぐちゃぐちゃになっていたのだ。
「いちゃ…、おかあちゃ、いちゃのだ……、おか…ちゃ……。…」
そのままガクリと脱力するガキずん。
「あああああああああああああ！！おちびちゃん！！ おちびちゃん！！！」
「どうしてどうしてどうして！！」
それから、ビニールで原型をとどめている球数だけ、子ずんを投げつけた。
響く破裂音。地下室はずんだもちだらけになった。
散々嬲っておいたクソ虫はもとより、子ずんを受け止め続けた雌ずんももうボロボロだった。
なんかいつの間にか、片耳がとれている。
「はぅ……はぅ……」
「なんだよ、ちゃんと受け止めてやれよ。お前らのせいでぐちゃぐちゃになっちゃってるじゃん。可哀想に。まだ生まれたばかりだろうに」
「ひどい、ひどすぎるちゃ……」
「あーあ、お前たちがキャッチしないせいで、もう子ずんがなくなっちゃったな」
「何を言ってるちゃ！お前のせいちゃ！！ せっかく…せっかく、あの村を出て…、いっぱいへこへこして、おちびちゃん達をいっぱい作って、パパずんとおちびちゃんと……幸せに暮らすはずだったのに……」
「おいメス。まだ元気そうだな」
ゲシゲシと、つま先で突っついてやると、メスずんは面白いくらいに簡単にゴロゴロ転がる。弱すぎだろコイツら。
「のぎゃっ！？ やめちゃ、いた、痛いちゃ、おにゃかにおチビがいるんです！あたちのおチビにはなんの罪もないです、おチビはたちゅけて…！」
「ん…？チビ…？」
驚いた。
先程のガキ共は赤ん坊に見えたというのに、なんという繁殖力だろうか。
「まさか、もう腹の中にガキがいるのか…？」
「あ、当たり前なんちゃ…！ へこへこしたらおチビはできるちゃ！」
私は睨みつけてくる雌ずんを捕まえた。
「な、なにをするちゃ！！？」
「そんなにすぐにガキができるわけ無いだろ。確かめてやろう」
ぎゅ、ぎゅぎゅぎゅっ、とメスを絞る。
「やめーー、やめちゃ！！」
「ママずん！！ ママずんをはなせ！！」
「やめちゃーー！！ おにゃかに、おちびがいるちゃーー！！」
「そう言ってたな。だから絞ってんだろうが」
「やめっーーごっ！！ あががががあがががががががーー！！！」
「ママずーーーーーんんんん！！！」
すると、「おぎゃーのだ」「おぎゃーのだ」「おぎゃーのだ」と鳴きながら子ずんが出てきた。
「お、でてくるじゃん。って……あはは！」
雌ずんを離してやる。
「はぁ、はぁ……、ないのだ…手も足も、耳も尻尾も……」
「あはは。傑作だな。クソ親父とおそろいじゃん。」
「むりやり、だしたから……、ひどいちゃ…、ひどすぎるちゃ……」
ひどい…？私はその聞き捨てならない言葉に応えた。
「ひどいって。それはお前たちの方だろ。大事な村を裏切って、自分たちが旨いものを食いたいからって仲間を殺してまで…」
「あんな奴、仲間でもなんでもないちゃ！アイツに任せてたらいつまでも全然食料足りないかったちゃ！無能だったちゃ！だから勇敢なパパずん達がぶっころしてやったんちゃ！！」
「……」
ワナワナと無意識に右手に力がこもる。
「わたち達は革命家なんちゃ！ アイツの圧政から皆を解放し−−あぴゃーー？」
べちょん！
蝿叩きで叩いたら、間抜けな音を立てて雌ずんはぺちゃんこになった。
「革命家？ テロリストの間違いだろ。って、もう聞こえないか」
「あああああ！！！ ママずーーーーん！！！」
無惨につぶれた母と、まともに動けず慟哭するだけの父親の間で、「はう……はう……はう……」と足りない子ずんが鳴いている。
「よかったじゃん。最後におまえとおそろいの子供作れてさ」
「ママずん……。このこたちだけでも、ぼくが…たいせつに、そだてていくんちゃ……」
「そうだな。じゃあ、そのずんぽは用済みだな」
「なっ！？！？ やめーー、やめろおおおお！！ ずんぽ！ ずんぽだけは！！ ママずんもあげたちゃ！ 子ずんもあげたちゃ！！ その足りない子ずんもあげるちゃ！ なんでも！、なんでもするちゃーー！！」
「わかった。罪のない足りないちゃん達は可哀想だが、父親がこう言ってるんだ。許してくれ」
「おぎゃーのだ、おぎゃーのだ、おぎゃ……」
一匹。
「おち……」
一匹。
「おちび……」
最後に一匹。足ですりつぶすように踏みつけた。床は緑の残骸がこびり付いている。
「あ、おち、おちび……ちゃん……。ママずん……。ごめんね、まもってあげられなくて、ごめんね……」
「いや、何勝手に謝って悲壮感出してんだよ。今お前が売ったんだろうが」
ぷるぷると下を向きながら震えているクソ虫が声を絞り出す。
「……おまえの……おまえのせいちゃ……」
「あ？なんだって？？」
「おまえのせいちゃ！！ くちょにんげんが、ずんぽをおどすからちゃ！ ひどすぎるちゃ！！ ぼくはわるくないちゃ！」
「言うに事欠いて責任転嫁かよ」
「それに、ぼくのずんぽさえあれば、おちびはつくれるちゃ！ゆうかんなぼくのずんぽは、せかいのたからものなんちゃ！ぼくにはまもる、ぎむがあるちゃ！」
「うーん。勇敢でもないし、宝物でもないし。それに、今の自分の姿見てみろよ。そんなんでツガイできるわけないじゃん」
四肢も耳も尻尾も失ったその姿。
そもそも自然界で生き残れないだろうが…。
「あ…ああ……。ひどい、ひどいちゃ、ひどすぎるちゃ。ぜんぶ、ぜんぶないちゃ……」
「そういうことだ。そんなナリじゃもう新しい相手なんてできないだろ」
「でも、ずんぽ…。ずんぽだけは、まもったのだ……、なんとかまもったちゃ。まもりぬいたちゃ……」
「皮千切れてるけどね…。まぁ、もうお前にはずんぽしか残ってないんだよ。ツガイも死んだし」
「あ…ああ……、ママずん…！ゆるせないのだ！ころしてやるちゃ！ぜったい、ぜったい…！！ぼくのなかまが…！！」
「うんうん。使わないずんぽあっても仕方ないし、今度こそ。……その汚ぇずんぽは用済みだな」
「え！？ は？ い、なん！？！？！ ずんぽは！ ずんぽだけは！！ たすけるって、いったぁあああああ！！！あがあああああああああああああああ！！！」
ずんぽを根元から切断する。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！ ずんぽがぁ！！」
うわ、切り離しても動いてやがる。本当に気持ち悪い。
「ぼくの…、ぼくの…ずんぽ……、かえして……」
そして、万が一にも再生しないように念入りに踏みつけてやった。
「やめちぇえええ！！ ぼくのずんぽが！ つぶれちゃ！！ こわれちゃ！ つけられなくなっちゃ！！」
私はどんどん原型を失ってゆくずんぽを見せつけるように何度も何度も踏み潰す。
「ああああああ！！！ぼくのずんぽぉおおおお！！！」
ぐちゃぐちゃになった、ずんぽの残骸。
もうこのクソの血が地上に残る事はなくなった。
「あ…、あ……、あは……あははははは、ずんぽが、つぶれたちゃ、へこへこ、できないちゃ…。もう、いきてるいみ、ないっちゃ」
放心状態で譫言を呟くゴミ虫。また壊れたか。
「あははははは、ずんぽ、ずんぽが……、もう、へこへこ、へこへこ……」
「壊れたな。もう帰っていいぞ」
「あははは、あはははは…へこへこできないちゃ……おちびも、ママずんもいないちゃ……もうへこへこできないちゃ……」
「うるさいし邪魔だな。捨てちゃおう」
私は、放心しているクソ虫を、ベランダにもっていき、放って捨てた。
「ーーわっ！？」
空中に放られたクソ虫は驚いた声を上げただけで、飛ぶ元気もないのか自由落下して茂みに落っこちた。
バキ、バキっ、と枝が折れる音がするたび、短い悲鳴が上がり、やっと収まるところに収まったようだ。
「のぎゃっ！？……はぁ、はぁ……、痛いちゃ、体中が痛いちゃ……。でも、やっと…やっとにげだせたのだ……。なかまをよんで、ふくしゅうしてやるんちゃ……」
落としたそばから、「ずんだもち！ずんだもち！！」と鳴きながら飛んでいる妖精どもの群れに、クソ虫が呼びかける。
「お、おお！！なかまちゃ！」
群れはクソ虫に気付いたのか、進路を向ける。
「おい、おまえたち！ぼくをたすけるんちゃ！はやくしろ！くちょにんげんにやられたちゃ！みんなで、ふくしゅうするんちゃ！！」
群がる妖精。何やら様子がおかしい。
「ずんだもち！ずんだもち！！」
その一匹が、クソ虫に齧り付いた。
「いちゃーー！！ やめろおおお！！ くうなぁああ！！ ぼくはずんだもちじゃない！！ ぼくは、ようせいさんだぞ！ いちばんゆうかんなんだぞ！！ほんものの『おさ』なんだぞ！！」
そこからは次々にクソ虫共が群がって見えなくなった。
「「のだ、のだだ、おいち、おいち」」
「やめーー！！やめろおおお！！ くうなぁああああ！！！なかまだろぉおおお！！やめろぉおおお！！！」
「はぁ……うるさ」
「くちょにんげん！！みてないでたすけろーー！！ぼくをたすけろーー！！やめろおおお！！ いたいいたいいたいいたいちゃぁああ！！くうな、くうなぁあががががが！！いちゃあぁああああ！！！やめろぉおお！！なかまだろーー！くっ、くちょ、くちょにんげん！！ぼくをたすけーー」
ぴしゃり。
ベランダの窓を閉じると、忌々しい声も聞こえなくなる。
しかし、虫の息とはいえまだ話せるくらいの個体であっても死体ーー『ずんだ餅』として認識するとは驚きだった。ここまで知能が低下してしまったのか、あるいはそれほど飢えているのか…。
さて、次の獲物はあのクソを食ってる奴らでいいだろう。
共食いするほど飢えているなら、ずんだ餅の一言で寄ってくるだろう。
あの優しいずんだもんを見殺しにした害獣共はーー皆殺しだ。
殺虫剤を手に取ると、クソ虫の言っていた住処を目指す。
道中にもいるわいるわ。大量の妖精ども。
「のだ、のだのだ…」
「うぜぇ！」
シュー！その群れへ殺虫剤をジェットて吹きかける。
「な…！？のだぁ！？くちゃい！くちゃすぎるのだ！何をするのだくちょ人間！」
「あがががが、息が、できな……」
「落ちてゆくのだ…！」
「ああああっ！ママずん！！僕に捕まるのだ！ーーあれぇ？ぼくも……？」
ボトボトと地面に落ちる妖精ども。
どうせ、こいつらはずんだもんの仇だ。
「苦しいっ！苦しいのだ！！」
「しぬっしぬしぬしんじゃうっ！！」
「あがががが！！」
「かひゅー、かひゅー……」
ゴキブリならイチコロの性能がある殺虫剤だが、なまじシブトイせいで、苦しんでのたうち回っているのが滑稽だった。
「人間さん、どうちて…こんなこと……ちゅるの……？」
やたらウルウルした目で私に話しかけてくる妖精が一匹。
元気そうだな。殺虫剤のかかりが甘かったか。
「お前らがずんだもんの仇だからだよ」
「ずんだもんってなんなのだ？ もしかしておかーちゃ達が言ってた『村』のことなのだ？ぼくは森で生まれたから知らないのだ！」
「ああ、そうだな。お前には罪はない。お前の親だか爺だかのせいだ。そいつを恨め」
そして、私のせいでもある。
「意味がわからないのだ！え？ーーやめて！変なのかけないで！」
地面のそいつに殺虫剤を集中的に浴びせてやる。
「くちゃい！！やめて！あばばば！！溺れちゃう！！やめてやめて！！あが、くるち！くるち！！ごほ、ごぼごほっ！」
ゴロゴロと地面を転がってジェットから逃れようとするが、私は執拗に追尾して殺虫剤をかけまくる。
「やめて！やめてやめて！！いちゃい！！かかった所がいちゃいよぉおお！！お目々さんがぁあああっ！！お口さんがぁああ！！お鼻さんがぁぁああ！！いちゃい、いちゃいよぉお！！」
視力を失い、前後不覚でただイヤイヤと首を振るだけになった妖精の口にノズルを接射する。
「あぼっ、あばばば！！溺れちゃ！！やめてやめて！！あが、くるち！くるち！！ごほ、げほっ！！ごぼごほっ！」
段々と変色して来る妖精。
殺虫剤が回ってきたか。
「ごほっ、ごほごほっ！！おぽっ、おぼぼぼぼ！！」
ブクブクと口から泡を吹き出した。
「かひゅ……かひゅ……、なん…どちて……かひゅー……」
まだ息はあるようで、ピクピクと細かく痙攣している。
「そうだな、お前の親だか爺だか…それか……」
ブチュリ。
緑色の中身が飛び出して、ズボンの裾を汚した。
そうだな。
「あとは、俺のことも恨んでいいぞ」
道中も構わず妖精共に殺虫剤を振り回す。
墓とボト落ちる妖精共は、勝手に潰れて死んでゆく。
いつの間にか、スプレー缶は空になっていた。
そして、目的地。
町外れのNoda Cola社の赤い自動販売機の下。
耳を澄まさなくても聞こえてくる奴らの声。
「「のだ、のだだ、のだのだ」」
「ふふふんふん♪おちびちゃんたちはかわいいわね。あの村にいたらおちびちゃんも作れなかったし、出てきてよかったわね。でも、今日はパパずんの帰りがおそいわね。心配だわ」
「お、いたいた」
十匹くらいの同じ年頃の子ずんが煩く鳴いている。
自販機の下をのぞき込んだ私に気づき、母親が目を丸くして停止している。
「人間、しゃん…？」
「そうだよ。人間さんだよ。いや、鬼威惨−−って呼んでほしいかな」
「おにいさんなのだ？ おにいさんはどうしたのだ？ おちびたちに何か用なのだ？」
「いや、君のツガイから頼まれてね。君のツガイは私の家で元気にずんだ餅を食べているよ」
「ずんだもち！ほち！ほち！！」
「パパずん！無事だったのね。こら、おちびちゃん。おにいさん、わたちたちもいいのだ？」
「もちろんいいとも。こっちへ出ておいで」
「やったのだやったのだ！」
メス妖精は自販機の下から出てきて、ガキ共に声をかける。
「おちびちゃん、こっちよ、親切なおにいさんよ。はやくでておいで」
「のだ。おかあちゃ。よいちょ、よいちょ……」
次、次とよちよち子ずんが這い出てくる。まだ飛ぶ力がないのか、もぞもぞと地面を這っている姿は実に滑稽な虫を思わせた。
「よいちょ、よいちょ……」
「その調子よ、おちびちゃんたち、がんばって！」
最後に這い出てきた子ずんの一匹。それを。
おもいっきり。腕を振りかぶって。
「よいちょ、よいーー」ぶちゅん。
飛び散る緑色の液体。
「え？−−」
こぶしで叩き潰した。
「ああああああああああああああああああ！！おちびちゃああああん！！！！」
無惨につぶれた自分の子を見て、母親はプルプルと震えている。
「あっ！？えっ！？おちびちゃん！おちびちゃんが！！ いきなり何をするのだ！くちょにんげん！！！」
「うるせぇ」
「うわっ！」
子ずんの突然の死に放心している妖精ファミリーをビニール袋へ次々に詰め込む。こうしてしまえば、鋭利な爪や牙を持たないクソ虫どもはどうしようもないだろう。
「だせ！だせだせだせ！！ まさか、おまえ、パパずんも！！」
「うるせぇな。全部お前のツガイのせいだ。大人しくしとけ」
私はビニール袋を、子供がそうするみたいに、ぶんぶんと振り回す。
「あああああああああああああ！！」
「目がまわるのだあああああ！」
「とめて！ だれかとめて！！」
「きもちわるいのだ……、うぷ……」
「耐えて、耐えておちび！！！」
「も、だめ……おげえええ！！」
「おちびいいいい！！！」
しばらくすると、気を失ったのか、袋の中は静かになった。
開けてみたら、一匹子ずんが潰れて、吐瀉物と混ざっていた。汚な。
家に戻り、地下室の扉を開けると、ずんだもちを平らげて、すっかり元気になったクソ虫がいた。
とはいえ相変わらず、四肢も、耳も、じっぽもついてないのに、へこへこ腰を振って地面を這っているウジ虫のような滑稽な姿だ。
それにしても、ガキどもに食事を残しとくかと思っていたが…
「もうずんだ餅を全部食ったのか」
「くちょにんげん！ やっとかえってきたのだ！ もうぼくをにがすのだ！！」
「ああ、これも食っていいぞ」
私は、ビニール袋から気を失っている子ずんを一匹つかむと、地面にたたきつけた。
ばちゅん、と小気味いい音がして、緑と白いモチモチが地面にたたきつけられた。
べちゃりとつぶれてはいるが。ん？この死体の姿、何かに似て…。
「ずんだもち！！ くちょにんげんのクセにきがきくのだ。つぎはもっとていねいにおくのだ！」
クソ虫が、子ずんの死体を食い始めた。しかも、「おいち、おいち！！」と言いながら、さも旨そうに食っている。
もしかしたら、彼らへの供え物であったずんだもちは、彼らの死体を模した食べ物だったのかもしれない。
「まだまだあるぞ」
私は、ビニール袋から掴み出したそれを見せた。
「おとうちゃ……！ たちゅけて…！」
「なーー！！？？ おちびちゃん！！ どうしておちびちゃんを！！」
「どうして、ってお前が場所を教えたせいだろ」
「おとうちゃ……？」
「ち、違うのだおちびちゃん…！ぼくはこいつに……」
クソ虫が弁明する。
「そ、そうなのだ！！もとはといえば、おまえがぼくをいためつけたせいなのだ！ いいから、おちびちゃんをはなすのだ！ そしてずんだもちをよこすのだ！」
「わかった。チビを離してやるし、ずんだもちもやるよ」
「やっとききわけがよくなったのだ！ このくちょにんげん！」
「ほら、よっ！！」
私は野球の投球フォームで、ゆっくりと振りかぶり。
「おとうちゃ！ こわいよー！」
「えーー？？？おちびちゃん！？！ダメーー！！！」
それを、クソ虫の目の前にたたきつけた。
ばちゅん。
「ああああ！！！！ おちびいいいいいいいいいいいいいいいいいいい！！！！！！」
目の前に広がる、つぶれた緑と白の物体。
「お、おちびが！なげられたちゃ！！つぶれちゃ！！ しんじゃったちゃ！！ ころされちゃ！ ひどいちゃ！！ ひどすぎるちゃ！！」
クソ虫はつぶれた子ずんに向かって、ゆっくりと這って行く。
「ああ、ひどいのだ……こんなむざんなすがたに……。あれ？くんくんくん…、あれ…？ くんくん、ずんだ…もち……？」
「そうだよ。お前、さっきも旨そうに食ってたじゃん」
「あれ…？ いつから？ あれ？ ちが、あれ？ ずんだ？おちび？ずんだ？おちびもち？ あれ……？ まさか……」
「共食いして訳分かんなくなってて草」
「とも、ぐ…？ あれ、じゃあ、ぼく…おちびを……。おち、おちおちおちおちおち……、おちび……うぽっ…おげぇええええええ……」
「うわきたね。吐くんじゃねぇよ」
自分の子だと認識するまでは、さも当然のように食らっていたクセに忙しい奴だ。
もしかしたら、自然界でも彼らは知らずに仲間の死体を処理していたのかもしれない。
死体すら見つからなかったのはそのためか。
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」
クソ妖精は機械のようにぶつぶつとつぶやいている。
「壊れたか。つまんね。おら、クソ雌。出番だぞ。起きろ」
べしべしと、モチモチしたケツをたたいてやる。
「……はっ！」
目を覚ましたメスはあたりを見渡して全てを思い出したようだ。
「目を覚ましたみたいだな」
「おまえは！ くちょにんげん！！ おちびをはなせ！！」
「おちびもいいが、お前のツガイはどうだ？」
「パパずん！ そうよパパずん！ パパずんをどうちたのよ！！」
「そこにいるけど」
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」とつぶやいている妖精に目を向けさせる。
「何を言ってるのだ？ パパずんは立派な妖精さんなのだ！ 手も足も耳も尻尾も無いなんて、あははは、へんなのだ！」
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」
「へこへこ動いて、まるで虫なのだ！ あははは……、は、は… え？？？」
「どうやらツガイがわかったみたいだな」
「な…、ぱぱ、ずん……？」
「ﾁﾃ…ｺﾛ……ｺﾛﾁﾃ……」相変わらず、クソ虫は壊れたラジオのままだ。
「ああああああ！！！ おまえ！！ 何をしたのだ！！ パパずんになにをしたのだ！！！」
「いや、四肢を切って繋げてって繰り返しただけだけど。その四肢もぶよぶよになっちゃてもうダメみたい笑」
ほらそこ。とぶよぶよに膨れて紫色になっている四肢と枝豆と尻尾だったものを示す。断面はこすったりしゃぶらせたり色々とさせすぎたせいで、つるつるピカピカしている。
「これさ、一応くっつくんだけどさ」
無反応に譫言を呟いてるクソ妖精にグリグリと取れた足を擦り付けると、一応接着はするが。
ちょん、と突っつくと、それだけでポロリと落ちる。
ほらね、と私は肩を竦めると、ワナワナと雌が震えだす。
「なんて…なんて酷いことを……」
あと、子ずんも食わせたけど。言わなくても、ままええか。
「コイツ、壊れちゃって可哀想だからさ。生きるのより大事って言ってたへこへこでもさせてやろうかなって」
「何を言ってるちゃ！ こんな状態のパパずんが、へこへこなんて、できるわけないちゃ」
「だって可哀想だと思わないか？ お前ツガイだろ？ さっきまでへこへこへこへこ煩かったのに、ころしてころしてなんてさ。可哀想じゃん」
「お前のせいちゃ！ お前がパパずんにひどいことしたせいちゃ！！」
どん！と先程投げてすでに潰れた子ずんを踏みつけた。
「ああああ！！！ おちび！！！」
「……やるの？ やらないの？」
「わかったのだ！やる！やりますから！！」
雌ずんは、クソ虫に話しかける。
「パパずん、あたちよ。ママずんよ」
「ﾁﾃ……、ｺﾛ……」
「パパずん……、うう…こんなに…ひどいことになるまで……」
雌ずんはツガイを仰向けに転がす。すると皮を切られてズル剥けになったずんぽが現れた。
「あっ…パパずんのずんぽが…こんな…酷い……」
「はやくやらないと……」
「わ、わかったのだ！やりますのだ！」
メスずんがへこへこと腰を振り始める。
「パパずん！へこへこよ！早く正気に戻って！！」
「ｲﾁｬ……ｲﾀｲﾁｬ、ｲﾁｬﾉﾀﾞ……、ｷﾓﾁ…、ｲﾁｬ……ｷﾓﾁ……」
千切られたずんぽの皮が擦れて痛いのかもしれない。
「へこへこ。がんばって、パパずん、がんばるんちゃ。そして、みんなでかえるんちゃ！」
「ま、ママずんっ、あがっ、いた、いたいちゃ、きもちいいちゃ、いた、いたきもち、のだ……」
「よかった、反応してる……」
「へこへこなのだ、へこへこ、きもち、きもちいいのだ」
水を得た魚、という言葉が浮かぶくらい、へこへこと激しく腰を振り始めた。
「へこへこ、へこへこ−−うっ……！！」
クソ虫がぴくぴくと震える。
「パパずん！正気にもどって…！」
「ママ…ずん……」
「パパずん！ だいじょうぶ？！ 正気に戻ったのね、パパずん！！」
「ぼくは…なにを……？ はっ！！！」
キョロキョロと機敏にあたりを見渡すクソ虫。
「おまえはーー！！ くちょにんげん！！！！」
「おお、すごい。本当に正気に戻った」
「よくも…よくもおちびを…！おまえだけはぜったいにゆるさないのだ！」
そして、まだ反抗する元気があるとは、見上げた根性だ。
「よし。じゃあ、遊び再開だな」
「これいじょう、ぼくになにをするつもりなのだ！」
私は、またビニール袋から、子ずんを取り出し、野球の滑り止めのようにぽんぽんと軽く片手でお手玉する。
「はう、おかあちゃ、こわ、こわいのだ」
「おちび…！」
「おちびちゃ……！」
「やめて、おちびちゃんだけはーー！！」
「いくぞ！シュート！！」
それを雌ずんに向かって投げた。
「あああああ、おちびちゃん！！ ママが受け止めるからね！！」
ふよふよと浮かび上がった雌ずんは、見事子ずんをキャッチすることに成功する。
しかし、キャッチはしたものの、かなりの速度で投げられた子ずんだ。勢いを殺しきれずに、そのまま壁に激突。
「ノギャッーー！！ はう、はう……。痛い、痛いちゃ、でもおちびはまもっちゃ……、えーー？？？」
受け止めた子ずんを見た雌ずんは驚愕する。
いくら受け止めたとはいえ、やわらかい子ずんの身体は衝撃に耐えきれず、間に挟まった母の手の中でぐちゃぐちゃになっていたのだ。
「いちゃ…、おかあちゃ、いちゃのだ……、おか…ちゃ……。…」
そのままガクリと脱力するガキずん。
「あああああああああああああ！！おちびちゃん！！ おちびちゃん！！！」
「どうしてどうしてどうして！！」
それから、ビニールで原型をとどめている球数だけ、子ずんを投げつけた。
響く破裂音。地下室はずんだもちだらけになった。
散々嬲っておいたクソ虫はもとより、子ずんを受け止め続けた雌ずんももうボロボロだった。
なんかいつの間にか、片耳がとれている。
「はぅ……はぅ……」
「なんだよ、ちゃんと受け止めてやれよ。お前らのせいでぐちゃぐちゃになっちゃってるじゃん。可哀想に。まだ生まれたばかりだろうに」
「ひどい、ひどすぎるちゃ……」
「あーあ、お前たちがキャッチしないせいで、もう子ずんがなくなっちゃったな」
「何を言ってるちゃ！お前のせいちゃ！！ せっかく…せっかく、あの村を出て…、いっぱいへこへこして、おちびちゃん達をいっぱい作って、パパずんとおちびちゃんと……幸せに暮らすはずだったのに……」
「おいメス。まだ元気そうだな」
ゲシゲシと、つま先で突っついてやると、メスずんは面白いくらいに簡単にゴロゴロ転がる。弱すぎだろコイツら。
「のぎゃっ！？ やめちゃ、いた、痛いちゃ、おにゃかにおチビがいるんです！あたちのおチビにはなんの罪もないです、おチビはたちゅけて…！」
「ん…？チビ…？」
驚いた。
先程のガキ共は赤ん坊に見えたというのに、なんという繁殖力だろうか。
「まさか、もう腹の中にガキがいるのか…？」
「あ、当たり前なんちゃ…！ へこへこしたらおチビはできるちゃ！」
私は睨みつけてくる雌ずんを捕まえた。
「な、なにをするちゃ！！？」
「そんなにすぐにガキができるわけ無いだろ。確かめてやろう」
ぎゅ、ぎゅぎゅぎゅっ、とメスを絞る。
「やめーー、やめちゃ！！」
「ママずん！！ ママずんをはなせ！！」
「やめちゃーー！！ おにゃかに、おちびがいるちゃーー！！」
「そう言ってたな。だから絞ってんだろうが」
「やめっーーごっ！！ あががががあがががががががーー！！！」
「ママずーーーーーんんんん！！！」
すると、「おぎゃーのだ」「おぎゃーのだ」「おぎゃーのだ」と鳴きながら子ずんが出てきた。
「お、でてくるじゃん。って……あはは！」
雌ずんを離してやる。
「はぁ、はぁ……、ないのだ…手も足も、耳も尻尾も……」
「あはは。傑作だな。クソ親父とおそろいじゃん。」
「むりやり、だしたから……、ひどいちゃ…、ひどすぎるちゃ……」
ひどい…？私はその聞き捨てならない言葉に応えた。
「ひどいって。それはお前たちの方だろ。大事な村を裏切って、自分たちが旨いものを食いたいからって仲間を殺してまで…」
「あんな奴、仲間でもなんでもないちゃ！アイツに任せてたらいつまでも全然食料足りないかったちゃ！無能だったちゃ！だから勇敢なパパずん達がぶっころしてやったんちゃ！！」
「……」
ワナワナと無意識に右手に力がこもる。
「わたち達は革命家なんちゃ！ アイツの圧政から皆を解放し−−あぴゃーー？」
べちょん！
蝿叩きで叩いたら、間抜けな音を立てて雌ずんはぺちゃんこになった。
「革命家？ テロリストの間違いだろ。って、もう聞こえないか」
「あああああ！！！ ママずーーーーん！！！」
無惨につぶれた母と、まともに動けず慟哭するだけの父親の間で、「はう……はう……はう……」と足りない子ずんが鳴いている。
「よかったじゃん。最後におまえとおそろいの子供作れてさ」
「ママずん……。このこたちだけでも、ぼくが…たいせつに、そだてていくんちゃ……」
「そうだな。じゃあ、そのずんぽは用済みだな」
「なっ！？！？ やめーー、やめろおおおお！！ ずんぽ！ ずんぽだけは！！ ママずんもあげたちゃ！ 子ずんもあげたちゃ！！ その足りない子ずんもあげるちゃ！ なんでも！、なんでもするちゃーー！！」
「わかった。罪のない足りないちゃん達は可哀想だが、父親がこう言ってるんだ。許してくれ」
「おぎゃーのだ、おぎゃーのだ、おぎゃ……」
一匹。
「おち……」
一匹。
「おちび……」
最後に一匹。足ですりつぶすように踏みつけた。床は緑の残骸がこびり付いている。
「あ、おち、おちび……ちゃん……。ママずん……。ごめんね、まもってあげられなくて、ごめんね……」
「いや、何勝手に謝って悲壮感出してんだよ。今お前が売ったんだろうが」
ぷるぷると下を向きながら震えているクソ虫が声を絞り出す。
「……おまえの……おまえのせいちゃ……」
「あ？なんだって？？」
「おまえのせいちゃ！！ くちょにんげんが、ずんぽをおどすからちゃ！ ひどすぎるちゃ！！ ぼくはわるくないちゃ！」
「言うに事欠いて責任転嫁かよ」
「それに、ぼくのずんぽさえあれば、おちびはつくれるちゃ！ゆうかんなぼくのずんぽは、せかいのたからものなんちゃ！ぼくにはまもる、ぎむがあるちゃ！」
「うーん。勇敢でもないし、宝物でもないし。それに、今の自分の姿見てみろよ。そんなんでツガイできるわけないじゃん」
四肢も耳も尻尾も失ったその姿。
そもそも自然界で生き残れないだろうが…。
「あ…ああ……。ひどい、ひどいちゃ、ひどすぎるちゃ。ぜんぶ、ぜんぶないちゃ……」
「そういうことだ。そんなナリじゃもう新しい相手なんてできないだろ」
「でも、ずんぽ…。ずんぽだけは、まもったのだ……、なんとかまもったちゃ。まもりぬいたちゃ……」
「皮千切れてるけどね…。まぁ、もうお前にはずんぽしか残ってないんだよ。ツガイも死んだし」
「あ…ああ……、ママずん…！ゆるせないのだ！ころしてやるちゃ！ぜったい、ぜったい…！！ぼくのなかまが…！！」
「うんうん。使わないずんぽあっても仕方ないし、今度こそ。……その汚ぇずんぽは用済みだな」
「え！？ は？ い、なん！？！？！ ずんぽは！ ずんぽだけは！！ たすけるって、いったぁあああああ！！！あがあああああああああああああああ！！！」
ずんぽを根元から切断する。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！ ずんぽがぁ！！」
うわ、切り離しても動いてやがる。本当に気持ち悪い。
「ぼくの…、ぼくの…ずんぽ……、かえして……」
そして、万が一にも再生しないように念入りに踏みつけてやった。
「やめちぇえええ！！ ぼくのずんぽが！ つぶれちゃ！！ こわれちゃ！ つけられなくなっちゃ！！」
私はどんどん原型を失ってゆくずんぽを見せつけるように何度も何度も踏み潰す。
「ああああああ！！！ぼくのずんぽぉおおおお！！！」
ぐちゃぐちゃになった、ずんぽの残骸。
もうこのクソの血が地上に残る事はなくなった。
「あ…、あ……、あは……あははははは、ずんぽが、つぶれたちゃ、へこへこ、できないちゃ…。もう、いきてるいみ、ないっちゃ」
放心状態で譫言を呟くゴミ虫。また壊れたか。
「あははははは、ずんぽ、ずんぽが……、もう、へこへこ、へこへこ……」
「壊れたな。もう帰っていいぞ」
「あははは、あはははは…へこへこできないちゃ……おちびも、ママずんもいないちゃ……もうへこへこできないちゃ……」
「うるさいし邪魔だな。捨てちゃおう」
私は、放心しているクソ虫を、ベランダにもっていき、放って捨てた。
「ーーわっ！？」
空中に放られたクソ虫は驚いた声を上げただけで、飛ぶ元気もないのか自由落下して茂みに落っこちた。
バキ、バキっ、と枝が折れる音がするたび、短い悲鳴が上がり、やっと収まるところに収まったようだ。
「のぎゃっ！？……はぁ、はぁ……、痛いちゃ、体中が痛いちゃ……。でも、やっと…やっとにげだせたのだ……。なかまをよんで、ふくしゅうしてやるんちゃ……」
落としたそばから、「ずんだもち！ずんだもち！！」と鳴きながら飛んでいる妖精どもの群れに、クソ虫が呼びかける。
「お、おお！！なかまちゃ！」
群れはクソ虫に気付いたのか、進路を向ける。
「おい、おまえたち！ぼくをたすけるんちゃ！はやくしろ！くちょにんげんにやられたちゃ！みんなで、ふくしゅうするんちゃ！！」
群がる妖精。何やら様子がおかしい。
「ずんだもち！ずんだもち！！」
その一匹が、クソ虫に齧り付いた。
「いちゃーー！！ やめろおおお！！ くうなぁああ！！ ぼくはずんだもちじゃない！！ ぼくは、ようせいさんだぞ！ いちばんゆうかんなんだぞ！！ほんものの『おさ』なんだぞ！！」
そこからは次々にクソ虫共が群がって見えなくなった。
「「のだ、のだだ、おいち、おいち」」
「やめーー！！やめろおおお！！ くうなぁああああ！！！なかまだろぉおおお！！やめろぉおおお！！！」
「はぁ……うるさ」
「くちょにんげん！！みてないでたすけろーー！！ぼくをたすけろーー！！やめろおおお！！ いたいいたいいたいいたいちゃぁああ！！くうな、くうなぁあががががが！！いちゃあぁああああ！！！やめろぉおお！！なかまだろーー！くっ、くちょ、くちょにんげん！！ぼくをたすけーー」
ぴしゃり。
ベランダの窓を閉じると、忌々しい声も聞こえなくなる。
しかし、虫の息とはいえまだ話せるくらいの個体であっても死体ーー『ずんだ餅』として認識するとは驚きだった。ここまで知能が低下してしまったのか、あるいはそれほど飢えているのか…。
さて、次の獲物はあのクソを食ってる奴らでいいだろう。
共食いするほど飢えているなら、ずんだ餅の一言で寄ってくるだろう。
あの優しいずんだもんを見殺しにした害獣共はーー皆殺しだ。
農林水産省HPより抜粋 手記要約
・元々は森で誰にも見つかることなくひっそりと暮らしていたずんだ妖精(秘境ずん)
・もともと繁殖力は高くなく、少数の群れで暮らしていた。
・物理学に反する飛行能力を持つ。
・アンバランスな程頭が大きい。前述の飛行能力のため重心の位置は彼らにとって重要でない。知能を最優先に進化させたと思われる。
・一方で力は弱く、戦うための牙や爪といった武器を持たない。
・おそらくは知能が上がった結果、自己を家畜化する方向へ進化したものと思われる。
・手先も不器用なため道具を作る、あるいは使う文化はなかった。
・主食は栽培した米と枝豆、ずんだ餅を作って備蓄する。
・赤ずんには、ずんだと枝耳から分泌されるミルクを与える
・生体はその枝耳で光合成もしており、何も食べなくても半冬眠状態となり生存可能
・回復力が高く、カロリーさえあれば大抵の傷は回復する
・妖精の耳(枝耳)から採取した豆には強い治癒効果がある
・唾液には弱い治癒効果がある。
・死体はずんだ餅に酷似し、味も似ている
・種の認識能力は低く、おそらくは彼ら自ら死体処理をしていたものと思われる。(死体が発見されずに発見が遅れた原因か)。
・彼らへの供え物として考案されたずんだ餅は恐らく、彼らの死体を模したもの。
・人間の介入により高カロリーな餌を与えられたずんだ妖精は、(恐らく自己家畜化の解除により)攻撃的になり、非常に多産になり、爆発的に数を増やした。
・集落から溢れた妖精が、周囲の森、そして人里へと次々侵略した。
・街妖精のずんぽへの異常なまでの執着は、異常な繁殖力を反映したものと思われる。ずんぽさえ残ってれば一瞬で数が増やせるのだから、ある意味で理にかなっているとも言える。
・街の個体は多産等生態の変化により、エネルギー消費が多くなっており、光合成のみでの生存は困難。
・そのため極度に飢えると共食いする。
・接種した毒や化学薬品は耳の枝豆へ濃縮されるため、人里に降りてきたずんだ妖精の枝豆には、治癒効果は消失し、寧ろ有害である。
・汚染物質は枝豆のみへ蓄積されるため街の個体であっても肉は美味である。
・街の個体は、(個体にもよるものの)盗みを働き、田畑を食い荒らす。数も多いため、害獣に指定する。
・森の個体は、人間への恐怖心も持っており、害獣とも言えないため、現状保護も駆除も行わない。
・秘境妖精は数も少なく独自の文化を持つ、言わば第二の人類であり、国会にて保護を検討中。
現在下記の研究が進行中
・妖精の治癒能力について
・物理学を超越した飛行能力について
・人語を解する実験動物としての研究(痛みや痒み、痺れといった、動物では定量化できなかった副作用への応用)
・生息域の拡大による生態系への影響について
・人間による密漁の数の把握
・悪質なペットブリーダーについての調査
・警察犬や盲導犬に代わる妖精の利用
・異常な繁殖力を活かした食糧問題への応用
・秘境妖精の個体数の把握、地域と品種の把握
・もともと繁殖力は高くなく、少数の群れで暮らしていた。
・物理学に反する飛行能力を持つ。
・アンバランスな程頭が大きい。前述の飛行能力のため重心の位置は彼らにとって重要でない。知能を最優先に進化させたと思われる。
・一方で力は弱く、戦うための牙や爪といった武器を持たない。
・おそらくは知能が上がった結果、自己を家畜化する方向へ進化したものと思われる。
・手先も不器用なため道具を作る、あるいは使う文化はなかった。
・主食は栽培した米と枝豆、ずんだ餅を作って備蓄する。
・赤ずんには、ずんだと枝耳から分泌されるミルクを与える
・生体はその枝耳で光合成もしており、何も食べなくても半冬眠状態となり生存可能
・回復力が高く、カロリーさえあれば大抵の傷は回復する
・妖精の耳(枝耳)から採取した豆には強い治癒効果がある
・唾液には弱い治癒効果がある。
・死体はずんだ餅に酷似し、味も似ている
・種の認識能力は低く、おそらくは彼ら自ら死体処理をしていたものと思われる。(死体が発見されずに発見が遅れた原因か)。
・彼らへの供え物として考案されたずんだ餅は恐らく、彼らの死体を模したもの。
・人間の介入により高カロリーな餌を与えられたずんだ妖精は、(恐らく自己家畜化の解除により)攻撃的になり、非常に多産になり、爆発的に数を増やした。
・集落から溢れた妖精が、周囲の森、そして人里へと次々侵略した。
・街妖精のずんぽへの異常なまでの執着は、異常な繁殖力を反映したものと思われる。ずんぽさえ残ってれば一瞬で数が増やせるのだから、ある意味で理にかなっているとも言える。
・街の個体は多産等生態の変化により、エネルギー消費が多くなっており、光合成のみでの生存は困難。
・そのため極度に飢えると共食いする。
・接種した毒や化学薬品は耳の枝豆へ濃縮されるため、人里に降りてきたずんだ妖精の枝豆には、治癒効果は消失し、寧ろ有害である。
・汚染物質は枝豆のみへ蓄積されるため街の個体であっても肉は美味である。
・街の個体は、(個体にもよるものの)盗みを働き、田畑を食い荒らす。数も多いため、害獣に指定する。
・森の個体は、人間への恐怖心も持っており、害獣とも言えないため、現状保護も駆除も行わない。
・秘境妖精は数も少なく独自の文化を持つ、言わば第二の人類であり、国会にて保護を検討中。
現在下記の研究が進行中
・妖精の治癒能力について
・物理学を超越した飛行能力について
・人語を解する実験動物としての研究(痛みや痒み、痺れといった、動物では定量化できなかった副作用への応用)
・生息域の拡大による生態系への影響について
・人間による密漁の数の把握
・悪質なペットブリーダーについての調査
・警察犬や盲導犬に代わる妖精の利用
・異常な繁殖力を活かした食糧問題への応用
・秘境妖精の個体数の把握、地域と品種の把握
あとがき
ホントは前作中に加筆するつもりだったんですが、書いた後でテンポや読後感が悪くなるかなぁ、と思ってやめました。
せっかく書いてしまったので、蛇足として公開します。
せっかく書いてしまったので、蛇足として公開します。
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『わたち達は革命家なんちゃ！ アイツの圧政から皆を解放し』←？？？？？？？？？？ 村の皆のためを思って行動し続けたことが圧政になるのか、クズ妖精の価値基準では……
真の善良、「ずんだもん」に散々酷いことをした害獣たちがこのまま欲望のままに生きていて良いわけがない、といった強い登山家の怒りを感じました……
設定資料集も読みごたえ抜群でした！『警察犬や盲導犬に代わる妖精の利用』……で、出来るのか！？
皆の為にと頑張っていたずんだもんも、見かたを変えれば、オサでもないのに、ヘコヘコを禁じるわ、飯を制限するわ、デカいこと言う割に狩りで犠牲を出すわ、死ぬ思いして手に入れた食料を苦労もしてないガキに分けるわで不満がたまるのも無理はないのかもしれません。
妖精は賢いですから、躾ければ盲導ずんだになれるかもしれません。厳しい修行を乗り越えて、盲導ずんだになって、意地悪な人間さんに電車の中で虐められても鳴き声1つ挙げない盲導ずんだかわいいね…
村を裏切って好きなだけ食べてヘコヘコしておちびちゃんたくさん作れる自由を手に入れた革命家（自称）のクズ共は共食いするほど飢えて、しかも人間から「害獣」と指定されて駆除対象に
従来のやり方を続けている「村」は食料豊富で順調にずん口増加、おまけに人間を敵に回さずに済んで今後も安泰
（食料全然足りずにおちびちゃん作れないのにおかしいよなあ？ｗ）
どっちが正しかったか証明されちゃったね（ﾆｯｺﾘ
好き勝手なことばかりやって食料を奪おうとするクズんだもん達がいなくなったことで、食糧供給と人数が調整されて増えたのだろうな。
殺すとか復讐とか言いながら。自分の身が危なくなれば“くちょにんげん”に助けを求める（脅し）。
あれのどこが勇敢な生き物なのか。録画しておいて適当に助けてやってから眼を開いてみてやるのも手だな。
正直コイツには何をしてやっても無駄でしょうな…。
目とかを抉り取るのも考えましたが、長である、復讐すると豪語し、仲間たちに食われ、人間にまで助けを求めながら情けなく死んでゆくのが一番いいかな、と思ったのだ。
ただ、仰る通り別の鬼威惨に拾われるのはありかもしれませんねぇ…
感想感謝なのだ。
この雄ずんにして、この雌ずん。
革命家にしろ、テロリストにしても失礼。
自分の食欲の為に良ずんを殺しておきながら、村を統治することもなく出ていくのは、革命家でもなんでもないただの憂さ晴らし。
しかも件の村自体は前よりずん口も増えて食糧も豊富で（ｒｙ
という
村に残った妖精たちと、出ていった妖精たち…どこでこんな差ができてしまったんでしょうね
しかもクズんだはみんな出ていったので大分暮らしやすくなった模様です。
どこの世の中にも悪人は現れるのと同じ。どんなに教育や環境をよくしても分からない連中は現れる。
クズんだもんは仲間や長になれなかったのではなく、村を出たほぼ全員が自分は『勇敢な長』だと思いこんでいるから。妻のママずんにしても、先にパパずんが完全に死んだことを知ったら、自分こそ優れているから『長』だと騒いでいただろう。
鋭い考察感謝なのだ。素晴らしい慧眼なのだ…。
多分『ずんだもん』を襲って村を出た奴らは自分こそ勇敢な長だと思っていると思います。
ただ、雌ずんはそれに惚れ込んでいるだけの個体もいるかもしれません。
ヒナを尻目に淫するつがいを思い出す
大体アレがずんだもんを｢生物として破綻しきったイカれた繁殖力…もとい性欲の害獣｣たらしめた要因だと思う……。
名作と並べていただき感謝なのだ