最終更新:ID:rZxrrPvEnw 2023年04月23日(日) 21:20:51履歴
(にわたり くたか/Niwatari Kutaka)
備考
- 庭渡(にわたり)
- ニワタリ神
- 元々は北関東、東北を中心に祀られていた神で、現在でもこれらの地域に関連する神社がある。
地域信仰、民俗信仰で祀られていた神のため、日本神話には登場しない。
また、諏訪神社や稲荷神社などとは異なり総本社(総本宮)に相当する神社はなく、関連する神社を統括する組織なども存在しない。
現在、これらの神社の祭神(日本神話由来)は多種多様だが、これら祭神の多くは明治期の神仏分離令以降に後付けで祀られた例が多くニワタリ神と直接の関連はないとされる。 - 様々な漢字があてられており、「庭渡」「荷渡」「二渡」「二羽渡」「鬼渡」「仁和多利」「新渡」「見渡」「美渡」「御渡」「子渡」「鶏」などがある。(他にも多数ある)
また、読みも複数あり、「ニワタリ」「ミワタリ」「オニワタリ」「オミワタリ」「ネワタリ」「ニワトリ」などがある。
それ以外にも鶏明神と表記するケースもある。 - 現在ある各地の「ニワタリ(漢字と読みは様々)神社」は元々は「ニワタリ(大)明神」「ニワタリ(大)権現」等と呼ばれ地域で信仰されていたケースが多かったが、(大)明神および(大)権現は仏教由来の言葉であるため明治期の神仏分離令により「神社」と改称して現在に至るようである。(一部は現在は名称を戻しているケースもある)
日本神話由来の祭神もこの時に決められたケースが多い。 - 基本的には、その地域の「産土神」「地主神」「鎮守神」として祀られているケースが圧倒的に多い。
幅広い要素の信仰があり、主に「鶏の神」「子供の咳(または百日咳)を治す神」「治水、灌漑の神」「渡海、川渡の神」などがあげられる。 - 「ニワタリ神社」の祭神の傾向として、水を分配する神である天水分神(あめのみくまりのかみ)・国水分神(くにのみくまりのかみ)というあまりメジャーではない神が一定数設定されている。
これはニワタリ神の「治水、灌漑の神」としての要素からの連想ともされる。 - 蝦夷征討のために東北地方に来た坂上田村麻呂を由来にあげる神社が一定数ある。
また、坂上田村麻呂の鬼退治伝説と「鬼渡(おにわたり)」の名称に関連があるとする説もある。 - 「鶏大明神」は江戸時代の江戸から始まった「酉の市」の由来にも関連している。
- 信仰と名称の起源には諸説ある。
幅広い要素の中で最初にどれか一つの要素で信仰が始まり、他の要素は後付で足されていったとする説が有力だが、どれが最初だったかは定説が存在しない。
「神聖とされた鶏(にわとり)説」「川を渡る時の安全祈願の神(水渡神)説」「海を渡る時の安全祈願の神(海渡神)説」「灌漑の神(水分神)説」などがあげられるがどれも確証はない。
それ以外には、「語源はアイヌ語説」などもある。
- 元々は北関東、東北を中心に祀られていた神で、現在でもこれらの地域に関連する神社がある。
- ニワタリ神
- 久侘歌(くたか)
- 鶏の古名「くたかけ」*1
- 元々、古来の日本では鶏は「かけ」と呼ばれていた。「くた」は古語で「腐った」という意味。
「くたかけ」を現代語に直訳すれば「腐った鶏」。ニュアンスとしては「馬鹿鶏」といった意味で、鶏を蔑む表現だった。
→ 鬼形獣において、久侘歌は自身を「鳥頭」であると主張している。 - 「くたかけ」は起源としてはあまり綺麗な言葉ではなかったが、時代が下るといつしか雅語(がご)として使われるようになる。
雅語とは俗語の対義語で、「正式なみやびな日本語」のこと。「和歌や古典文学などで使用される上品な言葉」を意味する。 - 「にわとり」という言葉は「くたかけ」を意味する表現の一つ「庭つ鳥かけ(にわつとりかけ)」に由来する。
「庭つ鳥かけ」は「庭にいる鳥である鶏」を意味する。「庭つ鳥」は家畜(家禽)を意味し、野生の鳥(野鳥)を意味する「野つ鳥(のつとり)」の対義語。
「庭つ鳥かけ」が略され「にわとり」となったとされる。
- 元々、古来の日本では鶏は「かけ」と呼ばれていた。「くた」は古語で「腐った」という意味。
- 漢字の意味
久:「長い時間を経る」「長く続く」
侘:漢語では「誇る」「驕る」「自慢する」、日本語では「わび、侘び(簡素で貧粗だがその中に質の高い美を見出すこと)」- 久侘歌:「悠久の誇れる歌」「悠久の侘びのある歌」 → ニワトリの鳴き声を意味しているか。
- 鶏の古名「くたかけ」*1
備考
- 久侘歌
- 仏教における十二神将や二十八部衆の一部などで見られる、サンスクリット語の名称をそのまま漢字にあてはめた音写語風の名か。
- 鬼形獣において久侘歌は、十二神将で酉神である「迷企羅(めきら、めいきら)大将」のポーズをとっている。(「見た目」の項を参照)
- 鳥関連の仏教の尊格としては、これ以外に二十八部衆の「迦楼羅(かるら)天」(インド神話のガルーダ)がいる。
- 仏教における十二神将や二十八部衆の一部などで見られる、サンスクリット語の名称をそのまま漢字にあてはめた音写語風の名か。
- 喉の病気を癒す程度の能力
- ニワタリ神は「子供の咳(や百日咳)を治すご利益」で有名。
- 咳を治すご利益の由来は不明だが、「鶏が歩くときに頭を上下に降る様子が咳をする人を連想させた」「力強く鳴く鶏に呼吸器疾患を治す霊験を感じた」などの説がある。
- 少々ダークな説として「子供が喘息で苦しむ様が、鶏がクックっと鳴く様子に似ているから」というものもある。
- ニワタリ神は「子供の咳(や百日咳)を治すご利益」で有名。
- 神様
- ニワタリ神(日本の神)
- 仏教の天部(護法善神)の要素もあるか。
平等と利他を優先する神様である。
(東方鬼形獣 omakeテキストより)
- 平等、利他は共に元は仏教用語。
- ニワタリ神は大明神、大権現の尊称で呼ばれることもあり、これは仏教由来の神につけられる尊称。
彼女の正体は家畜化される前の、野生の鶏の神様、ニワタリ神である。
(東方鬼形獣 omakeテキストより)
- 鶏(にわとり)
- 鶏は、紀元前8000年〜4000年に東南アジアで野鶏(やけい)が家畜化されたもの。
数千年かけてユーラシア大陸中(日本やポリネシアの島なども含む)に人の手により広がった。
南北アメリカやオーストラリアなどの空白地に鶏が持ち込まれたのは大航海時代以降(15世紀以降)となる。 - 家畜化する前の鶏とされるヤケイ属(野鶏属)に属する鳥が現在でも東南アジアを中心に分布している。
DNA解析から、その中の「セキショクヤケイ」という種が鶏の主な祖先と判明している。 - 日本には紀元前2世紀ごろの弥生時代に大陸から持ち込まれたとされる。
家畜史的には、すでに家畜化されたもの(鶏)が日本に持ち込まれたという順番であり、日本に家畜化する前の「野生の鶏」が存在したことはない。 - 神社にある鳥居の起源の説の一つに、「神前に置いた鶏用の止まり木」(鳥居→鶏の居る場所)とするものがある。
鶏は古来より日本神話(神道)で聖なる鳥とされる。
鶏は天岩戸の物語でも「常世長鳴鳥(とこよのながなきどり)」という名称で登場する。(『古事記』より)
- 鶏は、紀元前8000年〜4000年に東南アジアで野鶏(やけい)が家畜化されたもの。
- ポーズ
- 左手を上に掲げ、右手は腰に当て、左足は曲げ、右足は伸ばしている。
- 新薬師寺の国宝「迷企羅大将像」のポーズから。
- 「迷企羅大将」は十二神将の一尊で、十二支の「酉」を司る。「酉神」と表記されることもある。
- 十二神将については式神「十二神将の宴」を参照のこと。
- 中央の赤い髪の毛と側面の白い髪の毛
- 鶏の赤い鶏冠(とさか)と鶏の白い毛
- 鶏冠は雄鶏のほうが大きいが、雄鶏雌鳥両方にある。
ただし、家畜化する前の鶏である「セキショクヤケイ」の場合、現代の鶏とは異なり鶏冠があるのは雄のみ。雌には鶏冠がない。 - 現代の鶏は「ホワイトレグホン」と呼ばれる白い羽をもつ卵用種が最も多い。そのため、白い羽根と赤い鶏冠が鶏の代名詞となっている。
- 鶏冠は雄鶏のほうが大きいが、雄鶏雌鳥両方にある。
- 「迷企羅大将」の逆立った髪の毛。
- 鶏の赤い鶏冠(とさか)と鶏の白い毛
- 頭にヒヨコを載せている
- 迷企羅大将像は頭にニワトリを載せている造形の物が多数ある。(興福寺の木造十二神将立像*2など)
- 黄褐色のスカート
- 「セキショクヤケイ」の体の色から。
- 東方鬼形獣 (3面ボス) STAGE3 鬼渡の関所 Lonely Amaryllis
- 東方剛欲異聞 (NPC)
- バレットフィリア達の闇市場 (3rd Market 賽の河原)
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース:鶏権現について書かれている本はあるか。(各文献名と該当箇所が紹介されている)
- 神話の森:鶏の神(ニワタリ神社)(個人サイト、ニワタリ神に対する考察)
- 奇怪庵主人:東方鬼形獣にも登場!!鶏の神様『ニワタリ神』を紹介!!(個人のYouTubeチャンネル、ニワタリ神に対する考察)
- 神魔精妖名辞典:仁和多利神
- 南三陸町 ヴァーチャルミュージアム:二渡神社(戸倉長清水)(南三陸町運営のサイト、宮城県南三陸町にある神社の紹介)
- 多賀城市の文化財:歴史の風 神社編(9番目に仁和多利神社(にわたりじんじゃ))(多賀城市サイト、宮城県多賀城市にある神社の紹介)
- 油島地区の産土様:美渡神社(岩手県一関市にある神社の紹介)
- 三春 昭進堂:三春物語588番「上道渡鎮守子渡(ネワタリ)神社」(和菓子店ブログ、福島県にある神社の紹介)
- 神社探訪:庭渡神社(個人サイト、福島県伊達市にある神社紹介)
- 鹿沼見て歩き:鶏権現(栃木県の名所を紹介する個人サイト、栃木県さくら市にある神社紹介)
このページへのコメント
鬼と人間を振り分ける仕事をしている←ひよこ鑑定士からの連想?
久侘歌の名前の由来って盟神探湯もあるんじゃないでしょうか
奈良国立博物館所蔵の地獄草紙に描かれている「鶏地獄」の火を吹く鶏の姿がこの子に似ているんだが、
これも少し要素が入っているんだろうか?
スペカにも「鬼」渡とか試「煉」とか入ってるし。
ニワトリ食ったか?