最終更新: sen_no_risho 2009年05月24日(日) 12:34:16履歴
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為替取引には、取引手数料がつきものである。
まあ、手数料はFX会社にとっての稼ぎ口の一つでもあるから仕方ない。
FXでなくても、普通の外貨預金にも為替手数料はある。
しかしFXには、手数料の性格を持つものとして「スプレッド」と「手数料」の2つがある。
最近は、取引手数料が0円のところも多いが、取引にかかるコストとしてこの「スプレッド」と「手数料」について考えてみよう。
まず「スプレッド」。
これは英語でspreadと書く。「広がり」という意味だ。
為替取引では、顧客が買うか売るかに関わらず、買値と売値の両方を提示するならわしがある。これを、ツーウェイプライス(2-way price)という。
この買値と売値は、「今、この値段なら売買してもいいですよ」と提示する「気配値(けはいね)」と呼ばれるものである。
これは、FX会社だけでなく、銀行間(インターバンク)での取引でも、他銀行がドル円のプライスを尋ねた場合は「98.25−98.30」のように2つの値段を提示する。
(銀行間でのやりとりでは、慣習としてレートの下2桁だけ言うので、この例では実際は小数点以下だけで「25−30」と言う)
この場合、プライスを尋ねた方は、98.25で売ることができ、あるいは、98.30で買うことができる。
普通は、売る値段より買う値段の方が、高く設定されているものである。
これは、取引を持ちかけられた方(プライスを答えた方)としては、相手に高く売り(相手に高く買わせ)、あるいは相手から安く買う(相手に安く売らせる)ほうが良いからだ。
ドル円のプライスを尋ねた方が、98.25で売ることができ、あるいは98.30で買うことができる場合、「売買のスプレッドが0.05円=5銭=5pips」ということになる(ドル円の場合、1pipの為替変動は1銭分である)。
このように、気配値の売値と買値の差を「スプレッド」という。売値と買値の差が、どれだけ「広がって(spread)」いるか、ということだ。
個人がFXをするときは、なるべくスプレッドが狭いほうが良いだろう。同じレートの変動で、得られる為替差益がそれだけ多くなるからだ。
現在では、ドル円でスプレッドが1pipや、それ以下(0.9pips、0.5pips)といったFX会社も増えている。
しかし、インターバンク市場では、ICAP社のEBS(電子ブローキングシステム)でも、ドル円で1〜2pips程度はあるようだ。ユーロドルも1〜2pips程度、ユーロ円で3〜4pips程度はあるという。
FX会社によっては、複数のカバー取引先(FX会社とインターバンク市場の間に入って取引を受け持ってくれる金融機関)から配信されるレートの違いを使って、なるべく高い売値と、なるべく低い買値を組み合わせて、小さいスプレッドを達成しているというところもある。
(それでも小さいスプレッドにならない場合、スプレッドを広げるが、売値か買値のどちらかを寄せて提示してしまうこともあるらしい)
そのようなわけで、個人がFXをするに当たり、ドル円でスプレッド1pip以下というのは為替取引としては条件は良いといえるだろう。
さて、このスプレッド、取引する上では小さいほどいいのだが、実はスプレッドは「為替相場のバロメータ」の1つでもある。
それは何かというと、
・市場が閑散として取引量が少ないとき
・指標発表などで市場が混乱しているとき
には、スプレッドが開くからだ。
取引量が少ないと、なかなか注文が集まらず、どうしても売値と買値の提示値段は開きやすい(約定して無くなったオーダーが再度埋まらない限りスプレッドは縮まらない)。取引量が多いほうが注文も早く進み、また新しいオーダーも入るのでスプレッドは小さくなる。
また、指標発表時で市場が混乱しているときはもっとスプレッドは広がってしまう場合がある。急に大量の注文が発生して、売りと買いがスムーズにさばけなかったりしてレートが付きにくくなるからかも知れない。
これらのケースでは、インターバンク市場においてさえスプレッドは開いている。そのため、それを反映して、FX会社の提示するスプレッドもそれに応じて開く。
もし、お使いのFX会社がスプレッド固定ではない場合、主要国が休場で閑散としていたり、月曜の朝のように市場参加者が少ない場合は、スプレッドが開いていて「市場が閑散としている」ということを実感できるだろう。こうした薄商いでは、ちょっと大きめの取引が入るだけでレートが振られるので要注意だ。市場参加者が増えてくると、スプレッドは狭まってくる。
(あまりに閑散としているときなどは、インターバンク市場ではプライスを聞かれた通貨ペアによっては、その後自分たちが処理できないこともあるので、エンプティ(レート付けず)で答えることもあるそうだ。例えば、12/25の東京市場)
また、指標発表時には、レートを見ているだけで、それまで1〜2pipsだったスプレッドが突然スパっと10数pips程度に開く。見ていれば「あ、今発表された」というのが分かる。数秒の後、一旦激しく上下にもみ合い、しばらくしてどちらかにワァーッと大きく動き出す。
指標発表時は、そのようにして市場が混乱している間は、スプレッドは開きっぱなしだ。一旦もみ合いになっても、スプレッドが開いたままなら、まだまだ動く可能性がある。レートが落ち着いて、徐々にスプレッドが普段通りの狭い水準まで戻ってくれば、だいたい指標発表時の混乱と大きな動きは収束した、と言える。
このように、
・市場が閑散としている時
・指標発表後の混乱時
はスプレッドが開く。スプレッドが開くと、取引では不利である。逆に言うと、こういうときは「スプレッドが開いていて取引には不利であるのでエントリーしない」と市場が教えてくれているとも言える。実際、どちらも相場としては振られやすく、いい取引環境ではない。
それを、スプレッドの開き具合から推し量ることができるのだ。
しかし、最近は「ドル円1pip固定」などというFX会社も増え、指標発表時でさえ1pipのまま固定で上下に振られるところもある。こうしたところは逆に、市場が閑散としていても1pipだし、指標発表の瞬間のスプレッドの拡大も見られないから、相場の雰囲気を体感できない。
(これらはスプレッド固定に関する筆者の不満でもある)
インターバンク市場ではスプレッドが開いているのに、FX会社の提示するスプレッドが狭いまま(1pip固定)という場合は、FX会社のシステムの約定力(注文を通す力)が弱いと、いつまで経っても約定しない場合もある。それもそのはず、そのbidとaskの少なくともどちらかは、インターバンクでは示現していないかも知れないからだ。これではカバー先に注文が通るはずがない。
そのため、スプレッド固定のFX会社でも、インターバンク市場で大きくスプレッドが開いた場合は、提示するレートもそれにあわせ、約定力が失われないようにすることが多い(約定力優先、といった感じ。スプレッド固定のFX会社でも多くはこちらだろう)。
常時スプレッド固定、というところがもしあったとすると、相場急変時には注文がなかなか通らず約定しない可能性があり、それはそれでリスクである。
また、2009年3月の第1週に、月曜と金曜の2回、インターバンク市場で広く使われているICAP社のEBSが停止した。
月曜はインターバンクではディーラー達がレート確認をするのに大いに手間取ったようだが、個人のFXにはさほど影響は無かったようだ。実際、スプレッドに異変はなかった。
しかし、金曜の方は、EBS障害が広範囲に影響し、インターバンクはもちろん、個人のFXでも「ドル円1pip固定」を標榜するところでさえ、20pips近いスプレッドが数時間開きっぱなしになる、という事態となった。
これも、市場のシステム障害に起因するFX取引リスクの1つではある。
1週間に2回もEBSが落ちた、というのは、ちょっと心配であるが。。。大丈夫だろうか。
もう1つ、FXのコストとして「手数料」を取るところもある。
最近は取引手数料を取るところはかなり少なくなったように思う。しかし、注文1件ごとに100円とか200円とか、あるいは1000円くらいの取引手数料を取るところはある。
「くりっく365」は、どれも東京金融取引所との取引仲介に伴う手数料がかかるのが普通だ。
ポジションは必ず反対売買で締めくくる運命にあるので、新規と決済で2回の注文・取引をするから、これらの手数料は「往復」でかかることに注意しよう。取引手数料が100円と書いてあったら、それは片道であり、実際は200円取られるということだ。
これは外貨預金の為替手数料と似ている(円投と円転で2回かかる)。
もしここに、
FX会社A: ドル円 スプレッド 4pips、手数料0円(1万通貨あたり)
FX会社B: ドル円 スプレッド 0pip、手数料片道200円(1万通貨あたり)
という2つの会社があったとすると、実際の為替変動量に対して、どちらも、1万ドルあたり400円のコストがかかってくることになるから、同等である。
ただ、FX会社Aのほうは、そのコストが、レートに上乗せされて提示されていることから、「同じ決済指値で」待っていた場合は、FX会社AよりもFX会社Bのほうが、約定する可能性は高いということに注意しよう。
例えば、ドル円ロングの決済指値を100.00に置いていた場合、FX会社Bではbid値が100.00になれば決済できる。
しかし、このときFX会社Aではbid-askが99.98-100.02である可能性があり、届いていないことになる(中心値は100.00で同じでも)。このまま反落すれば、FX会社Aでは決済できないままだ。
このように、コストをレートに上乗せしている場合は、指値もスプレッド分考慮しないと、決済の機会を失う可能性もわずかながらある、ということだ。
ただし、新規も決済も双方で同じ時刻で取引をした場合は、特にどちらが有利ということはない。どちらも、為替変動量から400円分差し引いた分が、決済損益だ。
手数料というと、外貨預金の為替手数料は名前も似ているし、往復で取る、という点も似ている。
しかし外貨預金では、手数料は、9:55あるいは随時実勢のTTM(対顧客電信仲値相場)のレートに足したり引いたりして、
・TTS(対顧客電信売り相場=顧客の買う値段=FXのask)(円→外貨)
・TTB(対顧客電信買い相場=顧客の売る値段=FXのbid)(外貨→円)
の「2-wayプライスで」表示している、という点では、FXのスプレッドに近い。
普通、銀行の外貨預金の為替手数料は片道1円、往復2円であるから、FXにたとえれば、スプレッド200pipsということだ。
これまで述べた「スプレッド」と「手数料」は、実際に動いた為替変動量(為替差益・差損)から差し引かれる形で、我々の決済損益となる。
この場合、もし確定申告の必要があるとき、これらが差し引かれたいわゆる決済損益を、そのまま為替差損益(雑所得)にしていいのだろうか?
これはYes。スプレッドと手数料は、為替取引に必然的にかかるコストであり、つまり「必要経費」である。
よって、実際に動いた為替変動量が本来の「為替差損益」なのだが、そこから必要経費としてのスプレッドと手数料を差し引くことにより、それが雑所得となる。これはつまり決済損益そのものだから、要は決済損益をそのまま雑所得として計上していけばよい。
(ついでにいうと、FXではスワップは金利ではなく「金利差調整分」であり(→第二夜・第三夜参照)、これも雑所得だ。よって、決済損益(スポット損益)とスワップ損益を単純に合計したものが、雑所得である。スワップが金利ではないことは、スワップが付いても利子収入として一律国税15%+地方税5%の源泉分離課税がなされていない、という点からも間接的に分かる)
・・・最後は話が逸れたが、FXにおけるスプレッドは小さくて固定のほうが取引には良いけれども、本当は為替市場の雰囲気を知るバロメータであり、固定でないほうがいろいろ相場の様子が分かるものだ、という点でしめくくりたい。
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為替取引には、取引手数料がつきものである。
まあ、手数料はFX会社にとっての稼ぎ口の一つでもあるから仕方ない。
FXでなくても、普通の外貨預金にも為替手数料はある。
しかしFXには、手数料の性格を持つものとして「スプレッド」と「手数料」の2つがある。
最近は、取引手数料が0円のところも多いが、取引にかかるコストとしてこの「スプレッド」と「手数料」について考えてみよう。
まず「スプレッド」。
これは英語でspreadと書く。「広がり」という意味だ。
為替取引では、顧客が買うか売るかに関わらず、買値と売値の両方を提示するならわしがある。これを、ツーウェイプライス(2-way price)という。
この買値と売値は、「今、この値段なら売買してもいいですよ」と提示する「気配値(けはいね)」と呼ばれるものである。
これは、FX会社だけでなく、銀行間(インターバンク)での取引でも、他銀行がドル円のプライスを尋ねた場合は「98.25−98.30」のように2つの値段を提示する。
(銀行間でのやりとりでは、慣習としてレートの下2桁だけ言うので、この例では実際は小数点以下だけで「25−30」と言う)
この場合、プライスを尋ねた方は、98.25で売ることができ、あるいは、98.30で買うことができる。
普通は、売る値段より買う値段の方が、高く設定されているものである。
これは、取引を持ちかけられた方(プライスを答えた方)としては、相手に高く売り(相手に高く買わせ)、あるいは相手から安く買う(相手に安く売らせる)ほうが良いからだ。
ドル円のプライスを尋ねた方が、98.25で売ることができ、あるいは98.30で買うことができる場合、「売買のスプレッドが0.05円=5銭=5pips」ということになる(ドル円の場合、1pipの為替変動は1銭分である)。
このように、気配値の売値と買値の差を「スプレッド」という。売値と買値の差が、どれだけ「広がって(spread)」いるか、ということだ。
個人がFXをするときは、なるべくスプレッドが狭いほうが良いだろう。同じレートの変動で、得られる為替差益がそれだけ多くなるからだ。
現在では、ドル円でスプレッドが1pipや、それ以下(0.9pips、0.5pips)といったFX会社も増えている。
しかし、インターバンク市場では、ICAP社のEBS(電子ブローキングシステム)でも、ドル円で1〜2pips程度はあるようだ。ユーロドルも1〜2pips程度、ユーロ円で3〜4pips程度はあるという。
FX会社によっては、複数のカバー取引先(FX会社とインターバンク市場の間に入って取引を受け持ってくれる金融機関)から配信されるレートの違いを使って、なるべく高い売値と、なるべく低い買値を組み合わせて、小さいスプレッドを達成しているというところもある。
(それでも小さいスプレッドにならない場合、スプレッドを広げるが、売値か買値のどちらかを寄せて提示してしまうこともあるらしい)
そのようなわけで、個人がFXをするに当たり、ドル円でスプレッド1pip以下というのは為替取引としては条件は良いといえるだろう。
さて、このスプレッド、取引する上では小さいほどいいのだが、実はスプレッドは「為替相場のバロメータ」の1つでもある。
それは何かというと、
・市場が閑散として取引量が少ないとき
・指標発表などで市場が混乱しているとき
には、スプレッドが開くからだ。
取引量が少ないと、なかなか注文が集まらず、どうしても売値と買値の提示値段は開きやすい(約定して無くなったオーダーが再度埋まらない限りスプレッドは縮まらない)。取引量が多いほうが注文も早く進み、また新しいオーダーも入るのでスプレッドは小さくなる。
また、指標発表時で市場が混乱しているときはもっとスプレッドは広がってしまう場合がある。急に大量の注文が発生して、売りと買いがスムーズにさばけなかったりしてレートが付きにくくなるからかも知れない。
これらのケースでは、インターバンク市場においてさえスプレッドは開いている。そのため、それを反映して、FX会社の提示するスプレッドもそれに応じて開く。
もし、お使いのFX会社がスプレッド固定ではない場合、主要国が休場で閑散としていたり、月曜の朝のように市場参加者が少ない場合は、スプレッドが開いていて「市場が閑散としている」ということを実感できるだろう。こうした薄商いでは、ちょっと大きめの取引が入るだけでレートが振られるので要注意だ。市場参加者が増えてくると、スプレッドは狭まってくる。
(あまりに閑散としているときなどは、インターバンク市場ではプライスを聞かれた通貨ペアによっては、その後自分たちが処理できないこともあるので、エンプティ(レート付けず)で答えることもあるそうだ。例えば、12/25の東京市場)
また、指標発表時には、レートを見ているだけで、それまで1〜2pipsだったスプレッドが突然スパっと10数pips程度に開く。見ていれば「あ、今発表された」というのが分かる。数秒の後、一旦激しく上下にもみ合い、しばらくしてどちらかにワァーッと大きく動き出す。
指標発表時は、そのようにして市場が混乱している間は、スプレッドは開きっぱなしだ。一旦もみ合いになっても、スプレッドが開いたままなら、まだまだ動く可能性がある。レートが落ち着いて、徐々にスプレッドが普段通りの狭い水準まで戻ってくれば、だいたい指標発表時の混乱と大きな動きは収束した、と言える。
このように、
・市場が閑散としている時
・指標発表後の混乱時
はスプレッドが開く。スプレッドが開くと、取引では不利である。逆に言うと、こういうときは「スプレッドが開いていて取引には不利であるのでエントリーしない」と市場が教えてくれているとも言える。実際、どちらも相場としては振られやすく、いい取引環境ではない。
それを、スプレッドの開き具合から推し量ることができるのだ。
しかし、最近は「ドル円1pip固定」などというFX会社も増え、指標発表時でさえ1pipのまま固定で上下に振られるところもある。こうしたところは逆に、市場が閑散としていても1pipだし、指標発表の瞬間のスプレッドの拡大も見られないから、相場の雰囲気を体感できない。
(これらはスプレッド固定に関する筆者の不満でもある)
インターバンク市場ではスプレッドが開いているのに、FX会社の提示するスプレッドが狭いまま(1pip固定)という場合は、FX会社のシステムの約定力(注文を通す力)が弱いと、いつまで経っても約定しない場合もある。それもそのはず、そのbidとaskの少なくともどちらかは、インターバンクでは示現していないかも知れないからだ。これではカバー先に注文が通るはずがない。
そのため、スプレッド固定のFX会社でも、インターバンク市場で大きくスプレッドが開いた場合は、提示するレートもそれにあわせ、約定力が失われないようにすることが多い(約定力優先、といった感じ。スプレッド固定のFX会社でも多くはこちらだろう)。
常時スプレッド固定、というところがもしあったとすると、相場急変時には注文がなかなか通らず約定しない可能性があり、それはそれでリスクである。
また、2009年3月の第1週に、月曜と金曜の2回、インターバンク市場で広く使われているICAP社のEBSが停止した。
月曜はインターバンクではディーラー達がレート確認をするのに大いに手間取ったようだが、個人のFXにはさほど影響は無かったようだ。実際、スプレッドに異変はなかった。
しかし、金曜の方は、EBS障害が広範囲に影響し、インターバンクはもちろん、個人のFXでも「ドル円1pip固定」を標榜するところでさえ、20pips近いスプレッドが数時間開きっぱなしになる、という事態となった。
これも、市場のシステム障害に起因するFX取引リスクの1つではある。
1週間に2回もEBSが落ちた、というのは、ちょっと心配であるが。。。大丈夫だろうか。
もう1つ、FXのコストとして「手数料」を取るところもある。
最近は取引手数料を取るところはかなり少なくなったように思う。しかし、注文1件ごとに100円とか200円とか、あるいは1000円くらいの取引手数料を取るところはある。
「くりっく365」は、どれも東京金融取引所との取引仲介に伴う手数料がかかるのが普通だ。
ポジションは必ず反対売買で締めくくる運命にあるので、新規と決済で2回の注文・取引をするから、これらの手数料は「往復」でかかることに注意しよう。取引手数料が100円と書いてあったら、それは片道であり、実際は200円取られるということだ。
これは外貨預金の為替手数料と似ている(円投と円転で2回かかる)。
もしここに、
FX会社A: ドル円 スプレッド 4pips、手数料0円(1万通貨あたり)
FX会社B: ドル円 スプレッド 0pip、手数料片道200円(1万通貨あたり)
という2つの会社があったとすると、実際の為替変動量に対して、どちらも、1万ドルあたり400円のコストがかかってくることになるから、同等である。
ただ、FX会社Aのほうは、そのコストが、レートに上乗せされて提示されていることから、「同じ決済指値で」待っていた場合は、FX会社AよりもFX会社Bのほうが、約定する可能性は高いということに注意しよう。
例えば、ドル円ロングの決済指値を100.00に置いていた場合、FX会社Bではbid値が100.00になれば決済できる。
しかし、このときFX会社Aではbid-askが99.98-100.02である可能性があり、届いていないことになる(中心値は100.00で同じでも)。このまま反落すれば、FX会社Aでは決済できないままだ。
このように、コストをレートに上乗せしている場合は、指値もスプレッド分考慮しないと、決済の機会を失う可能性もわずかながらある、ということだ。
ただし、新規も決済も双方で同じ時刻で取引をした場合は、特にどちらが有利ということはない。どちらも、為替変動量から400円分差し引いた分が、決済損益だ。
手数料というと、外貨預金の為替手数料は名前も似ているし、往復で取る、という点も似ている。
しかし外貨預金では、手数料は、9:55あるいは随時実勢のTTM(対顧客電信仲値相場)のレートに足したり引いたりして、
・TTS(対顧客電信売り相場=顧客の買う値段=FXのask)(円→外貨)
・TTB(対顧客電信買い相場=顧客の売る値段=FXのbid)(外貨→円)
の「2-wayプライスで」表示している、という点では、FXのスプレッドに近い。
普通、銀行の外貨預金の為替手数料は片道1円、往復2円であるから、FXにたとえれば、スプレッド200pipsということだ。
これまで述べた「スプレッド」と「手数料」は、実際に動いた為替変動量(為替差益・差損)から差し引かれる形で、我々の決済損益となる。
この場合、もし確定申告の必要があるとき、これらが差し引かれたいわゆる決済損益を、そのまま為替差損益(雑所得)にしていいのだろうか?
これはYes。スプレッドと手数料は、為替取引に必然的にかかるコストであり、つまり「必要経費」である。
よって、実際に動いた為替変動量が本来の「為替差損益」なのだが、そこから必要経費としてのスプレッドと手数料を差し引くことにより、それが雑所得となる。これはつまり決済損益そのものだから、要は決済損益をそのまま雑所得として計上していけばよい。
(ついでにいうと、FXではスワップは金利ではなく「金利差調整分」であり(→第二夜・第三夜参照)、これも雑所得だ。よって、決済損益(スポット損益)とスワップ損益を単純に合計したものが、雑所得である。スワップが金利ではないことは、スワップが付いても利子収入として一律国税15%+地方税5%の源泉分離課税がなされていない、という点からも間接的に分かる)
・・・最後は話が逸れたが、FXにおけるスプレッドは小さくて固定のほうが取引には良いけれども、本当は為替市場の雰囲気を知るバロメータであり、固定でないほうがいろいろ相場の様子が分かるものだ、という点でしめくくりたい。
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