【定義】
�〕憧錣猟譴�無いこと、底抜けの禅機。
��總持寺2世峨山韶碩禅師の法嗣・上足で、陸奥正法寺開山、峨山二十五哲の筆頭。号は無底、名は良韶。資無くして遷化したことにより、後に正法寺の伽藍相続に関する問題が起きる。
生没年：正和2年（1313）〜延文6年（1361）
出身地：能登国（石川県北部）
【内容】
22歳にして、永光寺の明峰素哲禅師に就いて得度した無底禅師は、続いて總持寺の峨山韶碩禅師に参学し、暦応4年（1341）にその法を嗣いだ。峨山二十五哲の名にも残るように、非常に多くの法嗣を輩出した峨山禅師であったが、その筆頭が無底禅師である。無底禅師はその後、諸方を遍参していたが、奥州に住し、地元の有力な豪族達から法要を問われ、帰依を受けるようになり、その者達が正法寺を建立した。
なお、峨山派も一時は永光寺に住持を出して、瑩山禅師門下としての体裁を護っていたが、無底禅師もその制にしたがって、文和4年（1355）に晋住し、翌年辞して奥州に帰った。康安元年6月14日に遷化、法臘28。法嗣は無かった。遺偈は以下の通りである。
【正法寺の伽藍相続について】
『正法開山無底良韶禅師行業記之略』に依れば、羽州（現在の山形県）にて文殊菩薩（亀岡文殊か？）に参じた際に、「抜群の嗣子来たるを祈る」と述べたらしく、優れた弟子を輩出することを望んでいた無底禅師であったが、49年の生涯にてその願いが果たされることはなかった。その経緯を、同文献では「嗣子無くして焉すると雖も、却って早池峯権現妙泉に在すこと有りて、師の大法を不断に荷うに足るなり」とし、早池峯の権現が護ってくれるので問題無いとし、実際に「月泉?、大梅を紹いで化風再び香り、門葉大いに繁茂す」とあるため、正法寺は月泉?良印禅師が継ぎ、門葉が盛んになったと示されている。
ただ、その後、この一件が様々な解釈をされ、例えば『正法二世瑞雲開山月泉良印禅師行状記』では、峨山禅師が無底禅師の遷化を悼み、様々な法物・切紙などを月泉禅師に授けた上で、無底禅師の塔を拝して正法寺を嗣ぐように指示し、それが後に正法寺・定山?良光などによって、「日本、滅後の取り続ぎ伽藍相続の本源」（『正法嫡伝獅子一吼集』）と呼ばれる事態にされたのである。ただし、『亀蔵開闢月泉禅師行状記』ではまだ参学の途中で、既に無底禅師と親しかった月泉禅師は、無底禅師が病床に就いてから正法寺に呼ばれて後事を託されたとされ、後にそれを峨山禅師からも追認されたと伝える。これでは、後の「伽藍法」の本源には成り得ない。
よって、様々な伝記を勘案すれば、無底禅師が、以前から知己の法弟である月泉禅師に正法寺の後事を託し、それを峨山禅師が追認しつつ、様々な法物を伝授したというのが真相であろう。よって、当然に月泉禅師の再嗣法が行われたはずもなく、定山の指摘する「取り続ぎ伽藍相続」は後代の誤解釈に過ぎない可能性が高い。
�〕憧錣猟譴�無いこと、底抜けの禅機。
��總持寺2世峨山韶碩禅師の法嗣・上足で、陸奥正法寺開山、峨山二十五哲の筆頭。号は無底、名は良韶。資無くして遷化したことにより、後に正法寺の伽藍相続に関する問題が起きる。
生没年：正和2年（1313）〜延文6年（1361）
出身地：能登国（石川県北部）
【内容】
22歳にして、永光寺の明峰素哲禅師に就いて得度した無底禅師は、続いて總持寺の峨山韶碩禅師に参学し、暦応4年（1341）にその法を嗣いだ。峨山二十五哲の名にも残るように、非常に多くの法嗣を輩出した峨山禅師であったが、その筆頭が無底禅師である。無底禅師はその後、諸方を遍参していたが、奥州に住し、地元の有力な豪族達から法要を問われ、帰依を受けるようになり、その者達が正法寺を建立した。
なお、峨山派も一時は永光寺に住持を出して、瑩山禅師門下としての体裁を護っていたが、無底禅師もその制にしたがって、文和4年（1355）に晋住し、翌年辞して奥州に帰った。康安元年6月14日に遷化、法臘28。法嗣は無かった。遺偈は以下の通りである。
六代の伝衣一肩に荷い、秘して鴻宝の如き自家の田。今回互正偏の口を緘じて、乾き尽くす大梅無底の淵。 『正法開山無底良韶禅師行業記之略』
【正法寺の伽藍相続について】
『正法開山無底良韶禅師行業記之略』に依れば、羽州（現在の山形県）にて文殊菩薩（亀岡文殊か？）に参じた際に、「抜群の嗣子来たるを祈る」と述べたらしく、優れた弟子を輩出することを望んでいた無底禅師であったが、49年の生涯にてその願いが果たされることはなかった。その経緯を、同文献では「嗣子無くして焉すると雖も、却って早池峯権現妙泉に在すこと有りて、師の大法を不断に荷うに足るなり」とし、早池峯の権現が護ってくれるので問題無いとし、実際に「月泉?、大梅を紹いで化風再び香り、門葉大いに繁茂す」とあるため、正法寺は月泉?良印禅師が継ぎ、門葉が盛んになったと示されている。
ただ、その後、この一件が様々な解釈をされ、例えば『正法二世瑞雲開山月泉良印禅師行状記』では、峨山禅師が無底禅師の遷化を悼み、様々な法物・切紙などを月泉禅師に授けた上で、無底禅師の塔を拝して正法寺を嗣ぐように指示し、それが後に正法寺・定山?良光などによって、「日本、滅後の取り続ぎ伽藍相続の本源」（『正法嫡伝獅子一吼集』）と呼ばれる事態にされたのである。ただし、『亀蔵開闢月泉禅師行状記』ではまだ参学の途中で、既に無底禅師と親しかった月泉禅師は、無底禅師が病床に就いてから正法寺に呼ばれて後事を託されたとされ、後にそれを峨山禅師からも追認されたと伝える。これでは、後の「伽藍法」の本源には成り得ない。
よって、様々な伝記を勘案すれば、無底禅師が、以前から知己の法弟である月泉禅師に正法寺の後事を託し、それを峨山禅師が追認しつつ、様々な法物を伝授したというのが真相であろう。よって、当然に月泉禅師の再嗣法が行われたはずもなく、定山の指摘する「取り続ぎ伽藍相続」は後代の誤解釈に過ぎない可能性が高い。
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