タグ
アツイ会議
気になる情報
教育再生会議HP?
議事録?
イベント?
学習?
サービス?
挑戦?
ニュース?
Wiki内検索
最近更新したページ
最新コメント

19年11月1日 合同分科会 議事録4

議事録1   >      10 11 12 13 14 15


○白石主査 ありがとうございます。急ぐようで恐縮ですが、陰山委員と門川委員から、今日はご参考にペーパーが出ておりますので、まず陰山委員から資料説明をお願いしたいと思います。

○陰山委員 「私的教育新生論」というペーパーになります。

○山中副室長 資料の最後から2つ目になります。

○白石主査 先生のお名前が書いてあるものですね。

○陰山委員 私の方は、ここに至るいろいろな経緯の中で、やはり学力論と、それから渡邉委員がよくおっしゃっておられる制度の問題、それを現場なり私なりの観点で問題点を考え、改善するためにはこういうふうなことはどうかということで、簡単に提案をさせていただこうと思って用意をしました。

 簡単に言います。まず1枚目は、学校週5日制が必要な理由ということで、これはこの間の二次報告のところで申し上げましたけれども、実は、平成15年度の段階で同じ問題を解いている子供たちというのは、50万人の抽出調査によっても既に高くなっていたというようなことで、今回の流れというのは、その流れを受けたものであって、ある面、継続的な実践がなされているということですね。

 ところが、この年に小学生の校内暴力が過去最大になっていたということ。ここのところが、世の中では見過ごされていたと思うんですね。これは昨年度のいじめ問題が起きたときの新聞ではなくて、平成15年度のものを16年の夏に報道された新聞記事です。ですから、やはりそういう点でも、いじめ問題というのは、そこら辺との絡みを考えなければいけないということですね。

 次のページにいきますと、「機敏な対応ができない体制」ということで、これは後で申し上げたいんですけれども、先日、中央教育審議会の方で次の指導要領の概要が公表されましたけれども、私は、一番の問題点は、あれが実施されるのが4年後ということです。ということは、今、中学校に通っている子供たちというのは、もう関係ないわけですね。やはり問題のある指導要領で、私たちは3年間過ごすのかというようなメッセージを与えてしまう危険性がある。もちろん移行措置等によってこれは対応されるべきなんですけれども、やはり10年間指導要領がなかなか改訂できないという、今のシステムはどうなのかということなんです。

 これはゆとり教育と、それから子供たちの精神的な問題を示す校内暴力の発生件数なんですけれども、この新しい学力観というものが平成4年度あたりから入ってくるんですけれども、その直後に、山形の明倫中のマット圧死事件。その後に、愛知の大河内清輝君のいじめ自殺事件があって、全国で対策はとられるんですけれども、実は暴力行為というのはその後も増えていくんですね。私はやはりその当時言われていた、いわゆる詰め込み教育批判というものが、実は非常に誤った分析を伴っていたと。データを見れば、この段階で修正をする必要があったんだけれども、10年に1回の指導要領の改訂の仕組みの中では、これができないと。今回の学力低下批判の中でも、指導要領については毎年見直すというようなことが言葉としては言われましたけれども、それらは制度的に保証される部分は全くないわけですね。ですから、ここのところを何とかしなければいけないのではないかという点です。

 それからもう1点は、これはバウチャー制度にもかかわってくるんですけれども、例の競争原理が足りないからじゃないかというふうに言われますけれども、今回の学力テストを見ましたように、経済格差というものが学力にも非常に大きな影響を与えてきていると。

 といいますのは、非常に粗い競争原理の中では、まず、当然のことながらスタートラインは公平でなければいけないと思うんですけれども、それが担保されていないということですね。その結果、ここ近年の東京大学の合格者というのは、非常に高額所得者に偏ってきていると。一方、1995年から年収450万円以下の家庭からの東大合格者がふえていましたけれども、私はこれは地方の公立高校のいわゆる未履修問題、ここのことが実はかかわっていたのではないかなというような気がいたします。ですから、そういう観点からすると、もう少しこの辺、全国的な視野で考える必要があるのではないかなということです。

 2枚目、3枚目、その後は飛ばしますけれども、イギリスとフィンランドに行ってきました。イギリス、フィンランド、ともにヨーロッパの国ではありますけれども、非常にイギリスというのはエリート志向の強い国。それからフィンランドについては、庶民のというか、人々の高度の自立を目指す教育ということで、非常に学習の動機は違うんですけれども、いずれも高いと。

 野依座長がいらっしゃる関係もあって、ちょっと調べてみたんですけれども、理系の自然科学分野でのノーベル賞受賞者を見てみました。後ろの方にちょっと入れていますけれども。やはり、戦後を見ましても、アメリカが204名ということで圧倒的に多いんですけれども、これを100万人当たりの理系ノーベル賞の受賞者で見ると、やっぱりイギリスが圧倒的に高いんですね。日本は、イギリスの10分の1です。人口の割合とか、またイギリスの方はオックスブリッジというふうな、行ける階層というのが非常に限られているところを考えますと、実は、人口比何%に対して何人かの天才的な素質が出ているということではなくて、やはり制度が問題なんだろうと。そうしますと、イギリス、フィンランドの教育制度の特色を考えますと、結局、やはり高度に子供たちを伸ばそうとする手間ひま、お金がかけられているということに尽きるのではないかなと思います。

 次のフィンランドの子供たちの授業後の机の写真を撮ってきました。小学校1年生の子のです。中学校ではありません。ここではキノコの学習を生活科としてやっていましたけれども、真ん中にありますのが教科書です。非常に高度な説明があるのに大変驚きました。

 本格的な参考書を駆使しながらやっています。さらに、この教科書、ノートはおろか、鉛筆や消しゴムに至るまで国から支給されているということで、非常に、いわゆる経済格差というものを意識させない教育費というのがかけられているなと。

 23名の授業でしたけれども、先生が3名入っていました。当初、落ちこぼれが出ないような平等性の教育という観点で、私は聞いていったんですけれども、平等性というよりもすべての子供たちを高度に高めるんだという強い意思をこの教科書から感じました。当然のことながら、ついてこられない子供たちというのは出てくるわけで、それをサポートする意味で、非常に優秀な先生が3名もついて個別対応をしていると。やはり、こういうふうなしっかりとして、子供たちを伸ばすんだというような方向性を今後日本も志向する必要があるのではないか。

 まとめとして考えてみました。

 まず最後のところなんですが、教育再生から教育新生へということで、私も教育課程部会にいて、今、指導要領の改訂の一翼を担っているんですけれども、そもそも旧来あったものを改訂するという作業が、今後、21世紀後半を開いていく学力づくりとしていいのかどうかということを、一度考えなければならないんじゃないかなということを思っています。

 まず、そのことの国民的な合意をつくるためには、1番が一番言いたかったことなんですけれども、全保護者による教育ボランティア制度をつくってはどうかと。これ以上、教育費にお金をかけることはできませんから、1年に1回、1日学校に行って、学校のお手伝いをすると。それをすることによって、マネジメントの非常にうまい校長先生だったら、例えば杉並の和田中の藤原校長先生であれば、実に見事に入ってこられる人材というものを生かされて、高度な指導というものを組織されると思います。また、そのことによって、しょっちゅうたくさんの保護者が来られますから、いわゆる不適格な指導をする教職員というものは非常なる圧力を感じるはずですし、また、子供たちの側もそういういろんな保護者が来る中で、いじめだとか、何だとかということは非常にやりにくくなると思います。

 一方、モンスター・ペアレンツというような、非常に無理難題を吹っかけてくる親御さんも、そういう人たちだけが出かけていくから、周囲のいわゆるまともな親御さんたちがそれを知らないから、そういう問題も起きてくる。多くの人たちがかかわることによって、そういうこともなくなるのではないか。

 経済団体の方とか、いろんな方にこういうアイデアはどうですかというふうにお話を聞いてみたんですけれども、非常におもしろいアイデアだというふうに思うと。要はどのようなことをさせるかだねという話でして、これも考えていいんじゃないかなと思いました。

 2点目は、今回の統一学力テストもそうなんですけれども、弾力的に教育内容を変えなきゃいけないと思います。フィンランドはこの20年間に一貫して学力のレベルを高めるように、教材を高度化していったと言っていました。しかし、日本は10年に1回レベルダウンをしていきました。やっぱり実証的にとらえる、日常をイメージするのは、もう必要じゃないかなということです。

 3番は言いましたので、省略をします。

 そのためには、この間も議論にありましたように、教育手法の抜本的な改革をすると。そのためには6−3制というものを、一度4−5制とか、4−2−3制とかに改めてはどうだろうか。そして、そこに必要な教育費については、諸外国並みにGDP比1%増なんか、一つの数値目標として伸ばしていけばいいのではないか。そういうことを考えた次第です。以上です。


議事録1   >      10 11 12 13 14 15
2008年01月13日(日) 16:48:04 Modified by ID:foT7vCcagg




スマートフォン版で見る