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12氏作品 18スレ目 その2(避難所)

姉「いきなり雑談でごめんなー」

323 :愛のVIP戦士:07/03/01 21:21:47 ID:IcsFu88k
バイトだな。

それじゃ12氏が帰って来てから答えて欲しい質問。

概出かもしれんが、それぞれのキャラに1曲テーマソングを考えるとしたらどうする?

俺友はダースベイ(ry

今日エヴァパチやった。死にたくなったorz

324 :愛のVIP戦士:07/03/02 00:53:07 ID:8SyfIUa1
>12です

【俺と店員の楽屋裏ラジオ】

俺「まあ、アイツならダースベーダーだな」
店員「あとうちの店長はヴェルディのレクイエム(エヴァのアレ)かしらね」
俺「あとは下の通りな」

姉……カゼノトオリミチ
姉友……朝比奈みく(ry
素ヒ……知恵と勇気だ! メダロット
店員……LOST CHILD/藤原ヒロシ+大沢伸一 feat.クリスタル・ケイ
俺……お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!

俺「確実に俺の適当だろ」

426 :愛のVIP戦士:07/03/18 20:38:15 ID:WqqGj0x6
【サイフがないよ】

結局、デートとやらはライブ会場に入らずに近くの公園でのんびりすることになった。
「はい」
「お、おう……」
ベンチで項垂れている素ヒにソフトクリームを差し入れる。彼女は素直に受け取るとちびちびと舐めはじめた。
「……すまない」
「いや、こういう日もたまには良いと思うよ」
それなりの慰めはそれなりに青い空へと飛んでいった。いや、そう思っているのは確かだった。
なんだかんだ言って化け物に怯え、しかもそいつらと殺し合いをするのは自分にも、目の前の少女にもあまりにも重荷だ。
「後でお兄……あ、兄に謝っておくっ」
「そうだな」
横目で彼女を見ると、既にソフトクリームは僅かとなっていた。案外、甘いものが好きらしい。
あらかたクリームを舐め終えた彼女は、下の部分だけ持ってベンチから立ち上がる。
「どうした?」
「私は」
「ん?」
「私は今日、楽しみにしていた」
振り返った彼女はまっすぐとこちらを見つめる。やはり彼女の瞳には何か不思議な力があった。
「それは久しぶりにお兄ちゃんを見ることが出来ると思ってた。結局、私のヘマでダメだった」
「そうか」
燃えるような彼女の視線が、徐々に、まるで泣いているかのように。
「でも、それでも良いと思ってしまったんだ。私の心が」

428 :愛のVIP戦士:07/03/18 20:49:52 ID:WqqGj0x6
【道にも迷った】

「あのな、男」

「わ、私はこれでもなんでもハッキリ言うタイプだと思ってたんだ。回りくどいことは嫌いだし、ぐちゃぐちゃ考えるのも苦手だって自覚もしてる」

「だけどな、お前のことを考えるとなんていうのか……その、胸が、心がその……ぐちゃぐちゃするんだ。私らしくないって思ってる。でもお前のことを思うたび、考えるたび私が私らしくなくなるんだ。変だろう? こんな変な私、笑えるだろう?」

「だからお前を嫌いになろうとも思った。お前みたいな軟弱者なんてすぐ嫌いになれるはずだって。そうすればこのぐちゃぐちゃだってすぐになくなるだろうって」

「でもダメなんだ。お前のことを嫌いになろうって思うたび、避けようって思うたびぐちゃぐちゃが私に向かって叫ぶんだ。殴りかかってくるんだ。なんでそんなことするんだ。バカじゃないのかって」

「でもそうやっているうちはまだ楽だった。まだお前をまっすぐ見てないから楽だったんだ。でもお前にそっぽを向いたことで私は、私の心にまでそっぽを向いたことになったんだ。だからV.I.Pもそっぽを向いたんだ」

「本当に私はバカ野郎だ。ほんの少し考えれば、ほんの少しお前をと向き合えば済むことをずっとやらなかったんだ」

「私は今、とても苦しい。ぐちゃぐちゃしてる」

「だけど、そのぐちゃぐちゃを受け入れることにした」



429 :愛のVIP戦士:07/03/18 20:51:27 ID:WqqGj0x6
【それでも私は前に進もう】






「好きだ、男。たとえ世界中にそっぽを向かれようと、私はお前だけを見てる」







430 :愛のVIP戦士:07/03/18 21:01:01 ID:WqqGj0x6
【決意の合間】

好きだ。
その言葉は急激に自身の中に浸透し、そしてガキみたいに俺の顔を紅潮させる。
目の前の彼女はというと、同じように顔を真っ赤にさせながら、それでも炎のような瞳をこちらに向けていた。
男として情けないと思うが、俺はこみ上げてきた恥ずかしさを拭おうと、彼女から顔をそらす。
「その……」
「ダメか!? 私は男が好きなんだ! お前じゃないとダメなんだ!」
いや、そうじゃなくていちおう休日の公園だし人もそれなりにいるから。
「男のことがどうしようもなく好きなんだ! どうすれば私の気持ちが伝わるんだ!?」
「いや、だから」
とりあえず黙ってくれれば分かる努力はしようと思う。
「よし分かった! ここでお前に誓おう! 男ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! お前のことをぉぉぉぉ愛してr
「そぉい!」

どこまでも続く青空の下、俺の渾身のツッコミがどこまでも響いていった。




432 :愛のVIP戦士:07/03/18 21:19:19 ID:WqqGj0x6
【お家に帰ろう】

緩やかに揺れる車内、俺は背中におぶっている素ヒを座席に移すと一息ついた。
幸いにも車両には、仕事帰りのサラリーマンが一人、疲れて寝こけているだけだ。
「とりあえず起きたら謝らないとな」
ちょっと良いところに入りすぎた俺のツッコミは、彼女の意識を刈り取るには十分だったようで、日ごろの疲れも相まって今はスゥスゥと心地よい寝息を立てている。
「なんだったんだかな、今日は」
そう一人ごちて、やや赤みがかった日に目を細めながら車外へと目を移す。
田畑が続く道は先ほどからポツポツと住宅を残すだけで一向に変化がない。壊れたリピート再生のようにも思えた。
いつの間にか肩に重みを感じて見てみれば、素ヒがこちらに体を預けてきていた。
やはり寝ているのか、いつもは彼女の直情さを表すキリッとした眉も、穏やかな丸みを帯びている。
こうしていれば可愛いのになあ、なんて言葉もあるが彼女はああいう姿があるからこそ魅力があるのだろう。
近づいた素ヒに、俺も徐々に顔を近づける。おいおいと言ってくる小さい俺は、どっか脇に置くことにした。
寝ているときにごめんな。
一応の謝罪は突然鳴り響いた携帯に邪魔されて、お開きになってしまった。

552 :愛のVIP戦士:07/04/05 21:52:51 ID:mlPOKGTm
>12です
イージャン! イージャン! スゲージャン!

【帰り道でも】

「どうした……?」
そう言って起きる彼女。存外に顔が近いことに驚いたのか、「わあ」と声を上げて飛びのいた。
俺は妙に刺々しい気分を顔に出さないように携帯をポケットから出すと、表示にある“店員”という文字に少し胸がざわつく。着信を押すと「邪魔したかしら」なんて言い出すから憎たらしい。
「電車乗ってるの? という事はもう帰ってるのね。なら良いわ」
「なら良いって?」
「いえ、今日、貴方達が行った地域で厨が発生したって連絡があったから。万が一ね」
「はあ」
誰と話してるのか分かってないのか、素ヒは神妙な表情でこちらを待っていた。夕日に照らされているせいか、騒がしさしか感じられない彼女の、静の部分を見ている気がする。ちょっとだけ目をそらした。
「じゃあ誰かそっちに向かってるんですか?」
「誰か?」
「ええ。ああ、でも今は姉友ちゃんぐらいしかいないか」
流石に姉友ちゃんだけでは厨を相手にするのはキツイか、などと思っていると、受話器越しの店員さんが吹き出した。
その笑いは、生理的に受け付けない類だ。
「何を言ってるの貴方は。そんな、私達の担当の地域でないトコロにわざわざV.I.Pを出すわけないじゃない」
血が沸き立つ感覚。しかし、次の瞬間には冷静な自分が横合いからそんな自分を殴りつけていた。影に見えない素ヒの顔。果たして今の自分の顔を見てどう思っているか。
「そう、ですよね……」
「ええ。なるべく早く戻ってきなさいね。こっちも手薄であることには変わりないから」
後は自分の言葉ではない言葉が相手をしてくれた。内容はたいして覚えてない。分かっていたことじゃないか。そう言い聞かす自分に、意外なほど従う自分がむしろ嫌だった。
通話の終わった携帯を戻す。今更、何かにあたったところで事態が好転するわけでもない。
「どうしたんだ、男?」
すっかりその存在を忘れていた素ヒと目が合う。
「いったいどうしたんだ、男? 何か、何か嫌なことでもあったのか?」
そしてやっと思い立った。店員さんから聞いた地域が、丁度素ヒの兄がライブを行っている場所だということを。

555 :愛のVIP戦士:07/04/05 21:59:11 ID:mlPOKGTm
【犬の尻尾を踏んだり】

車内では淡々と次の駅の名が告げられている。窓の外は徐々に自分の街の様相を見せ始めている。あと少しすれば日
常に戻る。あの化け物と戦う毎日。でもそこには仲間がいて、守りたいものがあって、守る為の力がそこにはある。
それは凄く恵まれていることだ。
「なあどうしたんだ、男? 今日のこと怒ってるのか? それともわ、私のあれが気に入らなかったのか……? そうだったら、か、悲しいけど、でも……」
何を勘違いしてるのか、素ヒはオロオロとその場に立ち上がる。もう夕日も見えなくなってきて、夜の帳も降りた街は静かに次の朝日を待つ準備を始めていた。
その準備も出来ない人がいる。
「なあ、素ヒ」
先ほどまであれほど慌てていた彼女は、俺の言葉にピタリと静かになると、餌を待つ子犬のようにこちらの言葉を待っている。俺はその瞳の奥を覗くように見つめ返す。やはり彼女はどこまでも真っ直ぐだ。それは同時に、彼女のどこか悲劇めいた覚悟まで表しているかのようだ。
そう、ヒーローなど幻想でしかない。

「行こう、素ヒ。困っている人を助けよう」

何の説明もなしに告げた俺に、素ヒは一言、「おう」と頷いた。
電車が止まる。丁度、戻りの電車もドアの先に待ち構えていた。

558 :愛のVIP戦士:07/04/05 22:40:26 ID:mlPOKGTm
【変な人に追いかけられたり】

電車が発信した直後、携帯からけたたましい音が飛び出る。
「ちょっと! なに戻ってるのっ!?」
まさかこんなにすぐに行動がバレるなんて。自分と素ヒの服を見直す。いや、発信機などいくつ付けてられていようが不思議ではない。声の主に気づいた素ヒは不安そうに俺の顔を見るが、それでもすぐにいつもの強気な表情に戻すと俺の携帯を取り上げる。
カシャン、と独特な金属音の後にグシャッとした何かが踏み潰される音。俺と素ヒはニコリと微笑んだ。そうだ、それこそお前に相応しい顔だ。
ふいに重力が真横になった感覚。素ヒがこちらに向かってよろけてくるのを慌てて受け止めるも、自分も同じようによろけているため、そのまま盛大に二人して地面に転がってしまった。頭をしたたか打ちつけてしまった俺は、目の前を飛ぶ星に参りながら立ち上がる。素ヒはこっちの心配もそこそこに、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。言っちゃ悪いが暢気な奴だと思った。
車内放送が入り、厨の出現のためこれ以上の運転は出来ないという旨が伝えられる。当たり前だ。誰でも命は欲し。
証拠に車内には自分達二人以外に誰もいなかった。仕方ないのでここからは徒歩ということになるだろう。
俺と素ヒは車掌の制止の声もそこそこに、車外に出ると僅かに照らす線路の上を歩き始める。
「映画のワンシーンだな」
そんな冗談の声も、いずれ来る戦いの場にそれ以上の言葉が出ない。結局は勢いだけなのだろうか、今更になって押
し寄せる不安と恐怖にどうしようもなくなる。
「お兄ちゃん……」
素ヒのボソリと呟いた声に、夜はどこまでも無慈悲に静寂をたもっていた。

目的の場所に着いたのは、それから30分ぐらい先になる。所々、潰された建物。地震の被災者のように往来で途方に暮れる人々。もっと酷いものを想像していたのだが、聞けば自衛隊が他所へ厨をおびき寄せて難を逃れたらしい。け
れど、その自衛隊の人達もマトモな装備を持っていなかったという。その後どうなったかなど、考えるに容易いが避
けることにした。
「とにかく怪我をしている人の介抱だ。やらなきゃいけないことは沢山ある」
「ああ」
無力。正直言ってそれしか感じられなかった。

604 :愛のVIP戦士:07/04/16 16:46:43 ID:GgxML5Wv
【忘れられたメインディッシュ】

それからは時間など忘れて動いていた。既に夜であるということも影響してか、救助作業は遅れに遅れているらしい。
聞けばまだ瓦礫の下に埋まっている人もいるらしい。もしもV.I.Pがあれば。つい思うたびに振り払う。同じように瓦礫を見つめる素ヒも似たような心境であろう。とにかく何か出来ることはないか、微かに残った勢いを振り絞って救助隊の人たちと一緒に動くことにした。
しかし、やっと足掛かりが出来たと思った矢先、大きな地響きにより崩れかけた日常が跡形もなく消される。
化け物だぁ! 誰の声なのか、確認する間もなく恐怖が全身を駆け巡る。照明が圧倒的に少ないその場に浮かび上がる、巨大な漆黒のシルエット。それでも目を凝らすと見える禍々しい姿をした怪物。おそらくその場にいる全員がその光景に身を凍らせた。
そして、何かが爆発したように散り散りになって逃げる人たち。狂ったように叫ぶ人、子供を抱えて必死に遠くへ駆ける人、人を押し退けてまで我が身可愛さに走り出す人。いずれの人たちも命を守る為の最低限の防衛行為。それしか出来ない選択のない選択。
そうして慈悲と最もかけ離れた存在は、劈くような咆哮と暴力を以って蹂躙を開始する!
真黒の影がその異様に伸びた腕を振り回す度に悲鳴がかき消される。何かが無残に破壊される音と無残に殺される音だけが周囲を支配する。残るのはどうしようもない恐怖。諦念など感じさせないままに追い詰めようとする怪物。
「男ぉ! 早くお前も逃げろぉぉぉ!」
素ヒの声に、やっと自分が突っ立っているだけの役立たずだと気づいた。ただ気づいたときには遅かった。化け物は素ヒの声にいち早く反応し、義務だとでも言うのか、彼女を壊そうと巨体を揺らしその声の方へと照準を定めていた。俺もまた足も千切れよとばかりに力を込める。彼女らしき影が怪物と対峙し、今まさにその腕に潰されていようとしている。まるでいつかの光景だと、頭だけは妙に冷静になっていた。
「素ヒィ!」

→素ヒを押す
 素ヒごと転がり込む

617 :愛のVIP戦士:07/04/16 17:31:17 ID:GgxML5Wv
【→素ヒを押す】

素ヒを押す。彼女の柔らかい感触が広がると同時に、信じられないと言ったような顔がこちらに向く。そういう顔をするな素ヒ。お前はいつまでも笑って、強気な顔が似合っ




【DEAD END そういう美学は好きではない】


618 :愛のVIP戦士:07/04/16 17:31:36 ID:GgxML5Wv
【姉と俺友のキリング台所】

トントントン……

俺友「……本日はミーオンリーでお送りします」
姉(蝋人形)「……」
俺友「……生きる覚悟はおありですか?」
姉(蝋人形)「……」
俺友「……」




626 :愛のVIP戦士:07/04/16 17:42:42 ID:Fr7H8AQT
俺:阪口大助
姉:茅原実里
姉友:後藤邑子
俺友:後藤沙緒里
素ヒ:松岡由貴

兄:三木眞一郎
店員:沢城みゆき
店長:皆口裕子
渡辺さん:田村ゆかり

別姉:釘宮理恵
弟:白石涼子
杖:真田アサミ

ライバル:千葉 千恵巳
クラレス:井上喜久子

630 :愛のVIP戦士:07/04/16 17:49:00 ID:Fr7H8AQT
声優さん豪華に考えてみた>>626
それに辿り着く前に

別姉→くぎみ
弟→ショタ・・・?→くぎみ
杖→少し感情が無いような・・・→ネム→くぎみ

あれれ〜?ってなことに陥ったのは内緒の話

643 :愛のVIP戦士:07/04/16 19:59:05 ID:GgxML5Wv
【→素ヒごと転がり込む 忘れられたメインディッシュ2】

とにかく生きていれば良い! 素ヒの体に向かって体当たりをし、彼女を捕まえるとそのままの衝撃で転がり込む。直
後に鼓膜が破れたのではないかと思うほどの轟音。すぐに体勢を立て直して走り出す。とにかく逃げなければ。そう頭では思っていても、恐怖に駆られた体がそんな素直に動くものではない。ただでさえ厨と人間では、小型とはいえガンダムと人間ぐらいの差はある。厨は俺と素ヒの目の前に回り込むと、再び腕を振り上げる。そのままその鉄骨のような腕を下ろせば確実に絶命する。
ただただ自分の無力を呪う。なぜ力がない。いや、力はある。けど、どうしてその力を奮えない。それが普通の力なのか。なぜ普通なんだ。普通では戦えないのか。この身で包む少女すら守れないのか。悔しい、悔しい、悔しい。
体中の血が沸き立つ。沸騰する。駆け巡る熱さは次の瞬間には急激に冷え、あらゆる感情を凍らせる。凍らせた感情はそれでもままらぬと暴れだし、縛る氷を砕き血をまた熱す。その繰り返しが万回に続き、集中は研ぎ澄まされる。
振り下ろされる腕。
応えてくれ。何でもいい。
迫る死。
せめて、守りたいんだ。
数瞬の間。
だから力を。守る為の力を。
衝撃と轟音。
まだ俺は壊れていない。
「……え?」
顔を上げる。すぐそこにいたはずの化け物は地面に転がって、代わりに見慣れたあのロボットが立っている。ただそれだけなのに違和感を覚えた。
「如水流……?」
青い機体がその巨体に似合わぬ身軽さで駆け、倒れている怪物に追い討ちをかける。馬乗りになり手に持っている何かで殴りつける。そこで自分のロボットでは無いと思い立つ。じゃあなんだあれは。どうしてここにいる。
動きを止めた厨にロボットが離れる。まるで何事もなかったように帰ろうとするV.I.Pに、いつの間にか俺の手から離れた素ヒが駆け寄る。俺が止めようとすると、ロボットの前に立った彼女は両手を広げて止める。
「おい! 厨を倒したんなら周りの人も助けろ! それが正義の味方だろぉぉぉぉぉ!」

662 :愛のVIP戦士:07/04/18 00:04:05 ID:xB9xlMg2
【忘れられたメインディッシュ3】

彼女の言うとおりだった。言われるまで気づかなかったが、先ほどまで怪物に蹂躙されて尚生き残った数少ない街の人々が救いを求めるようにV.I.Pに視線を向けていた。ほんのちょっとその力を貸してくれれば良い、ただちょっと瓦礫を動かせば。そう訴える瞳たちをソイツは素ヒを軽々跨ぐ事で拒否した。
「おぉぉぉい! 頼むから! 少しで良いから力を貸してくれぇぇぇぇぇ! 後生やぁぁぁぁぁぁ!」
その場で土下座する素ヒ。頭を擦り付けてまで懇願する彼女に、周囲の人も同じように頭を下げる。俺もまた同じように地に頭をつけるべきなのだが、何故だか出来なかった。代わりに今すぐあのロボットに乗っている奴を引きずり降ろして殴りつけたい感覚に襲われる。理由など関係ない。
ただアイツに対して無性にイライラする。
そうして俺以外のその場にいるほぼ全員が頭を垂れる中、マイクでも使ったのだろう、パイロットらしき男の声が瓦礫の山に無残にも響いた。

『本来、ここは管轄外だ。倒してやっただけでも感謝するんだな』

「ふざけんなぁ!!」
一斉に視線が俺に集まる。先ほどまで膝を折っていた素ヒも立ち上がると、「バカ!」と俺に慌てて掴みかかる。その手を振りほどいて尚、俺は言葉を続けていた。
「管轄だと!? ふざけんな! こうやって目の前に困ってる人がいるだろうが! それをてめえの都合で見過ごすってのかよ!? そうやってお前はこの人たちを見殺しにするのかよ!」
上手く言えたのはここまでで、後はもう何を言っているのかすら分からない。ただ怒鳴って、喚いて、叫んだだけだったような気がする。それでも俺は遥か上から見下げてくるソイツにありったけの言葉をぶつけた。そうして切れた息を整えながらロボットごと睨みつけると、ソイツはたった一言を吐いた。

『貴様に言われたくはない』

唖然とする俺と素ヒを前に、ロボットの後頭部にあるハッチが開き足元から人影が躍り出る。
そして俺は、自分と全く同じ面をしたソイツに出会った。

663 :愛のVIP戦士:07/04/18 00:05:40 ID:xB9xlMg2
【スイーツ・スイーツ・セレナーデ】


「やあ、俺。そして『私』自身。早速で悪いのだがこの状況、事象から説明させていただく事にしよう。少々、『私』でありながら君は理解力に乏しいらしいが、こちらも語彙は選ぶつもりなので容赦してくれ。まず、私と君は多世界解釈の下に存在する同一存在である。なぜ同世界にこうして同じ存在が重複して存在しているのかは追々詳しく説明するとして、つまり君はこの世界の住人ではない、存在ではないということだ。我々、こちら側の人間が不本意ではあるが君を必要と判断し、またこちらの世界に移動させることが可能であったために実行した。先ほども言ったが、個人的には私は君をこちら側の世界に呼ぶことに少々、疑問を感じていたが、まあ君の今までの功績を鑑みるに評価に値することは認めよう。それで、何か質問はあるかな?」




664 :愛のVIP戦士:07/04/18 00:11:40 ID:xB9xlMg2




【第七話 恋せよ漢女 終了】





665 :愛のVIP戦士:07/04/18 00:12:43 ID:xB9xlMg2
【次回予告】

姉友「ふぇぇ〜? 俺さんが二人ぃ〜?」
店長『あらあら。大変なことになりましたねえ』
店員「貴方が言うと全く嘘臭く聞こえますが、確かに大変な事態ですね」
俺友「……次回、【第八話 きっと貴方は】……それでは来週も、ジャンケン、グー」
2007年04月19日(木) 01:56:19 Modified by ID:Uc85QodDrQ




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