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事件の概要

この事件の原告は電力会社であって、その保有する5基の火力発電設備について、電気事業法などに基づく廃止のための手続きを執った上で、各発電設備ごとに一括してその設備全部につき、いわゆる有姿除却に係る除却損を計上し、これを損金の額に算入して確定申告をしたところ、各発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないとは認められないなどとして、更正処分などを受けた。
争点は次の3点。
(1)火力発電設備除却損の損金算入の可否
(2)各処分の信義則違反性
(3)過少申告加算税における正当な理由の有無

判決要旨

(1)
 火力発電設備がその廃止により発電という機能を二度と果たすことがなくなった以上、火力発電設備を構成する電気事業固定資産の「既存の施設場所」における「固有の用途」も完全に失われたことになるのであって、本券火力発電設備を構成する電気事業固定資産については、「既存の場所」にけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止」することとという除却の条件が充足されているのでその有姿除却が認められるというべきである。
 電気事業会計規則上、電気事業固定資産の除却とは、既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止したものをいうものと解すべきであり、本件火力発電設備が廃止され、将来再稼働の可能性がないと認められる以上、火力発電設備を構成する個々の電気事業固定資産についても、火力発電設備の廃止の時点でその固有の用途が廃止されたものと認められ、同規則にいう除却の要件を満たすことになる。
 本件火力発電設備の廃止の時点で、各発電設備を構成する個々の資産は、そのほとんどが、社会通念上、その本来の用法に従って事業の用に供される可能性がなかったもの、すなわち、再使用が不可能であったと認めるのが相当であるから、実際に解体済みであったものを除き、いまだその本来の用法に従って事業の用に供される可能性がないと客観的に認められるような状態には至っていなかったとする課税庁の主張は採用することができない。

(2)(3)略。

検索情報

参考文献・資料

TAINSZ888-1215
『税のしるべ』平成20年4月7日号P.6

関係法令等


裁判情報


事件番号 平成17年(行ウ)597号
事件名
裁判年月日
法廷名
裁判種別

原審・上訴審

[[]]控訴せず確定。
[[]]

類似/参考判例等

[[]]

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