| 高校 |
| 私は都内の高校に通う、フツーの女子高校生。 |
| フツーだけど、私にはちょっと特別な友達がいる。……そう、北川真尋って子。 |
| 高校に入ってから、なんとアイドル活動を始めたらしく最近では雑誌やTVでも見かけるようになった。 |
| クラスの誰よりも元気で、クラスの誰よりも人気者。……私の自慢の、友だち。 |
| キンコーンカーンコーン♪ |
真尋 | やばいやばいやばいっ!! |
| ガラガラッ |
真尋 | ふぅ〜。間に合った〜! |
教師 | ははっ、北川は今日もギリギリだな。ほら、早く席に座りなさい。 |
真尋 | はいはーい! |
教師 | コホン。じゃあ、出席を取るぞ〜。 |
私 | ……真尋。今日も寝坊? |
真尋 | えへへ。最近ちょっと、夜更かししててさ! |
| ……………………………… |
| 放課後 |
真尋 | ふわぁ〜。歴史の授業ってなんであんな眠いんだろう?おもいきり体動かしたい気分だよー! |
私 | あれ?真尋、部活は? |
真尋 | 今日はアイドルのレッスンがあるから、部活はお休み!これから事務所に行くんだ。 |
真尋 | あっ、アイドルといえばさ!渡しそびれてたんだけど……ほい、コレあげる |
私 | ……ソーセージ? |
真尋 | そう、ドイツ土産♪味は保証するよ!きっと今まで食べた中でダントツに美味しいはず! |
私 | へー、ありがと!そういえばドイツの話まだあんまり聞いてないけど、楽しかった? |
真尋 | うん、すっごく楽しかったよ!新しい物にたくさん触れたし、面白い出会いもあったし!ただ……。 |
私 | ただ……? |
真尋 | 海外だから、ほかのアイドルといつも以上に長い時間一緒にいるじゃん?そうしたら、気付いちゃって。 |
真尋 | なんというか……みんな、すっごく可愛いんだよね。アイドルだし、当たり前って思うかもしれないけどさ! |
真尋 | 自分に自信があったり、好きなものがはっきりしててそれぞれキラキラしてるんだ。 |
真尋 | でもさ、私って違うじゃん?私の魅力ってなんだろうなーってグルグル考えちゃって。色んな雑誌とか読んだりして。 |
私 | あ……もしかして、それが夜更かししてる理由? |
真尋 | そうそう。でも、ぜ〜んぜん答えが見えてこないんだよね〜。 |
真尋 | ……って!話し込んでる場合じゃないし!レッスン行かなきゃ!!ごめん、また話そうね! |
私 | ……行っちゃった。もう、相変わらず嵐みたいな子だなぁ……。 |
| 翌日、昼休み |
クラスメイトA | なんかさー。今日、静かじゃない? |
クラスメイトB | あー……あれじゃん?ほら、真尋がいないし。 |
クラスメイトC | 朝のロケが終わったら来るって聞いてたけど、まだかなー。 |
真尋 | みんな、おっはよー!北川真尋、さんじょー! |
クラスメイトB | あ、おはよー!噂をすればって感じだね。ってか、なんで私服? |
真尋 | 仕事が終わって、ダッシュで来たから!パンを食べたら、着替える! |
真尋 | ……って、あーっ!!パンにバター塗るの忘れてるじゃん! |
クラスメイト | あははっ♪ |
| 放課後 |
陸上部 | いっちにーさんしー!ごーろくさんしー! |
私 | (あ……真尋だ。グラウンドを忙しそうに走り回ってる……) |
私 | (後輩にアドバイスをしたり、マネージャーとタイムの相談をしているみたい……) |
私 | (……真尋の部活が終わるまでちょっと時間を潰そう……) |
真尋 | えっへへー、嬉しいなあ〜。わざわざ待っててくれるなんてさ! |
私 | いいよ、別に。暇だったし。それより……昨日の話だけどさ。 |
真尋 | 昨日の……?あ〜!お悩み相談させてもらった件? |
私 | そう。あれから私なりに考えてみたんだけど…… |
私 | 真尋、悩む必要なくない? |
真尋 | えっ!なんでなんで? |
私 | だってさ。真尋には絶対、ほかのアイドルにはない魅力があるよ。 |
私 | 真尋がその場にいるだけでまわりがパッと明るくなるし、何でも話したいと思うような優しさもある。 |
真尋 | …………! |
私 | あと、誰よりも足が速くて、走るのが好き。食べるのも。だから、もっと自信を持っていいんじゃない? |
真尋 | …………。 |
真尋 | ……えへへ、ありがと。 |
真尋 | そうだよね!私、何を悩んでたんだろう?私には、こーんなに優しくて頼もしい友だちがいるのにね♪ |
私 | なっ……。 |
真尋 | せっかく足を褒めてもらったし向こうの交差点まで競争しよ!準備はいいっ? |
私 | ちょ、ちょっと……! |
真尋 | えへへ、負けた方がアイスをおごるってことで♪ |
真尋 | 行くよー?よーい、どんっ! |
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