いのちの授業２
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zunzun_sigma 2023年01月22日(日) 00:55:09履歴
本文 
クラスで一人に一匹、育てるように渡された山妖精。
次第に妖精達の耳も生え揃い、成体ずんへと変化した頃、学校の男子達の間でとある遊びが流行した。
ーーもちもんバトルである。
流行りのアニメやゲームの影響だろう。自分の育てた妖精を戦わせるのだ。
〜〜〜
放課後、体育館の裏に人だかりが出来ている。その中心には2匹の山妖精。
「たけしくん、行って来るのだ…！」
「がんばれ、ずんずん！」
「僕はもう、戦いたくないのだ…」
「おい、ずん太！やらないと今日は飯抜きだぞ！」
「そ、そんな……。わ、わかったのだ…！」
ずんずんと呼ばれた妖精は、もう一方よりも一回りほど大きい。しかし、去勢の代わりに飛行器官を破壊されており、飛ぶことができないため、単純な体格差では勝負は判らない。
「よし、始めるか」
「そうだな！じゃあ俺から行かせてもらうぜ！いけ！ずんずん！とっしんだ！」
「のだっ！のだのだのだのだっ！」
ずんずんと呼ばれた妖精は強いストライドで助走をつけ跳躍する。
「守れ、ずん太！」
「のだ……？ ま、まもるって、どうやって……？」
ずん太と呼ばれた妖精は、高速で迫る妖精を前に何をすべきかも判らずあたふたとあたりを見渡した後、背中を向けて丸まった。
「お、『まるくなる』か！ いいぞ、よし衝撃に備えろ！」
「うう、こわいのだ、こわいのだ……、ぐえぇっー！！」
当たり前だがそんなもので勢いのついた突進から身を守れる訳はなく、跳ね飛ばされてゴロゴロと地面を転がった。
「いちゃい、いちゃいのだ……」
「よし、いいぞ、ずんずん！そのまま往復ビンタだ！」
「のだのだのだぁ！！」
ずんずんはその短い手足をぱたぱたと動かし、跳ね飛ばされたずん太に追い打ちをかける。
「いちゃいいちゃい！もうやめてやめて！！」
「お、ギブアップか？」
四方八方からの打撃に衝撃にジタバタと暴れるずん太。なす術のないように思えたが、
「そんなわけないよな、ずん太！じたばた！」
「やめてやめて！！やめてやめて！！」バタバタ転げながらがむしゃらに暴れるずん太の足が奇跡的にずんずんの腹部にクリーンヒットする。
「おごっ…、こいつ、やりやがったのだ……」
ずんずんは予想外の反撃に後ろに後ずさる。
「よし、その調子だ、ずん太！反撃開始だ！そらをとぶ！」
「の…のだっ！」
やっとの思いでラッシュから逃れたずん太はふわりと飛翔し、ずんずんの周りを飛び回る。
飛ぶことができないずんずんはその動きを目で追う事しかできない。
今までの良く言えばわかりやすいアクションとは異なる膠着状態にたけしも妖精も、ギャラリーも少し焦れた、その瞬間。
「今だ、ずん太！飛び膝蹴り！！」
「きたな……！迎え討て！ずんずん！！」
「ずんずんずんずん！ずんずんずんずん！！」
「のだのだのだのだーーーー！！」
飛来する短い足と、それを迎え撃つは突き出された短い腕。
それらが重なりあい、勝敗は決した。
ずん太のキックは、ずんずんの腕にヒットすると、見事にその上を滑り、そして顔面へめり込んだ。
「の、だぁっ……？！」
幾許か体格の大きいずんずんと言えどこれには堪らず、白目を向いて倒れた。
「よっしゃ！僕の勝ち！！」
「おお！ゆうま君が勝ったぞ！」
どよっとギャラリーが沸き立つ。妖精たちが白熱した勝負をすればするほど男子たちは熱狂するのだった。
「良くやったな、ずん太！！」
「はぁ、はぁ、はぁ……、やったのだ……ゆうまくん、ボク、勝ったよ……なんとか、なんとか勝てたのだ……。勝てたけど、身体中が痛いのだ……」
ずん太の身体は土まみれ、擦り傷だらけだった。勝敗が決したことで、こてん、と横になる。
「よしよし！ほら、これ、キズぐすり！それから今日は高級ずんだ餅を買ってあげよう！」
「ずんだもち…！」
ゆうまはずん太を抱きかかえ、ずんだ餅を与える。
ニコニコと手を取り合う勝者を尻目に、敗者は悔しさで拳を握りしめた。
「くそっ！負けた……」
「そうだ、たけし君は明日の給食のプリン、僕に頂戴ね」
勝者の飼い主はその日から尊敬と羨望の眼差しを受ける。逆に敗者の飼い主は次の勝負までパシリのように使われるのだ。
手足も短く、爪も牙も発達していない妖精がどう闘うのかというと、ご覧の通り、基本的にはどつきあいや体当たりである。
勝っても負けても流血沙汰にならないというのは生徒達にとって遊びとして扱うのに心理的なハードルをなくした。
また、子供たちが意図していたかは判らないが、親や教師には察知できないなど、色々と条件がそろっていたようだ。
妖精へのご褒美や罰は、多くの場合は食事になる。ゆうまのように戦わせるのに飯抜きの罰を使う一方で、飛ぶことの出来なくなった妖精の飼い主、たけしはとある結論に至ったようだ。
飛べないのなら『身体が大きい方が強い』と。
〜たけしくんの家〜
「やめて！もうやめて！やめてやめてやめて！！もうごはんさん食べられないのだ！！」
「いいや、まだ行けるはずだ。もっと食べて強く、大きくならないと」
少しでも食事を拒否しようと激しく首をふる妖精の口にスニッ○ーズやら、カ○リーメイトやらとにかく考えつく限りカロリーの高そうなものを押し込み続ける。
既に腹は常識を超えてパンパンに膨らんでおり、誰の目にも限界は明らかなほどだが、息のできない妖精は押し付けられたものを咀嚼するしかない。
「ほら、食えるじゃないか」
「はぁ…はぁ…無理なのだ…も、もう、くるち……お腹こわれちゃ…気持ち、悪いのだ……ぐえぷ……」
「おお、お前、今ゲップしたよな。今の空気が出たぶんは入るって事だろ！この嘘つき妖精め！」
仰向けに妖精の頭を押さえつける。そうすると滑稽にも元々手足が短く、さらに身体ごとパンパンに膨らんだ妖精は一切抵抗することが出来なくなっていた。固く閉じたその口にチョコレートを押し付ける。
「やーやー！おぶぶぶっ！ぼぼぶぶぶぶぶっ！！」
「抵抗するな！口開けろ！！お前今日負けたんだから！」
口を固く閉じて首を振り精一杯の抵抗を試みるずんずんの口を無理矢理こじ開け、中に食物を詰め込むたけし。
「むごっ！？！？む゛〜〜っ！！む゛〜〜っっ！！」
そして鼻を塞ぐと、息のできない妖精は口の中のものを飲み込むしかない。ごく、ごく、ごくん。複数回に分けて嚥下される。
「はぅ……はぅ……はぅ……、けほ……ぐぇっ……」
顔面をチョコレート塗れにしたずんずんは浅く早い息で呼吸を整える。
「やっぱり食えるじゃないか。まだ行けそうかな…？」
「も、むり、むりなの、だ……、も、はいらな……、おにゃかが……いちゃ、い、う…うぷ、うぷ……おげぇええええ……」
どれだけ詰め込まれていたのだろうか。
「おげええええええ、う、おろろおおおろおおおろろろ」
びしゃびしゃと相当量の吐瀉物が机の上に巻き散らかされる。
「おえっ……げぇえええっ……」
「うわ、きったね。せっかく食わせてやったのに吐くなよな」
嘔吐を終え、幾分楽になったとはいえ妖精の腹は、依然として膨らんだままで、苦しそうに息をしている。
「はう…はう…はう……。ご、こめんなさいなのだ…たけしくん、ゆるして……」
許しを懇願する妖精。
それを見たたけしは漏斗を手に取り、「今日もこれしないとだめかぁ」とつぶやいた。
「やめ……っ！！それだけはいやなのだ！！なんでも、なんでもするちゃ！！」
「なんでもするんだな？」
「−−！ はいなのだ！ だからそれだけは……！！」
もうあんな辛い強制給餌をしなくて済む。
多少の罰は仕方ない、とずんずんはたけしの判決を待つ。
「じゃあさ。…その吐いたもの全部食えよ」
「−−え？？」
ずんずんはテーブルに広がる、大量の吐瀉物を見た。
先程まで自分の腹に収まっていたというのが嘘だと思いたい。量が多すぎる。においもそうだが、味も最悪だろう。
こんなものをもう一度口に入れようものなら、今なんとか腹に収まっている分の食べ物も出ていきかねない。
「そ、そんな……」
「なんでもするんじゃないのか……はぁ……」
たけしはため息をついて、漏斗を妖精に近づけた。
「やります！！やりますのだ！！飲むから！許して！飲みますのだ！！」
真っ青になった妖精がその吐瀉物に口をつける。
「おえ゛っ、まずいのだ……。それに、もう今だってお腹さんがパンパンで、破裂しそうなのだ……。たけしくん、ゆるして欲しいのだ……」
「おい……なんでもするって言ってただろ……。この嘘つき妖精！」
たけしはずんずんの後頭部を鷲掴みにすると、吐瀉物の海へぐりぐりと押し付けた。
「おぶぶぶっ！！おぶぶぶ！！！」
息もできずに暴れる妖精。
当然のことながら、ほとんど吐しゃ物は飲み込まれることなく、飛び散っただけだ。
「はう…はう…はう……、も、ゆる、ゆるし…ゆるして……」
「でも今日お前負けたじゃん」
「明日は…勝ちますのだ…勝ってみせますのだ……、だから…」
「昨日もそう言ってたよな。…嘘つき妖精にはお仕置きだな」
どんどん近づいてくる漏斗。
負けた日は必ずこれをやらされ、限界まで、否、限界以上に食べ物を詰め込まれて身体を拡張されていた。
その壮絶な苦痛と、終わったあとも続く耐え難い腹痛と吐き気に、一睡も出来ない夜を思い出す。
「ううう……っ、たけしくん…ホントに……ホントにするのだ……？」
「何恨めしそうな顔でこっち見てるんだよ。もう三回も嘘ついたよな。仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ」
「ごめんなさいなのだ、おねがいしますゆるしてくださいなんでもしますそれだけはゆるしてくださいなんでもしますおねがいしますなんでもしますゆるしてくださいなんでもしっ……がぼっ！！」
「ははっ、なにそれ」
たけしは妖精の必死の懇願にも構わず妖精の口に漏斗を突っ込んだ。
「……ぬいちぇ、ぬい……」
そして、吐瀉物をすくい取ると、再び元の場所へ流し込んだ。
「や…だめ……っ！！ それはだめっ……あ。ーーおぼぼぼぼぼぼ！！！ぼぼぼれりゅ！おぼぼれぼぼりゅ！！」
漏斗に溜まった吐瀉物が空になるまで妖精を揺すったり漏斗をぐりぐりと動かしてみる。
「ごぼぼぼぼっ！がぼっぼぼばぼぼっ！！」
「うーん、なかなか入らないなあ…腹を伸ばしてみたらいけるか？」
「や゛め゛っ…！がぼぼぼおおぼぼびっぼぼぼっおぶっぼうぶぶぶぶんぼぼぶぶ」
たけしはいろいろと工夫をこらし、良いポイントを見つけたようだ。
妖精は真っ青な顔で意味をなさない言葉を吐いている。
全ての吐瀉物が妖精の体内に収まり、ようやく漏斗が引き抜かれる。
「はぅ……はぅ……はぅ……、お腹が…お腹さんが…。おぷっ、さけるちゃ、はれつするちゃ…」
「やればできんじゃん！もう吐くなよ！！」
「も、だめ……、出ちゃうちゃ、おぷ、う、うぷ……うぷっ……」
妖精の腹部がピクピクと痙攣している。妖精は両手でで口を押えて、せり上がってくるものを何度も何度も嚥下し直している。
「うーん、流石に可愛そうだし、助けてやるか」
「はぅ…はぅ…、た…けし君、助けて…くれる……のだ……？」
「いいよ、ほれ」
「へっーー！？」
たけしは妖精の口をガムテープでぐるぐるとまいた。
「これでもう吐けないだろ！良かったな！」
「む゛〜〜！む゛〜〜〜！！」
「たけしー！もう寝なさい！！」
「げ、かあちゃん……はーい！ ……おい、ずんずん、明日もやってやるからな、楽しみにしとけよ」
ばたん、と扉が閉められ、明かりが消えた。
妖精は一睡もすることは叶わず、せり上がってくるものに耐える。
(なんで…？ どうして…こんめに合わないといけないの……？ たたかいも痛くていやなのだ……。ボク、こんなことするために…生まれたんじゃ、ないちゃ……)
苦痛と哀しみで流れた涙が布団を濡らす。
そんな毎日を続けていくと、妖精の胃袋の許容量は少しづつだが確実に広がってゆき、まさにデブ妖精、と言っても差し支えないほどにたけしの妖精は肥大化していった。
たけしの妖精は、ずんだもんバトルにおいて強者の地位を得ていくことになるのだが……。
それに双璧を成す個体がいた。つむぎの妖精である。
つむぎの妖精は、体格が大きかった。それも、デブ妖精のずんずんとは事なり、単純に身長が大きかった。
その大きさゆえにたけしの妖精と同じく去勢を免れた個体であり、飛べないというハンデは同じながら、手足が長い分格闘に長けていたのだ。
〜〜〜
とある日の放課後、体育館裏。
「いけ！ずんずん！近づいて、のしかかりだ！」
「のだっ、のだのだっーー！」
デブ妖精と化したずんずんは、ぼよんぼよんという効果音でも付きそうな足取りで、相手に接近する、
「よーし、あーしのずんちゃんのメガトンパンチが火をふくよー！」
「ずんっ、ずんっ、ずーんっ！！」
タイミングを測って放たれた拳がデブ妖精の腹に突き刺さる。しかし、打たれた当のずんずんはニヤリと笑った。
「そんなパンチじゃ、うちのずんずんには効かないぜ！そのままのしかかれ！！」
「の、だぁっ！」
デブ妖精がつむぎの妖精を組み伏せた。マウントポジション。
「降参するなら今だぜ！」
「わわわっ、なかなかやるみたいだね。ずんちゃん！その場で枝豆ビンタ！」
「のだーっ！」
ずんちゃんと呼ばれた妖精はブンブンと頭を振ると、耳の枝豆がずんずんの目を捉えた。
「うぎゃっ！」
目への攻撃は怯ませ、マウントポジションから脱するだけのダメージを与えた。
「お前、結構やるのだ……。ボクはたけし君のために、負けられないのだ……！」
「ずんっ、ずんっ、ずんっ！」
つむぎの妖精は危なげない足取りで再び立ち上がる
「すげえ、つむぎの妖精、たけしくんの妖精に一歩も引いてない……」
「どうやってあんなにデカくしたんだ…？」
男子達の関心は最もだった。二人のバトルはまるで大迫力の特撮を見ているようなものだった。
バトルはクライマックスへ移ろうとしていた。
「ずんずん！とっしんだ！」
「よーし、それなら……ずんちゃん！こっちもとっしん！！」
（のだのだのだのだーー！！）
両者は加速度的に距離を詰め、そして。
「ーー今！ずんちゃん！跳んで！！」
「のだっ！！」
飛行器官を破壊されている筈のつむぎの妖精が飛んだ。否、ただのジャンプである。その証拠に妖精は浮遊することなく自由落下する。
それでもデブ妖精と化したずんずんでは対応出来なかった。
対象を見失い、勢いのついたタックルは空を切り、ずんずんの身体はむなしく砂の上をすべる。
「ずんちゃん！ロケットずつき！！」
「のだのだのだのだ……！！」
空中で体制を整えたつむぎの妖精は、相手を見失っているデブ妖精の脇腹を捉えた。
「おがっ……っ」
たけしのずんずんは、吹き飛ばされて動かなくなった。
「ずんずん！大丈夫か！？」
たけしは倒れたまま動かないずんずんに駆け寄り抱き上げた。
だらしなく白目をむいていたが、何度か揺り動かすと目を覚ました。
「たけしくん……ボク、負けちゃったのだ…ごめんなのだ……」
「いいんだ、ずんずん。また、一から頑張ろう……」
たけしは悔しさで俯き、こぶしを握り締めた。
「よーし！今日はあーしの勝ちだね！帰りはランドセル、持って貰っちゃおかな」
つむぎは、ずんちゃんと呼ばれた妖精を抱き上げて、たけしに言った。
「くそ……悔しい！」
「ボクが…ボクが弱いせいなのだ……、ごめんなのだ……」
ずんずんは戦いそのものを好まない性格であったが、主人の喜ぶ顔を見るのは好きであった。
期待を裏切ってしまった申し訳なさで、シュンと耳を縮こませた。
「謝るな！大丈夫だ！ずんずん！もっとデカくなれ！今のずつきにも耐えられるように！俺も協力する！一緒に強くなろう！！」
「のだ……」
「だから今日も、特訓だな！ いっぱい食べよう！」
ずんずんの脳裏に、勝利を重ねることで最近は免除されてきた強制給餌の記憶がよみがえる。
「やめ、やめやめやめて！もう許して！！」
たけし達のやり取りを尻目に、つむぎは下校しようとしているめたんを見つけて手をふった。
「あ！めたん！今日はたけしくんがランドセル持ってくれるってよ！」
「あら、つむぎ。また妖精達を闘わせているの？ そんな野蛮な事やめなさい」
「まーまー。これが奥が深いんすよ。妖精は狩りの為の爪や牙もないから必要以上に相手を傷つけないし。回復も早いし。ポ○モンみたいな」
「それ以上はいけないわ……。それより、私は早く帰ってずんだもんとお散歩にいくから」
「えー、待ってよーー！ 一緒に帰ろうよー！！」
結局つむぎは、たけしにランドセルを預ける事もなく、めたんへ駆け寄ると、くっついて下校し始めた。
小さくなる背中を見送る少年達は、誰ともなく言った。
「……つむぎの妖精の強さの秘密がわかるかも」
少年達は尾行することに決めた。
妖精の強さの秘密を知りたい半分。男勝りで距離の近いつむぎと、お淑やかで優しいめたんの美少女二人組にちょっかいを出したい半分。
どきどきと、どこから浮ついた雰囲気。
尾行を続けていると、しばらくして二人は別れ、つむぎは鍵を出して自宅に入っていった。
「ただいまー」
中からそんな声が聞こえる。
「あっちに塀の隙間がある！覗いてみよう！」
〜つむぎの家〜
「ずんちゃん！今日もいいバトルだったよ！ほら、これ、ご褒美のずんだもち」
「つむぎさん、ありがとうのだ。」
バクリと、ずんだもちに齧り付く妖精。
「ずんだもち、おいしいのだ！」
「そっかあ。あーしのずんだ餅は特別性だからね」
「つむぎさんのずんだもちを一度食べてしまったら、他のは食えないのだ……」
「ふふっ、嬉しい事言ってくれんじゃん。明日も頑張ろうね、ずんちゃん！」
ニコニコと微笑むつむぎの姿を塀の隙間から除く男子達。
「まさか、つむぎのずんだもちがめちゃくちゃ美味くて、自主的におかわりしまくってるからあんなにでかいのか…！？」
「いずれにせよ、これ以上のヒントはなさそうだ。俺たちも帰ろうぜ」
「賛成ー」
ぞろぞろと帰ってゆく同級生達。
ちょっとした冒険を終えた時のように、夕日がいつもより眩しく見えた。
〜〜〜
「あっ、そうだ。ずんだもちの仕込みしなくちゃ」
つむぎは階段を降りて地下へ向かう。
コツコツとした、足音。
地下へ進むたびに、なにやら段々と声が大きく聴こえてくる。
「はなして、かえして、ゆるして、もどしてー」
「くらい、せまい、こわいよー！」
「おかあちゃ！おかあちゃ！」
「おちびちゃん！ままがついてるからね！」
ぱちん、と明かりを付けると、地下室一面の水槽や虫かご。その中に妖精達が入っている。
「今日はたけし君とバトルしたから真っ直ぐかえって来たんだけど、野山でバトルさせると簡単に妖精って捕まるんだよね。妖精、ゲットだぜってね」
一度捕まえた妖精をそのままリリースするのは法律違反だし……。
「ずんちゃんはバトルで経験値も溜められるし、食べさせれば体も大きくなるし、健康になってで一石二鳥って感じ？」
ペットショップで妖精の餌を買う際に、同族を混ぜると強く大きく育つというのを教えられたのだった。
「にんげんさん……」
「せめて、おちびちゃんだけでも森に帰して……」
「おうちでおちびたちが待ってるんです、ボクがいなくなったらおちびちゃんたちが……」
「逃がして！ボクだけでいいから逃がして！！」
「うるせなぁ。さて、どれから料理するか……」
まぁ、まずはこれかな……、とペットショップで買ってきたエサ用‘ずんだの元’の袋を開け、ミキサーの中に移した。
「うーん、これだけでもいいんだけど、天然モノを混ぜると明らかにずんちゃんの反応が違うんだよね……。そだ、お前に決めた！」
「わっ――！？」
まだ耳のない子ずんを虫かごから取り出す。
「おかあちゃ、おかあちゃ、こわいよ、たすけてー！」
「おちびちゃん！……おいくしょ人間！おちびちゃんを離せ！おちびちゃんをどうするつもりなのだ！」
「どうするって、ずんだもちにするんだよ。それっ」
つむぎはミキサーに、子ずんをポイッと落とした。
「いちゃ！」
「うるせなぁ。こいつを混ぜるとものすごく美味しくなるらしいからね……あ、そうだ」
わすれてた、とミキサーの中に少量の水を入れた。
「ごぼ……こぼぼ……くるち、くるち……」
「そのハコでおちびちゃんに何をするつもりなのだ！ やめるのだ！ いまならゆるしてやるのだ！！」
パタム。つむぎはそのままミキサーの蓋をしめた。
「ごぼ……ごぼぼぼ……」
「やめるのだ！！おちびちゃんが苦しんでいるのだ！ 代わりにボクを使うのだ！」
「そうだなー、わかった。お前に仕事を与える」
「わかったのだ！ 何でもするのだ、だから早くおちびちゃんを……」
「スイッチオン！」
ぎゃぎゃぎゃががががが！！
ものすごい機械音を立ててミキサーの刃が回る。
「えーーっ！？」
「いちゃ、いちゃいよ、ごぼ、おかあちゃ、いちゃ！」
「おちびぃいいいいいーー！！！」
子ずんはどうにか刃が当たらないようにミキサーの蓋にしがみついているが、下から飛び散ってくるずんだ餅の破片がベシベシと子ずんの身体を叩く。
「あああああああ！！頑張って、おちびちゃん！ママが今助けるよ！！」
親妖精はミキサーがどういう装置だか知らなかったが、子ずんの命に危機が迫っていることだけは理解できた。
どうにか回転する刃を止めようと、何度となくミキサーに体当たりするが、ビクともしない。
「なに、なんで、止まって、お願い！ とまれ！」
「いちゃ、おかあちゃ、たすけ、ごぼ、くるち、くるち……」
「お願い、とまれ、とまっちぇ、お願い！！」
「がぼ……がぼぼ……も……ダメ……、おかあちゃーー」
次第に上がってきた渦に飲まれ、その子ずんも見えなくなる。
「あああああ！！ おちびちゃん……！ おちびちゃん……！！！ がんばって！ 今たすけるよ！」
子ずんの悲鳴も、親妖精の慟哭も、ミキサーの音にかき消される。
「おいくしょ人間！ 早くそのハコを開けておチビちゃんを出すのだ！ おチビちゃんがおぼれちゃうのだ！」
「いーよ。そろそろ出来ただろうし」と、つむぎはミキサーをあける。
「やべ、ちょっと水入れすぎて、ずんだシェイクになっちゃった」
そう言いながらグラスを取りに離れたつむぎ。
親妖精はその隙に、開けられたミキサーをのぞき込む。
「おちびちゃん、くちょ人間が開けてくれたよ。一緒に森に帰ろう。返事して、おちびちゃん……え――？？？」
親妖精は緑色に液状化し、固形物の全くない中身をみて顔を真っ青にした。
「なんでおちびちゃんがいないのだ…？ な、なにが…？？ おちびちゃん、そんなとこにもぐってないで、出てくるのだ…、いっしょに…、いっしょにかえろ……」
「おちびちゃんはね。ずんだシェイクになったんだよ」
つむぎは、ミキサーの中身を、トクトクと持ってきたグラスに注ぐ。
親妖精はその様子を、まじまじと観察していた。
とくとくと注がれていくずんだシェイク。最後に、ごろりとなにかの塊がおち、どぼんとグラスにダイブした。
「お、おちｂ……！」
「ありゃ、子ずんの塊が残ってたね。まだやり足りなかったかぁ」
ぷか…と少し遅れて浮かんでくる緑色の固形物。子ずんの傷だらけの頭部が、虚ろな目で親ずんを見つめていた。
「おち、おおち、おち、おちびぃいいいいいい！！！おちびちゃんが！？おちびちゃんが！？なんで！？なんで！？！？ 助けてくれるって……、嘘なのだ、こんな、こんなの現実じゃ……なんで、なんでこんなこと……」
「助けてあげるなんて、一言も言ってないよ。約束通り、お前に仕事をあげるよ」
「ごめんねおちびちゃん……ごめんね…育ててあげられなくてごめんね……おちびちゃん……」
「ありゃ、放心状態で聞いてねぇなこれ」
「かえして……おちびちゃんを……かえして、かえして、かえして……」
「じゃー、お望み通りおちびちゃんを返してあげるよ」
「っ−−！！ ほんとなのだ！？」
妖精は飛び跳ねるような声で反応した。
「こーゆーことにはすぐ反応するなぁ……。ずんちゃん！おいで！！」
一階から妖精が頭をだし、ぴょこぴょこと階段を一段ずつ下ってくる。
「つむぎさん、どうしたのだ？」
「呼び出してごめんね。こいつ、おちびちゃんが欲しいんだって」
「わかったのだ、ヘコヘコするのだ」
親妖精に体格の大きいつむぎの妖精が近づく。
「え！？」
「おちびちゃんが欲しいんだよね？いっぱい、いーっぱい。ヘコヘコさせてあげるよ」
「ちが、新しいおちびちゃんはいらなーーおもいぃいいーー！！！」
ずしり、とつむぎの妖精が親妖精にのしかかる。
「な！？、ずんぽ！？ ずんぽデカすぎなのだ、そんなの、おにゃかこわれちゃ、りゃめりょお！ そんなのおしつけりゅな！ はいらなーーやめろ、デカい！！」
「へこへこ！」
「ほんぎょおおおおおお！！！♡ あがっいちゃぁぁあああああああああ！！！！」
「ヘコヘコ、ヘコヘコ、ヘコヘコ気持ちいいのだ！」
「いちゃい！！ぬいて、早く抜け！！ぱぱずん、助けて！やめろ！！いやぁああ！ヘコヘコいや！！ぱぱずん！！ぱぱずんたすけて！！」
「ヘコヘコ、ヘコヘコ！！」
「あにゃるこわれちゃ！ずんぽデカすぎぃいい！！」
絶叫する妖精を見て、つむぎは満足そうに頷く。
「これでしばらくしたらまたおちびちゃんで美味しいずんだもちが作れるね。あそうだ、ずんちゃん。そこにずんだシェイクあるから飲んでいいよ」
「ヘコヘコ！ つむぎさん、ありがとうのだ。ヘコヘコ！ 後でいただくのだ。ヘコヘコ、ヘコヘコ！！」
「あぁぁぁああ！！抜け！早く抜け！！違う！！おちびちゃんほしくない！！おちびちゃんいらない！！」
「ヘコヘコヘコヘコ！！ヘコ……っ！！」
「コイツのずんぽの形に変えられりゅぅぅううう…！♡」
「いくのだーーヌッ！！！」
「あああ！！にゃかに出すなぁあああ！！んほぉ♡！！いやちゃぁああああああああーー！！！」
〜〜〜
ずんだもんバトルが生徒たちにとって『いのち』について考えるきっかけになったかはここでは論じない。
それぞれの家で、それぞれの方針で育てられ、成熟した妖精達。
先生が最初に告げた、３学期が近づいていた。
続く。
次第に妖精達の耳も生え揃い、成体ずんへと変化した頃、学校の男子達の間でとある遊びが流行した。
ーーもちもんバトルである。
流行りのアニメやゲームの影響だろう。自分の育てた妖精を戦わせるのだ。
〜〜〜
放課後、体育館の裏に人だかりが出来ている。その中心には2匹の山妖精。
「たけしくん、行って来るのだ…！」
「がんばれ、ずんずん！」
「僕はもう、戦いたくないのだ…」
「おい、ずん太！やらないと今日は飯抜きだぞ！」
「そ、そんな……。わ、わかったのだ…！」
ずんずんと呼ばれた妖精は、もう一方よりも一回りほど大きい。しかし、去勢の代わりに飛行器官を破壊されており、飛ぶことができないため、単純な体格差では勝負は判らない。
「よし、始めるか」
「そうだな！じゃあ俺から行かせてもらうぜ！いけ！ずんずん！とっしんだ！」
「のだっ！のだのだのだのだっ！」
ずんずんと呼ばれた妖精は強いストライドで助走をつけ跳躍する。
「守れ、ずん太！」
「のだ……？ ま、まもるって、どうやって……？」
ずん太と呼ばれた妖精は、高速で迫る妖精を前に何をすべきかも判らずあたふたとあたりを見渡した後、背中を向けて丸まった。
「お、『まるくなる』か！ いいぞ、よし衝撃に備えろ！」
「うう、こわいのだ、こわいのだ……、ぐえぇっー！！」
当たり前だがそんなもので勢いのついた突進から身を守れる訳はなく、跳ね飛ばされてゴロゴロと地面を転がった。
「いちゃい、いちゃいのだ……」
「よし、いいぞ、ずんずん！そのまま往復ビンタだ！」
「のだのだのだぁ！！」
ずんずんはその短い手足をぱたぱたと動かし、跳ね飛ばされたずん太に追い打ちをかける。
「いちゃいいちゃい！もうやめてやめて！！」
「お、ギブアップか？」
四方八方からの打撃に衝撃にジタバタと暴れるずん太。なす術のないように思えたが、
「そんなわけないよな、ずん太！じたばた！」
「やめてやめて！！やめてやめて！！」バタバタ転げながらがむしゃらに暴れるずん太の足が奇跡的にずんずんの腹部にクリーンヒットする。
「おごっ…、こいつ、やりやがったのだ……」
ずんずんは予想外の反撃に後ろに後ずさる。
「よし、その調子だ、ずん太！反撃開始だ！そらをとぶ！」
「の…のだっ！」
やっとの思いでラッシュから逃れたずん太はふわりと飛翔し、ずんずんの周りを飛び回る。
飛ぶことができないずんずんはその動きを目で追う事しかできない。
今までの良く言えばわかりやすいアクションとは異なる膠着状態にたけしも妖精も、ギャラリーも少し焦れた、その瞬間。
「今だ、ずん太！飛び膝蹴り！！」
「きたな……！迎え討て！ずんずん！！」
「ずんずんずんずん！ずんずんずんずん！！」
「のだのだのだのだーーーー！！」
飛来する短い足と、それを迎え撃つは突き出された短い腕。
それらが重なりあい、勝敗は決した。
ずん太のキックは、ずんずんの腕にヒットすると、見事にその上を滑り、そして顔面へめり込んだ。
「の、だぁっ……？！」
幾許か体格の大きいずんずんと言えどこれには堪らず、白目を向いて倒れた。
「よっしゃ！僕の勝ち！！」
「おお！ゆうま君が勝ったぞ！」
どよっとギャラリーが沸き立つ。妖精たちが白熱した勝負をすればするほど男子たちは熱狂するのだった。
「良くやったな、ずん太！！」
「はぁ、はぁ、はぁ……、やったのだ……ゆうまくん、ボク、勝ったよ……なんとか、なんとか勝てたのだ……。勝てたけど、身体中が痛いのだ……」
ずん太の身体は土まみれ、擦り傷だらけだった。勝敗が決したことで、こてん、と横になる。
「よしよし！ほら、これ、キズぐすり！それから今日は高級ずんだ餅を買ってあげよう！」
「ずんだもち…！」
ゆうまはずん太を抱きかかえ、ずんだ餅を与える。
ニコニコと手を取り合う勝者を尻目に、敗者は悔しさで拳を握りしめた。
「くそっ！負けた……」
「そうだ、たけし君は明日の給食のプリン、僕に頂戴ね」
勝者の飼い主はその日から尊敬と羨望の眼差しを受ける。逆に敗者の飼い主は次の勝負までパシリのように使われるのだ。
手足も短く、爪も牙も発達していない妖精がどう闘うのかというと、ご覧の通り、基本的にはどつきあいや体当たりである。
勝っても負けても流血沙汰にならないというのは生徒達にとって遊びとして扱うのに心理的なハードルをなくした。
また、子供たちが意図していたかは判らないが、親や教師には察知できないなど、色々と条件がそろっていたようだ。
妖精へのご褒美や罰は、多くの場合は食事になる。ゆうまのように戦わせるのに飯抜きの罰を使う一方で、飛ぶことの出来なくなった妖精の飼い主、たけしはとある結論に至ったようだ。
飛べないのなら『身体が大きい方が強い』と。
〜たけしくんの家〜
「やめて！もうやめて！やめてやめてやめて！！もうごはんさん食べられないのだ！！」
「いいや、まだ行けるはずだ。もっと食べて強く、大きくならないと」
少しでも食事を拒否しようと激しく首をふる妖精の口にスニッ○ーズやら、カ○リーメイトやらとにかく考えつく限りカロリーの高そうなものを押し込み続ける。
既に腹は常識を超えてパンパンに膨らんでおり、誰の目にも限界は明らかなほどだが、息のできない妖精は押し付けられたものを咀嚼するしかない。
「ほら、食えるじゃないか」
「はぁ…はぁ…無理なのだ…も、もう、くるち……お腹こわれちゃ…気持ち、悪いのだ……ぐえぷ……」
「おお、お前、今ゲップしたよな。今の空気が出たぶんは入るって事だろ！この嘘つき妖精め！」
仰向けに妖精の頭を押さえつける。そうすると滑稽にも元々手足が短く、さらに身体ごとパンパンに膨らんだ妖精は一切抵抗することが出来なくなっていた。固く閉じたその口にチョコレートを押し付ける。
「やーやー！おぶぶぶっ！ぼぼぶぶぶぶぶっ！！」
「抵抗するな！口開けろ！！お前今日負けたんだから！」
口を固く閉じて首を振り精一杯の抵抗を試みるずんずんの口を無理矢理こじ開け、中に食物を詰め込むたけし。
「むごっ！？！？む゛〜〜っ！！む゛〜〜っっ！！」
そして鼻を塞ぐと、息のできない妖精は口の中のものを飲み込むしかない。ごく、ごく、ごくん。複数回に分けて嚥下される。
「はぅ……はぅ……はぅ……、けほ……ぐぇっ……」
顔面をチョコレート塗れにしたずんずんは浅く早い息で呼吸を整える。
「やっぱり食えるじゃないか。まだ行けそうかな…？」
「も、むり、むりなの、だ……、も、はいらな……、おにゃかが……いちゃ、い、う…うぷ、うぷ……おげぇええええ……」
どれだけ詰め込まれていたのだろうか。
「おげええええええ、う、おろろおおおろおおおろろろ」
びしゃびしゃと相当量の吐瀉物が机の上に巻き散らかされる。
「おえっ……げぇえええっ……」
「うわ、きったね。せっかく食わせてやったのに吐くなよな」
嘔吐を終え、幾分楽になったとはいえ妖精の腹は、依然として膨らんだままで、苦しそうに息をしている。
「はう…はう…はう……。ご、こめんなさいなのだ…たけしくん、ゆるして……」
許しを懇願する妖精。
それを見たたけしは漏斗を手に取り、「今日もこれしないとだめかぁ」とつぶやいた。
「やめ……っ！！それだけはいやなのだ！！なんでも、なんでもするちゃ！！」
「なんでもするんだな？」
「−−！ はいなのだ！ だからそれだけは……！！」
もうあんな辛い強制給餌をしなくて済む。
多少の罰は仕方ない、とずんずんはたけしの判決を待つ。
「じゃあさ。…その吐いたもの全部食えよ」
「−−え？？」
ずんずんはテーブルに広がる、大量の吐瀉物を見た。
先程まで自分の腹に収まっていたというのが嘘だと思いたい。量が多すぎる。においもそうだが、味も最悪だろう。
こんなものをもう一度口に入れようものなら、今なんとか腹に収まっている分の食べ物も出ていきかねない。
「そ、そんな……」
「なんでもするんじゃないのか……はぁ……」
たけしはため息をついて、漏斗を妖精に近づけた。
「やります！！やりますのだ！！飲むから！許して！飲みますのだ！！」
真っ青になった妖精がその吐瀉物に口をつける。
「おえ゛っ、まずいのだ……。それに、もう今だってお腹さんがパンパンで、破裂しそうなのだ……。たけしくん、ゆるして欲しいのだ……」
「おい……なんでもするって言ってただろ……。この嘘つき妖精！」
たけしはずんずんの後頭部を鷲掴みにすると、吐瀉物の海へぐりぐりと押し付けた。
「おぶぶぶっ！！おぶぶぶ！！！」
息もできずに暴れる妖精。
当然のことながら、ほとんど吐しゃ物は飲み込まれることなく、飛び散っただけだ。
「はう…はう…はう……、も、ゆる、ゆるし…ゆるして……」
「でも今日お前負けたじゃん」
「明日は…勝ちますのだ…勝ってみせますのだ……、だから…」
「昨日もそう言ってたよな。…嘘つき妖精にはお仕置きだな」
どんどん近づいてくる漏斗。
負けた日は必ずこれをやらされ、限界まで、否、限界以上に食べ物を詰め込まれて身体を拡張されていた。
その壮絶な苦痛と、終わったあとも続く耐え難い腹痛と吐き気に、一睡も出来ない夜を思い出す。
「ううう……っ、たけしくん…ホントに……ホントにするのだ……？」
「何恨めしそうな顔でこっち見てるんだよ。もう三回も嘘ついたよな。仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ」
「ごめんなさいなのだ、おねがいしますゆるしてくださいなんでもしますそれだけはゆるしてくださいなんでもしますおねがいしますなんでもしますゆるしてくださいなんでもしっ……がぼっ！！」
「ははっ、なにそれ」
たけしは妖精の必死の懇願にも構わず妖精の口に漏斗を突っ込んだ。
「……ぬいちぇ、ぬい……」
そして、吐瀉物をすくい取ると、再び元の場所へ流し込んだ。
「や…だめ……っ！！ それはだめっ……あ。ーーおぼぼぼぼぼぼ！！！ぼぼぼれりゅ！おぼぼれぼぼりゅ！！」
漏斗に溜まった吐瀉物が空になるまで妖精を揺すったり漏斗をぐりぐりと動かしてみる。
「ごぼぼぼぼっ！がぼっぼぼばぼぼっ！！」
「うーん、なかなか入らないなあ…腹を伸ばしてみたらいけるか？」
「や゛め゛っ…！がぼぼぼおおぼぼびっぼぼぼっおぶっぼうぶぶぶぶんぼぼぶぶ」
たけしはいろいろと工夫をこらし、良いポイントを見つけたようだ。
妖精は真っ青な顔で意味をなさない言葉を吐いている。
全ての吐瀉物が妖精の体内に収まり、ようやく漏斗が引き抜かれる。
「はぅ……はぅ……はぅ……、お腹が…お腹さんが…。おぷっ、さけるちゃ、はれつするちゃ…」
「やればできんじゃん！もう吐くなよ！！」
「も、だめ……、出ちゃうちゃ、おぷ、う、うぷ……うぷっ……」
妖精の腹部がピクピクと痙攣している。妖精は両手でで口を押えて、せり上がってくるものを何度も何度も嚥下し直している。
「うーん、流石に可愛そうだし、助けてやるか」
「はぅ…はぅ…、た…けし君、助けて…くれる……のだ……？」
「いいよ、ほれ」
「へっーー！？」
たけしは妖精の口をガムテープでぐるぐるとまいた。
「これでもう吐けないだろ！良かったな！」
「む゛〜〜！む゛〜〜〜！！」
「たけしー！もう寝なさい！！」
「げ、かあちゃん……はーい！ ……おい、ずんずん、明日もやってやるからな、楽しみにしとけよ」
ばたん、と扉が閉められ、明かりが消えた。
妖精は一睡もすることは叶わず、せり上がってくるものに耐える。
(なんで…？ どうして…こんめに合わないといけないの……？ たたかいも痛くていやなのだ……。ボク、こんなことするために…生まれたんじゃ、ないちゃ……)
苦痛と哀しみで流れた涙が布団を濡らす。
そんな毎日を続けていくと、妖精の胃袋の許容量は少しづつだが確実に広がってゆき、まさにデブ妖精、と言っても差し支えないほどにたけしの妖精は肥大化していった。
たけしの妖精は、ずんだもんバトルにおいて強者の地位を得ていくことになるのだが……。
それに双璧を成す個体がいた。つむぎの妖精である。
つむぎの妖精は、体格が大きかった。それも、デブ妖精のずんずんとは事なり、単純に身長が大きかった。
その大きさゆえにたけしの妖精と同じく去勢を免れた個体であり、飛べないというハンデは同じながら、手足が長い分格闘に長けていたのだ。
〜〜〜
とある日の放課後、体育館裏。
「いけ！ずんずん！近づいて、のしかかりだ！」
「のだっ、のだのだっーー！」
デブ妖精と化したずんずんは、ぼよんぼよんという効果音でも付きそうな足取りで、相手に接近する、
「よーし、あーしのずんちゃんのメガトンパンチが火をふくよー！」
「ずんっ、ずんっ、ずーんっ！！」
タイミングを測って放たれた拳がデブ妖精の腹に突き刺さる。しかし、打たれた当のずんずんはニヤリと笑った。
「そんなパンチじゃ、うちのずんずんには効かないぜ！そのままのしかかれ！！」
「の、だぁっ！」
デブ妖精がつむぎの妖精を組み伏せた。マウントポジション。
「降参するなら今だぜ！」
「わわわっ、なかなかやるみたいだね。ずんちゃん！その場で枝豆ビンタ！」
「のだーっ！」
ずんちゃんと呼ばれた妖精はブンブンと頭を振ると、耳の枝豆がずんずんの目を捉えた。
「うぎゃっ！」
目への攻撃は怯ませ、マウントポジションから脱するだけのダメージを与えた。
「お前、結構やるのだ……。ボクはたけし君のために、負けられないのだ……！」
「ずんっ、ずんっ、ずんっ！」
つむぎの妖精は危なげない足取りで再び立ち上がる
「すげえ、つむぎの妖精、たけしくんの妖精に一歩も引いてない……」
「どうやってあんなにデカくしたんだ…？」
男子達の関心は最もだった。二人のバトルはまるで大迫力の特撮を見ているようなものだった。
バトルはクライマックスへ移ろうとしていた。
「ずんずん！とっしんだ！」
「よーし、それなら……ずんちゃん！こっちもとっしん！！」
（のだのだのだのだーー！！）
両者は加速度的に距離を詰め、そして。
「ーー今！ずんちゃん！跳んで！！」
「のだっ！！」
飛行器官を破壊されている筈のつむぎの妖精が飛んだ。否、ただのジャンプである。その証拠に妖精は浮遊することなく自由落下する。
それでもデブ妖精と化したずんずんでは対応出来なかった。
対象を見失い、勢いのついたタックルは空を切り、ずんずんの身体はむなしく砂の上をすべる。
「ずんちゃん！ロケットずつき！！」
「のだのだのだのだ……！！」
空中で体制を整えたつむぎの妖精は、相手を見失っているデブ妖精の脇腹を捉えた。
「おがっ……っ」
たけしのずんずんは、吹き飛ばされて動かなくなった。
「ずんずん！大丈夫か！？」
たけしは倒れたまま動かないずんずんに駆け寄り抱き上げた。
だらしなく白目をむいていたが、何度か揺り動かすと目を覚ました。
「たけしくん……ボク、負けちゃったのだ…ごめんなのだ……」
「いいんだ、ずんずん。また、一から頑張ろう……」
たけしは悔しさで俯き、こぶしを握り締めた。
「よーし！今日はあーしの勝ちだね！帰りはランドセル、持って貰っちゃおかな」
つむぎは、ずんちゃんと呼ばれた妖精を抱き上げて、たけしに言った。
「くそ……悔しい！」
「ボクが…ボクが弱いせいなのだ……、ごめんなのだ……」
ずんずんは戦いそのものを好まない性格であったが、主人の喜ぶ顔を見るのは好きであった。
期待を裏切ってしまった申し訳なさで、シュンと耳を縮こませた。
「謝るな！大丈夫だ！ずんずん！もっとデカくなれ！今のずつきにも耐えられるように！俺も協力する！一緒に強くなろう！！」
「のだ……」
「だから今日も、特訓だな！ いっぱい食べよう！」
ずんずんの脳裏に、勝利を重ねることで最近は免除されてきた強制給餌の記憶がよみがえる。
「やめ、やめやめやめて！もう許して！！」
たけし達のやり取りを尻目に、つむぎは下校しようとしているめたんを見つけて手をふった。
「あ！めたん！今日はたけしくんがランドセル持ってくれるってよ！」
「あら、つむぎ。また妖精達を闘わせているの？ そんな野蛮な事やめなさい」
「まーまー。これが奥が深いんすよ。妖精は狩りの為の爪や牙もないから必要以上に相手を傷つけないし。回復も早いし。ポ○モンみたいな」
「それ以上はいけないわ……。それより、私は早く帰ってずんだもんとお散歩にいくから」
「えー、待ってよーー！ 一緒に帰ろうよー！！」
結局つむぎは、たけしにランドセルを預ける事もなく、めたんへ駆け寄ると、くっついて下校し始めた。
小さくなる背中を見送る少年達は、誰ともなく言った。
「……つむぎの妖精の強さの秘密がわかるかも」
少年達は尾行することに決めた。
妖精の強さの秘密を知りたい半分。男勝りで距離の近いつむぎと、お淑やかで優しいめたんの美少女二人組にちょっかいを出したい半分。
どきどきと、どこから浮ついた雰囲気。
尾行を続けていると、しばらくして二人は別れ、つむぎは鍵を出して自宅に入っていった。
「ただいまー」
中からそんな声が聞こえる。
「あっちに塀の隙間がある！覗いてみよう！」
〜つむぎの家〜
「ずんちゃん！今日もいいバトルだったよ！ほら、これ、ご褒美のずんだもち」
「つむぎさん、ありがとうのだ。」
バクリと、ずんだもちに齧り付く妖精。
「ずんだもち、おいしいのだ！」
「そっかあ。あーしのずんだ餅は特別性だからね」
「つむぎさんのずんだもちを一度食べてしまったら、他のは食えないのだ……」
「ふふっ、嬉しい事言ってくれんじゃん。明日も頑張ろうね、ずんちゃん！」
ニコニコと微笑むつむぎの姿を塀の隙間から除く男子達。
「まさか、つむぎのずんだもちがめちゃくちゃ美味くて、自主的におかわりしまくってるからあんなにでかいのか…！？」
「いずれにせよ、これ以上のヒントはなさそうだ。俺たちも帰ろうぜ」
「賛成ー」
ぞろぞろと帰ってゆく同級生達。
ちょっとした冒険を終えた時のように、夕日がいつもより眩しく見えた。
〜〜〜
「あっ、そうだ。ずんだもちの仕込みしなくちゃ」
つむぎは階段を降りて地下へ向かう。
コツコツとした、足音。
地下へ進むたびに、なにやら段々と声が大きく聴こえてくる。
「はなして、かえして、ゆるして、もどしてー」
「くらい、せまい、こわいよー！」
「おかあちゃ！おかあちゃ！」
「おちびちゃん！ままがついてるからね！」
ぱちん、と明かりを付けると、地下室一面の水槽や虫かご。その中に妖精達が入っている。
「今日はたけし君とバトルしたから真っ直ぐかえって来たんだけど、野山でバトルさせると簡単に妖精って捕まるんだよね。妖精、ゲットだぜってね」
一度捕まえた妖精をそのままリリースするのは法律違反だし……。
「ずんちゃんはバトルで経験値も溜められるし、食べさせれば体も大きくなるし、健康になってで一石二鳥って感じ？」
ペットショップで妖精の餌を買う際に、同族を混ぜると強く大きく育つというのを教えられたのだった。
「にんげんさん……」
「せめて、おちびちゃんだけでも森に帰して……」
「おうちでおちびたちが待ってるんです、ボクがいなくなったらおちびちゃんたちが……」
「逃がして！ボクだけでいいから逃がして！！」
「うるせなぁ。さて、どれから料理するか……」
まぁ、まずはこれかな……、とペットショップで買ってきたエサ用‘ずんだの元’の袋を開け、ミキサーの中に移した。
「うーん、これだけでもいいんだけど、天然モノを混ぜると明らかにずんちゃんの反応が違うんだよね……。そだ、お前に決めた！」
「わっ――！？」
まだ耳のない子ずんを虫かごから取り出す。
「おかあちゃ、おかあちゃ、こわいよ、たすけてー！」
「おちびちゃん！……おいくしょ人間！おちびちゃんを離せ！おちびちゃんをどうするつもりなのだ！」
「どうするって、ずんだもちにするんだよ。それっ」
つむぎはミキサーに、子ずんをポイッと落とした。
「いちゃ！」
「うるせなぁ。こいつを混ぜるとものすごく美味しくなるらしいからね……あ、そうだ」
わすれてた、とミキサーの中に少量の水を入れた。
「ごぼ……こぼぼ……くるち、くるち……」
「そのハコでおちびちゃんに何をするつもりなのだ！ やめるのだ！ いまならゆるしてやるのだ！！」
パタム。つむぎはそのままミキサーの蓋をしめた。
「ごぼ……ごぼぼぼ……」
「やめるのだ！！おちびちゃんが苦しんでいるのだ！ 代わりにボクを使うのだ！」
「そうだなー、わかった。お前に仕事を与える」
「わかったのだ！ 何でもするのだ、だから早くおちびちゃんを……」
「スイッチオン！」
ぎゃぎゃぎゃががががが！！
ものすごい機械音を立ててミキサーの刃が回る。
「えーーっ！？」
「いちゃ、いちゃいよ、ごぼ、おかあちゃ、いちゃ！」
「おちびぃいいいいいーー！！！」
子ずんはどうにか刃が当たらないようにミキサーの蓋にしがみついているが、下から飛び散ってくるずんだ餅の破片がベシベシと子ずんの身体を叩く。
「あああああああ！！頑張って、おちびちゃん！ママが今助けるよ！！」
親妖精はミキサーがどういう装置だか知らなかったが、子ずんの命に危機が迫っていることだけは理解できた。
どうにか回転する刃を止めようと、何度となくミキサーに体当たりするが、ビクともしない。
「なに、なんで、止まって、お願い！ とまれ！」
「いちゃ、おかあちゃ、たすけ、ごぼ、くるち、くるち……」
「お願い、とまれ、とまっちぇ、お願い！！」
「がぼ……がぼぼ……も……ダメ……、おかあちゃーー」
次第に上がってきた渦に飲まれ、その子ずんも見えなくなる。
「あああああ！！ おちびちゃん……！ おちびちゃん……！！！ がんばって！ 今たすけるよ！」
子ずんの悲鳴も、親妖精の慟哭も、ミキサーの音にかき消される。
「おいくしょ人間！ 早くそのハコを開けておチビちゃんを出すのだ！ おチビちゃんがおぼれちゃうのだ！」
「いーよ。そろそろ出来ただろうし」と、つむぎはミキサーをあける。
「やべ、ちょっと水入れすぎて、ずんだシェイクになっちゃった」
そう言いながらグラスを取りに離れたつむぎ。
親妖精はその隙に、開けられたミキサーをのぞき込む。
「おちびちゃん、くちょ人間が開けてくれたよ。一緒に森に帰ろう。返事して、おちびちゃん……え――？？？」
親妖精は緑色に液状化し、固形物の全くない中身をみて顔を真っ青にした。
「なんでおちびちゃんがいないのだ…？ な、なにが…？？ おちびちゃん、そんなとこにもぐってないで、出てくるのだ…、いっしょに…、いっしょにかえろ……」
「おちびちゃんはね。ずんだシェイクになったんだよ」
つむぎは、ミキサーの中身を、トクトクと持ってきたグラスに注ぐ。
親妖精はその様子を、まじまじと観察していた。
とくとくと注がれていくずんだシェイク。最後に、ごろりとなにかの塊がおち、どぼんとグラスにダイブした。
「お、おちｂ……！」
「ありゃ、子ずんの塊が残ってたね。まだやり足りなかったかぁ」
ぷか…と少し遅れて浮かんでくる緑色の固形物。子ずんの傷だらけの頭部が、虚ろな目で親ずんを見つめていた。
「おち、おおち、おち、おちびぃいいいいいい！！！おちびちゃんが！？おちびちゃんが！？なんで！？なんで！？！？ 助けてくれるって……、嘘なのだ、こんな、こんなの現実じゃ……なんで、なんでこんなこと……」
「助けてあげるなんて、一言も言ってないよ。約束通り、お前に仕事をあげるよ」
「ごめんねおちびちゃん……ごめんね…育ててあげられなくてごめんね……おちびちゃん……」
「ありゃ、放心状態で聞いてねぇなこれ」
「かえして……おちびちゃんを……かえして、かえして、かえして……」
「じゃー、お望み通りおちびちゃんを返してあげるよ」
「っ−−！！ ほんとなのだ！？」
妖精は飛び跳ねるような声で反応した。
「こーゆーことにはすぐ反応するなぁ……。ずんちゃん！おいで！！」
一階から妖精が頭をだし、ぴょこぴょこと階段を一段ずつ下ってくる。
「つむぎさん、どうしたのだ？」
「呼び出してごめんね。こいつ、おちびちゃんが欲しいんだって」
「わかったのだ、ヘコヘコするのだ」
親妖精に体格の大きいつむぎの妖精が近づく。
「え！？」
「おちびちゃんが欲しいんだよね？いっぱい、いーっぱい。ヘコヘコさせてあげるよ」
「ちが、新しいおちびちゃんはいらなーーおもいぃいいーー！！！」
ずしり、とつむぎの妖精が親妖精にのしかかる。
「な！？、ずんぽ！？ ずんぽデカすぎなのだ、そんなの、おにゃかこわれちゃ、りゃめりょお！ そんなのおしつけりゅな！ はいらなーーやめろ、デカい！！」
「へこへこ！」
「ほんぎょおおおおおお！！！♡ あがっいちゃぁぁあああああああああ！！！！」
「ヘコヘコ、ヘコヘコ、ヘコヘコ気持ちいいのだ！」
「いちゃい！！ぬいて、早く抜け！！ぱぱずん、助けて！やめろ！！いやぁああ！ヘコヘコいや！！ぱぱずん！！ぱぱずんたすけて！！」
「ヘコヘコ、ヘコヘコ！！」
「あにゃるこわれちゃ！ずんぽデカすぎぃいい！！」
絶叫する妖精を見て、つむぎは満足そうに頷く。
「これでしばらくしたらまたおちびちゃんで美味しいずんだもちが作れるね。あそうだ、ずんちゃん。そこにずんだシェイクあるから飲んでいいよ」
「ヘコヘコ！ つむぎさん、ありがとうのだ。ヘコヘコ！ 後でいただくのだ。ヘコヘコ、ヘコヘコ！！」
「あぁぁぁああ！！抜け！早く抜け！！違う！！おちびちゃんほしくない！！おちびちゃんいらない！！」
「ヘコヘコヘコヘコ！！ヘコ……っ！！」
「コイツのずんぽの形に変えられりゅぅぅううう…！♡」
「いくのだーーヌッ！！！」
「あああ！！にゃかに出すなぁあああ！！んほぉ♡！！いやちゃぁああああああああーー！！！」
〜〜〜
ずんだもんバトルが生徒たちにとって『いのち』について考えるきっかけになったかはここでは論じない。
それぞれの家で、それぞれの方針で育てられ、成熟した妖精達。
先生が最初に告げた、３学期が近づいていた。
続く。
次話
あとがき
ホントは妖精同士が額をくっつけ合って、手をぐるぐる回して、パンチするんだけど、お互い全然届いてない
……みたいな可愛いのを書きたかった筈なのに、書いてたら違うのになった。
だれか書いて（他力本願）
……みたいな可愛いのを書きたかった筈なのに、書いてたら違うのになった。
だれか書いて（他力本願）
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このページへのコメント
「もちもんバトル」…………捕まえたカブトムシ持ち寄ってバトルさせる……みたいなかわいいものじゃなかったですね……それぞれが妖精に名前を付けてるぶん、純粋さで裏打ちされた残虐さが増幅されていいですね！！
たけしくん、さすがガキ大将のやることは違うなあ……と思って読んでたら、つむぎちゃんがさらに闇深くてびっくり……
ずんホさんの捨てられたペットやこのシリーズで雌ずんレイプに目覚めた
名作と並べていただき感謝なのだ
誤字あるけどままええわ
ヘコヘコして抜くとき野獣先輩になってて草
文章だけでここまで満足感が得られるとは思っていなかったです
ありがとうのだ。感想嬉しいのだ。ちょくちょく読み直して満足してもらえるように改変していってるので、この章が終わって、最終版になったら再度告知させていただくのだ
『どうにか開店する刃を止めようと〜』
のとこの『開店』、誤字ってますね･･･
修正しました
ご指摘感謝なのだ