いのちの授業３
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zunzun_sigma 2023年02月15日(水) 22:40:05履歴
本文 
「ただいま〜」
「めたんちゃん！おかえりなのだー！」
学校から帰っためたんが、ランドセルを下ろし、靴を整えていると、ぴょこっ、ぴょこっと、その短い足を器用に使ってめたんに駆け寄る。
「のだー！」
最後にぴょんっ、と踏み切るとめたんの胸の中にポスリと飛び込んだ。
「うん、ただいま、ずんだもん」
もちもちとめたんは妖精を撫でる。飼い始めた頃に比べる少し手荒いようにも思える手付きだが、それは信頼の現れ。妖精も気持ちよさそうに喉をならす。
(僕はあれから飛べなくなっちゃったけど、めたんちゃんの腕の中でこうしてナデナデして貰えるのは嬉しいのだ…）
撫でる手に、にこにこの笑顔で応える妖精に、めたんは靴を履きなおす。
「よし、このままお散歩に行きましょうか」
「のだ！」
木枯らしが、すっかり茶色くなってしまった落ち葉を掃き散らかす。
なんとなしに手に息を吹きかけると、ふわりと白く煙った。
「すっかり寒くなっちゃったわね、ずんだもん」
「のだー」
いつも散歩の目的地にしていた公園の桜の木の下。
もちろんその桜には既に枯葉すらついていない。
公園にはブランコや滑り台もあるが、寒さのせいか遊んでいる者もなく、閑散としていた。
「そうだ、ずんだもん。これあなたに…」
めたんが取り出したのは赤いマフラー。手編みで少々不格好だが、しっかりと目の詰まった生地は断熱に優れたものだ。
「これは…マフラーさんなのだ？」
「うん。うちって、その…、少し貧乏でしょう？ だから、私が作ったもので申し訳ないのだけど……」
「めたんちゃんが作ってくれたのだ？」
ずんだもんはマフラーに包まって、顔をうずめた。
「マフラーさんとっても暖かいのだ！ ふわふわなのだ！ めたんちゃんはすごいのだ！」
「ふふ、喜んでくれたなら嬉しいわ」
めたんはふたたび、もちもちと妖精をなでる。
「ありがとうなのだ。ぼくの宝物なのだ！ 大切にするのだ！」
(飛べなくなっちゃっても……やっぱり、ぼくは世界で一番幸せな妖精なのだ。めたんちゃんとずっと一緒にいられたら、それだけで……)
ずんだもんは、再び、マフラーに顔をうずめた。
ちょっとだけ不器用だけど、やさしくて、ふわふわで、暖かくて、いい匂いがして。
――まるで。
(めたんちゃんと一緒にいるみたいなのだ)
〜〜〜
それぞれの家で、それぞれの方針で育てられ、成熟した妖精達。
先生が最初に告げた、三学期も終わりに近づいていた。
「今日は妖精の飼育日誌を発表してもらいます。それでは、四国さん」
めたんはすらすらと、ずんだもんとの生活を話す。
毎日散歩していること。手作りのずんだ餅を用意していること。一緒に風呂に入り、そして寝ていること。
マフラーをあげたこと。喜んでいる妖精を見て、ずっと一緒にいたいと思ったこと。
そのどれもに気持ちがこもっていて、当初は茶化していたクラスメイトもだんだんと無言でめたんの発表に聞き入った。
「以上です」めたんはそう言うと、ふう、と一息つく。
ぱちぱち、と誰が始めるでもなく、大きな拍手が起こった。
「素晴らしい発表だったわ。四国さん。妖精からも一言あるかしら？」
「え！？ ぼくなのだ！？」と突然水を向けられたずんだもんは面を食らったようだが、話し始める。
「ぼくは一番の幸せものなのだ。このマフラーもとっても気持ちいいのだ。めたんちゃん。本当にありがとうなのだ」
「うんうん。四国さんの妖精はとても毛並みもいいし、発言もしっかりしていて、とても大切に育てられたことがわかります。素晴らしい発表でした。みんな、もう一度拍手を！」
ぱちぱちぱち、と再び拍手。
あまり褒められ慣れてないめたんは、顔を赤くして、いつもより少しだけ大きな音を立てて椅子に座った。
「じゃあ、次、たけしくん」
「はい、俺は……」
たけしは、自分の妖精を一番強い妖精にしたかったこと。
そのために餌をたくさん食べさせたり、トレーニングさせたりと様々な努力をしたことを語った。
「確かに、たけし君の妖精はかなり身体が大きいわね。妖精から一言あるかしら」
「ボクはたたかいはあんまり好きじゃなかったけど、たけしくんといっしょになにかをして、いっしょにわらうのは楽しかったのだ。たけしくんはたまに、きびしいところもあったけど、それはボクへの期待だって今ならわかるのだ」
「素晴らしいですね。拍手」
「では、次の……ヒデキ君の妖精はすごくおとなしいのね。どういう風に育てたのか教えてくれる？」
植木鉢の中に納まり、休眠したようにほとんど動かない妖精。
「僕は、山妖精は光合成をしているという記事を読んで、植物のように育てることを思いつきました」
〜〜〜
「おぎゃーのだ！ おぎゃーのだ！」ケージの中で貰ったばかりの赤ずんが泣いている。
「ほら、ずんだもちだぞ。食えよ」
ぽい、とケージの中に放ると、「ずんだもち！ ずんだもち！」と赤ずんはずんだ餅にむしゃぶりつく。
もともと潔癖のケのあるヒデキはあまり動物が好きではなかった。しかし、命を預かる責任感もあった。
そして、目の前の小さくて無力な生物を可愛いと思う気持ちもあった。
妖精の育て方や生態について、よく調べた。
その生態にはいまだ謎な部分は多いものの、生体となった妖精は光合成をおこなうことがわかっているとのことだ。
プランクトンの例はあれど、どう見ても小動物サイズの生物がそれをするなんて、なんとも不思議だとその時は思った。
「にんげんしゃん…？ ずんだもちをくださいななのだ」
「はいはい」
そんな日々を続けていると、だんだんと大きくなり、耳も生えてきた妖精。
赤ずんは確かに、誰がどう見ても可愛い存在だと思った。このか弱い存在を守ってあげなればならないと思った。
しかし、成長した妖精はどうもそうは思えない。
人語を話し、ただ与えられるものを享受する。最初に先生の言っていた目的がなければ、投げ出したいくらいだった。
すでにヒデキを動かしているのは命に対しての義務だけであった。
だからこそ、あの日。一斉に去勢を行った日。
「ずんぽおおおおお！！ずんぽがぁぁああああああああああああああああああ！！！！へこへこできなくなっちゃうのだあああああ！！！」
「ずんぽずんぽずんぽずんぽ！！！ ！！！ずんぽがぁああ！！！！」
「じゅんぽじゅんぽ！！ぼくのじゅんぽ！！いたいちゃ、こわれるちゃ、しぬちゃ！！ずんぽが！！！ 」
「へこへこがぁあああ！！ぼくのすんぽぉおおおお！！ずんたまぁああああ！！ へこへこぉおおお！！！」
自分の手でざぷりざぷりと鉄やすりを前後に動かすたびに、下品に悲鳴を上げる自分の飼っている妖精を見て、なんとも哀れな気持ちが湧いた。
それと同時に生殖器のことを『ずんぽ』や『ずんたま』というのも正直、気味が悪かった。
心の底が冷えていくような感覚。
妖精の言っている『へこへこ』というのは交尾のことだというのは後で知ったことだったが――。
しかも彼らはそれを憚らず公言するだけでなく、所かまわず交尾する。それも、主に快楽のためだという。
すでに去勢は済んでいたが、そのような動物的で不潔な要素はあまり好ましく思えなかった。
そこで以前に読んだ記事を思い出す。
そうだ、光合成をしているのならば、いっそ、植物のように育ててみるのはどうだろうか、と。
去勢が済み、力なく全身でへこ、へこ、と呼吸している妖精は家に持ち帰った後も幾分弱っているように見えた。
しかし、ずんだもちを与えた瞬間、ものすごい勢いでむさぼると、すぐに明るい緑色を取り戻した。
「元気になったみたいだな。さっそく土をいれよう」
「にんげんしゃん、なにを……わっ！」
ヒデキは妖精を取り出すと、ケージに妖精の胴体がちょうど埋まるくらいの深さまで土を入れて再び妖精を戻した。
「にんげんしゃん、もっとずんだもちくださいななのだ」
「そうだな。今日は去勢したばかりだし。今日までならいいかな」
「わーいなのだ！」
妖精はうまそうにずんだ餅にかじりついていた。
翌日。
「おなかがすいたのだ……。にんげんしゃん…ずんだもち……」
ヒデキは無言で、上からジョウロでまんべんなく水をかけた。
「ちべたっ！ おばばぼ、なんっ、おぼぼ……、な、なにをするのだ！」
ジョウロが差し込まれた先をにらみつける妖精。
ケージの蓋が開き、ヒデキの手が入ってくると妖精は「ずんだもち！」と声を上げたが、目当てのものは手の中にはなく、アンプルのような形をした栄養剤が土に刺されただけだった。
「え……？ な、なんで…？ にんげんしゃん……？」
「そうだ。光合成っていうなら、日当たりのいいところじゃないとだめだよな。失敬失敬」
「ひあたりってなんで…うわっ」
ヒデキはベランダの日当たりのいい場所にケージを移すと、すぐに自室へ引っ込んでしまった。
「はやくえさをよこすのだ！ にんげんさん！ ぼくにはやく！」
一晩明け。
「にんげんしゃん…ごはんさん……ください…なのだ……おなかぺこぺこなのだ……」
ヒデキは昨日と変わらず、水だけ撒いて、学校に行った。
妖精はこの世の終わりのような顔をしていた。
ヒデキが帰宅すると、出口を探したのか、地面が何か所か彫られており、ケージはひっかいたような跡がたくさんついていた。
爪もない妖精なので、本当に跡がついていただけだが。
「にんげんしゃん……ごはんさんをくださいな、なのだ……」
「あれ、ちょっと枝豆がしおれているな。朝夕の水やりだけじゃ不十分なのかな。水だけはいつでも供給されるようにしておくか」
ようやくケージの蓋が開いたとみて妖精は、飛び出そうと浮き上がった。
「あいたのだ……。おそとには、ごはんさんがいっぱいあるのだ……？」
「どこいくんだ」
弱弱しい飛行しかできない妖精は簡単につかまり、ケージに引き戻された。
「いちゃい…！はなすのだ！ぼくはそとにでて、いっぱいごはんさんを……」
「逃げるな逃げるな。動いても消耗するだけだぞ。お前は植物なんだから」
ヒデキは失敗に学び、ハムスターが使うような給水機に少量の植物用栄養剤を混ぜて設置した。
「よし。これで、多少放置しても大丈夫なはずだ。もちろん観察は毎日続けるけれど…」
それから。
ある時は、「なんでもいいから…ずんだもちがないのは、びんぼうさんだからなのだ…？ もしないなら…ちがうのでもいいから…ごはんさんを…」
譲歩するふりをしてみたり。
ある時は、「だして！、ここからだして！ 」「おねがいしますのだ、だしてくださいのだ！」
懇願してみたり。
ある時は、「おいくちょにんげん！はやくごはんさんをよこすのだ！」
命令してみたり。
ある時は、「ごはんさんをくれないと、ゆるさないのだ！ こうしてやるのだ！ ぷくー！なのだ！」
威嚇してみたり。
ある時は、「だせ！だせだせだせだせ！ だせこら！！ おいきいてるのか！くしょにんげん！！」
恫喝してみたり。
ある時はうってかわって、「ぼくがわるいことをしたならあやまりますのだ。どうかゆるしてくださいなのだ」
謝るふりをしてみたり。
ある時は、「これから、ちゅうがえりをしますのだ。だからごはんさんをくださいのだ……やくそくしてくださいなのだ」
妖精は気合を入れて踏み切ると、くるりと一回転−−はすることなく、べちゃりと顔面から土に突っ込んだ。何度も何度も試して、「できたのだ…にんげんしゃん…やくそく…ずんた…も…ち……」と聞こえてきたから最後には成功させたようだが、ヒデキは全く見ていなかった。
ある時は、「なんでもしますのだ。にんげんしゃんのどれいになりますのだ。だからごはんさんを……」
取引しようとしてみたり。
ある時は、「ぼくがわるかったです……。ゆるしてください…ほんとうにぼくが…」
謝ってみたり。
ある時は、「ここからだしてくれるだけでいいんです…ごはんさんは、じぶんでどうにかしますのだ……」
譲歩をもらおうとしてみたり。
ある時は、「その、にんげんしゃんがたべた、ばななのかわ…、それでいいです…それで、それをくださいのだ……」
ごみを貰おうとしてみたり。
ある時は、「かみさま…どうかたすけてくださいのだ…ぼくはなんにもわるいことをしてないですのだ……」
神頼みしてみたり。
どの声もヒデキの耳に届くことはなかった。
一方で、ヒデキは食事を与えないこと以外は妖精を完璧に管理していた。
何日か経った。
「もう……なんにちも……なにもたべていないのだ……」
ケージの中は爪もないのに引っ掻き続けたため、妖精のつま先から滲んだ緑色の血でところどころ汚れていた。
「かみしゃま…なんて…ぼくを…たすけてくれないのだ……？」
妖精は動きは力ないものの、色あせもなく、鮮やかな緑色を保っていた。
「もう…つち…くらいしかたべるものがないのだ……」
妖精は土を食らった。空の胃袋を満たすように。
味はひどいものだったが、これまでの空腹に比べればましだった。
「ぼ……、も…だめ……」
それから何日かが経ったある日。ついに、妖精は動かなくなった。それも鮮やかな緑色を残したままで。
〜〜〜
「このようにして、僕の妖精は生きていながら、植物に近い形質を手に入れたんです。家の中で放し飼いにしていますが、食事はもちろんとりませんし、自分から動くのは日向へ行くときだけで、話しかけてくることもほとんどありません。植木鉢は気に入ったみたいで、日向に置いておくとよく入っています」
発表を終えたヒデキは、植木鉢のなかにすっぽりとおさまり、眠ったようにおとなしくしている妖精を手に掲げた。
し〜ん、とめたんの発表の時とは異なる様子で教室が静まり返る。
先生が、ぱしん、と手を打った。
「ヒデキくんの発表は素晴らしいものよ。実際そのような研究は今も行われているわ。それから、その妖精はしゃべることはできるかしら」
「枝豆を触ると、少し反応しますよ。ほら」
べしっと枝豆をデコピンした。鉢植え妖精は鈍く反応する。
「いちゃ…。のだー…？ にんげんしゃん……？」
「何か言いたいことはあるかしら？」
「のだぁ…、おひさま……きもちーのだぁ…」
「素晴らしい発表に拍手！ それでは、次の春日部さん」
「あーしのずんちゃんはね。ペットショップの店員さんに教えてもらった秘伝の餌で……」
〜〜〜
一人、一人、と発表を終えてゆく。
そのどれもが、大小や、子供ゆえの多少の過誤はあれど、『いのち』について考えた結果だと筆者は信じて疑わない。
最後の一人が発表を終えると、先生は言った。
「それでは、最初にお知らせしたとおり、この妖精たちは精肉して、皆さんの食卓に運ばれます」
「え――？」生徒たちがどよめいた。
めたんは、面前に並べられた子ずんに夢中で、あまり先生の話を聞いていなかった。
もちろん、ちゃんと聞いていた生徒もいたが、どこか遠い世界の話と思っていて、一緒に過ごすうちにほとんど忘れていたのだ。
「私たちの食卓に運ばれてくるお肉は、酪農家さんたちが、愛情をこめて育てたものを、私たちのもとに運んでくださっているの。自分たちの手で命を育てて、自分たちでシメて、食べることを学ぶ。これが本当の食育−−『いのちの授業』と考えているわ」
生徒からは、非難の声が上がった。
「俺のずんずんを食うなんてダメだぞ！」
「うちの子もよ！」
「かわいそうよ！」
そのなかで、誰かがぼそりとつぶやいた。
「でも、俺たち、豚や牛も食べているし、時々妖精も食卓に並ぶよな……」
誰もが何も言えなくなる。
では、自分で育てた自分の妖精だけは特別なのか、と。
生徒たちの顔が変わったのをみて、先生は声を上げた。
「そうですね。ではまず、皆さんに票を入れてもらおうと思います。このまま妖精を飼い続けるか、命をいただくか」
先生は最初の投票を集計すると、「きれいに半分に分かれたわね。これから議論を続けてもらって、最後にまた投票しようと思います」
それから議論が重ねられた。
当然めたんは、飼い続けるほうに熱弁した。大切に育ててきた妖精をそんな目に遭わせていいのか、と。
他のクラスメイトも、それはめたんほどではなかったかもしれないが。それは妖精の希望とは違ったかもしれないが。
愛情をもって妖精を育てていたのは紛れもない事実だった。
動物嫌いのヒデキや、あまり乗り気でなかったほかの生徒でさえも、もう自分の妖精は特別なものとして見てしまっていた。
生徒たちの議論は、徐々に、飼い続けるという方向にシフトしていった。
一方で、『なぜ自分たちで育てた妖精だけなんで食べてはいけないのか？』ということについては、誰も反論できなかった。
最後の投票。
先生がすべてを確認し、宣言する。
「妖精たちは、私たちみんなで調理することにします。意見の違う人を探して攻撃したりしないようにしましょうね」
阿鼻叫喚となった教室のなかで、めたんは目の前が真っ暗になるのを感じた。
目の前の妖精は、何の事か分かっていないみたいで、真っ青な顔をして見つめる主人に、「めたんちゃん、どうしたのだ？」と首をかしげていた。
先生は声を張り上げる。
「妖精をシメめるのは学年末にしましょう。終業式までみんなの妖精を預かります。そこまで検査と、来年への準備期間にします」
一匹一匹、妖精を回収していく先生。
「あっ…めたんちゃ……」
「だめ！ずんだもんもっていかないで！」
「四国さんもう決まったことよ。それに、検査と、次の学年の子のための準備だけだから。また終業式に返すわ」
「めたんちゃん！ めたんちゃん！！」
妖精の声が響く。
めたんは放心状態のまま、何も言えなかった。
〜〜〜
「よし、全部運び終わったわね」
すべての妖精を理科準備室に運び込んだ先生は一息ついた。
「この役目もつらいわね…」
放課後の赤い日差しのなか、先生は生徒たちの投票用紙を開く。
「これも…、これも…、これも…」全員が、飼い続けることを選択していた。
その『いのちの投票用紙』をすべてシュレッダーに突っ込んだ。
「私の判断は本当に正しいのかしら……？」
〜〜〜
一方、暗い部屋の中で、妖精たちはおびえきっていた。
「くらい、せまい、たすけてー！」
「おうちにかえして！！」
「ずんだもちよこすのだ！」
「たすけてくださいおねがいしますのだ」
「あ、そうそう、来年の準備をしてあげなきゃね」
先生は、何匹か妖精を見繕い、同じケージに入れた。
「四国さんの妖精と、春日部さんの妖精ね…」
「ひっ…こわいのだ……！」
「なにをするのだ…？ おっ、めっちゃいい感じのメスずんなのだ！ めちゃくちゃ美人なのだ！ ずんぽがムラムラしてきたのだ！」
「じゃあ、へこっていいわよ」
「へこへこ！ お前、僕とへこへこするのだ！」
ずんだもんは戦慄する。
「え――？？ へこへこってなに？？」
「へこへこはとっても気持ちいいのだ！ へこるのだ！」
「うぅ…、怖いし、なんか嫌なのだ……。うぎゃっ！」
困惑するめたんのすんだもんに、体格の大きいつむぎの妖精がのしかかる。
「うぐぐ、何を……、重いぃい…やめて、やめて……」
押しつぶされそうになるずんだもん。
「ふおおお…、なんてエロい妖精なのだ……、匂いヤバすぎなのだ……ムラムラがやべえのだ…」
つむぎの妖精は構わずその起立したずんぽをへこへことこすりつける。
「まっちぇ、なにを………いちゃいいいいいいいいいい！！！」
身体の中に焼けた巨大なナイフをつきこまれているのではないかと錯覚するような痛みにずんだもんは絶叫した。
「あぎぃっ！！いちゃいいいい！！」
「うおっ、類い稀なる名器なのだ！ お前気持ちよすぎだろ！なのだ！！ もう出るのだ！ うっほ！！」
「いちゃいいちゃい！！お腹が裂けちゃうのだぁああああ！！やめてぇぇえええええええええええええええええええ！！！」
「おおお……っ……。ずん生最大の種汁さん大放出なのだ……ふぅ…」
射精の快楽に陶酔する『ずんちゃん』からずんだもんは逃げ出した。
強烈な痛み以外、何が起こったかも分かっていないずんだもんはゲージの対角線で、白目を剥きかけている妖精からなるべく距離をとる。
ぼたぼたと、自身の股からなにかが溢れてくる。
「はう…はう…もうやめて欲しいのだ……めたんちゃん…、たすけて……」
「まだまだおわらないのだ！」
その体躯に見合った巨大なずんぽを見せつけるようにしながら、のしのし、とゆっくりと近づいてくる巨大な妖精。
ずんだもんは痛みと恐怖で腰が抜けて、じりじりと後ずさることしかできない。ぴと、と透明な壁が背中に触れた。
「いやぁあああああ！ もうやめてぇぇえええ！！！ めたんちゃ、たすけ！ めたんちゃぁあああ！！！」
どれだけ必死に逃げようと、狭いケージの中では無駄だった。
「へこへこは気持ちいいのに何で逃げるのだ？お仕置のメガトンキックなのだ！」
「うぎゃっ！！！ おっ…、おぽっ……、ひうっ…ひふ…っ……」
戦いの中で鍛えられた妖精の一撃を脇腹に受けたずんだもんは、たまらず転がり、呼吸筋が痙攣したのかうまく呼吸ができない。
苦痛に悶え、口をぱくぱくと動かして必死に空気を求めるずんだもんのことなど、全く考慮せずに『ずんちゃん』は巨大な生殖器をねじ込んだ。
「やめっ、いっ…！ ひぎぃいいい！！」
「へこへこ！ へこへこ！！ やっぱり気持ち良すぎなのだ！！」
「いいいいい！！！ もうやめて！！ ゆるしてぇえええ！！」
「へこっ……、お、おおお、また上がってきたのだ……種汁さんが出るのだ！ お前気持ちよすぎてイキスギィ！ なのだ！ ヌッ！！！」
侵略者は白目を剥きながらびくびくと震えた後、「おっおっおっ」と汚い音を発しながらくたりと体重をずんだもんに預けた。
動きが止まったのを見て、ずんだもんは薄く目を開けた。
「う…、おわった…？、のだ……？、お腹が…身体が、痛すぎるのだ…。もうなんでもいいから、早く終わってなのだ……」
ずんだもんが妖精の下から抜け出そうと身じろぎした途端。
もう一度、妖精が動き出した。
「おおっふ……。うおお…気持ちよすぎて意識飛んでたのだ……」
「もう、終わったんですよね……。ならもう、それを抜いてほしいのだ…、お家に、めたんちゃんのところに、帰して……」
ずんだもんは憔悴しきった顔で、懇願した。
それに、『ずんちゃん』は腰を振ることで応える。
「へこへこ！！」
「あががががが！！！」
「こんな気持ちいいこと終わるわけねぇのだ！ うおおおお！！ へこへこ！へこへこ！ 抜かずのへこへこ！！」
「いぎぃいぃいいいい！！！ やめ、やめっ！！！」
「気持ちよすぎてへこへこ止まらねぇのだ！ お前が気持ちよすぎるのが悪いのだ！」
「あ……、あ……、やめ……、もう……」
あまりの激痛に薄れゆく意識。
「あー！ へこへこぉおお！！ へこへこぉおおお！！、あー、もう、その赤いの邪魔なのだ！！」
首に巻いていた赤いマフラーを引きはがされ、ケージの隅にポイと投げられた。
急に寒くなった首筋に、遠くなりかけた意識が、覚醒する。
「あああああ！！！ だめ！！ マフラーさん取らないで！ そのマフラーは！マフラーは！！」
マフラーを巻いてくれた、優しい主人。
そのことを思い出し、必死にマフラーへ手を伸ばすずんだもん。
「暴れるななのだ！ 僕とヘコヘコしないでどこ行こうとしてるのだ！ おとなしくするのだ！」
「マフラーかえして！！ めたんちゃぁああああ！ いぁあああああああ！！！」
「気持ちいいけど、うるさいメスずんなのだ！ おら！気持ちいいだろ！ のだ！」
「やめてぇぇええ！！ ちがう！！ こんなの…こんなの痛くて、痛くて気持ち悪いだけなのだ！！」
「うるさいのだ！僕のへこへこテクニックが気に入らないっていうのだ！？ おら、メガトンパンチを食らうのだ！」
「あがっ！！痛い…！」
突然、思い切り顔面を殴られた衝撃に、ずんだもんは頭が真っ白になり、ぽろぽろと涙を流すことしかできなかった。
「う…うぅ……、ううう………」
「ふん、そうやっておとなしくしてればすぐに気持ちよくしてやるのだ！ へこへこ！！ ﾝｷﾞﾓｯﾁｨ！！」
「もう……、やめ…………」
おわらないへこへこ。
ずんだもんは圧し掛かられたままで、大切なマフラーの元へ行くことも許されず。なんども途切れ途切れになる意識の中で、振動と苦痛のみを感じていた。
遮光カーテンから差し込む光はとっくになくなって、全てが終わったのは、夜も更けた後だった。
ズキズキと痛む、下腹部と、身体の節々。頭や顔も殴られたせいか、ふらふらと視界が歪む。
満足した顔で眠ったオスずんを起こさないように、こっそりと這うようにマフラーに近寄った。
「めたん…ちゃん……」
(ぼくが…ぼくが悪かったのだ…？ この妖精はぼくが気持ちよすぎるせいだって言ってたけど……。ぼくがいけない妖精だからなのだ…？)
ケージの隅にくしゃりと放られた、大好きなマフラー。
よく見るとところどころにカピカピになった白い何かがこびりついている。
冷たいケージの床。
一緒にいるのは苦痛と恐怖でしかなかった『へこへこ』を強要してくる、巨大な妖精のみ。
何度も何度も汚いモノで貫かれ、べたべたとしたよくわからない体液でぬれた自分の身体。
「ううっ…、めたんちゃん……、ぼく…汚れ、ちゃったのだ……」
ずんだもんは、マフラーに顔をうずめる。
遮光カーテンの理科準備室には押し殺した妖精の嗚咽が響いていた。
〜〜〜
「ずんだもん……怖い思いをしてるだろうな……」
まだ先とは言え、食肉宣言という、死刑宣告を受けているのだ。
ずんだもんは何のことかよくわかっていなかったみたいだけど……。
めたんは布団の中で、自分の可愛い妖精に思いをはせる。
「嫌だよ、ずんだもんを食べるなんて…。なんとか…私がなんとかしないと」
めたんは枕に顔をうずめて、呟いた。
「さみしいよ、ずんだもん…」
続く。
「めたんちゃん！おかえりなのだー！」
学校から帰っためたんが、ランドセルを下ろし、靴を整えていると、ぴょこっ、ぴょこっと、その短い足を器用に使ってめたんに駆け寄る。
「のだー！」
最後にぴょんっ、と踏み切るとめたんの胸の中にポスリと飛び込んだ。
「うん、ただいま、ずんだもん」
もちもちとめたんは妖精を撫でる。飼い始めた頃に比べる少し手荒いようにも思える手付きだが、それは信頼の現れ。妖精も気持ちよさそうに喉をならす。
(僕はあれから飛べなくなっちゃったけど、めたんちゃんの腕の中でこうしてナデナデして貰えるのは嬉しいのだ…）
撫でる手に、にこにこの笑顔で応える妖精に、めたんは靴を履きなおす。
「よし、このままお散歩に行きましょうか」
「のだ！」
木枯らしが、すっかり茶色くなってしまった落ち葉を掃き散らかす。
なんとなしに手に息を吹きかけると、ふわりと白く煙った。
「すっかり寒くなっちゃったわね、ずんだもん」
「のだー」
いつも散歩の目的地にしていた公園の桜の木の下。
もちろんその桜には既に枯葉すらついていない。
公園にはブランコや滑り台もあるが、寒さのせいか遊んでいる者もなく、閑散としていた。
「そうだ、ずんだもん。これあなたに…」
めたんが取り出したのは赤いマフラー。手編みで少々不格好だが、しっかりと目の詰まった生地は断熱に優れたものだ。
「これは…マフラーさんなのだ？」
「うん。うちって、その…、少し貧乏でしょう？ だから、私が作ったもので申し訳ないのだけど……」
「めたんちゃんが作ってくれたのだ？」
ずんだもんはマフラーに包まって、顔をうずめた。
「マフラーさんとっても暖かいのだ！ ふわふわなのだ！ めたんちゃんはすごいのだ！」
「ふふ、喜んでくれたなら嬉しいわ」
めたんはふたたび、もちもちと妖精をなでる。
「ありがとうなのだ。ぼくの宝物なのだ！ 大切にするのだ！」
(飛べなくなっちゃっても……やっぱり、ぼくは世界で一番幸せな妖精なのだ。めたんちゃんとずっと一緒にいられたら、それだけで……)
ずんだもんは、再び、マフラーに顔をうずめた。
ちょっとだけ不器用だけど、やさしくて、ふわふわで、暖かくて、いい匂いがして。
――まるで。
(めたんちゃんと一緒にいるみたいなのだ)
〜〜〜
それぞれの家で、それぞれの方針で育てられ、成熟した妖精達。
先生が最初に告げた、三学期も終わりに近づいていた。
「今日は妖精の飼育日誌を発表してもらいます。それでは、四国さん」
めたんはすらすらと、ずんだもんとの生活を話す。
毎日散歩していること。手作りのずんだ餅を用意していること。一緒に風呂に入り、そして寝ていること。
マフラーをあげたこと。喜んでいる妖精を見て、ずっと一緒にいたいと思ったこと。
そのどれもに気持ちがこもっていて、当初は茶化していたクラスメイトもだんだんと無言でめたんの発表に聞き入った。
「以上です」めたんはそう言うと、ふう、と一息つく。
ぱちぱち、と誰が始めるでもなく、大きな拍手が起こった。
「素晴らしい発表だったわ。四国さん。妖精からも一言あるかしら？」
「え！？ ぼくなのだ！？」と突然水を向けられたずんだもんは面を食らったようだが、話し始める。
「ぼくは一番の幸せものなのだ。このマフラーもとっても気持ちいいのだ。めたんちゃん。本当にありがとうなのだ」
「うんうん。四国さんの妖精はとても毛並みもいいし、発言もしっかりしていて、とても大切に育てられたことがわかります。素晴らしい発表でした。みんな、もう一度拍手を！」
ぱちぱちぱち、と再び拍手。
あまり褒められ慣れてないめたんは、顔を赤くして、いつもより少しだけ大きな音を立てて椅子に座った。
「じゃあ、次、たけしくん」
「はい、俺は……」
たけしは、自分の妖精を一番強い妖精にしたかったこと。
そのために餌をたくさん食べさせたり、トレーニングさせたりと様々な努力をしたことを語った。
「確かに、たけし君の妖精はかなり身体が大きいわね。妖精から一言あるかしら」
「ボクはたたかいはあんまり好きじゃなかったけど、たけしくんといっしょになにかをして、いっしょにわらうのは楽しかったのだ。たけしくんはたまに、きびしいところもあったけど、それはボクへの期待だって今ならわかるのだ」
「素晴らしいですね。拍手」
「では、次の……ヒデキ君の妖精はすごくおとなしいのね。どういう風に育てたのか教えてくれる？」
植木鉢の中に納まり、休眠したようにほとんど動かない妖精。
「僕は、山妖精は光合成をしているという記事を読んで、植物のように育てることを思いつきました」
〜〜〜
「おぎゃーのだ！ おぎゃーのだ！」ケージの中で貰ったばかりの赤ずんが泣いている。
「ほら、ずんだもちだぞ。食えよ」
ぽい、とケージの中に放ると、「ずんだもち！ ずんだもち！」と赤ずんはずんだ餅にむしゃぶりつく。
もともと潔癖のケのあるヒデキはあまり動物が好きではなかった。しかし、命を預かる責任感もあった。
そして、目の前の小さくて無力な生物を可愛いと思う気持ちもあった。
妖精の育て方や生態について、よく調べた。
その生態にはいまだ謎な部分は多いものの、生体となった妖精は光合成をおこなうことがわかっているとのことだ。
プランクトンの例はあれど、どう見ても小動物サイズの生物がそれをするなんて、なんとも不思議だとその時は思った。
「にんげんしゃん…？ ずんだもちをくださいななのだ」
「はいはい」
そんな日々を続けていると、だんだんと大きくなり、耳も生えてきた妖精。
赤ずんは確かに、誰がどう見ても可愛い存在だと思った。このか弱い存在を守ってあげなればならないと思った。
しかし、成長した妖精はどうもそうは思えない。
人語を話し、ただ与えられるものを享受する。最初に先生の言っていた目的がなければ、投げ出したいくらいだった。
すでにヒデキを動かしているのは命に対しての義務だけであった。
だからこそ、あの日。一斉に去勢を行った日。
「ずんぽおおおおお！！ずんぽがぁぁああああああああああああああああああ！！！！へこへこできなくなっちゃうのだあああああ！！！」
「ずんぽずんぽずんぽずんぽ！！！ ！！！ずんぽがぁああ！！！！」
「じゅんぽじゅんぽ！！ぼくのじゅんぽ！！いたいちゃ、こわれるちゃ、しぬちゃ！！ずんぽが！！！ 」
「へこへこがぁあああ！！ぼくのすんぽぉおおおお！！ずんたまぁああああ！！ へこへこぉおおお！！！」
自分の手でざぷりざぷりと鉄やすりを前後に動かすたびに、下品に悲鳴を上げる自分の飼っている妖精を見て、なんとも哀れな気持ちが湧いた。
それと同時に生殖器のことを『ずんぽ』や『ずんたま』というのも正直、気味が悪かった。
心の底が冷えていくような感覚。
妖精の言っている『へこへこ』というのは交尾のことだというのは後で知ったことだったが――。
しかも彼らはそれを憚らず公言するだけでなく、所かまわず交尾する。それも、主に快楽のためだという。
すでに去勢は済んでいたが、そのような動物的で不潔な要素はあまり好ましく思えなかった。
そこで以前に読んだ記事を思い出す。
そうだ、光合成をしているのならば、いっそ、植物のように育ててみるのはどうだろうか、と。
去勢が済み、力なく全身でへこ、へこ、と呼吸している妖精は家に持ち帰った後も幾分弱っているように見えた。
しかし、ずんだもちを与えた瞬間、ものすごい勢いでむさぼると、すぐに明るい緑色を取り戻した。
「元気になったみたいだな。さっそく土をいれよう」
「にんげんしゃん、なにを……わっ！」
ヒデキは妖精を取り出すと、ケージに妖精の胴体がちょうど埋まるくらいの深さまで土を入れて再び妖精を戻した。
「にんげんしゃん、もっとずんだもちくださいななのだ」
「そうだな。今日は去勢したばかりだし。今日までならいいかな」
「わーいなのだ！」
妖精はうまそうにずんだ餅にかじりついていた。
翌日。
「おなかがすいたのだ……。にんげんしゃん…ずんだもち……」
ヒデキは無言で、上からジョウロでまんべんなく水をかけた。
「ちべたっ！ おばばぼ、なんっ、おぼぼ……、な、なにをするのだ！」
ジョウロが差し込まれた先をにらみつける妖精。
ケージの蓋が開き、ヒデキの手が入ってくると妖精は「ずんだもち！」と声を上げたが、目当てのものは手の中にはなく、アンプルのような形をした栄養剤が土に刺されただけだった。
「え……？ な、なんで…？ にんげんしゃん……？」
「そうだ。光合成っていうなら、日当たりのいいところじゃないとだめだよな。失敬失敬」
「ひあたりってなんで…うわっ」
ヒデキはベランダの日当たりのいい場所にケージを移すと、すぐに自室へ引っ込んでしまった。
「はやくえさをよこすのだ！ にんげんさん！ ぼくにはやく！」
一晩明け。
「にんげんしゃん…ごはんさん……ください…なのだ……おなかぺこぺこなのだ……」
ヒデキは昨日と変わらず、水だけ撒いて、学校に行った。
妖精はこの世の終わりのような顔をしていた。
ヒデキが帰宅すると、出口を探したのか、地面が何か所か彫られており、ケージはひっかいたような跡がたくさんついていた。
爪もない妖精なので、本当に跡がついていただけだが。
「にんげんしゃん……ごはんさんをくださいな、なのだ……」
「あれ、ちょっと枝豆がしおれているな。朝夕の水やりだけじゃ不十分なのかな。水だけはいつでも供給されるようにしておくか」
ようやくケージの蓋が開いたとみて妖精は、飛び出そうと浮き上がった。
「あいたのだ……。おそとには、ごはんさんがいっぱいあるのだ……？」
「どこいくんだ」
弱弱しい飛行しかできない妖精は簡単につかまり、ケージに引き戻された。
「いちゃい…！はなすのだ！ぼくはそとにでて、いっぱいごはんさんを……」
「逃げるな逃げるな。動いても消耗するだけだぞ。お前は植物なんだから」
ヒデキは失敗に学び、ハムスターが使うような給水機に少量の植物用栄養剤を混ぜて設置した。
「よし。これで、多少放置しても大丈夫なはずだ。もちろん観察は毎日続けるけれど…」
それから。
ある時は、「なんでもいいから…ずんだもちがないのは、びんぼうさんだからなのだ…？ もしないなら…ちがうのでもいいから…ごはんさんを…」
譲歩するふりをしてみたり。
ある時は、「だして！、ここからだして！ 」「おねがいしますのだ、だしてくださいのだ！」
懇願してみたり。
ある時は、「おいくちょにんげん！はやくごはんさんをよこすのだ！」
命令してみたり。
ある時は、「ごはんさんをくれないと、ゆるさないのだ！ こうしてやるのだ！ ぷくー！なのだ！」
威嚇してみたり。
ある時は、「だせ！だせだせだせだせ！ だせこら！！ おいきいてるのか！くしょにんげん！！」
恫喝してみたり。
ある時はうってかわって、「ぼくがわるいことをしたならあやまりますのだ。どうかゆるしてくださいなのだ」
謝るふりをしてみたり。
ある時は、「これから、ちゅうがえりをしますのだ。だからごはんさんをくださいのだ……やくそくしてくださいなのだ」
妖精は気合を入れて踏み切ると、くるりと一回転−−はすることなく、べちゃりと顔面から土に突っ込んだ。何度も何度も試して、「できたのだ…にんげんしゃん…やくそく…ずんた…も…ち……」と聞こえてきたから最後には成功させたようだが、ヒデキは全く見ていなかった。
ある時は、「なんでもしますのだ。にんげんしゃんのどれいになりますのだ。だからごはんさんを……」
取引しようとしてみたり。
ある時は、「ぼくがわるかったです……。ゆるしてください…ほんとうにぼくが…」
謝ってみたり。
ある時は、「ここからだしてくれるだけでいいんです…ごはんさんは、じぶんでどうにかしますのだ……」
譲歩をもらおうとしてみたり。
ある時は、「その、にんげんしゃんがたべた、ばななのかわ…、それでいいです…それで、それをくださいのだ……」
ごみを貰おうとしてみたり。
ある時は、「かみさま…どうかたすけてくださいのだ…ぼくはなんにもわるいことをしてないですのだ……」
神頼みしてみたり。
どの声もヒデキの耳に届くことはなかった。
一方で、ヒデキは食事を与えないこと以外は妖精を完璧に管理していた。
何日か経った。
「もう……なんにちも……なにもたべていないのだ……」
ケージの中は爪もないのに引っ掻き続けたため、妖精のつま先から滲んだ緑色の血でところどころ汚れていた。
「かみしゃま…なんて…ぼくを…たすけてくれないのだ……？」
妖精は動きは力ないものの、色あせもなく、鮮やかな緑色を保っていた。
「もう…つち…くらいしかたべるものがないのだ……」
妖精は土を食らった。空の胃袋を満たすように。
味はひどいものだったが、これまでの空腹に比べればましだった。
「ぼ……、も…だめ……」
それから何日かが経ったある日。ついに、妖精は動かなくなった。それも鮮やかな緑色を残したままで。
〜〜〜
「このようにして、僕の妖精は生きていながら、植物に近い形質を手に入れたんです。家の中で放し飼いにしていますが、食事はもちろんとりませんし、自分から動くのは日向へ行くときだけで、話しかけてくることもほとんどありません。植木鉢は気に入ったみたいで、日向に置いておくとよく入っています」
発表を終えたヒデキは、植木鉢のなかにすっぽりとおさまり、眠ったようにおとなしくしている妖精を手に掲げた。
し〜ん、とめたんの発表の時とは異なる様子で教室が静まり返る。
先生が、ぱしん、と手を打った。
「ヒデキくんの発表は素晴らしいものよ。実際そのような研究は今も行われているわ。それから、その妖精はしゃべることはできるかしら」
「枝豆を触ると、少し反応しますよ。ほら」
べしっと枝豆をデコピンした。鉢植え妖精は鈍く反応する。
「いちゃ…。のだー…？ にんげんしゃん……？」
「何か言いたいことはあるかしら？」
「のだぁ…、おひさま……きもちーのだぁ…」
「素晴らしい発表に拍手！ それでは、次の春日部さん」
「あーしのずんちゃんはね。ペットショップの店員さんに教えてもらった秘伝の餌で……」
〜〜〜
一人、一人、と発表を終えてゆく。
そのどれもが、大小や、子供ゆえの多少の過誤はあれど、『いのち』について考えた結果だと筆者は信じて疑わない。
最後の一人が発表を終えると、先生は言った。
「それでは、最初にお知らせしたとおり、この妖精たちは精肉して、皆さんの食卓に運ばれます」
「え――？」生徒たちがどよめいた。
めたんは、面前に並べられた子ずんに夢中で、あまり先生の話を聞いていなかった。
もちろん、ちゃんと聞いていた生徒もいたが、どこか遠い世界の話と思っていて、一緒に過ごすうちにほとんど忘れていたのだ。
「私たちの食卓に運ばれてくるお肉は、酪農家さんたちが、愛情をこめて育てたものを、私たちのもとに運んでくださっているの。自分たちの手で命を育てて、自分たちでシメて、食べることを学ぶ。これが本当の食育−−『いのちの授業』と考えているわ」
生徒からは、非難の声が上がった。
「俺のずんずんを食うなんてダメだぞ！」
「うちの子もよ！」
「かわいそうよ！」
そのなかで、誰かがぼそりとつぶやいた。
「でも、俺たち、豚や牛も食べているし、時々妖精も食卓に並ぶよな……」
誰もが何も言えなくなる。
では、自分で育てた自分の妖精だけは特別なのか、と。
生徒たちの顔が変わったのをみて、先生は声を上げた。
「そうですね。ではまず、皆さんに票を入れてもらおうと思います。このまま妖精を飼い続けるか、命をいただくか」
先生は最初の投票を集計すると、「きれいに半分に分かれたわね。これから議論を続けてもらって、最後にまた投票しようと思います」
それから議論が重ねられた。
当然めたんは、飼い続けるほうに熱弁した。大切に育ててきた妖精をそんな目に遭わせていいのか、と。
他のクラスメイトも、それはめたんほどではなかったかもしれないが。それは妖精の希望とは違ったかもしれないが。
愛情をもって妖精を育てていたのは紛れもない事実だった。
動物嫌いのヒデキや、あまり乗り気でなかったほかの生徒でさえも、もう自分の妖精は特別なものとして見てしまっていた。
生徒たちの議論は、徐々に、飼い続けるという方向にシフトしていった。
一方で、『なぜ自分たちで育てた妖精だけなんで食べてはいけないのか？』ということについては、誰も反論できなかった。
最後の投票。
先生がすべてを確認し、宣言する。
「妖精たちは、私たちみんなで調理することにします。意見の違う人を探して攻撃したりしないようにしましょうね」
阿鼻叫喚となった教室のなかで、めたんは目の前が真っ暗になるのを感じた。
目の前の妖精は、何の事か分かっていないみたいで、真っ青な顔をして見つめる主人に、「めたんちゃん、どうしたのだ？」と首をかしげていた。
先生は声を張り上げる。
「妖精をシメめるのは学年末にしましょう。終業式までみんなの妖精を預かります。そこまで検査と、来年への準備期間にします」
一匹一匹、妖精を回収していく先生。
「あっ…めたんちゃ……」
「だめ！ずんだもんもっていかないで！」
「四国さんもう決まったことよ。それに、検査と、次の学年の子のための準備だけだから。また終業式に返すわ」
「めたんちゃん！ めたんちゃん！！」
妖精の声が響く。
めたんは放心状態のまま、何も言えなかった。
〜〜〜
「よし、全部運び終わったわね」
すべての妖精を理科準備室に運び込んだ先生は一息ついた。
「この役目もつらいわね…」
放課後の赤い日差しのなか、先生は生徒たちの投票用紙を開く。
「これも…、これも…、これも…」全員が、飼い続けることを選択していた。
その『いのちの投票用紙』をすべてシュレッダーに突っ込んだ。
「私の判断は本当に正しいのかしら……？」
〜〜〜
一方、暗い部屋の中で、妖精たちはおびえきっていた。
「くらい、せまい、たすけてー！」
「おうちにかえして！！」
「ずんだもちよこすのだ！」
「たすけてくださいおねがいしますのだ」
「あ、そうそう、来年の準備をしてあげなきゃね」
先生は、何匹か妖精を見繕い、同じケージに入れた。
「四国さんの妖精と、春日部さんの妖精ね…」
「ひっ…こわいのだ……！」
「なにをするのだ…？ おっ、めっちゃいい感じのメスずんなのだ！ めちゃくちゃ美人なのだ！ ずんぽがムラムラしてきたのだ！」
「じゃあ、へこっていいわよ」
「へこへこ！ お前、僕とへこへこするのだ！」
ずんだもんは戦慄する。
「え――？？ へこへこってなに？？」
「へこへこはとっても気持ちいいのだ！ へこるのだ！」
「うぅ…、怖いし、なんか嫌なのだ……。うぎゃっ！」
困惑するめたんのすんだもんに、体格の大きいつむぎの妖精がのしかかる。
「うぐぐ、何を……、重いぃい…やめて、やめて……」
押しつぶされそうになるずんだもん。
「ふおおお…、なんてエロい妖精なのだ……、匂いヤバすぎなのだ……ムラムラがやべえのだ…」
つむぎの妖精は構わずその起立したずんぽをへこへことこすりつける。
「まっちぇ、なにを………いちゃいいいいいいいいいい！！！」
身体の中に焼けた巨大なナイフをつきこまれているのではないかと錯覚するような痛みにずんだもんは絶叫した。
「あぎぃっ！！いちゃいいいい！！」
「うおっ、類い稀なる名器なのだ！ お前気持ちよすぎだろ！なのだ！！ もう出るのだ！ うっほ！！」
「いちゃいいちゃい！！お腹が裂けちゃうのだぁああああ！！やめてぇぇえええええええええええええええええええ！！！」
「おおお……っ……。ずん生最大の種汁さん大放出なのだ……ふぅ…」
射精の快楽に陶酔する『ずんちゃん』からずんだもんは逃げ出した。
強烈な痛み以外、何が起こったかも分かっていないずんだもんはゲージの対角線で、白目を剥きかけている妖精からなるべく距離をとる。
ぼたぼたと、自身の股からなにかが溢れてくる。
「はう…はう…もうやめて欲しいのだ……めたんちゃん…、たすけて……」
「まだまだおわらないのだ！」
その体躯に見合った巨大なずんぽを見せつけるようにしながら、のしのし、とゆっくりと近づいてくる巨大な妖精。
ずんだもんは痛みと恐怖で腰が抜けて、じりじりと後ずさることしかできない。ぴと、と透明な壁が背中に触れた。
「いやぁあああああ！ もうやめてぇぇえええ！！！ めたんちゃ、たすけ！ めたんちゃぁあああ！！！」
どれだけ必死に逃げようと、狭いケージの中では無駄だった。
「へこへこは気持ちいいのに何で逃げるのだ？お仕置のメガトンキックなのだ！」
「うぎゃっ！！！ おっ…、おぽっ……、ひうっ…ひふ…っ……」
戦いの中で鍛えられた妖精の一撃を脇腹に受けたずんだもんは、たまらず転がり、呼吸筋が痙攣したのかうまく呼吸ができない。
苦痛に悶え、口をぱくぱくと動かして必死に空気を求めるずんだもんのことなど、全く考慮せずに『ずんちゃん』は巨大な生殖器をねじ込んだ。
「やめっ、いっ…！ ひぎぃいいい！！」
「へこへこ！ へこへこ！！ やっぱり気持ち良すぎなのだ！！」
「いいいいい！！！ もうやめて！！ ゆるしてぇえええ！！」
「へこっ……、お、おおお、また上がってきたのだ……種汁さんが出るのだ！ お前気持ちよすぎてイキスギィ！ なのだ！ ヌッ！！！」
侵略者は白目を剥きながらびくびくと震えた後、「おっおっおっ」と汚い音を発しながらくたりと体重をずんだもんに預けた。
動きが止まったのを見て、ずんだもんは薄く目を開けた。
「う…、おわった…？、のだ……？、お腹が…身体が、痛すぎるのだ…。もうなんでもいいから、早く終わってなのだ……」
ずんだもんが妖精の下から抜け出そうと身じろぎした途端。
もう一度、妖精が動き出した。
「おおっふ……。うおお…気持ちよすぎて意識飛んでたのだ……」
「もう、終わったんですよね……。ならもう、それを抜いてほしいのだ…、お家に、めたんちゃんのところに、帰して……」
ずんだもんは憔悴しきった顔で、懇願した。
それに、『ずんちゃん』は腰を振ることで応える。
「へこへこ！！」
「あががががが！！！」
「こんな気持ちいいこと終わるわけねぇのだ！ うおおおお！！ へこへこ！へこへこ！ 抜かずのへこへこ！！」
「いぎぃいぃいいいい！！！ やめ、やめっ！！！」
「気持ちよすぎてへこへこ止まらねぇのだ！ お前が気持ちよすぎるのが悪いのだ！」
「あ……、あ……、やめ……、もう……」
あまりの激痛に薄れゆく意識。
「あー！ へこへこぉおお！！ へこへこぉおおお！！、あー、もう、その赤いの邪魔なのだ！！」
首に巻いていた赤いマフラーを引きはがされ、ケージの隅にポイと投げられた。
急に寒くなった首筋に、遠くなりかけた意識が、覚醒する。
「あああああ！！！ だめ！！ マフラーさん取らないで！ そのマフラーは！マフラーは！！」
マフラーを巻いてくれた、優しい主人。
そのことを思い出し、必死にマフラーへ手を伸ばすずんだもん。
「暴れるななのだ！ 僕とヘコヘコしないでどこ行こうとしてるのだ！ おとなしくするのだ！」
「マフラーかえして！！ めたんちゃぁああああ！ いぁあああああああ！！！」
「気持ちいいけど、うるさいメスずんなのだ！ おら！気持ちいいだろ！ のだ！」
「やめてぇぇええ！！ ちがう！！ こんなの…こんなの痛くて、痛くて気持ち悪いだけなのだ！！」
「うるさいのだ！僕のへこへこテクニックが気に入らないっていうのだ！？ おら、メガトンパンチを食らうのだ！」
「あがっ！！痛い…！」
突然、思い切り顔面を殴られた衝撃に、ずんだもんは頭が真っ白になり、ぽろぽろと涙を流すことしかできなかった。
「う…うぅ……、ううう………」
「ふん、そうやっておとなしくしてればすぐに気持ちよくしてやるのだ！ へこへこ！！ ﾝｷﾞﾓｯﾁｨ！！」
「もう……、やめ…………」
おわらないへこへこ。
ずんだもんは圧し掛かられたままで、大切なマフラーの元へ行くことも許されず。なんども途切れ途切れになる意識の中で、振動と苦痛のみを感じていた。
遮光カーテンから差し込む光はとっくになくなって、全てが終わったのは、夜も更けた後だった。
ズキズキと痛む、下腹部と、身体の節々。頭や顔も殴られたせいか、ふらふらと視界が歪む。
満足した顔で眠ったオスずんを起こさないように、こっそりと這うようにマフラーに近寄った。
「めたん…ちゃん……」
(ぼくが…ぼくが悪かったのだ…？ この妖精はぼくが気持ちよすぎるせいだって言ってたけど……。ぼくがいけない妖精だからなのだ…？)
ケージの隅にくしゃりと放られた、大好きなマフラー。
よく見るとところどころにカピカピになった白い何かがこびりついている。
冷たいケージの床。
一緒にいるのは苦痛と恐怖でしかなかった『へこへこ』を強要してくる、巨大な妖精のみ。
何度も何度も汚いモノで貫かれ、べたべたとしたよくわからない体液でぬれた自分の身体。
「ううっ…、めたんちゃん……、ぼく…汚れ、ちゃったのだ……」
ずんだもんは、マフラーに顔をうずめる。
遮光カーテンの理科準備室には押し殺した妖精の嗚咽が響いていた。
〜〜〜
「ずんだもん……怖い思いをしてるだろうな……」
まだ先とは言え、食肉宣言という、死刑宣告を受けているのだ。
ずんだもんは何のことかよくわかっていなかったみたいだけど……。
めたんは布団の中で、自分の可愛い妖精に思いをはせる。
「嫌だよ、ずんだもんを食べるなんて…。なんとか…私がなんとかしないと」
めたんは枕に顔をうずめて、呟いた。
「さみしいよ、ずんだもん…」
続く。
次話
あとがき
耳なし子ずんが可愛いから、大きくなった妖精の耳をカットして飼ってる人とかもいそうですよね。
インスタ映えとか、みんなやってるとか言って。
ノイズになりそうなので小説内には盛り込めませんでした。
誰か書いて（他力本願）
インスタ映えとか、みんなやってるとか言って。
ノイズになりそうなので小説内には盛り込めませんでした。
誰か書いて（他力本願）
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このページへのコメント
ヒデキくんの妖精がごはんさんをもらおうと試行錯誤するシーンとてもバリエーション豊かでお気に入りです！譲歩する「ふり」、謝る「ふり」……頭が良いぶん、狡猾だなって。
『耳なし子ずんが可愛いから、大きくなった妖精の耳をカットして飼ってる人とかもいそう』
絶対にいる（断言） 現実世界でのティーカップ犬とか、耳やヒゲを人間好みに加工されてしまったペットを思い浮かべました……
耳の生えないネオテニー種の開発が勧められたり、定期的に生えた耳を切除したり、切除部分を焼いてもう生えてこないようにしたり、薬品を使ったりとか、いろんなことがありそうですよね
感想いただき、謝謝茄子！
レイプシーンはタオルケットをもう一度２を参考にしたのかな？
続編おなしゃす
その作品は存じ上げませんでしたが、面白そうですね。今度プレイしてみます。
めたんとの思い出を全て台無しにされるようなレ○プシーン最高でした
こんなの酷すぎますよね…いくらなんでも可哀想…
(コメント読んでからマフラーにぶっかけられてる事にしました。感想ありがとうございます)
そういえば
＞困惑するめたんのすんだもんに、体格の大きいずんずんがのしかかる
ずんずんはたけしくんの妖精では・・・？
ご指摘感謝します。修正しました。
初期案が見えてしまいましたね…
書いてるうちに、ずんずんは優しい子になっちゃたので、変更したんです……
ご指摘ありがとうございました！
早速の対応ありがとうございます
書いてるうちに初期構想から変わっていくのはよくあることかと
懇願と謝るのだけが、“ふり”というのが腹立たしい。
クズんだもんに当たった子は可哀想。
確かにそこだけは「ふり」だし、命令や恫喝したら餌貰えるかもと試してるだけで、本気で思ってる訳ではないにしても「くしょにんげん」だのなんだの言ってるし、根っこの部分にくずんだな部分があるのかもしれないですね（親が害獣個体だったとか？）
去勢の時もずんぽがずんたまがとか、これじゃへこへこできないとか言ってるので、この個体の植物らしくなる前に関しては「汚らしい獣」として書かれている感じがありますね
植物らしくなった後は（個人的に）かわいいと思いますが
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り少なくともヒデキくんの目には「汚らわしい獣」と映ったのは事実でしょう。ふりというのも、ヒデキくんの目にはそう映っただけで、妖精が本当に反省していたかはわかりません。
閉じ込められて、餌一つ貰えなくなったらクズ個体でなくとも「くしょにんげん！」と悪態つきたくなるのもわかる気もしますが…
それから、餌を貰おうと必死に芸をしたりと色々と試している姿はむしろ知能の高さを感じさせます。ある意味人間的でもありますね。
私も観葉ずんだもん大好きなので、そう感じていただけたなら嬉しいです。