作り直したやつ

このシナリオについて


シナリオ傾向:クローズド、現代
推奨人数:3人〜4人
戦闘:希望があれば有り
推定プレイ時間:4〜6時間
難易度:ふつう
システム:クトゥルフ神話TRPG
推奨技能:目星、聞き耳、隠れる等の隠密技能

あらすじ


探索者たちは夏冬に東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケットに参加しています。
開場して人が溢れる施設内、もみくちゃにされながらもそのお祭りを楽しむ探索者たちはふと、暗闇に意識が堕ちます。
はっと気づくと探索者たちは暗い廃墟のようなところの内部にいました。
天井は剥がれ、鉄筋や配線のようなものがむき出しになり、薄暗いです。
どこからか月明かりが差し込み、何か所かある補助灯のような明かりでどうにか大まかな地形が把握出来た時。
目の前に並んだテーブル、その上には薄い本がいくつも積まれています。まるで、コミックマーケットのように。

ようこそ、グリモワールマーケットへ。

探索者たちはこのイベントが始まる前に廃墟と化したビッグサイトから脱出することになります。

シナリオ背景


探索者たちは現代から人類が滅んだ後の世界に飛ばされています。
その世界、そのビッグサイトでは神話生物たちが昔人類が開催していたコミケを模して同じようにイベントを行っていました。
開催者であるニャルラトホテプことニャル子さんは人類の行っていた素晴らしい文化をとだえさせるわけにはいかないと、こうして
この地でコミックマーケットならぬグリモワールマーケットを開催しています。
集客は上々でこの地球を支配している神話生物から、他の星に住んでいる神話生物まで熱狂的なファンが宇宙から集まります。
規律を重んじる人類のルールを採用し、開催時間きっちりになるまでこの地を踏むことは許されません。徹夜組は殺されます。
そのため、スタッフである神話生物のショゴスとシャンタク鳥は巡回を欠かしません。見つかれば実力でもって排除されるでしょう。

そのようなイベントに探索者が入り込んでしまいます。
コミケはさまざまな念が渦巻く場所で時々不可思議な空間の歪みが生じてしまいます。その歪みに運悪く飲まれた探索者たちは
何百年後か何千年後かも解らない未来のビッグサイトに迷い込んでしまいます。
幸いその歪みはビッグサイト周辺までにしか及んでいないため、遠くへ逃げれば自動的に元の世界へ戻ることが出来ます。

しかし、極稀にこのようなことはあり、以前からそしてこれからもこのグリモワールマーケットに迷いこんでしまう不運な人はいなくならないでしょう。

シナリオの流れ


大まかな進行は

探索者たちが各々の理由でビッグサイトで開催されているコミケに参加している。

突如意識を失い、気付けば廃墟となったビッグサイトの東3ホールに立っていた。

お互い自己紹介などしているとずるずるという異音を聞く(何かがいる、と知らせる)

東展示棟からの脱出(ショゴスが徘徊している)

連絡ブリッジを抜ける(シャンタク鳥が付近を警戒中)

エントランスホールへ移動

国際展示場駅へ逃げる(その際に大量のショゴスに追いかけさせる)

電車に乗り込み、脱出

途中西展示棟へ向かうと黒幕(ニャルラトホテプ)と出会いほぼロスト確実となります。
デストラップです。

シナリオの流れの詳細


探索者たちは夏と冬に開催される世界最大の同人誌即売会であるコミックマーケットに参加しています。
お目当ての本をゲットするため、コスプレをしたり見るために会場内をぎゅうぎゅうになりながら移動しています。
その時突如目の前が暗転し、探索者たちは意識を失います。
次に目が覚めた時、彼らは月明かりが照らす程度の暗いビッグサイトの施設内に立っていました。

6-1・東展示棟

最初にいる場所は東3ホールになります。東展示棟は全て開放されていますが全てイベント仕様になっていてテーブルと薄い本しかありません。
通路にはガレキが散乱し、大まかに片付けられているのか通路の端に適当に積まれています。探索者たちはこのガレキを駆使して身を潜め
神話生物たちの目をかいくぐって脱出することになります。

Tips

通路、通称ガレリアは天井がガラス張りになっていて月明かりで明るく照らされていますのでライトは不要でしょう。
ライトを使用しても構いませんがそれは神話生物に見つかりやすくなるだけでオススメはしません。
探索者が天井を見た場合、ガラス張りであり、何か所か破損しているが上からガラスが降ってくることはないと伝えましょう。
天文学などを持った探索者が月を確認しても満月であることくらいしか解らないでしょう。そこから西暦や日付の逆算は出来ません。
夏の月であれば少し低く、冬の月であれば高いかもしれません。
ただ、探索者たちがコミケに参加した日の月の形とは違うことを伝えても構いません。

★東展示棟に出てくる見張りの神話生物(スタッフ)はショゴスになります(下記ステータス参照)

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ショゴス
STR:21 CON:15 SIZ:32 INT:4 POW:9 DEX:5
HP:31
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押し潰し 70% 2d6+6
(ステータスはSTR、CON、SIZは/3で算出しています(STRは6d6等)。その後適当にダイスを振りました)
戦闘技能は補正を加えています。スタッフ能力などと考えてください。
滅多に使うことはないでしょうが、十分殺せる数字にしたいためです。
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・このショゴスは小柄なので巡回に適しています。

通常の半分から3分の1程度の大きさとなるのでSANチェックは1/1d4ほどまで下げてしまって構いません。
(難易度を上げる場合、誰かの気配を察知した時点で残りのショゴスと合体して通常サイズとなって追い回してもいいかと思います)
基本1体が1階通路を行ったり来たり、もう1体が2階通路やレストランの見通しの良い広い場所を巡回します。
この時のスタッフの人数を増やしたり巡回速度を上げれば難易度を上げることが出来るでしょう。

東展示棟1階は出口に繋がる個所は全てガレキであったりシャッターが下りていて出ていくことは出来ません。

探索者たちは東3ホールの比較的それぞれが近い場所にいます。目が慣れてくれば全員暗い場所でも目視で確認出来る距離にいるでしょう。
なので、合流は容易です。他に誰かいないかと探索者が大声を上げた場合、聞き耳に成功すると遠くで何か奇妙な鳴き声がしたことと
ずるずるとした音が近づいてくることに気付いていいでしょう。その場合は隠れることを推奨してあげます。この場合机の下に潜るだけで充分です。
聞き耳に失敗しても、探索者たちが少し雑談などをした後に全員技能なしでずるずるとした音を聞くことが出来ます。
すぐに隠れれば見つかりません。隠れるに失敗すれば、幸運を振らせ、それも失敗したらシークレットダイスでショゴスに目星させましょう。
この時、成功しても失敗した風に見せかければ導入としては十分です。対峙してはいけないものがいる。隠れて逃げなければ、と思わせることが出来れば十分です。

隠れることをせず堂々と見つかろうとした場合はショゴスに見つかり追いかけられるでしょう。

しかし、基本このショゴスは鈍足なので逃げようと思えばすぐに逃げられます。
意味のないシークレットダイスを数回振ってから「では、ショゴスはあなたを見失って持ち場に戻って行きました」と告げると良いでしょう。
その時、他に隠れている探索者がいても見つかることはありません。目の前をずるずると移動していくでしょう。
戦闘を望んだ場合、警告ののちにその驚異的な力でねじ伏せて差し上げましょう。今回戦闘は推奨されないセッションです。そういうゲームじゃねぇから。
もし、探索者が勝利した場合はスタッフの数を増やしておきましょう。難易度が跳ね上がります。

大声を出さない場合はショゴスが気付くことはないので探索を続行します。

まず目星をしなくても解る範囲の情報として
テーブルがたくさん整列して並び、そのテーブルの
上には何か薄い本が積まれています。
そう、まるで探索者たちが今の今まで参加していたコミックマーケットのような光景が広がっています。

それを手に取るともれなく冒涜的な内容が頭に流れ込みSANチェックとなります。

――冒涜的な薄い本

触れた場合にSANチェック。1/1d3。神話技能+1
クトゥルフ神話技能を持っている探索者がこの技能に成功した場合の追加情報
→にわかには信じがたいが我々人類で言うところの同人誌に近い内容であることを理解しさらに+2の神話技能を差し上げましょう。

このアイテムはただの演出なのでSANを減らす以外の用途はありません。

もし、探索者が持って行きたいと言った場合はこれがコミックマーケットの同人誌にも見えることを伝え
「頒布前の同人誌を勝手に持って行ったらどうなるかな」などと示唆しましょう。それでも持って行きたい場合は持って行かせましょう。
ラストの強制イベント時にロストの確率が高まり、報酬も減ることになります。

目星を希望した場合
成功でここは確かに探索者たちが先ほどまでいたビッグサイトと変わりないが天井は何か所も剥がれ崩落し、
鉄骨や配線のようなものがむき出しになっており、コンクリートもひびが入っている、まるで朽ち果てた廃墟のようだということが解ります。
それ以外に特に気になるものはなく、ここでの探索は済んだことも伝えましょう。

ケータイを見た場合、舞台が夏コミであれば現在時刻が深夜の12時、冬コミが舞台であれば深夜1時くらいだと伝えましょう。夜明けまでの時間はそれぞれおおよそ5時間です。


次に通路の探索になると思います。東展示棟1階には主催者事務室、お手洗い、救護室、託児所など完備されていますが大半はガレキが積まれ入ることが出来ません。
そして一度もショゴスに見つかっていない場合、西展示棟へ向かうための連絡通路の方向へショゴスが進んでいることが解ります
見つかっていた場合、まだ付近をうろうろしているかもしれませんし、そんなことは忘れて西展示棟方向で進んでいるかもしれません。その辺はKPさんにお任せいたします。
月明かりでほのかに明るいので目星を振らせ、隠れられそうな場所を伝えましょう。

恐らくは東3ホールから抜けますので斜め向かいのトイレに入れそうだと教えます。

トイレ

トイレは女性トイレのみ入れます。
中は電気が通っていないため暗闇となっていますのでライトを使うでしょう。
内部を調査していると奥の個室に同人誌が落ちていることに気付きます。
トイレでライトを使って目星を希望した場合、その個室の前に何か本のようなものが落ちていることを伝えましょう。

内部

洋式のトイレがふたが閉まった状態であり、その上に同人誌が1冊載っています。床にも1冊落ちています。
同人誌を捲ると最後の奥付のページと表紙裏に震える字が書いてあります。

――同人誌1

『気が付いたらビッグサイトじゃないビッグサイトにいた……。
俺、普通にコミケにいたはずなのに……
しかも変な化け物が徘徊しているし……どうなってるんだよ……
夢でも見てるのか? 俺、ついに二次元にでも入っちまったのか?
だったらなんでこんなB級ホラーみたいなとこなんだよ!
さっき、一緒に迷い込んだ人が化け物に殺された……
一瞬だったから気のせいかもしれないが、いや、……夢だ……
俺はここから抜け出す。どうせ、夢なんだ。逃げれば覚める』


同人誌のジャンルや年代はお好みで設定してください。
ビッグサイトに移ってから流行したジャンルであれば探索者もPLも大体解ると思います。
知らなくても問題はありません。この辺りはお遊びです。
けれど、比較的さまざまな年代のものを出した方が「他にも迷い込んだ人が色んな時代に結構いる」と解るでしょう。
腐女子探索者さんがいればBL方面で流行したジャンルをひとつくらい紛れ込ませるといいかもしれません。
BLに関しては苦手な方も多いと思われますので、その辺はそれまでのPLさんのノリで察してみましょう。

ここで探索者が「コミケに関して神隠しなどの噂はないか?」と尋ねて来たらアイデアを振らせましょう。
この時、コミケに初めて参加した探索者や、そもそもコミケとは無縁だった探索者にはアイデアの半分で振らせます。
成功したら「コミケの参加者がコミケ中に行方不明になるという噂がある。都市伝説みたいなものとして随分長く語られている」ことを伝えましょう。
この情報はこの時尋ねられなくても、2冊目の同人誌を見つけた時に振らせて提供します。

このトイレでの探索は以上となります。
このトイレに入らなかった場合は別の探索箇所でこの情報を開示して構いません。
(他に隠れた先にこの同人誌が落ちていた、など。同人誌が落ちてさえいれば情報の開示が可能なので)

★ヒント
マップ表示をしている場合、難易度の低い卓であればショゴスのコマを設置し、数分置きに廊下を移動させてあげると探索者たちが動きやすいかと思います。
この辺は全てKPさんの裁量でお任せいたします。状況が解らない方が緊迫感があると思います。

次の行動


また探索者たちは移動を始めると思います。
通路を通ってもいいですし、東ホール内を移動してもいいでしょう。
ただし、外へ出れる場所は、ガレリアの2階から中央へ伸びる連絡ブリッジのみとなるので最終的に通路へ出ることになります。
東ホールは最初に開示していますが、いくら探索しても薄い本しかないです。
あまり探索者が東ホール内を気にするようであれば「ここにはもう何もないよ、あるのは薄い本だけ」と教えてあげましょう。

通路に出た場合まずショゴスを気にすると思います。
目星聞き耳で連絡ブリッジ(東から中央へ向かう通路)の方向に向かっていて探索者からかなり離れた位置にいることを伝えましょう。
当面は安全です。

恐らく探索者は1階から抜けようとするが出入り口にあたる場所はすべてガレキで埋まっています。
必然的に2階へ行かねばならなくなります。

東棟2階

2階へは何か所も止まったエスカレータが設置してありますので、それを使って2階へ向かいます。
2階へ上る階段の途中に聞き耳をさせて、2階にもショゴスが巡回していることを知らせます。
配置はKPの判断に任せます。至近距離にするか、離れた場所にするかで難易度が変えられるでしょう。

東展示棟2階は飲食店等が多くあり、ガレキが押しやられていて隠れる場所も豊富にあるでしょう。
探索者が目星を希望すれば近くに1〜2か所隠れられそうな場所があると告げましょう。
(あくまで近くに1〜2か所であり、2階全体ではかなり隠れられる箇所が存在します)
場所はどこでも構いませんし、最初から設定していてもいいです。


※この時、探索者が大声を出す、ショゴスに攻撃を仕掛けるなどした場合は最初と同じよう処理してから戦闘をしてしまいましょう。
3R目で一階にいたショゴスが探索者たちを挟み撃ちにするようにやってきます。
ここで勝利した場合は東展示棟内は自由に動けるようになります。(東展示棟を巡回しているショゴスは基本2匹)

隠れた先で目星を振らせ、成功した場合は2冊目の同人誌を見つけます。
同人誌の年代やジャンルは1冊目とは別にし、筆跡も1冊目の人とは違います。
(この情報は探索者に聞かれれば開示する程度でいいでしょう)



――同人誌2
『なんなんだよここは……。
とにかく化け物が徘徊してるから夜が明けるまでここでやり過ごす。
幸いガレキの奥のこの場所までは来ないみたいだ。』

次のページを捲ると

『夜が明けてきた。そろそろ脱出を考えなければ。
……なんだ、地鳴りがきこえてきた。
なんだあれはなんだなんだなんだ、わけわかんね
異様にさわがしい、おかしい、きもちわるい音ばかりひびいてる』

『やばいやばいやばい
ガレキからつうろをのぞいた、あああああああああああああ
なんだあれわらいがとまらない
ゲームみたいなばけものが いっぱいいて あははは
これげーむだろ、いけるんじゃね?
ちょっと そとのようす 見てくるから』

文字は全体的に震えていて読みにくく、終盤は高揚しているような印象を受けた。

この記述から夜明けまでここにいると危険である、ということが解ると思います。
あまりのんびりしていない限りここに到達するのは、迷い込んでから1時間ほどでしょう。
探索者に現在時刻を聞かれればそう答えます。(ここに迷い込んだ時間から1時間ほど経過したみたいだね、と)

※この記述は、夜が明けてグリモワールマーケットが開始され、たくさんの神話生物たちが会場に押し寄せたのを
目撃し、発狂してしまったものです。彼はそのままその神話生物たちのところへ吸い寄せられるように行ってしまいました。
無茶しやがって……。


2階のショゴスの後ろを忍び歩きで付いていく、うまく1階と2階を行き来してショゴスから十分距離を取ってそのまま連絡ブリッジへ入れれば東ホールはクリアです。ここでは色々な提案が出ると思います。可能な限りその提案で動かしてあげると良いと思われます。

ただし、戦闘が発生しそうな提案であればさりげなく警告したり、アイデアで気付かせたりしてあげた方が良いと思います。

連絡ブリッジ(&コンコース)&エントランスホール


連絡ブリッジはシャンタク鳥が監視しています。彼は外で飛行をしつつ一定時間ごとに通路の前を飛行します。
連絡ブリッジに入った時に聞き耳を振らせます。
成功で大きな鳥が飛んでいるような羽音が聞こえます。通路の外を見た探索者がいたら、巨大な鳥のような化け物が
少し離れたところを飛んでいることに気付きます。
この時点でSANチェックは必要ありません。(遠くて暗いので)

連絡ブリッジには3〜4か所ほどガレキが積まれた場所があります。
その回数分全員に幸運を振らせ、次にシークレットダイスでシャンタク鳥の目星を振ります。
全員幸運に成功したなら「10」で誰か一人でも失敗したら「25」を目標値にします。

シークレットダイスが失敗したなら、探索者たちはそのまま次のガレキへ。
(幸運にクリティカルをした人がいれば一気に連絡ブリッジを通過させて構いません)

シャンタク鳥の目星が成功した場合はシャンタク鳥がこちらに向かってきます。
1Rで通路まで飛び、1Rで通路のガラスを割って入って来ます。
その時にSANチェックを行います。

ここからは戦闘になりますが、連絡ブリッジは天井が低いのでシャンタク鳥はうまく動けません。
ターンは自動的に一番最後になるでしょう。
この鳥のような化け物はこの狭い通路の中ではうまく動けないのか身体を揺すっている。などと戦闘前に描写しておきましょう。
探索者が逃げると宣言した場合は特に問題なく連絡ブリッジを越えていけます。
難易度を上げる場合はシャンタク鳥は飛べないものの、移動は出来るようにしておくといいでしょう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−
シャンタク鳥
STR:34 CON:13 SIZ:50 INT:3 POW:10 DEX:10
HP:32
−−−−−−−−−−−−−−−−−
噛み付き 55% 2d6+2
(ステータスは平均値から算出しています。基本、ほぼその場から動けないのでこちらも戦闘技能はほぼ必要ないでしょう)
−−−−−−−−−−−−−−−−−

エントランスホール

入ると辺りは静まり返り、聞き耳などでここに徘徊するスタッフはいないことが解ります。
目星をすると、ガレキの隅に以下の同人誌を見つけることが出来ます。

――同人誌3

『西ホールから逃げてきた。
まだ、にわかには信じられないが少し落ち着いてきたので書き留めておくことにする。
とにかくあっちには行かない方がいい。
それと、銀髪のコスプレ女がいても絶対に気付かれちゃいけない。
あいつも化け物の仲間だ……。友人が俺の制止も聞かないで飛び出していって
きっと殺された。俺は壁越しに聞いていただけだが、女が「いるはずのない人間がいたならいないことにすればいい」
などと言いながらぐちゃぐちゃと気持ちの悪い音を立てて……、その後友人のおぞましい悲鳴が聞こえて……
……途切れた。
俺はしばらくそこで動けなくて、あの女がいなくなった音を聞いて、一目散に逃げてきた。
あいつの方は見れなかった。
どこへ逃げればいいのか解らないが、ビッグサイトから逃げてから考えることにする。
他の人の同人誌に書いてあったが、夜明けまでここにいるとヤバいらしい。
まずは駅まで逃げることにする』

この情報から、西展示棟に行ってはいけない、ということが解ります。
そして、駅の方へ逃げるというワードから駅に向かうことが考えられます。
もし、ここで探索者が進行に詰まるようでしたらアイデア等振らせて駅に向かうことをそれとなく示唆するといいでしょう。

脱出

駅に向かうためにエントランスホールを抜けて外の階段を降ります。
外がいくらか明るくなってきている。夜明けは近い、ということを描写しましょう。

そして、同時にシークレットダイスで1d100を振ります。出た数だけスタッフのショゴス、シャンタク鳥が追いかけてきます。
ここで1/1d4ほどSANチェックを行います。数が少なかった場合はKPの自由に下げてしまっていいですし、ここのSANチェック自体スルーしてもいいでしょう。
難易度を上げる場合は1/1d6など、発狂の可能性がある配分にしても構いません。

恐らく全員、一目散に駅に向かうと思われます。
ここで数度無意味なシークレットダイスで臨場感を出すといいでしょう。
難易度を上げる場合は実際に数匹けし掛けて回避や幸運を振らせてもいいですが、戦闘となると数ターンであとから追うスタッフに掴まりロストになるでしょう。
(また、この時、「冒涜的な薄い本」(一番最初に登場した冒涜的な同人誌)を持っていた場合は、その探索者にのみ幸運/2を振ってもらいます。
成功すればスタッフの攻撃を間一髪で避け、代わりに「冒涜的な薄い本」は落としてしまいます。拾おうとすれば、問答無用でスタッフの攻撃が繰り出されロストとなります。そのまま逃げれば駅へたどり着けます。
幸運に失敗した場合はさらに回避を振り、それも失敗した場合は捕まり、強制ロストとなります)

無意味なシークレットダイスを行った後に「全員、駅の改札を越える。そして地下へ向かう今は停止したエスカレーターを下ると電車が止まっている」と伝えます。
そして、目星などの技能を使わずとも、電車の扉が開いているのに気付きます。
さらに、後ろからは追うスタッフの鳴き声と轟音が近づいてきていることも解ります。

電車に乗ると同時に扉はしまり、電車は動き出します。
そして、少し走り出した頃、突然世界が白くなって意識が遠のいていきます。
次に意識が目覚めると、あなたは恐ろしいほどの満員電車の中で目が覚めます。
そして「次は国際展示場、国際展示場です」とアナウンスが入り、電車が駅に滑り込み、扉が開くと一斉に人が溢れ出ていきます。
時計などで時間を確認すれば最初に自分たちが国際展示場に来たのと同じ時間だということが解るでしょう。
ちなみにみんなバラバラとなっています。(最初に一緒に来たと宣言した探索者同士は除く)

そして、駅から外に出ると夏(もしくは冬の寒空)の日差しが差し込み、辺りは熱気に包まれています。
少し移動をすればビッグサイトが見えるでしょう。
平成最後の夏、次こそは、楽しい戦場があなたたちを待っています。


ここでシナリオは終了となります。

西展示棟


西展示棟へ向かった探索者は辺りが不気味に静まり返っていること、何か恐ろしい予感がすることを伝えます。
すぐに引き返せば元の探索に戻れますが、そのまま進んだ場合は黒幕が出て強制ロストとなります。
以下、描写例です。


突然あなたのすぐ背後、そう、耳元でころころとした可愛らしい声がする。
「おやぁ? どうして人間がここにいるのでしょう?」
可愛らしい声であるはずなのに、その声は脳に不愉快に響き、心臓の鼓動は早くなるのに全身の末端は急激に温度を失ったように冷えていく。
振り返ることすら出来ないでいると、ぐちゅり、ぐちゅりと背後で粘度の高い液体をかき混ぜるような不快な音が響きだす。
そして、腕に黒い触手がまとわりついた。
「たまにあるんですよね、当時の参加者がこちらに飛ばされること。こればかりは仕方ないですねー」
可愛らしい声は、どんどん、変わり、言語も性別も年齢もごちゃごちゃになった声が重なっていく。
「ですが、見つけてしまった以上このグリモワールマーケットのルールに則って、処罰を下します」
「徹夜組には死を」

その言葉を最後にあなたの意識は真っ暗闇に沈んだ。

探索者ロストです。

報酬

1d6の回復となります。
全員生還で+1d3を付けても構いません。
ただし、「冒涜的な薄い本」を持って来た探索者は1d3のみの回復となります。

このページへのコメント

駅への脱出時、追いかけてくる大量の神話生物スタッフに「走らないでください!同人誌は逃げません!」(←あくまでもいにしえの作法に則っている)と叫ばせるとホラー感が増すかもw

0
Posted by 名無し(ID:wtzsw5IjJw) 2022年10月17日(月) 22:32:51 返信

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