作り直したやつ

1:初めに

 このシナリオは『クトゥルフと帝國」に対応したシナリオです。
 シナリオの舞台は、大正時代の日本、軍都横浜です。
 探索者の人数は4人を推奨、オンセで大体16〜18時間くらいで終了します。
 推奨技能は、目星、聞き耳、図書館、英語
 またNPCと接することが多いシナリオなので、交渉技能や心理学などもあると便利でしょう。
 戦闘があるため回避と戦闘技能を持ったPCが必要です
 分類としてはシティシナリオになります。

2:シナリオの概要

 大正十年師走の中旬。
 世間が間もなくやってくるお正月の準備で慌しくしている頃、この横浜では通り魔事件が相次いで発生していました。
 官憲が捜査に乗り出すもなかなか犯人は見つからず犠牲者は続くばかりで、新聞などは目撃情報から犯人を白鬼と呼び「白鬼事件」と通り魔事件のことを言いました。
 探索者は、それぞれの理由が原因で、この事件に深く関わっていくことになります。

3:ハンドアウト

HO1 必須職業:奉公人 身分:平民固定
 あなたは、横浜近隣にある漁村の地主である水城家の奉公人です。
 家族はおらず、唯一の血縁者である叔父の飯島孝彦は横浜にある小波診療所で勤めています。
 事故死してしまった水城家の末娘である美弥子と親しくしてしました。
 美弥子の腹違いの兄一貴に呼び出され、とある命令を受けます。

HO2 必須職業:私立探偵 身分:平民固定
 あなたは、横浜で探偵事務所を構える私立探偵です。
 事務所にやってきた小清水英治より「白鬼事件」についての調査を依頼されます。

HO3 推奨職業:なし 身分:助手の立場に見合ったもの
 あなたは、探偵事務所で働く助手です。
 推奨職業は特にありませんが、助手として見合う立場であること考慮するといいでしょう。
 特に、華族と資産家の女学生は避けてください(時代的にこのような立場になることはないので)。

HO4 推奨職業:なし 身分:自由
 あなたは、横浜にある小波診療所の主小波青雲、もしくはその孫娘に当たる小波フユと縁のある人間です(どのような縁かは、PL側に作成してもらいます)。
 青雲が怪我をしたと知り、白鬼を捕まえてやろうと考えます。
 推奨職業は特にありません。

4:シナリオの背景

 全ては、ヘンリー神父に起きた不幸がきっかけになります。

 

5:シナリオの導入

導入はHO1、HO2とHO3、HO4の三つに分けられます。それぞれ個別で開始してください。

◆HO1の導入
 大正10年師走15日の13時。場所は、横浜近隣にある漁村綿津見村の地主、水城家の屋敷から始まります。
 HO1が奉公人として仕事をしていると、そこに女中頭である佐脇エイがやってきて、水城一貴が呼んでいるので今すぐに部屋に行くようにと指示してきます。
 この水城一貴は、水城美弥子の腹違いの兄で、水城家の嫡子となります。現在、当主が帝都にいるため、この屋敷では絶対的な立場にいる存在です。
 HO1が部屋に向かうと、一貴は美弥子の件で頼みたいことがある、と告げます。そのとき、絶対に口外しない、美弥子の名誉に泥を塗らないなどの言葉を告げて、HO1が周囲に頼みごとの内容を安易に口にしないようにさせましょう。
「実は美弥子の件で、おり言ってたのみがある。この事は絶対に口外せず、美弥子の名誉に泥を塗るような事が無いようにお願いしたい」

 HO1から言質を取ったら、一貴に以下のことを言わせます。
「美弥子が死んだ原因……正確に言えば、死因となった毒の入手ルートを調査して欲しい」
 この時点でHO1が知っているのは、美弥子が事故で亡くなった、と言う事実のみです。
 ですが、一貴は美弥子の死が毒を使った自殺だと告げます。このとき≪知識≫を使えば、彼女が自室の縁側で足を滑らせて、頭部を強打して亡くなったことがわかります。また、≪アイデア≫に成功すれば、彼女が亡くなる前、思いつめていたような表情をしていたことを思い出します。理由は不明です。
 一貴は、「美弥子は本当は毒をあおってなくなった...しかし単なる女学生である美弥子がどうやって入手したのか謎なんだ...」と告げ、HO1に対して調査の命令を出します。
 このとき、HO1に毒に関して訊ねられた場合には、「当日現場には空になっていた湯のみが近くに転がっていた。そこから毒が検出されたんだ」と教えます。ただし、その詳細は検出された毒の量が足りず不明です。
 また、何故美弥子が自殺したのか尋ねられた場合には、「残念だが、私はあの娘とは歳も離れている上、ちゃんと接してこなかった。そう言う意味では、お前達奉公人のほうが一緒にいた時間は長いだろう。エイやタエなら何か知っているかもしれないな」と、女中頭の佐脇エイと美弥子付きの女中だった村田タエの名を上げます。
 そして、最後に、調査が終わるまでは屋敷の仕事はしなくていいと口にして、
「今日は美弥子の墓前に供花してくるといい。場所は聖ジョージ教会だ」と供花代を渡して、HO1を送り出します。


◆HO2とHO3の導入
 大正10年師走15日の14時。場所は、横浜の繁華街にある探偵事務所から始まります。
 HO2とHO3が何時ものように過ごしていると、そこに着物に帽子姿の男がやってきます。名前を小宮といい、今回の依頼人です。
 小宮は、HO2とHO3に向かって、「白鬼事件は知っているだろうか?」と訊ねます。
 この事件に関しては、横浜では有名な事件なのでロールなしで最近現れた通り魔が起こしている事件ということが判明します。また≪知識≫に成功すると、本日の朝刊にあった記事【新聞記事の内容】のことを思い出すでしょう。


【新聞記事の内容】
〜大正十年 師走十五日 白鬼マタマタ現ル!?〜
師走ノ初メヨリ続ク、連続通リ魔事件【白鬼事件】ガマタモヤ発生スル。
一昨日ノ十三日ノ夜、聖ジョージ教会ノ近クヲ歩イテイタ酔ッ払イガ襲ワレタ。
白鬼ハ人トハ思エヌ力(ちから)デ酔ッ払イノ腕ヲ切リ裂キ、ソノ血ヲ啜ッテハ笑ッテイタト言ウ。
近隣住人ハ特ニ夜ノ外出ヲ控エ、戸締リヲシッカリ行ナウコト。
注意サレタシ。


 小宮は、依頼したいのはこの白鬼事件だとはっきりといいます。


【依頼内容】
・白鬼の正体
・白鬼の目的
・生きた状態での白鬼の捕獲


 前金で150円、依頼を達成できたら更に100円の報酬を払うと告げさせましょう。(サラリーマンの平均初任給が80円)
 もしこのとき、探索者側から、何故探偵にそのようなことを依頼するのかと訊ねられたら、「官憲(かんけん)の調査が滞っているため頼れない。それに変な疑いをかけられなくないしな」と教えます。更に問い詰められた場合には、きっぱりと答えられないと断わるか嫌味の一つでも言って牽制しましょう。
 そして、探索者側が依頼を受けたら、連絡先になる【純喫茶春風堂】の住所と春風堂の主人と懇意にしている旨を教えます。この春風堂には電話が設置されており、春風堂の主人から小宮に連絡が行くようになっています。
 以上を伝え終わったら、小宮は探偵事務所を後にしますが、去り際に、以下のことを告げさせましょう。
「言い忘れていたが、白鬼事件を調査する前に、聖ジョージ教会にある水城美弥子と言う娘の墓を調べて欲しい」
 小宮はそう言って、今度こそ去ります。



◆HO4の導入
 大正10年師走15日の13時30分。場所は、横浜の片隅にある小波診療所に向かっているところから始まります。
 HO4が、何故診療所に向かっているのかと言うと小波青雲が怪我をしたという話を聞き、見舞いに向かっているからです。
 診療所の前までやってくると、中が妙に騒がしいことに気がつきます。≪聞き耳≫に成功すると、「ええい、放さんかい! 放せといっとるだろうが!」と騒ぐ元気な老人の声が聞こえてきます。
 診療所の中に入ると、そこには、暴れる老人小波青雲と、彼を抑えようとする青年飯島孝彦(たかひこ)、おろおろとそれを見守る青雲の孫娘小波ウメの姿を目撃します。
 HO4が何事かと話を聞くと、飯島が、「青雲さんが怪我をしているのに往診にいくのだと言い張って暴れていたんです」と教えてくれます。文句を言う青雲に、飯島は自分が行くからといって、ここで彼は診療所を出て行きます
 何が理由で怪我をしたのかと問えば、青雲は答えたくないと返します。代わりに、ウメが、「白鬼事件……ご存知ですか? おじいちゃん、その白鬼に襲われたんです」と告げます。
 ここで、≪知識≫に成功すると、【新聞記事の内容】を思い出します。続いて≪アイデア≫に成功すれば、件の酔っ払いがこの青雲だと一致します。
 白鬼に関して訊ねられたら、青雲もウメもわからない、と返しましょう。と言うのも青雲は酔っ払っていたせいで、白い影が突然出てきて襲われた、と言う事実しか覚えていないからです。怪我に関しては、二日前のことなので≪医学≫で調べることは出来ません。青雲、もしくはウメから、飯島が手当てしたことと、刀傷のようだったということだけが判明します。
「どうして白鬼は人を傷つけるのでしょうか。今回はおじいちゃんが生きていたからよかったけれど、襲われた方の中には亡くなった方もいます。もし、おじいちゃんが死んでいたらと思うと……」
 ウメがぽつりと不安を漏らします。
 そして、見舞いの帰り際、ウメが頼みごとをしてきます。。
「すみません、この後お時間ありますか? 実は頼みたいことがあるんです。聖ジョージ教会にある水城美弥子という方のお墓に、お花を持って行ってはいただけないでしょうか」
 彼女が言うには、十二月の頭に亡くなった女学校の友人で、お墓参りに行きたいとのこと。しかし、青雲の面倒を見ていて午前中は行けず、またこの調子では見ていないと何を仕出かすか不安なので、自分の代わりに行って欲しいと頼み込みます。
 探索者が頷いたら、供花(きょうか)を渡しましょう。
「美弥子さん、白い百合の花が好きだったんです。宜しくお願いします」
 ウメが深々と頭を下げて、HO4を見送ります。


6:探索者の合流

 それぞれ導入が終了したら、聖ジョージ教会で合流します。
 配置的には、水城家から1時間、探偵事務所から45分、小波診療所から20分程度はなれた場所です。
 教会は、聖堂と住居施設より作られた建物で、敷地の奥には墓場が配置されています。周囲は、二メートルほどの塀で囲まれており、一つしかない門は17:00を過ぎると施錠されます。
 探索者がここにやってくる順番は自由です。PL側より希望がなければ、HOの数字の小さい順から登場させましょう。
 お墓の場所は、最初から知っているのは奉公人であるHO1のみです。
 到着時刻は、15:00頃を指定します。
 探索者が美弥子の墓を発見すると以下のことがわかります。


【水城美弥子の墓】
・【MIYAKO MIZUKI】 1905.10.21-1921.12.02 と墓石に刻まれている。
・橙色の花が供花されている。
 この花に対して、≪生物学≫を行なうと、橙色の百合の花だと言うことがわかります。また、百合の花だと判明した際に≪博物学≫に成功すると花言葉がわかります。内容は【華麗・愉快・軽率】です。
・作られてから日が経過していない為、まだ新しく、墓石も真っ白である。
 この墓石に対して≪目星≫を行なうと、墓石の下のほうが土で汚れていることに気がつきます。周辺を見れば、わずかに美弥子の墓の周辺のみ土の色が違うことがわかるでしょう。
 続いて≪アイデア≫に成功すると、この土の変色の原因は、何者かが目的を持って地面を掘り返したからではないか、ということを思いつきます。墓荒らしという単語が脳裏をかすめ、夜な夜な顔もわからぬ誰かが墓を掘る光景が浮かび上がり、0/1のSAN値チェックです。

 この後、探索者が聖堂の中に入るか、墓場に残るかで手に入る情報が変わります。
 そのため、全員が聖堂に向かうなら、墓場にやってくる青年の描写をして、二手に分かれさせるというような手段を取って下さい。


◆聖堂
 中で、神父姿の老人――ヘンリー神父と青年が会話をしているところを目撃します。しかしすでに会話が終わっている為、≪聞き耳≫で会話を聞き取ることはできません。青年はヘンリー神父に頭を下げると、探索者のいる扉のほうへやってきて、そのまますれ違って去っていきます。
 ヘンリー神父は、探索者に気がついて声をかけてくるでしょう。ヘンリー神父は、白人の老人で、人当たりのよい人物としてKPは演じてください。
 このとき、ヘンリー神父より聞ける情報は以下の通りです。


【水城美弥子について】
・洗礼前からよく教会に来て説教を聞きにやってきた、敬虔なすばらしい女性。
・時折、神とは何か、何故神は身分などが存在する生きづらい世界を作ったのかと言う話をしていた。
・洗礼を受けた後も、熱心に神に祈っていた。
・美弥子の墓が掘り返されたことは知らない。
 この件を告げると、ヘンリー神父は慌てて美弥子の墓へと向かい、様子を見に行きます。そして、しばらくすると「誰があんなことを」と言いながら、顔を青ざめて戻ってきます。

・悩みがあったらしく、一度懺悔室にやってきたことがある。
 ≪信用≫もしくは≪説得≫が成功した場合、探索者たちは上記の情報を知ることができる。
 だが、この懺悔室の話そのものは、探索者側に教えることは出来ない。何故なら守秘義務が存在する為、懺悔室で見聞きしたことは決して他者に話してはいけないからである。探索者がしつこく聞いてくるようなら、ヘンリー神父に言わせるか、≪オカルト≫と≪知識≫の組み合わせロールで、上記の守秘義務に関する情報を与えること。


【先ほどすれ違った青年について】
・近所で貸本屋を営んでいる知人で、名前を都筑弘(つづきひろし)という。
・キリスト教に興味があるのかよく話を聞きに来る。
・今日やってきたのは、白鬼の話をするため。曰く、今夜白鬼が出没するかもしれないから、夜、出歩かないほうがいいだろうとのこと。
・悪趣味だが、探偵の真似事が好きらしい。


◆墓場
 知人の墓参りにやってきた青年と遭遇します。
 このとき≪目星≫をすると、都築が教会から去っていく姿を認めることができます。探索者が都築を追いかけることを選んだ場合、教会から出た瞬間その姿を見失います。この時点では、≪追跡≫でも追いかけることはできません。
 知人の墓参りにやってきた青年から聞ける情報は以下の通りです。

【水城美弥子について】
・洋装という珍しい格好をした娘さんがよく教会に来ていたのを見かけた。
・時々若い男と一緒にいて、何かを話していた。
・遠目から見ても、その娘さんが男を慕っているのだというのがわかった。
・娘さんはとても美人で見惚れるくらいの美貌だった。
・男のほうはあまり覚えていない。


【白鬼について】
・白鬼と関係あるかわからないが、師走の初めに、女の悲鳴が聞こえた。時間帯は深夜だった。


【ヘンリー神父について】
・異人さんでちょっと敬遠してて、あまり話したことはないが悪い人ではないと思う。
・一時期、体調を壊していたように見えた。今はだいぶ元気になったようだ。
・そのせいか、体調を悪くしていたとき、小波診療所にいる娘さんが様子を見に来ていたのを見かけた。

【教会から出て行った青年について】
・たまに見かける青年で、ヘンリー神父と仲が良さそうに見える。
・名前は知らない。ただ、貸本屋らしい。


 一通り探索が終了したら、墓参りに来た青年を帰らせたりヘンリー神父に、そろそろ17時になるので教会を閉めると言わせて、探索者を教会から追い出しましょう。



7:白鬼との遭遇

 教会から出た後、KPは渡した情報を元に、飯島を探しに行かせるよう誘導してください。
 場合によっては、NPCを登場させて、探索者たちに飯島孝彦とのことを話題に振りましょう。特に、HO1に聞かせるようにしてください。
「あらっちょっとアンタ達。教会に行ってたの?神父様はお元気?体調を崩してらした時があったでしょう?今日は飯島先生が往診されてたみたいで、またどこか悪くしたのかと思ったわ。そう言えばあの先生、なかなか男前だから一部の患者さんの家で捕まっていたみたいだよ。もう帰っているといいんだけどねぇ。最近は、白鬼事件が起きて物騒だし、青雲先生も怪我をされていたみたいだから心配だよ」
 上記のような台詞を言わせて、探索者たちが飯島を探しに出かけたら、タイミングを計らって、【白鬼遭遇イベント】を発生させてください。ちなみに、このとき探索者たちから飯島の往診ルートに尋ねられたら、この教会の近隣も含むと答えてしまって構いません。必要なのは、探索者が飯島を探しに向かう、という事実です。
 また、このとき探索者の希望でどうしてもばらばらになってしまう、と言うことになったら、飯島を探しに出かけた探索者に対して【白鬼遭遇イベント】を発生させてください。


【白鬼遭遇イベント】
 場所は、聖ジョージ教会近隣の路地裏。満月の夜です。
 ここで、その場にいる探索者全員に≪聞き耳≫。成功したものは、以下の声が聞こえます。
「何故、君が……!?」
「ああ、どうして……!」
「君は、死んだはずじゃ……!」
 その直後に、悲鳴が上がります。この悲鳴は、全員聞くことができます。
 現場に向かうと、そこには、血塗れの飯島と白鬼がいます。白鬼は、刀を持ち、倒れて意識を失った飯島に向かって振り下ろそうとしますが、探索者がやってくることで、振り返ります。
 露わになるその姿は、返り血を浴びた白いドレスを着た年頃の娘。
 HO1ならば、それが水城美弥子だと気づくことができるでしょう。美弥子は、感情のない瞳を探索者に向けて、「邪魔をするの……? 邪魔をするのなら殺すわ」と言って探索者に刀を向けます。
 この衝撃的な光景を見てしまった探索者はSAN値チェックとなります。
 HO1は2/1d5+1。それ以外の探索者は1/1d3です。
 チェックが終了したら、戦闘ラウンドに入ります。
 この戦闘は、イベントの為、1ラウンドのみ行なわれます
 そのため、1ラウンド経過したら、白鬼を撤退させましょう。
 また、このとき白鬼が瀕死状態(HP1、2の状態)、倒されてしまった(HP0以下)というような状態になっていたら、以下の処理を行ってください。


◆白鬼が瀕死状態の場合
 気を失っている状態で、もし探索者がそのまま連れ帰ろうとした場合、CON*3で目覚めるかロールを行ないます。
 目を覚ましたら、そのまま撤退させてください。
 また、ここで失敗した場合には、連れて帰った場所で再びCON*4を行なってください。タイミングは、探索者が寝静まった時がいいでしょう。目を覚ましたら、近くにいる男性探索者の首を絞めます。
 このとき、探索者に≪聞き耳/2≫をさせましょう。成功したら、窒息ロールCON*10。失敗したら、不意打ちである為、窒息ロールCON*6から開始です。この窒息ロールを探索者が失敗した場合、1d10のダメージを受けます。
 窒息ロールを行なうたびに白鬼はINT*10のロールを行なってください。失敗すれば引き続き窒息ロールを行ないますが、成功した場合、探している相手ではないと気がついて、その場から逃げ出します。
 二回あるCONロールに失敗した場合、白鬼は目覚めません。夜が来るまで眠りにつきます。
 次、目を覚ました際には、APPとPOWからそれぞれ1d6減らしてください。減った分だけ、APPはSTRに、EDUはCONが強化され、爪による攻撃を行なうようになります。


◆白鬼が倒された場合
 倒れた後、白鬼の姿が変化します。食屍鬼の血が完全に目覚め、息を吹き返す代わりに、その姿は醜い食屍鬼となります。
 この変化を目の当たりにした探索者たちは、HO1の場合1d3+2/1d6+2、それ以外は1/1d6のSAN値チェックです。
 そしてこの隙に、白鬼を撤退させましょう。

8:自由行動

 白鬼と遭遇した翌日師走16日より、自由に行動することができるようになります。
 詳細は各項目で確認してください。
 
【移動できる場所】
・私立図書館
・貸本屋智星庵
・純喫茶春風堂
・小波診療所
・水城の屋敷
・聖ジョージ教会

9:私立図書館

 明治時代から発行された新聞と書籍を拝観料を払うことで読むことが可能です。
 こちらでは、【白鬼事件について】【聖ジョージ教会について】【水城家の歴史について】調べることができます。
 ※新聞に関係する【白鬼事件】と【聖ジョージ教会】に関しては、探偵事務所などのほかの場所で調べることも可能。


【白鬼事件について】
≪図書館≫で調べると以下のことがわかります。

・白鬼事件は師走5日から始まっている。
・被害者は全員男性で5人。うち2人は、中年もしくは老年の男性でおり怪我を負ってはいるものの命の別状はない。殺されたのは、20代から30代であった3人の男性。致命傷となった傷は、全てが刀傷であり、人の力とは思えないような一撃で、首が斬り取られている。
・目撃証言によれば、その犯人は白い影をしており、何かを探しているようだったとのこと。

 上記のことが判明後≪アイデア≫をすると、白鬼の標的は若い男であり、二日に一度姿を見せることわかる。


【聖ジョージ教会について】
≪図書館≫で調べると以下のことがわかります。

・今年の八月に建設されたばかりの新しいキリスト教会。
・カトリックの組合組織より建設され、派遣された宣教師の名前はヘンリー神父という男性。
・ヘンリー神父はイギリス系カナダ人で、カナダのフランシスコ会に所属している。
・大正デモクラシーが起こると同時にカトリック教会もフランス一辺倒から多様化し、スペイン、ドイツ、カナダ、イタリアのカトリック教団体が来日。その結果、この教会は建てられたようである。


【水城家の歴史について】
≪図書館≫で調べると以下のことがわかります。

・もともと水城家は、この土地に住んでいた土豪だった。
・戦国時代には、武家としてこの土地を収め、主家が北条から徳川に代わったころになると帰農した。
・その後、この一帯の庄屋となり、まとめ役となる。
・江戸時代に入ったころ、どこからか茶色い醜い鬼がやってきて人々を襲ったという話が伝わっている。この問題に対して、当時の水城家が解決したと言われている。
 ≪アイデア≫に成功すると、交渉次第では水城家(水城一貴)からこの話の真実が聞けるのではないだろうか、と思いつくことができます。




10:貸本屋智星庵

 横浜の住宅街の片隅にひっそりと存在する貸本屋です。
 この店にたどり着くには、教会で見かけた都筑弘と出会っていることが必要になります。住所を教えてもらった場合、貸本屋に行けるのは職業が犯罪者、もしくは私立探偵の二種類だけです。ただし、都筑を≪追跡≫して成功した場合には、どの職業の探索者でもたどり着くことができます。


【都筑弘との会話】
・ヘンリー神父とは知人であり、一度このお店に立ち寄ったのをきっかけに知り合った。
・日本に慣れていないようだったので、何冊か気分転換に本を貸したことがある。
・水城美弥子とは教会であったことがあり、それがきっかけで本を一冊譲った。
・本のタイトルはロミオとジュリエットである。


【貸本屋内の探索】
 店内を≪図書館≫でロールした場合、以下の本を発見します。
■グラーキーの黙示録 12巻
英語で書かれているため、読むには≪英語≫が必要になります。
読んだだけで呪文がかかり、イゴーロナクを招来します。
また、間に一枚のメモがあり、そこには【悪意の王の退散】と書かれた呪文があります。
SAN値喪失:1d3/1d6
クトゥルフ神話技能:3%
研究し理解するための時間:平均6週間
斜め読み時間:12時間


■悪意の王の退散
・イゴーロナクの退散のこと
・MP6で退散のための門が開く。このとき5%の成功率。
・MP1ごとに、成功率が5%上昇。
・呪文を知っているものは、詠唱者に協力することができる。

 このとき、探索者が都筑を水城美弥子の件で問い詰めてきた場合、探索者に対してPOW*3のロールを行わせましょう。
 失敗すると、都筑に見惚れてぼうっとしてしまい、探索者は都筑のいうことを聞いてしまいます。このとき、店から追い出しましょう。
 成功した場合には、「おや、侮れない方でしたか。失礼」と慇懃に謝り、「ですが、いつまでもこんなところで油を売っていていいんでしょうかね? 彼女の願いはいたって平凡ではありましたが、彼女の血筋は特殊だ。いつまでも彼女が無事だと考えていれば貴方方にとっての悲劇につながりますよ?」と告げてあげましょう。
 そして、POWロールの成功失敗に関係なく、上記の処理を行ったら、次の瞬間、探索者は店の前に立っています。中に入ると、都筑ではなくまったくの別人が店番をしている風景があり、その人物に訪ねても情報を得ることはできません。
 帰り際に、≪聞き耳≫ロールさせ、成功した場合「すべては教会に頂く我が主のため……」と嘲笑する都筑の声が聞こえます。
 この出来事に、0/1d2のSAN値チェックです。

11:純喫茶春風堂

 横浜の商店街に存在する純喫茶です。
 この店で、小清水英治と連絡を取ることが可能です。店には電話が設置されているため、探索者が小清水に用があってきた、と宣言した場合、主人が小清水に連絡します。20分程度で小清水がやってきます。

12:小波診療所

 横浜のはずれに存在する診療所です。
 この時点では、飯島は怪我人として診療所に入院しており、青雲も怪我をしているところから、診療所の玄関には「本日休み」という張り紙が貼られています。
 HO4ならば、裏口があることを知っており、そこから入ることができます。
 それ以外のHOの場合は、玄関から扉をたたくなどをすれば、フユが出てきますので、話を聞くことが可能です。
 ここでは、飯島から【水城美弥子について】、青雲から【白鬼について】、フユから【美弥子の手紙について】、三人から【ヘンリー神父について】探索することができます。


【水城美弥子について:飯島孝彦】
・襲ってきた白鬼が美弥子だったと認めている。
・美弥子と出会ったのは聖ジョージ教会。教会を見るのが好きで、そのとき美弥子と遭遇し、その後も何度か出会った。
・本が好きな娘さんで、英語の勉強をしているとのこと。特に好きなのはロミオとジュリエット。
・恋人のような関係ではない。
 この質問をすると飯島は機嫌を損ねます。理由は、お互いそういう関係ではなく、美弥子の立場を悪くすると思っているからです。また、フユと許婚の関係でもあるので、何故そのように言われるのか納得がいかないからです。


【白鬼について:小波青雲】
・新聞に記載されているのは、半分嘘である。
・白鬼は血を啜ったりはしない。新聞記者がしつこかったので後半から適当に話していた。
・白鬼は誰かを探しているようだった。自分を見て「違う」と言っていたのを覚えている。


【美弥子の手紙について:小波フユ】
・手紙について知らない。
 手紙について尋ねると、フユは後ろめたさから知らないと否定します。ここで≪心理学≫に成功すると、心当たりがあること、動揺していることがわかります。
・手紙は処分してしまった。
 この話を聞くには、フユに対して≪信用≫もしくは≪説得≫をロールする必要があります。ただし、HOごとに補正が入ります。HO1には補正なし、HO2とHO3に対しては-30の補正、HO4には+20の補正となります。というのも、後ろめたいことを告白するのに、初対面に近い探偵に言うには非常に抵抗があるためです。その分、親しくしているHO4にはプラスの補正が入っています。


【ヘンリー神父について:三人】
・ヘンリー神父は老体であるため度々この診療所を使用していた。
・頻度は、一週間に一度。健康を保つためにこの診療所に来ていた。
・師走に入ったばかりの頃、顔色が悪く大分具合が悪そうだった。
・しかし、師走5日を過ぎたころに突然元気になった。
・それ以来、ヘンリー神父がこの診療所にやってきたことはない。

13:水城の屋敷

 横浜に隣接する綿津見村に存在する屋敷です。
 ここでは、【水城美弥子の部屋】、佐脇エイもしくは村田タエから【水城美弥子について】、水城一貴から【水城家の歴史の真相】【水城美弥子の血筋について】【宝刀について】調査することができます。
 HO1以外の探索者が中に入るには、事前に水城一貴に許可を得ている必要があります。許可がない場合、佐脇エイより引き取るよう告げられ邪魔されてしまいます。
 また、HO1が水城一貴に報告する最初の時、小清水と鉢合わせて、小清水が水城家のものであるということを認識させましょう。

【水城美弥子について:佐脇エイ、もしくは村田タエ】
・つい先日、美弥子の婚約が決まった。相手は、取引相手である貿易会社の息子。年齢は少し離れている。
・あまりよく思っていなかったのか、表情が暗かった。
・亡くなる前、部屋にこもって何かをしているようだった。


【水城美弥子の部屋】
 美弥子の部屋は、母屋から離れた離れに存在します。内装は、欧羅巴デザインの家具が置かれており、欧羅巴かぶれなのがわかります。
 目立つ家具は、本棚、机、寝台になります。


◆本棚
 ≪図書館≫よりロミオとジュリエットを発見することができます。また和英辞典、英和辞典もそろっています。
■ロミオとジュリエット
 ≪英語≫に成功すると読むことができます。
 内容は至って普通の物語である。二人の男女が恋におち、すれ違いの果てに、命を絶ってしまう物語だ。だが、これを読んだ探索者は、次第に違和感を覚えるようになる。ジュリエットの感情に引きずられるようになり、妙に気分が浮ついたり、嘆いたり、悲しみ絶望を覚えてしまう。まるで、自分がジュリエットになってしまったかのように。
 この奇妙な状況を体験した探索者は、0/1d2のSAN値チェックです。


◆机
 机の上はきれいに片づけられています。≪目星≫をすると引き出しの中に、数枚使用された淡い青色の便箋を発見します。


◆寝台
 ≪目星≫をすると、寝台の裏側に鍵が隠されているのがわかります。小さな鍵で、扉をあけるものとは違うように感じられます。

 一通り調べた後、≪聞き耳≫をさせます。
 成功すると、床下からかりかりと何かをひっかくような音が聞こえてきます。
 縁側の下から確認すると、部屋の中央の下に鼠が箱をひっかいているのがわかります。探索者が取りに行くと鼠は逃げていきます。箱は、ひと抱えするくらいの大きさで、白い桐でできた箱です。


◆白い桐の箱
 箱の中には、読めない青色の便箋が数枚、英語で書かれた日記帳、中身の入っていない緑色の小瓶が入っています。
■読めない淡い青色の便箋
 数枚あるが、どれも書き損じなのか一枚を残し読むことができません。
 読める一枚には、以下のことが書かれています。



■日記帳
 立派な装飾のされた日記帳です、鍵がかかるような造りになっています。そのため、寝台から見つけた小さな鍵か、≪鍵開け≫で日記を開くことができます。
 中身を読むには、≪英語≫が必要です。

中を確認すると、そこは英語で水城美也子の日常が書かれています。
時折、PC1の名前も出てくることがあります。
読み進めているうちに、気になる文面を発見しました。



■緑色の小瓶
 中を確認すると中身がほとんど空であることがわかります。
 ≪知識≫に成功すると、この小瓶が外来品であり、日本人がたやすく手に入れられるものではないことが判明します。また、≪薬学≫に成功すると、この薬の中身が毒薬であることがわかります。ジュリエットの嘆きという毒薬で、わずかな量で致死量に達します。ですが、一定量まで薄めると、一時的に仮死状態となり、個人差はあるものの二、三日で目を覚まします。



【水城家の歴史の真相:水城一貴】
 この話に関しては、HO1が尋ねれば無条件で聞くことが可能です。そうでない場合は、≪信用≫もしくは≪説得≫ロールに成功する必要があります。
・江戸時代に入ったころ、茶色い醜い姿をした鬼が現れて、村人を攫う等の暴行を行っていた。
・茶色い鬼の名前を、食屍鬼という。
・水城家はこれを対処するべく、信仰する綿津見三神の力にすがった。
・その際、渡されたのがひと振りの刀であり、この刀を使って食屍鬼を打ち破った。
・以来、食屍鬼は水城家の支配下にある。


【水城美弥子の血筋について:水城一貴】
 この話に関しては、HO1が尋ねれば無条件で聞くことが可能です。そうでない場合は、≪信用≫もしくは≪説得≫ロールに成功する必要があります。
・美弥子の母は、小宮の一族の出。
・小宮の一族は、食屍鬼の末裔であり、現在は秘術によって人の姿を取っている。
・秘術は、二十歳を越えたころに施す必要がある。
・しかし、美弥子は毒薬によって死に何らかの方法で蘇ったため、食屍鬼として目覚めた可能性が高い。
・現在は、まだ人間の姿をしているようだが、このまま放置していれば、明日か明後日のうちに醜い食屍鬼となってしまうかもしれない。
・水城一貴の判断としては美弥子を殺したくはない。そのため、確認を含めて、早急に捕獲する必要がある。


 美弥子の生れの話を聞いた場合、、SAN値チェックが発生します。HO1は1/1d4。それ以外の探索者は0/1d3となります。
 またこのとき、すでに美弥子が食屍鬼と化してい場合は、依頼は白鬼の排除(殺害)に変更されます。

「鰻さんなら知っているかと思いますが、美弥子は私の腹違いの妹です。
美弥子の母親、正確にはその一族ですが、母親と我々水城の者は昔より関わりがあり、その時の子でした。
そして美弥子の母親はここに控えている小宮の一族の出です。小宮の一族は...皆さんはご存知ないかもしれませんが、食屍鬼と言う生き物の末裔です。現在は秘術によって人の姿を取っていますので基本的に人と変わりはありませんが...。
本来ならその秘術は、二十歳を越えたころに施す必要があるのですが、美弥子は毒薬によって死に何らかの方法で蘇ったため、食屍鬼として目覚めた可能性が高いのです。
現在は、まだ人間の姿をしているようですが、このまま放置していれば、明日か明後日のうちに醜い食屍鬼となってしまうかもしれません。
私としては美弥子を殺したくはありません。そのため、確認を含めて、早急に捕獲する必要があるのです」


【宝刀について:水城一貴】
 この話に関しては、HO1が尋ねれば無条件で聞くことが可能です。そうでない場合は、≪信用≫もしくは≪説得≫ロールに成功する必要があります。
・宝刀は、食屍鬼に対して使うと攻撃を封じる力を発揮する。
・保管されている場所は、綿津見神社であり、普段は神主が管理している。
・持ち出すには、水城家の当主並び嫡子であることが条件であり、また潔斎を必要とする。
・そのため、渡すには半日以上かかる。


■水城家の宝刀
初期技能値:15% ダメージ:1d10+db 基本射程:タッチ
1ラウンドの攻撃回数:1回 耐久力:30 消費MP:3 消費SAN値:1d3
食屍鬼に対して使用すると、3ターンの間身動きが取れない状態になる。
技能は、日本刀で降ることができます。
 

14:聖ジョージ教会

 横浜に存在するカトリックのキリスト教会です。
 ここでは【聖堂の地下納骨室】【ヘンリー神父の部屋】を調査することができます。

【聖堂の地下納骨室】
 この部屋には鍵がかかっています。開けるにはこのドアの鍵か、≪鍵開け≫に成功する必要があります。
 地下に安置された納骨用の棺には、白鬼となった水城美弥子が眠っています。
 人が近づくと気配を察知して目を覚まします。≪隠れる≫に成功すると、再び眠りにつきます。
 見つかった場合には、自分を邪魔するものとして襲いかかってきます。


【ヘンリー神父の部屋】
 この部屋には鍵がかかっていません。
 調べられる個所は、本棚と机です。


◆本棚
≪図書館≫によって外国語の古書を発見することができます。
■グラーキの黙示録 12巻
英語で書かれているため≪英語≫が必要になります。
読んだだけで呪文がかかり、イゴーロナクを招来します。
SAN値喪失:1d3/1d6
クトゥルフ神話技能:3%
研究し理解するための時間:平均6週間
斜め読み時間:12時間


◆机
≪目星≫により、机の引き出しから鍵とヘンリー神父の日記を発見することができます。
■鍵
地下納骨所の鍵をあけるための鍵。
■ヘンリー神父の日記


と乱れた文字で書かれてる。

さて、この衝撃的な事実が書かれた日記を読んだ探索者は1/1d3のSAN値チェックとなります。

閑話休題

協会は既にしまっており、入ることはできない。
無理に入ろうとすれば<幸運>を振り気付くかどうかの判定を行う

翌日教会は閉まっており、近所の人曰く日が暮れる頃にはもどるんじゃないだろうか、とのこと。
どこにいるのかを尋ねられれば、少し歩いたところに高台があるんだけど、そこの景色が好きでよく行ってたみたいと教える

高台

小さな塔の設置された高台
木々に囲まれており、静かで町並みを一望できる。

塔のなかは薄暗く、階段が続いている。二人くらいが並んであるける幅
暫く調べた後<聞き耳>を振らせる
成功→天井から物音が聞こる<回避行動可能>
失敗→物音に気づかない<ふいうち成功>
イゴーロナクの従者に襲われる
ふいうち成功→技能に+50
SANc 0/1d4
数は1d4

戦闘終了後、<目星>
成功したものは物陰に隠れる人影を見るでしょう
ただし、追いかけても誰もいない

15:結末への道のり

 探索者の行動によって変動するかと思いますが、シナリオとしては大雑把に三つのルートが存在します。
 【白鬼捕獲ルート】【白鬼殺戮ルート】【ヘンリー神父正体判明ルート】です。
 黒幕であるイゴーロナクの化身ヘンリー神父、イゴーロナクの情人である都筑弘に調査のことを教えてしまうと【ヘンリー神父正体判明ルート】へ入りやすい仕組みになっています。

【白鬼捕獲ルート】
条件1:教会内の探索を行なっていない。
条件2:ヘンリー神父、もしくは都筑弘に美弥子と白鬼に対する調査を告げていない。
条件3:師走16日以降の夜に教会へと向かい、ヘンリー神父を問い詰めていない。

 この条件を満たし場合、白鬼を捕獲のための戦闘イベントを発生させます。
 水城一貴に協力要請をすれば、小清水が派遣されます。
 小清水は、食屍鬼の末裔であるため、白鬼が逃げないようにするための手段を持っています。特殊な方法で作られた縄を所持しているので、これを使えば、白鬼の怪力にちぎれず捕獲することができます。
 探索者の提案次第では、診療所の飯島と小波フユの協力があってもいいでしょう。
 また、小清水の協力が得られなかった場合には、ノックアウトによって白鬼を捕まえることができます。
 万が一倒してしまった場合には、白鬼は死亡します。


【白鬼殺戮ルート】
条件1:水城美弥子の日記を読んだ。
条件2:教会内の探索を行っていない。
条件3:師走16日以降の夜に教会へと向かい、ヘンリー神父を問い詰めた。

 この条件を満たした場合、探索者は夜の教会でヘンリー神父によって足止めを受けてしまいます。
 このとき、ヘンリー神父はイゴーロナクの本性を見せますが、姿までは変化させません。
 ただ、調査の際に行った、個人の日記を見たたことや、人から秘密を暴いたことをを責められ、嘲笑されます。
「何とも悪趣味なことだ。まぁ私は嫌いではないがね。なぜなら私こそが悪そのものなのだから」
 また、このとき、美弥子がすでに診療所へと向かったことをにおわせましょう。
 ここで探索者が逃げることを選んだら、逃がしてかまいません。
 戦うことを選んだら、ヘンリー神父の姿はイゴーロナクの姿に変わります。
 この光景を見てまった探索者は、1/1d20のSANチェックが入ります。
 その後、戦闘イベントへと入ります。
 どちらにしても、この時点で白鬼は診療所へと向かっています。
 探索者が診療所へと急ぐと、そこには惨殺された小波青雲、小波フユの姿があります。
 そして、飯島のいる病室では、胴体から切り離された飯島の遺体が転がり、その生首を愛しげに抱きしめる白鬼の姿があります。
 ここで戦闘ラウンドが発生し、白鬼を1R以内に倒せなければ、白鬼は逃走。ノックアウトで倒したら捕獲、HP0にした場合には死亡します。
 イゴーロナクとの戦闘イベントを経た場合には、惨殺された小波青雲、小波フユの姿、また首のない飯島の遺体が転がっている光景を見ることになります。

【ヘンリー神父正体判明ルート】
条件1:ヘンリー神父、もしくは都筑弘に美弥子と白鬼に対する調査を告げた。
条件2:教会内の探索を行い、ヘンリー神父の日記を見つけた。
条件3:師走16日以降の夜に教会へと向かい、ヘンリー神父を問い詰めた。

 この条件を満たした場合、探索者はヘンリー神父より訪問を歓迎されます。
「ようこそ、秘密を暴くものよ。お前たちのその行動はまさに悪趣味としかいいようがないが、私は歓迎しよう。なぜなら、私こそが悪そのものなのだから」
 そして、ヘンリー神父は本性を見せ、その姿をイゴーロナクへと変化させます。
 この光景を見てまった探索者は、1/1d20のSANチェックが入ります。
 その後、探索者を襲うため戦闘ラウンドへと入ります。
 またこのとき、イゴーロナクの従者、そして白鬼もともに戦います。
 イゴーロナクの従者を見た探索者は、0/1d4のSAN値チェックが発生。
 このとき、白鬼が美弥子の姿のままであった場合、イゴーロナクの呪文によりその姿は食屍鬼へと変化します。この変化を見た探索者は、1/1d6+1のSANチェックが発生します。
 退散の呪文を使えば、イゴーロナクは去っていきます。ただし、この場合、美弥子は逃げ出そうとします。このとき無事捕まえることがで来たら確保、逃したら二度と確保することはできません。
 また、この戦闘から逃げることが可能です。
 逃げた場合、完全に理性を失った白鬼が毎夜多くの人々を殺し、その一週間後、探索者の手を離れて水城家によって捕獲され殺されます。
 結果、HO2とHO3の依頼は失敗したことになります。

16:NPCについて

NPCの紹介です。ステータスが載っているNPCは場合によっては戦闘の参加が可能です。


■水城一貴(26歳)
APP:17 SIZ:12

--------------------- [プロフィール]
水産業を営む資産家水城家の嫡子であり、次期当主。また美弥子とは異母兄妹になる。
白鬼事件を起こしているのが美弥子かもしれないと推測すると、小清水に命令を出し探偵を使い、また原因となっただろう毒薬を調べるために、HO1に対して調査命令を出す。
基本的に、水城家の屋敷から動くことはない。


■佐脇エイ(62歳)
APP:8 SIZ:9

--------------------- [プロフィール]
水城家に長く仕える女中頭。お家第一という考え方をしているため、頭が固い。
また、奉公人のまとめ役であり、口うるさい。


■村田タエ(17歳)
APP:12 SIZ:11

--------------------- [プロフィール]
水城家の女中。美弥子付きの女中であったため現在も美弥子の部屋の掃除を行っている。
HO1の先輩女中に当たる。


■小宮(?歳)
STR:16 DEX:10 INT:12 アイデア:60
CON:13 APP:9 POW:11 幸運:55
SIZ:12 SAN:55 EDU:14 知識:70
HP:13 MP:15 db:+1d4

--------------------- [技能]
キック75% 武道≪空手≫75% オカルト60%
[プロフィール]
HO2、HO3の所属する探偵事務所にやってきた依頼人。
その正体は水城家の次期執事であり、現在は水城一貴の秘書を務める。
食屍鬼の末裔で、美弥子が人間の姿のままである場合、人として活かすための秘術を知っている。


■小波青雲(66歳)
APP:11 SIZ:11

--------------------- [技能]
医学:80% 薬学80% 精神分析:70%
[プロフィール]
小波診療所の医者。息子夫婦を亡くしているため、フユをとても可愛がっている。
飯島とフユを許婚にした張本人。


■飯島孝彦(26歳)
STR:12 DEX:11 INT:15 アイデア:75
CON:11 APP:13 POW:10 幸運:60
SIZ:12 SAN:50 EDU:16 知識:80
HP:12 MP:10 db:0

--------------------- [技能]
医学60% 精神分析50% 杖50%
[プロフィール]
HO1の叔父であり、小波診療所で働く青年。医者を志している。
美弥子に対して愛情は抱いておらず、せいぜい教会で会う娘さんという程度。
許嫁となったフユを大切にしている。


■小波ウメ(16歳)
STR:11 DEX:14 INT:13 アイデア:65
CON:11 APP:13 POW:13 幸運:65
SIZ:12 SAN:65 EDU:10 知識:50
HP:12 MP:13 db:0

--------------------- [技能]
応急手当60% 弓65%
[プロフィール]
小波青雲の孫娘であり、水城美也子の学友。
飯島とは許婚の間柄。
飯島のことを慕っており、美弥子の手紙について悩み、結果捨ててしまった。
その後、美弥子が亡くなったと知り、深く後悔してる。
診療所では看護師見習として働いているため、怪我人を連れ出す際邪魔をする。


■ヘンリー神父(61歳)
APP:10 SIZ:14

--------------------- [プロフィール]
聖ジョージ教会の神父。
若い頃、弟が亡くなったためその娘を引き取り育てるが、娘は恋に破れて自殺してしまう。
そのため、似た年頃の美弥子に非常に同情的だった。
グラーキの黙示録12巻を読んでしまったため、イゴーロナクに体を乗っ取られた。


■都筑弘(27歳)
APP:19 SIZ:13

--------------------- [プロフィール]
横浜の住宅街の片隅で貸本屋を営んでいる主人。
大変美しい見た目をしており、老若男女を魅了する。
その正体は、イゴーロナクの情人である。

17:敵NPCについて


■白鬼(イベント戦闘用)
STR:19 DEX:18 INT:5
CON:20 APP:16 POW:15
SIZ:12 SAN:15 EDU:11
移動:15 耐久力:変動 MP:15 db:+1d4

------------------------------- [プロフィール]
亡くなったはずの水城美弥子その人。
本来ならばすでに食屍鬼に変化してるはずなのだが、イゴーロナクの力によって、その姿を人間に留めている。
ただその影響によって、著しく知能が劣化しており、飯島孝彦のこと以外忘れ果てている。
その飯島のことさえ、顔を忘れてしまっているため、夜な夜な彷徨い歩いている。

------------------------------- 武器:日本刀(耐久力 20 ダメージ:1d10+db)
技能:日本刀60% 回避60% 跳躍85%
装甲:5(イゴローナクの加護/攻撃を受ければその分消える消費型)
SAN値チェック:2/1d5+1(HO1の場合)
SAN値チェック:1/1d3(上記以外)


■白鬼(半分食屍鬼化)
STR:19(+α) DEX:18 INT:5
CON:20(+α) APP:16(-α) POW:15
SIZ:12 SAN:15 EDU:11(-α) 
移動:15 耐久力:変動 MP:15 db:+1d4

------------------------------- [プロフィール]
亡くなったはずの水城美弥子その人。
食屍鬼化が始まっており、片腕だけ醜い茶色い腕をしている。
この状態になると日本刀ではなく、爪で攻撃してくる。
この姿のままならば、片腕を切り取れば人として生活することは可能。

------------------------------ 技能:かぎ爪30%1d6+db 1回攻撃
回避60% 跳躍85%
装甲:5(イゴーロナクの加護/攻撃を受ければその分消える消費型)
※αの値は、APPとEDUを1d6した結果を入れる。
SAN値チェック:1d3+1/1d6+1(HO1の場合)
SAN値チェック:1/1d4(上記以外)


■白鬼(完全食屍鬼化)
STR:19(+α) DEX:18 INT:5
CON:20(+α) APP:16(-α) POW:15
SIZ:12 SAN:0 EDU:11(-α) 
移動:15 耐久力:変動 MP:15 db:+1d4

------------------------------- [プロフィール]
亡くなったはずの水城美弥子その人。
すでに正気はなく、完全に食屍鬼と化している。
この姿になった場合には、どんなルートを辿ろうが元の姿に戻ることはできない。
※身体能力はそのままですが、必要なら食屍鬼ベースのものに変更してもいいでしょう。

------------------------------- 技能:かぎ爪30%1d6+db 2回攻撃
かみつき30% 1d6+1d4(牙でいたぶる)
回避60% 跳躍85%
装甲:5(イゴーロナクの加護/攻撃を受ければその分消える消費型)
また、火器と飛び道具に対しては、ダメージが半減する。
SAN値チェック:1d3+2/1d6+2(美弥子から変化したところをHO1が目撃した場合)
SAN値チェック:1/1d6(上記以外)


■イゴーロナクの従者
STR:7 DEX:10 INT:3
CON:11 POW:7 SIZ:5
移動:10 耐久力:8 MP:7 db:0

------------------------------- 技能:噛みつき30% ダメージ1d2
聞き耳80%
においを嗅ぐ80%
忍び歩き80%
SAN値チェック:0/1d4


■イゴーロナク
STR:25 DEX:14 INT:30
CON:125 POW:28 SIZ:20
移動:10 耐久力:75 MP:28

------------------------------- 技能:タッチ100% 各ラウンドにINT1とPOW1減少
むさぼり食う100% ダメージ1d4(回復できない)
SAN値チェック:1/1d20(神父からイゴーロナクになった場合)
SAN値チェック:1/1d10+1(イゴーロナクを目撃した場合)

17:報酬

探索者生存:1d6
美弥子確保:1
イゴーロナクの退散:1d3

このページへのコメント

失礼します。
連絡先がわからなかったのでこちらに書き込みをさせていただきます。

初めまして、CoCシナリオ「忘れられたジュリエット」を作成したあずまと申します。
大変申し訳ありません。
一部改変されているようですが、このシナリオを第三者が容易に転載できる、二次配布が可能な形での管理はやめていただいてもよろしいでしょうか。
お手元で管理される場合、このページを第三者が見れなくするか、テキストデータでの管理をお願いします。

お手数をおかけしますがよろしくお願いします。

1
Posted by あずま 2017年01月26日(木) 21:50:07 返信

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

メニューサンプル1

メニューサンプル2

開くメニュー

閉じるメニュー

  • アイテム
  • アイテム
  • アイテム
【メニュー編集】

管理人/副管理人のみ編集できます