作り直したやつ

【はじまり】

とあるコンサート会場に閉じ込められるシンプルな短編クローズドシナリオ。神話生物の『音』による精神攻撃を受けるため、強制的にSANが消耗する。SANを削りたい人・発狂したい人向け。さくっとプレイできてごっそりSANを持っていかれる系。
 戦闘、発狂あり。SANが低いとあぶない。推奨人数は1〜4人程度。

【あらすじ】

 とあるピアニストのリサイタルにやってきた探索者達は、演奏の最中に突然強い眠気に襲われ意識を手放してしまう。やがて彼等が目覚めたのは閑散とした玄関ホールだ。そこには何故か探索者以外の人影がなく、奇妙な旋律が響きつづけていた。玄関の扉は固く閉じられていて、このままでは抜け出すことがとても困難だと分かる。
 さらにこの場所には、発狂した人間達が殺し合ってきた痕跡が色濃く残っている。いつ自分も正気を失い、仲間を手にかけるか分からない。極限の精神状態の中、探索者達は死の旋律が響くこの場所から脱出を目指さなければならない。


【探索者について】

 探索者同士は知り合いでも他人でもいいが、NPCの講演に足を運ぶ必要がある。会場の警備やスタッフでもいい。
 推奨技能:<目星><回避>
 準推奨技能:<精神分析><芸術(音楽関係)>、ある程度の戦闘技能
 高いとヤバイもの:<聞き耳>


【事件の真相】

 黒幕はトルネンブラを信奉するピアニスト・河東良明だ。彼は更に強くトルネンブラと交信し音楽的技量を得るため、定期的に犠牲者を集めては逸脱した演奏を聴かせている。河東良明の演奏を聴いた者は最終的に発狂死するか、殺し合ったり自ら命を絶っていった。その強い怨念の塊が河東良明の演奏により多くの力を与えている。
 この空間から脱出するには、河東良明を倒すか、魔力の宿ったすべての楽譜と楽器(触れた際に『幻覚』が現れたもの)を破らなければならない。


【破壊するものリスト】

1F
・楽譜1/楽屋1で入手
・楽譜2/楽屋2で入手

2F
・ピアノ/コンサートホール
・楽譜2/伊東の楽譜


【黒幕NPC】

*河東良明/天才ピアニスト
STR14 CON9 POW16 DEX8 APP9
SIZ15 INT10 EDU17
HP12 MP16 DB+1d4
 幼少期から脚光を浴び続けた天才ピアニスト。トルネンブラにその才能を見込まれ狂信者となってからは、更に異常なまでの音楽的知識と技量を得て世界からの注目を集める。


【旋律ルール】

 この建物にはトルネンブラの力を借りた河東良明の旋律が響き渡り、探索者の正気度を奪っていく。
 探索者は一時間に一度、もしくは移動時を目安に<聞き耳>を振り、失敗で0/1、成功で1/1d8のSANチェックを行う。
 また音楽関係の<芸術>ロールに成功すると、成功者とその周囲にいる探索者は旋律によるSANチェックを回避できる。
 ただしこれらは直接精神に響き渡る音楽のため、耳栓などで聴覚を遮断してもSAN喪失値に減少はない。トルネンブラの音楽に対抗できるのは正しく整えられた旋律のみである。


【発狂者との遭遇】

 移動のたび探索者は幸運を振り、失敗した場合発狂者による襲撃を受ける。
 ただし発狂者はただの正気を失った人間であるため、殺した場合は1/1d3のSANチェックが起きる。


【導入】

 探索者達はそれぞれ、趣味や仕事で河東のコンサートが開かれるホールに訪れている。
 しかしその公演中、探索者は妙な眠気に襲われる。いくら耐えようとしても意識は闇に沈み込んでいき、やがて探索者は人気の失せたコンサートホールの玄関に倒れていた。
 ここで全員<聞き耳>を振り、成功すると美しくもどこか恐ろしいピアノの旋律が聞こえてくる。聞き耳失敗で0/1、成功で1/2のSANチェックだ。
 さらに全員<幸運>を振り、失敗した場合持ち物は消えている。
 探索者が時間を確認しようとすれば、何故か深夜の1時を指している。探索者がこの会場を訪れていたのは昼下がりだ。また、電波も届かない。当然電話も繋がらず、インターネットなどに接続することも出来ない。


【探索:1F】

玄関ホール

 探索者が動き始めると、発狂者が現れ襲い掛かい戦闘ラウンドに入る。ただしこの発狂者は2ラウンド終了で自動的に意識を失う。発狂者を殺した場合は1/1d3のSANチェック。
 もしくは探索者が発狂者を殺さず取り押さえようとした場合、発狂者は逃げ出そうとする。逃がした場合彼は楽屋1か2に逃げ込む。
 男はすっかり正気を失った様子で、譫言のような言葉を繰り返している。
「ころされる……ころされる……みんな死ぬ……音が……音が……音が……」

*発狂者1/SAN0の元会場スタッフ
STR8 CON11 POW11 DEX17 APP9
SIZ16 INT10 EDU16 HP13
ナイフ30 回避34

 発狂者が無力化すると<目星>で調べることが出来る。彼のポケットを探るとそこから名刺が挟まれた手帳が出てくる。どうやらこの会場のスタッフのようだ。名前は伊佐木洋一というらしい。
 手帳の最後のページには乱れた文字でこんなことが書かれている。
『またあの音だ。みんな気がおかしくなってしまった。耳を塞いでも聞こえてくる。もう助からない。抵抗する方法は一つしかない……が、もう、俺には出来ない。彼ももう……』

 ここで全員の耳に恐ろしい旋律が響き渡る。先程耳にしたよりもずっとはっきりとしていて、直接探索者の脳内に響き渡ってくる。そのおぞましい音色を耳にした探索者は1/1d3+1のSANチェックだ。

 左手には扉があり、正面には廊下が続いている。廊下にはいくつか張り紙などがされている。
 玄関ホール全体に<目星>をすると、階段に向かって何か引き摺ったような痕を見つける。更に<アイデア><医学><生物学>でそれが血だと分かる。
 張り紙に<目星>をすると、それがピアノ・リサイタルのチラシだと分かる。伊東のリサイタルだ。開催日時は今日になっている。
 また、チラシの裏を見ると手書きのメモ書きがある。
『音を止める方法は二つある。一つは自分自身で(ぐちゃぐちゃに塗りつぶされている)、もう一つは音の根源を……』


ロビー・待合室

 <聞き耳>を振ると受付の奥から微かな物音がすることに気付く。
 中を覗くと一人の傷だらけの少年が蹲っている。しかし酷く怯えきっていて会話にならない。身体にはナイフで切りつけられた傷がある。<応急手当><医学><精神分析>を振ることが可能。少年が落ち着くと少しだけ話をしてくれる。
 彼も偶然このホールにやってきていた一人で、気の狂った仲間に襲われ殺されかけたという。辛うじて逃げ出して身を潜めていたが、今まさに見つかろうとしていたところを探索者達に助けられたそうだ。

*三條真二
STR10 CON9 POW7 DEX6 APP17
SIZ11 INT13 EDU10
SAN30(60) アイデア65
HP5(10) MP12
芸術(フルート)90

 少年に対し優し接したりなどで好感度を上げた場合、次のことも教えてくれる。
「みんなおかしくなっちゃったんだ。変な音が聞こえてきて……」
「僕はずっとフルートをふいていたから……あんまり聞かないようにって思って……」
「取られちゃったけど……」


楽屋1

部屋全体に<目星>をすると、いくつも楽器が見つかる。
また一冊の楽譜を見つける。これに触れた探索者は幻覚を見る。
**********
 あなたは広いコンサートホールに立っている。そこには一心にピアノを奏でる男がいる。その指先からは鮮血が流れ、鍵盤には赤い血が流れている。止めさせようとそても男はあなたに気付かず、触れようとしてもすり抜けてしまう。
「まだだ……」と、男が呟くのをあなたは聞くだろう。
「まだ足りない、これではまだ、駄目だ……」
 そしてあなたの耳にピアノの旋律とは違う、おぞましくも美しい旋律が届く。
「私が生きる意味はこれしかない、これしかないんだ、もっと、もっと力を、もっと、もっと沢山の、多くの力を……」
 この幻覚を見た探索者は1/1d3のSANチェック。さらにその減少分だけ<芸術(ピアノ)>が成長する。

 楽譜に<目星>をすると、最後のページに次のような記述がある。
『私は永遠の力を手に入れた。私の音楽は人を動かす。世界を変える。救う。私の音が誰かを助け、そして導く。私にしかできない。私は神の力を手に入れた。私の音楽は永遠、私の音楽は完全、私の音楽は……』

 


楽屋2

 中は血の海になっている。夥しい数の死体が転がっている。1/1d3のSANチェック。
 死体に<目星>で、彼等がそれぞれ何かの壊れた楽器や楽譜などを手にしていることが分かる。見つけた楽器や楽譜に<目星>をすると次のことが分かる。

1.死体の楽器
 フルートやバイオリンなどが見つかるが、いずれも壊れている。外部による力で破壊されたようだ。争った痕跡もある。酷く古びたものから真新しいものまであるが、どれも酷く損傷している。

2.死体の楽譜
 触れた探索者の耳にはいくつもの楽器の音が混ざり合った気分の悪くなる音色が流れ込む。それは壊れた楽器をひっかいたような醜い音色であり、探索者の正気度を奪う。0/1のSANチェック。
 楽譜に<目星>をすると、次のようなメモ書きがる。なお、これはピアノの楽譜のようだ。
『ここに閉じ込められてからどれだけ経ったか分からない。もう指も駄目になった。音が止まらない。頭がおかしくなる。誰かを殺した気がするが、それが誰だったかも分からない』

 部屋全体に<目星>をすると、部屋の中は酷く散乱していて、まるで乱闘騒ぎがあったような後だと分かる。やはりいくつも楽器が見つかるがやはりどれも壊れている。


西階段

 ここにはとくに何もなく上がれる。


リハーサル室

 はじめに入った探索者は<回避>を振り、失敗で人間の内臓を頭から被り1/1d4+1のSANチェック。成功すると探索者の足元に臓物がずしゃりと落ち、1/2のSANチェック。
 室内に<目星>をすると、死体の中から辛うじて綺麗なフルートを見つける。これは触れても特に幻覚も何も起きない。更にこれを三條に見せると、自分のものだと答える。
「あの変な音も、自分で奏でているときは、不思議と気にならないんです。自分の音楽にふけっている間は恐ろしい音色から逃れられる……ような、気がして」


トイレ

 中は血の海になっている。1/1d3のSANチェック。
 <目星>で血まみれの洗面台に壊れたマイクが落ちているのを見つける。それを手にとると、幻覚が流れ込んでくる。
**
 あなたは広いコンサート会場にいる。あなたはアイドル歌手だ。マイクを片手に美しい歌声を響かせ、観客を沸かせる。しかしあなたの心は空虚だ。これではない。もっと力が欲しい。黄色い歓声も、さして心地いいと思えない。あなたが望むのは、もっと広大で、色々なものを動かせる力だ。そんなあなたの耳に何か恐ろしい音が届く。その常識を逸したような音楽も、なぜかあなたにはとても美しく魅力的なものに思えた。
 そこであなたは現実に戻る。この幻覚を見たあなたはのSANチェック、さらにその減少分だけ<芸術(歌唱)>が成長する。1/1d3

【探索:2F】

階段の上

 階段を上がると無残に切り裂かれた死体がある。1/1d3のSANチェック。
 死体を調べると壊れたバイオリンを見つける。それに触れた探索者には、美しい旋律が直接脳内に響き渡り、ホールに響いていた恐ろしい旋律を一瞬だけ掻き消してくれる。また、そのバイオリンは外部の力で壊されたらしいことと、これを大切に抱えている人間の指が酷く損傷していることにも気付く。
 ここで全員<聞き耳+10>を振り、先程よりもはっきりと近くに恐ろしい旋律を聴く。SANチェック。しかしバイオリンに触れた探索者のみここでのSANチェックを回避する。

 また二階からは音が近づいたことにより、移動のたびに<聞き耳+10>を振る。失敗で0/1、成功で1/1d4+1のSANチェック。
 さらにあの奇妙な旋律に邪魔されるため、通常の<聞き耳>は-20となる。


展示ホール/休憩所

 テーブル、ソファー、自販機と、展示スペースがある。

*テーブル
 <目星>でテーブルの下に紙が落ちているのを見つける。
『音が止まらない助けて助けて助けて助けて助けてもう聞きたくないいやだいやだいやだいやだいやだ』
 これを見た探索者は0/1のSANチェック。さらに<アイデア>成功で、その紙が元々は破られた書物の一ページだと分かる。残された文字からは上手く内容を読み取れないが、<オカルト>に成功すればそれが『生きた音』といわれる神の存在について書かれていたものだと分かる。

*ソファ
 <目星>でソファーの下から拳銃を見つける。
 拳銃(リボルバー):20%/1d10/1ラウンドにつき1回攻撃/装弾4
 拳銃に<目星>するとそれが既に使われたものだということと、残りの弾数が分かる。武器として携帯することも可能。KP情報として、楽器はこれで破壊できる。

*自販機
 <目星>でそれがまだ稼働しているものだと分かる。ボタンを押せばお金を入れなくても飲み物を購入できる。
 購入した探索者は<幸運>を振り、自分の選んだ飲み物が出てくる。失敗したらよく分からないラベルも何もない缶が出てくる。
 選んだ飲み物を飲んだ場合、1d3のSAN回復。ラベルのない缶を飲んだ場合、それには睡眠薬が入っておりPOT8との対抗。さらに次の幻覚を見る。
**********
 気が付くとあなたはどこか見知らぬ広いコンサートホールに立っている。そこには蹲る黒い人影が一つある。あなたがそれに声を掛けようとすると、その男はがばりと顔をあげ、両手を大きく広げるだろう。そして狂ったような声でこんなことを口にする。
「ああ、神よ! 私は選ばれたのだ、音楽の神に! なんと喜ばしい、なんという幸福だ!」
 男が叫んだあと、あなたの耳におぞましい音色が流れ込む。それはトルネンブラによる常識を逸脱した恐ろしい旋律だ。貴方の視界には何も映らないが、しかしはっきりとその存在を認識するだろう。あなたの目の前にるのは、実体を持たずとも、たしかに存在しているおぞましい音の『神』だ。
 あなたはそこで現実に戻るが、旋律以外の音は奪われたままだ。
 トルネンブラの音楽を直接耳にしたあなたは1/2d10のSANチェックだ。

*展示スペース
 アマチュア絵画や書道などが展示されている。
 <目星>をすると、その中から一枚の気になる絵を見つける。そこに描かれているのは、ピアノを演奏する一人の男と、その周囲を何か黒い靄が取り囲み呑み込もうとしている絵だ。その不気味な絵を見た探索者は0/1のSANチェック。
 またその絵画に<目星>をすると、裏面に文字が刻まれている。この絵画のタイトルだ。『音を破壊しろ』


バルコニー

 外に出ると、探索者の視界には真っ暗に染まる闇が広がる。確か自分たちがコンサートホールにやってきたのは昼下がりのはずだ。
 まるで切り取られたように広がる暗い闇に恐怖を覚えた探索者は0/1のSANチェックだ。
 ここで<目星>をすると次の情報が手に入る。

*<目星>情報
 血まみれの携帯電話と、赤黒い何かの塊が落ちている。電源は入るようだが電波はない。開くとすぐにメールの編集画面が出てくる。
『おとがとまらないもうなにも聞こえないのにあのオトだけとまらないどうしてどうしてどうして』
 塊に<目星>をするとそれが切り取られた人間の耳だと分かる。1/2のSANチェック。


コンサートホール

 中に入るとすぐ舞台に河東の姿を見つける。彼はまるで取り憑かれたようにピアノを奏で続け、探索者にも気付かない。伊東のピアノには一冊の楽譜が置かれている。その譜面はまるででたらめで、見ているだけで気分が悪くなるものだ。
 そして探索者の目の前には1d3人の狂人が立ちはだかる。彼等はそれぞれナイフやこぶしなどで襲い掛かってくる。戦闘ラウンド。また、毎ターンの終わりに探索者は全員POW×5をロールし、成功で1/1d4+1、失敗で1/1d8のSANチェックを行う。
 ただしこのSANチェックは探索者の誰かが<芸術(音楽関係)>ロールに成功するか、NPCの少年にフルートを演奏させることで回避できる。尚、演奏中は回避や攻撃は出来ない。

*狂人A DEX14 STR10 HP9 ナイフ25
*狂人C DEX6 STR18 HP12 こぶし50+DB1d4
*狂人D DEX9 STR6 HP11 ナイフ25

 河東は気絶させるか組み付きで動きを封じない限り演奏を止めない。もしも楽譜を奪おうとすれば、彼は激しく抵抗する。探索者が伊東に触れた場合、トルネンブラの音が彼から直接流れ込んでくる。実体を持たない『音の神』をはっきりと認識し、言い難い恐怖に襲われるだろう。およそ人智を超えた恐ろしいその音色に1/2d10のSANチェックだ。さらにトルネンブラと交流したことで神話技能+3。
 河東を倒すか、あるいは全ての楽譜・楽器を壊すなどして演奏を止めると、呪われた旋律も静まっていく。しかし……。


【エンディング】

1.河東を殺害した場合

 探索者の前で河東が息絶えると、途端に旋律も静まっていく。
 しかしこのとき、河東のものとは違う、狂ったような音が探索者達に襲いかかる。
 ここで探索者はトルネンブラによる旋律を直接耳にしてしまう。およそ人智を超えた恐ろしいその音色に、全ての探索者は1/2d10のSANチェックだ。
 その音色の後、恐ろしい旋律は静かにその姿を消していく。探索者の意識もそれに引き摺られるようにして沈んでいき、やがて彼等が目覚めると、そこは再び喧噪の戻ったコンサートホールの玄関だった。
 ざわつく人々が探索者を見下ろし、声を掛けてくる。
「大丈夫ですか? 今、救急車を呼びましたが……」
 事情を聴けば、伊東のコンサートが終わったあと、探索者達はふらふらと玄関に集まりその場で突然気を失ったという。更に探索者の耳にはいくつもの悲鳴が届く。近くのNPCに話を聴けば、楽屋で一人のピアニストが死体となって見つかったのだという。

2.河東を無力化した場合

 河東が気を失うと、途端に旋律も静まっていく。
 しかしこのとき、河東のものとは違う、狂ったような音が探索者達に襲いかかる。
 ここで探索者はトルネンブラによる旋律を直接耳にしてしまう。およそ人智を超えた恐ろしいその音色に、全ての探索者は1/2d10のSANチェックだ。
 その音色の後、恐ろしい旋律は静かにその姿を消していく。探索者の意識もそれに引き摺られるようにして沈んでいき、やがて彼等が目覚めると、そこは再び喧噪の戻ったコンサートホールの玄関だった。
 ざわつく人々が探索者を見下ろし、声を掛けてくる。
「大丈夫ですか? 今、救急車を呼びましたが……」
 事情を聴けば、伊東のコンサートが終わったあと、探索者達はふらふらと玄関に集まりその場で突然気を失ったという。
 コンサートホールは全く普段通りで、次は伊東のリサイタルがはじまる時間だ。困惑する探索者に、近くのNPCが声を掛ける。
「伊東先生のピアノがはじまりますね。あの人の演奏は、なんだか異世界に連れていかれてしまうような……怖いくらいに美しくて、うっとりして、正気を失いそうになります」

3.楽器と楽譜を破壊した場合

 魔力の込められた道具が破壊されると、途端に恐ろしい旋律が止まる。
 しかしこのとき、河東のものとは違う、狂ったような音が探索者達に襲いかかる。
 ここで探索者はトルネンブラによる旋律を直接耳にしてしまう。およそ人智を超えた恐ろしいその音色に、全ての探索者は1/2d10のSANチェックだ。
 その音色の後、恐ろしい旋律は静かにその姿を消していく。探索者の意識もそれに引き摺られるようにして沈んでいき、やがて彼等が目覚めると、そこは再び喧噪の戻ったコンサートホールの玄関だった。
 ざわつく人々が探索者を見下ろし、声を掛けてくる。
「大丈夫ですか? 今、救急車を呼びましたが……」
 事情を聴けば、伊東のコンサートが終わったあと、探索者達はふらふらと玄関に集まりその場で突然気を失ったという。
 同じくして伊東もコンサート終了後に気を失ったようで、周囲は酷くばたついている。探索者が帰宅すると、後日、彼がそのまま息を引き取ったという報道を目にする。死の間際伊東はこんなことを口にしていたという。
「ああこれで、神の御許に……迎えがついに、私にも訪れた」


【報酬】


シナリオクリア 1d10
三條真二にフルートを演奏させた/探索者の誰かが<芸術(音楽関係)>に成功しSANチェックを回避した 1d10
楽器・楽譜を破壊 1d6
トルネンブラの音楽を聴いた クトゥルフ神話+5
伊東の体に触れ、トルネンブラと交流した +3

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