古今東西・ジャンル問わず報われない恋をするサブヒロイン、通称負けヒロインの情報をまとめていくwikiです



キャラクター名

松田真由(まつだまゆ)

作品名

漫画

おおばやしみゆき『エンジェル・ハント』
出版社名
2002年〜2004年

作品概要


エンジェルと呼ばれる、この世ならざるものを異界に送り返す天使のような存在になった中学生・椎名天音を主人公としたファンタジー作品。
松田真由はオカルト好きの天音の同級生で、校内の幽霊騒ぎをきっかけに天音と同時にエンジェルとしての力を覚醒させる。
しかし二人の能力は弱く、二人で初めて一人前の天使見習いとして悪霊退治を行うこととなる。

二人を見守るのは、サッカー選手の浜崎竜彦、モデルの天堂正斗、生徒会長の姫野ひとしというエンジェル三人組。
本来、この土地にいるはずのエンジェルは彼らを含めて四人であり、二人のどちらかが堕天使である疑いが生じる。
それでも、天音と真由は事件を解決していく中で友情をはぐくみ、どちらかが堕天使であっても決して狩らないことを誓うのだった。

そんな中、真由は浜崎に恋をする。そんな真由のことを天音は応援する。
一方の天音も天童に見初められ関係を深めていき、遂には付き合うことになるが天音の中で浜崎に対する気持ちも大きくなり始めていた。
浜崎も天音に惹かれていくような素振りを見せる中、真由は遂に意を決して浜崎に告白をした。

しかし、浜崎は真由に返事をすることなく、天音の前に姿を現す。
そこで、天音の堕天使の刻印を暴き彼女の前世の姿について真実を告げるのだった。

天音の前世の姿であるエチェ姫は魔界の王の力を半分持って生まれた忌まわしき姫だった。
そして、浜崎の前世であるイェルカは付き人の一人だった。
エチェ姫は天使として下級の紫の羽を持つイェルカをぞんざいに扱いつつも、徐々に惹かれていく。
しかし彼女はイェルカに対して素直に慣れず、自分以外の女と口を利かないように命令し、故郷の幼馴染とも連絡を絶たせるなど素直に慣れずにいた。

そんな中、天使界で謀反が発生する。
エチェ姫は牢屋に幽閉されるも、イェルカによって救い出され、想いを伝えられる。
そして、エンジェルとして転生し、違う世界で結ばれることを誓い合うのだった。

逃亡の身であるエチェ姫はエンジェルに転生するゲートをくぐる際に一人の少女と出会う。
それは、イェルカを一途に想い続ける幼馴染であるミウッチャだった。
突然最愛の人からの連絡が途絶えた彼女は、エンジェルに転生したと噂の彼を追いかけて自身も転生しようとしていたのだ。
エチェ姫は何度も彼女から彼を奪う罪悪感に囚われつつも、それでもイェルカに会うためにミウッチャがゲートをくぐろうとしたところに強引に割り込む。
その余波で二人は中途半端な天使として転生し一切の記憶を失うのだった。

全ての記憶を取り戻した天音ことエチェはイェルカと固い抱擁を交わす。
そこに、同じく記憶を取り戻した真由が現れた。
愛する人を取り戻すため、約束を違えてでも真由は天音を堕天使として狩ることを宣言する。
しかし、無抵抗の天音とそれでも彼女の幸せを願うイェルカの姿を見て、彼女の心は揺らぐ。
そして、二人を見逃すことを決意し、どこか遠い土地へと旅立つ二人を見送るのだった。
運命が違えば続いたであろう、天音との友情に思いを馳せながら。

見どころ

前世でも現世でも愛する人を目の前で奪われるという、ここまでするかというレベルの仕打ちを受ける少女。

故郷を超え、時空まで超えた壮大で一途な愛を貫いているにもかかわらず、ことごとく主人公の衝動的な愛の前に敗れ去ってしまう。
当の主人公は記憶がない間は父親を理想の男性としてファザコン全開だったり、もう一人の当て馬と付き合って本当に好きなのは誰か悩んだりと、よく言えば自分に正直に、悪く言えば好き放題に生きているため、なおさらその一途さが際立つ。
特に前世ではエチェ姫の一方的な嫉妬で、故郷で結婚の約束までしたのに何の事情も告げられずに関係を断絶させられているため擁護しようもない。

なのに、主人公の衝動的で刹那的な愛が勝ってしまう。
そして、浜崎からも説得され、二人の間にある気持ちが本物であること、二人の間に割って入ることはできないことを悟ってしまう。

ずっと想い続けて、勝手に運命を翻弄されてきた真由からすれば、殺意も憎しみも全て正当なものと言えるだろう。
そんな憎悪の中にあっても、なお彼女は天音との友情を捨てることができなかった。
無限ともいえる時間を捧げた愛よりも、僅かな時の間に芽生えた微かな友情を選ぶ。
その決意こそが、彼女の失恋の美しさだ。

名言・名シーンなど

「決めたんです」
「もう待ってばかりいるのはやめようって」
「彼がエンジェルになるなら、私もなろうって……それであちらで会って話をしようって」
「そのためならどんな苦労もしようって……決めたんです」
ずっと受け身で故郷で待っていた自分を変えようと、エンジェルとして彼のもとに駆け付けようとするミウッチャの決心。
その決意すらもエチェの手によって妨害されてしまうことになる。

「私は今度こそ誰を傷つけても恋を手に入れるつもりでここまで来たのに」
「これがその答えなのね――」
二人の間の絆を察した真由=ミウッチャがその敗北を悟るときのモノローグ。
文字通り時空を超えてきたがゆえに、その言葉は重い。

「ねえ……」
「私たち、こんな状況じゃなかったら……」
「きっといつまでも一緒にいるような……」
「すっごいすっごい親友同士だったよね?」
愛憎の果てに残ったのは友情。
二人の関係性は、もう好きとか嫌いとかそういう言葉で語れる次元にない。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

編集にはIDが必要です