古今東西・ジャンル問わず報われない恋をするサブヒロイン、通称負けヒロインの情報をまとめていくwikiです



キャラクター名

辻野々花(つじののか)

作品名

漫画

榎本あかまる『この会社に好きな人がいます』
講談社
2019年〜2023年

作品概要

とあるお菓子メーカーを舞台に、社内に内緒で交際している立石と三ツ矢の二人の恋愛模様を描いたラブコメ作品。
ラブラブな二人が社内にバレないようにしつつイチャイチャしまくるのを楽しむ作品である。

辻さんは立石の部署である新規事業部に入ってきた新入社員。
パートナー研修という新人教育の一環で立石が面倒を見ることになった。
なんでも抱え込んでしまう性分で、失敗を回りに言い出せずにパンクしてしまった辻を、立石は厳しくも優しく叱責する。
この一件以来、辻さんは仕事をうまくこなしていく心得を教えてくれた立石を尊敬する先輩として慕うようになる。

辻にとって立石という存在は恋愛対象ではなく"推し"だった。
周囲から「それはもう好きなのでは?」と言われるものの、会えば元気をもらえる心の栄養剤として目の保養として好きというスタンスを崩さない。

そんな中、立石と三ツ矢が交際していることを偶然知ってしまう。
勉強会で一緒になった時から三ツ矢のこともまた先輩として尊敬していた辻は「推し同士のカップルなんて最高!」とはしゃぐ。
その一方で、心の中には明確な変化が生じ始めていた。

恋人がいる相手を好きになってしまった辻に対して、大学の同期は合コンの話を持ち掛ける。
しかし、立石ら新規事業部のメンバーと比べて、同年代の相手はどうしても子供っぽく見えてしまう。
その後部長主導の飲み会(K会)で、立石への想いを確認した辻は、叶わない恋であってももう少し続けていたいと願う。

しかし、その恋は突然終わりを迎える。
立石と三ツ矢が結婚することが正式に決定したのだった。
突然の失恋にショックを隠し切れない辻。
それでも会社にはいかなければならないし、付き合いで立石と三ツ矢が参加する祝賀会にも参加しなければならない。

その飲み会でも失恋の痛みを引きずり続ける辻。
そんな彼女だったが、宴もたけなわの帰り道、立石と話す機会が訪れる。
あくまで先輩として辻の成長を喜ぶ立石を見て、どこまでも自分の独り相撲であったことをあらためて悟る。
そのことを受け入れられた辻は、少し軽くなった心と共に帰路に就くのだった。

見どころ

交際している二人に片想いする後輩という約束された負けヒロイン。
この作品の主題が「絶対に秘密の恋」である中、別の意味で「絶対に秘密の恋」をすることになったのが彼女である。

あくまで二人のことを"推し"と言い張って恋愛感情ではないと言い聞かせたり、好きになったとしてもアプローチをかける勇気は無かったりと基本的には恋愛に対して消極的な性格。
だからこそ、二人が交際していることを知った時にも関係を壊すつもりはないが「こっそり好きでいることは許してください」と想いを秘めてしまう。
このような甘酸っぱい片想いをしている姿は、とてもいじらしく切ない。

アクションを起こさないことで夢を見続けることを選んだ彼女に待っていたのは、結婚報告という容赦のない終了宣言だった。
失恋した時の彼女の姿もまた印象的だ。
一人暮らしの室内で何日も帰ってはベッドで呆然とすることしかできない生活を繰り返す。
それでも世界は回っているし朝が来たら身支度をして会社に行く。
そのルーチンの中でボロボロに疲弊していく彼女の姿は、社会人の失恋ならではの切なさが詰まっていると言えるだろう。

一方で、その恋の清算はとても清らかだ。
あくまで自分の横恋慕であったこと、彼にとっては数ある後輩の一人にすぎないことを、あらためて実感する。
自分の見てきた夢が、あくまで日常の風景の一部であったことを受け入れる。
誰にも言えない恋だからこそ、自分の中だけで綺麗に終わらせることができる。
秘めた恋ゆえの、どこまでもささやかで、それでも一生懸命な失恋がこのキャラクターの最大の持ち味だ。

最終話ではすっかり吹っ切れて仕事に一直線な模様。

名言・名シーンなど

102話
「いいのかな、こんなに贅沢で楽しくて」
「でも、これ以上は何もしませんから」
「だからこれからもこそり好きでいるのは許してください」
飲み会で久々に立石と出会って、好きなことを改めて実感した彼女の独白。
片想いし続けることに夢を見る姿が切なくも美しい。

123話
「これ以上は望まないなんて言いながら、ほんとはどこかで期待してた」
「なにかの拍子にあこがれの世界線に行けるんじゃないかって」
「現実は結婚の報告さえ人づてに聞くようなそれだけの存在なのに」
夢から覚めた瞬間。
実らない恋でも、どこかで夢を見続けることが彼女の幸せだった。

123話
「ばかみたい、勝手に一人で片想いして、何もできずに、勝手にこんなにも傷ついて」
「それでもやっぱり世界は今日も私の気持ちなんてお構いなしに進んでいく」
一人で失恋のショックで泣きながらの独白。
恋なんて所詮は個人の事情。社会の歯車であることはやめられない。
それでも心はちゃんと傷ついている。
社会人の失恋ならではの素晴らしい描写。

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