「今日からやっと休みに入るよ」 

「はい、今年もお疲れさまです、あなた」 


『20年後もその先も』 


とあるきっかけでかけられてしまった呪いを解くため必死に野球に打ち込み、 
結果、見事甲子園に出場でき、プロの世界に足を踏み入れる事ができた高校時代。 
その当時、いつも側にいて自分を支えてくれていた彼女・・・天本玲泉と結婚してから 
もう20年ほどの年月が流れた。 


11月の中旬、日本シリーズも終わってプロ野球はオフシーズンに入っている。 
俺のようなベテラン選手は秋季キャンプには参加しないので、 
もう今の時期から自主トレが始まる1月まで休暇となる。 


長年チームの主力選手として頑張ってきた俺だが、流石に40歳ともなると 
衰えが隠せず、若手の成長もあって今シーズンはスタメンとベンチを行き来する事が多かった。 
それでもまだ若い奴らには負けたくないという気持ちがあるし、ずっとチームを引っ張ってきたプロ選手としての誇りと意地がある。 
いずれにせよ残りの年数は長くないだろうが、まだまだ現役は続けていくつもりだ。 

そんな俺をずっと支えてくれているのが妻である玲泉。 
試合で活躍できた日はいつも心から褒めてくれるし、 
全く打てなかった時も励ましてくれる。 
それだけで次も頑張るぞという気持ちになれるのだ。 

家事も手抜きなく完璧にこなしてくれる彼女は、まさに俺という人間の縁の下の力持ちと言えるだろう。 
妊娠していた頃は俺が野球選手である故にいつも側で助けてあげる事はできず 
苦労をさせていたと思うのだが、彼女は不満も漏らさずにただただ俺とお腹の子供の事を気遣ってくれていた。 

子供は男女1人ずつ産まれ、現在息子は高校生に、娘は中学生になっている。 
2人とも元気に育ってくれていて、家庭ではとても楽しく過ごせている。 
こうして長い間プロ野球を頑張り続けられているのは、間違いなくファンの人々の声援と家族3人の応援のおかげだろう。 


「もう少しでできますから、待っていてくださいね」 
午後7時を過ぎて夕食の時間。 
俺は台所のテーブルに座り、玲泉が料理を作り終えるのを待っていた。 

「今日は一年間お疲れ様ということで、いつもより頑張って美味しくなるように作っていますからね」 
玲泉は料理しながらこちらに顔を向け、笑顔を浮かべながら自信ありげに言った。 
「そうか、それじゃあ期待してるからな!」 
別に特別気合いを入れずとも、お前の料理はいつだって美味しいじゃないか・・・ 
そんな事を思ったが、あえて口には出さなかった。 

やっぱり、玲泉が料理をしている光景はいつ見てもいいなぁ・・・ 
そう思いながら、うっとりと玲泉の後ろ姿を見つめていた。 

「ただいまーっ」 

玄関から帰宅の挨拶が聞こえてきた。高校生の息子が帰ってきたようだ。 
今晩のおかずでも気になったのか、彼はかばんを持ったまま台所に入ってきた。 


「遅いじゃないか、一体今まで何やってたんだ?」 
俺は息子に問いかける。 
「何やってたって・・・今日は部活がないからクラスの女の子の家にノートを見せてもらいに行くって言ったじゃん」 
「本当にそれだけなのか?・・・今日はその子の家に親さんがいないって言ってたじゃないか」 
「なっ・・・!?」 
俺が悪戯っぽく問うと、彼は一気に動揺を見せた。 
「なな・・・何想像してんだよ!そ、そんな事あ、あるわけねーだろ!!」 
「何だよ『そんな事』って。・・・ふふ、口では否定してても顔色は正直だぜ?」 
「うぅっ・・・」 
息子は顔を真っ赤にしている。まったく、素直で可愛い奴だ。 

「ははは・・・なに、恥ずかしがる事はないさ。父さんだってお前ぐらいの時は盛んだったからな。 
でもこの頃はすっかりそういう気力が無くなっちまったからなぁ・・・むしろお前みたいに元気な奴がほんとに羨ましいよ」 
「ううう、うるせえよっ!」 
玲泉は困り笑いを浮かべながらそんな父子のやり取りを見ていた。 

息子も俺と同じく野球部に所属し、甲子園を目指し頑張っている。 
彼は投手なので、もし俺が現役のうちにこいつがプロへ行くことができたら、 
是非とも実戦で対決したいなと思っている。 

すると、中学生の娘が切羽詰まった表情で台所に駆け込んできた。 
「お母さん宿題教えて!!『spring has come』って『バネが来た』!? popularの比較級ってpopularer!?」 
娘はあまり頭は良い方ではないらしく、中学の勉強では苦労しているようだ。 
まったく、誰に似たのやら・・・ 

「ふふふ・・・それはそのspringじゃなくて・・・とりあえず今ご飯ができたから食べた後に教えてあげるからね」 
まぁ、一流の家庭教師がいつでもいるから心配はないだろうけれど。 
「うん・・・」娘はそっとノートを置いてテーブルに座った。 


娘は母親である玲泉と一緒で優しい女の子。 
去年の冬には、その時俺が長い間使っていたマフラーがボロくなってるという事で、 
彼女は頼んだわけでもないのに毛糸でマフラーを手作りしてプレゼントしてくれた。 
それは勿論出来としては店に並んでいる完璧な商品の足元に及ばないが、 
指を傷つけてまで頑張って作ってくれたそのマフラーは、そういった物にはないまた別の暖かさがある。 
もう気温はすっかり寒くなったので、今年の冬もありがたく使わせてもらうつもりだ。 

ケガをして飛べなくなった小鳥を拾ってきて手当てしてあげていた事もあり、 
結局その鳥は飛べないまま死んでしまったが、悲しそうな表情を浮かべながら小鳥の墓を作っているその姿が 
昔、山でデートしている時にとある出来事があり、その時に見た玲泉の姿を彷彿とさせた。 
この子も玲泉のように素敵な女性になってほしい、それが父親としての願いだ。 

ちょうど腹の虫が喚きはじめた頃、テーブルの上には玲泉の作ったたくさんの料理が並べられた。 
白米や味噌汁はもちろん、キャベツ炒めや鯖の味噌煮、肉じゃがetc・・・ 
その見た目はもちろん、その匂いも相まってよだれが溢れ出るのをこらえるのが苦しい。 


家族4人でテーブルを囲み、手を合わせて挨拶をしてからそれぞれの食事を始める 
俺は最初に米を数回口に入れた後玲泉の自信作であるおかずを口に運ぶと、その味は・・・ 

・・・やっぱり非常に美味しい。プロが作ったものにも負けないレベルだ。 
玲泉の料理は世界一ィィィ!!!そんな事を叫びたくもなる。 


「どうですか?あなた」 
玲泉が自信と微妙に不安が混じったような表情で俺に感想を聞く。 
「すごく美味いな!さすが玲泉だ、今シーズンの疲れも一気に吹き飛びそうだよ!」 
「ありがとうございます、そう言って下さると本当に嬉しいです・・・ふふっ」 
俺が素直な感想を述べると、彼女はとても魅力的な笑顔になって喜んでくれた。 

「私もすごい美味しいと思うよ!というか、お母さんのご飯っていっつも美味しいし」 
娘も俺と同意見のようだ。「あ、ありがとう・・・」 
玲泉は照れ笑いも可愛らしい。 
息子はというと、4人の中で一番速く箸を動かしがつがつと食べていた。 
よっぽど腹が減っていたのか、それとも料理が美味いせいか・・・おそらく両方だろう。 
他の3人も、そのまま箸を進めていった。 

それからしばらくして、娘が口を開いた。 

「でもさ、こんな美味しいご飯作ってくれるお母さんと結婚できて、お父さんってほんと幸せだよね」 
「ああ、父さん自身そう思ってるよ」 
「そういえばさ、どういうきっかけでお母さんとお父さんは結婚したの?」 

そういや子供達には今まで一度もその話はしていなかったな・・・ 
複雑な事がありすぎて話しづらいというのもあるのだが。 

「うーん、父さんが甲子園大会の優勝経験者という事は知ってるよな?」 
「うん、何回もその話聞かされてるよ」 
「その当時に父さんのいつも隣にいて・・・応援してくれた人なんだ、母さんは」 
「まさかお母さん、マネージャーだったの?」 
「いや、マネージャーというわけでもないんだけど・・・」 
「じゃあなんでお父さんを応援してたの?どういう経緯で?」 


ううう・・・根掘り葉掘り聞かれると非常に困る。 
本当はもっと複雑な事情があるのだが、話せば長くなりすぎるし 
話したところで信じてくれるはずもない。 
悪意は無くあくまで好奇心で聞いているだけなんだろうが、それが逆に厄介だ。 

「俺も知りたいな・・・母さんがなんでこんなセクハラじみた事を言ってくる男を好きになったのか」 
さっき俺にからかわれた事をまだ拗ねているのか、息子に悪態をつかれる。セクハラとは失敬だな・・・ 

「こら、お父さんの事をそんな風に言ったら駄目だよ?」そう言って玲泉が息子を注意する。 
「お父さんはお母さんにとって、自分の人生を大きく変えてくれたとても大切な人なんだから、その人を馬鹿にするのはたとえ自分の子供であっても許さないからね?」 
「ちぇー・・・何なんだよそれ」 
息子はその言葉をあまり深くは受けとっていないようだったが、そう話す玲泉の表情はわりと本気であった。 
それにしても、敬語じゃない話し方をする玲泉は 
今では慣れたけど子供ができたばかりの頃は衝撃的だったなぁ・・・ 

「へぇー・・・お母さんってそんなにお父さんを大事に思ってるんだね」 
「ふふふ・・・もちろんだよ」 
「よしわかった!夫婦だけのヒミツというのもあるだろうし、 私もこれ以上は聞かない事にするよ」 


何とか、問題なくまとまってくれたようだ。 

午後11時を過ぎてそろそろ寝る時間。 


俺は子供達とお休みの挨拶をした後、夫婦の寝室に入る。 
寝室の中ではさっきまで風呂に入っていた玲泉が、自分の机の前で髪を乾かしており 
ドライヤーの温風に彼女の黒い髪がなびいている。 
きっちりと整頓された彼女の机には、古びているが大切に読まれているのであろう詩集も目に入った。 


俺の瞼は既に重くなっていたが、 玲泉と一緒のタイミングで寝たいので 
彼女がベッドに来るまで待つことに。 
もう寒いから、抱き合って寝るのもいいかもしれないな・・・そんな事を考えながら。 

髪を乾かし終えた彼女は、ゆっくりとベッドまで歩き俺の隣に座った。 
石鹸の匂いだろうか、それとも彼女本人の匂いだろうか・・・とても良い香りがする。 
「ではもう一度あらためて、一年間お疲れ様です。」 
「ああ、ありがとう」 
玲泉はぺこりとお辞儀をして俺にねぎらいの言葉をかけ、俺もそれに釣られるようにして頭を下げる。 
「それにしてもなぁ・・・今年で俺達ももう40になっちまったわけか・・・」 

俺の実績から考えれば引退後も解説者やコーチとして野球界に留まれる可能性はあるが、 
プレイヤーとして野球ができるのはあとほんの数年。 
野球人生の終わりは近いという事実に寂しさを感じざるを得ないのだ。 
おそらく俺は自分の意地だけではなく、野球をもっとやりたいという気持ちから引退をしたくないんだろう。 

「・・・そうですね、確かに私もあなたが野球をしている姿を見れなくなるのは寂しいです。」 
玲泉は一端言葉を区切ってから、話を続けた。 
「でも、生きているものがいつか必ず死ぬように、どんな事にでも終わりは必ず来るものです。それは、どんなに嫌でも受け入れなければならない事なんですよね。」 
「ああ、それはわかってる、わかっているんだけどな・・・」 
「しかしですね、それまで生きていたものは、後に生きるものの為に何かを残してあげる事ができます。 
それは子孫であれ、技術であれ、思想であれ、記録であれ・・・」 
「うん・・・」 
俺は玲泉の話に区切りを入れるかのように相槌を入れた。 
「あなたがこれから指導者になるのだとすれば、それによってたくさんの選手達が成長していくでしょう。 
あなたも、自分の力だけで野球が上手になったわけではないはずです。 
先輩やコーチの方々の指導が、これまでのあなたの活躍に生きているのではありませんか?」 
「確かに・・・その通りだな」 
「ならば、選手としての役割を終えた後は、あなたの力を受け継いでくれる選手を作る事・・・それを新たな喜びにすればよいのではないでしょうか?例えば今、甲子園を目指しているうちの子のような・・・」 
「・・・なるほど」 

玲泉の話は本当に心にぶつかってくるものが多い。 

「何にしても、あなたはまだ現役として活動できる時間が残っているわけですから、いつ引退する事になってもいいように野球を全力でやっていけばよいと思いますよ」 
「武士道とは死ぬことと見つけたり・・・か」 
「はい、その通りです」 

昔、俺が玲泉に教わった言葉を呟くと、彼女はにっこりと笑ってくれた。 

「そういえば、さっき玲泉が言ってた事ってどういう意味だ?」 

「え?言ってた事・・・っといいますと?」 
「夕食の時に『お父さんは私の人生を変えてくれた人』とか言ってたじゃないか、いきなりあんな事言うもんだから驚いたよ」 
「ああ、あの事ですか」 
玲泉が苦笑いをするが、すぐに真面目な表情に戻る。 

「あなたもわかっているのではありませんか?あなたと恋人になれて私がどんなに幸せになる事ができたのか・・・」 
「・・・」 
俺は何も言わず、玲泉の真剣な瞳を見つめた。 

「私は高校時代まではただただ父に復讐するために生きていました。自分に対して愛情を与えてくれた人など誰一人いませんでした。そう、おばあ様でさえも・・・」 
ぽつり、ぽつりと玲泉は話を続ける。 
「私は誰にも愛されないし愛せない。だから父に復讐をしたらそのまま母の所へ行こうとも考えていました。」 
「・・・!」 
父親に復讐をしようとしていた事は知っていたが、そこまで考えていたのか・・・ 
「でも、そんな私の思考を一気に打ち消して下さったのがあなたです。 
あなたは・・・こんな私を好きになってくれました。そして、私もあなたを好きになってしまいました。 
人を好きになる事が、あんなに嬉しい事だなんて初めて知ったのです。」 
「玲泉・・・」 
「だからこそ、私が野球部を妨害していた事をあなたに告白したのです。とても悲しいけれど、私と別れる事こそが一番あなたの為であると思いましたから・・・」 
(それが俺の為?冗談じゃない、その真逆だ) 
「それなのにあなたは私を許して下さったのですから・・・その日はずっと涙が止まりませんでした。それはおばあ様に対する涙、あなたへの罪悪感の涙、そしてあなたの優しさに・・・」 

「もういい、それ以上話すな」 
その時の辛さを思い出しているのだろう、玲泉の目には涙が浮かんでいる。 
俺は彼女のドライヤーの温もりの残る髪を撫でながら、その身体を抱きしめた。 
「はい・・・すみません・・・」 
玲泉は涙を拭う。 
「それが今では・・・あなたと結婚できて・・・可愛い子供も産まれて・・・そして何十年経っても、こうしてあなたの腕の中に抱かれている。 
・・・あの時の事が、まるで悪い夢みたいです。」 
俺にとっても呪いは今となっては悪夢のようなものだ。 
でも、確かにその悪夢によって俺は強くなれたし、 
こんな素晴らしい女性とも結ばれることができた。 
むしろ呪いに感謝・・・か。昔も同じ事を思った気がする。 


「あなたには、本当にたくさんの『初めて』を貰いましたよね。 
初めて誕生日プレゼントを頂いた人で初めてプレゼントを送った人で、初めて私の事を好きになってくださった人で、初めて私が好きになった人で、初めて私の泣き顔を見せた人で、初めて私が本当の笑顔を見せた人。 
ほんと、初めてづくしですね・・・ふふふ」 
玲泉は愉快そうに笑う。 
「とにかく、あなたは私にとって命の恩人のようなものですからね。どんなに感謝しても・・・しきれません。」 
「とんでもない!玲泉がいたからこそ俺はここまでやってこれたんだろ。お前こそ、俺の恩人だよ。本当に、ありがとうな」 


俺と玲泉は見つめあったまま、暫くの沈黙が続いた。 

段々と甘い雰囲気になり、さっきまでの眠気も忘れて俺はゆっくり口を開く。 


「なぁ・・・久しぶりに・・・どうかな?」 

「はい・・・よろしくお願いしますね」 

部屋の照明を消し、暗闇に包まれた寝室の中では、電気スタンドの淡い光だけが裸の2人を照らしている。 

俺は玲泉に覆い被さりその華奢な身体を包み込みながら、情事の始まりの合図をするかのように深い口付けを交わした。 
こうして玲泉とキスをするのは一体何度目だろう。それは今までに食ったパンの枚数のような話だが、やはり何度唇を重ねてもその甘酸っぱい味は変わる事がない。 

玲泉の柔らかい唇を堪能した後は彼女の小さな胸に手を伸ばし、壊れ物を扱うかのように優しく、ゆっくりと愛撫を始めた。 
その身体は、20年前に初めて身体を重ねた時と変わらない、むしろ熟れた女性としての魅力をさらに備えているような透き通るような張りのある白い肌だ。 
こんな魅力的な体を見た時には、比較的アベレージヒッタータイプの俺でも一気に特大アーチを打ち上げられるようになってしまう。 

「んっ・・・」俺が胸の突起物に吸い付くと、玲泉はかすかな声をあげる。 
彼女の胸は子供を産んだのもあって昔よりは膨らんでいるが、それでも手で包んだら余る程度だ。 
しかし、そんな貧乳が俺は嫌いではない。 
その突起は俺の下半身にある突起と同じようにピンと硬くなっていた。 


「いつまで舐めているんですか・・・今度はこっちの番ですよ」 
玲泉は俺の頭を自分の胸から強引に引き離し、俺の体の下に潜り込むようにして俺の突起物に手を伸ばした。 
「お前も積極的になったよなぁ、昔はそっちから攻めて来るなんて全然無かったのに」 
「ふふ、やっぱりやられてばかりではいけませんからね」 
そう言って俺の陰茎を握ると、まずは味見をするかのようにペロッと軽く舐めた。 
それだけでもなかなかの刺激が俺を痺れさせる。既にその先っぽからは汁が溢れていた。 
それから数回飴のように舐めた後玲泉は俺を見上げて言った。 
「それでは・・・行きますよ」 
俺の陰茎が玲泉の口に包まれる。 
俺のサイズだと彼女の口の大きさにはギリギリ収まるぐらいで少しきつそうだが、玲泉の歯が当たる感覚も刺激的だ。 
じゅぽ・・・とそれを吸う音がいやらしく響く。 
そしていつも清楚な印象の玲泉が俺の陰茎を吸っているという光景。 
肉体的だけでなく、視覚的、聴覚的な興奮も相まって、絶頂には時間がかからなかった。 

「あああぁっ・・・っ!で、出るっ!!」 
堪らず、俺は精液を放出してしまう。 
「・・・!」 
玲泉は思っていたより早かったのか、驚いた表情を浮かべながらもそれをゴクンと飲み込んだ。口に収まりきらなかった分が口元から垂れている。 

「ちょっと・・・いつもより早くないですか?」 
「いやぁ・・・俺もこの歳だから早漏になってるのかもしてないな」 
年齢のせいにしてみるが案外事実かもしれない。 
玲泉はそんな俺が可笑しかったのかクスッと笑った。 

「じゃあ・・・いくぞ?」 
「はい、いいですよ」 

俺は玲泉の足を開き、そこに陰茎をあてがい、ゆっくりと中に入れていく。 
「はぁっ・・・んんっ」 
何度もやってきた事なので流石に痛みはそれほどないようだが、やはり性感はあるようだ。 
俺がそのまま奥まで押し込むと、玲泉の息は荒くなっていた。 
「どう・・・?気持ちいいか?」 
「はいっ、気持ち・・・いいですよ。」玲泉は笑顔を浮かべる。 

そのまま俺は腰を振り始めると、彼女も運動を開始する。 
お互い何も言葉を発さず、ただただ陰部が擦れ合う音と2人の呼吸の音だけが響く。 
次第に、俺の下半身に不思議な感覚が走ってくるのがわかった。 

しかし、予期せぬ出来事が・・・ 

「・・・!!?あ、あああっ!れっ、玲泉っ!!」 
「は・・・はい、あなたっ!」 
玲泉は俺が絶頂を迎えると思ったのだろう。膣を締め付け、腰の動きを更に激しくした。 
しかし、そういうわけではなかったのだ。 

「れ、玲泉!ちょっと!ちょっと止まってくれ!!」 
「えっ・・・?」予想外の言葉に、 玲泉は驚く。 

「あの・・・どうしたのですか?」 
玲泉は苦しそうな表情のまま震えている俺を心配そうに見た。 

「こ、腰が・・・」 
「え?」 
「腰が、・・・つりそうになったんだ・・・」 

しばしの沈黙。 

「ぷっ・・・あはははっ!」 
変な体勢のままプルプルとしている俺が余りに滑稽だったのか、彼女は吹き出してしまった。 
玲泉が声をあげて笑う事など滅多になかった為、俺は一気に悲しくなる。 

「ふふふ、ごめんなさい、笑ってしまって」 
「いや、いいんだよ・・・笑わない方が難しいだろうしな」 
「どうしますか?もう寝ます?」 
そうしたいという気持ちもあったが・・・ 
「馬鹿、こんなカッコ悪い終わり方のまま寝られるか!」 
結局はプライドが勝ってしまった 
「ふふふ・・・わかりました。今度はゆっくりしましょうね」 
もう一度玲泉の中にものを入れ、 ゆっくりと腰を動かしていく。 
じわじわと感じる下半身の熱い感覚。もう発射までそえ時間はかからないだろう。 

「なぁ、玲泉・・・」 
「どうしましたか?あなた」 
俺が小さく玲泉に話しかけると、彼女は俺の目を見る。 
ずっとこのまま、見つめあっていたい気分だ。 

「改めて聞くようだけど、玲泉は・・・今でも俺の事が好きか?」 
俺の質問に玲泉は明るい笑顔を浮かべて返答する。 
「そんな事聞くまでもないじゃないですか。もちろん昔と変わらず・・・ いや、昔よりも、ずーっと大好きですよ」 
「これからも・・・ずっと好きでいてくれるか?」 
「はい、もちろんですよ」 
変わらぬ笑顔のまま言い切った玲泉の瞳に濁りはなかった。 

「俺も・・・同じ気持ちだからな・・・?」 
そう言って、俺は玲泉の中に愛情を放った。 




それから数ヶ月して、玲泉の口から明るいニュースが伝えられた 

「あなた、今日病院に行ってみたら・・・やっぱりできていましたよ」 
「そうかい!やったな玲泉!」 


そう、玲泉は俺たちの三人目の子供をついに身ごもったのだ。 

40歳を過ぎていてやや高齢での出産になるが、初産ではないので基本的な生活をしっかりしていれば元気に生まれてくるらしい。 
久しぶりの新しい子供だから、家族全員でまた大事に育てていきたい、そう思う。 


「私にも妹か弟が欲しかったんだけど、やっとできるんだ!」 
娘も本当に喜んでくれているみたいだ。 

しかし息子はからかうような笑みを浮かべている。 

「父さん・・・もう気力がないみたいな事言ってたけど、やっぱりまだ現役なんじゃないか」 

「ううう、うるせえよっ!」 

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