「……おやおや、よりにもよって生徒会室で生徒会長が
 不純異性交遊とは、大胆にも程がありますね〜」
「違う! 小波は生徒会の仕事を手伝っていただけだ!
 その写真は、たまたま生徒会室に二人きりでいた時に、
 小波が私の目に入ったゴミを取ってくれようと――」
「そんな三十年前の少女マンガみたいな言い訳が、
 この二十一世紀の世間様に通用するとでも思ってるんですかぁ?」
「――わかった。たとえ誤解でも、私は逃げも隠れもしない!
 親切高校の一生徒として、甘んじて罰を受けよう。
 副会長、そちらの罰則規定をこちらに持って来い。
 校内での不純異性交遊に関する罰則は、622ページで……
 十段階目まであるのか……一段階目は……?

 『校内での不純異性交遊に関する罰則規定
  ◆罰則・第一段階
    校内での男女交際を禁じる校則に違反した者は、
    その男女両名とも三日間、
    学内では《わたしたち二人は不純異性交遊を行いました》と
    大書されたボードを首から胸に吊るし、
    授業・食事・入浴・トイレ・就寝を含めた全時間を、
    二人で手をつないで過ごす事。
    就寝時間を男女どちらの寮で過ごすかは、違反者の裁量に委ねる。
    この期間はいかなる理由があっても手を放してはならず、例外は一切認められない。
    もし手を放した場合には、両名に第二段階目の罰則が適用される』

 ……おい、副会長! なんだ、このふざけた罰則は!」

「あのう、お言葉ですが、それは生徒会長自身が立案した罰則です」

「(う。そう言えば、昔、こんな罰則を立案したような記憶が……。
 これは、こんな人権無視の罰則よりはまだマシだと、
 別の対案を通すために適当に作った罰則だったんだが、
 まさか、採用されていたとは……)
 ……くうっ、自分で決めた罰則を無視するわけにはいかん!
 いいだろう。たかが三日間、小波と手をつないで過ごすだけのことだ。
 ボードというのはそれか? こっちに二枚渡せ。
 さあ小波、手を出せ! これから三日間、寝食を共にするぞ!」

しかし紫杏は三日目の夜になって、ついうっかり主人公と手を放してしまい、
罰則は二段階目に移行してしまう。
結局二人揃って、きっちり十段階目まで罰を受ける羽目になるのでした。

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