夜は人でごった返すゴールデン銀座も、平日の昼間であり、人は疎らだ。そんな街をリンは足早に歩いていた。
モデルといっても通用しそうなほどの美貌を持つリンは、常に周囲の注目を集める。今日も行きかう男達の視線を集めていた。
普段ならそんな視線など気にも留めないのだが、今日のリンは様子が違った。
人々の視線を恐れ、逃げるようにしている。その表情には焦りの色が浮かんでいた。
いつものクールな彼女を知る人間から見れば別人かと疑うことだろう。
それほどまでに今のリンは異常だった。

リンは目的地である公園に到着すると、辺りを見渡した。
この場に呼び寄せた人物がいるはずだ。
「遅かったじゃないか」
背後から声が聞こえる。振り返るとそこには肩から大きなバッグを掛けた小波がいた。
リンに気付かれずに背後を取るあたりは流石はCCRのエージェントといったところか。
今日、彼女がここに来たのは小波に呼び出されたからだった。
「ちゃんと言われた通りの格好をしてきたか?」
リンは黙って頷くことで肯定する。
「じゃあ確認するぞ」
こっちへこいとばかりに茂みへと歩き出す小波の後をリンは無言で追った。
人目につかない場所まで辿り着くと、リンは少し躊躇った後おもむろにコートのボタンを外しだす。
コートを開くと、中にはリンの生まれたままの姿があった。

今日リンが裸にコート一枚でここまで来たのは、この男に強要されたからである。
と言っても別にリンが弱みを握られているわけでも、人質がいるわけでもない。
ただ小波は女を虐めることに性的興奮を覚える男であり、リンは虐められることに快楽を見出す女であったというだけのことである。
初めのうちは互いの第一印象とあまりにかけ離れた性癖であるがゆえに戸惑いがあった。
そのため二人の行為は言葉責めなどソフトなものだったが、性行為の回数が増えると次第に内容はエスカレートしていった。
遂にはこんな野外露出プレイにまで手を出したというわけである。

「ちゃんと言いつけは守ったみたいだな。でも約束の時間を5分オーバーしているぞ。お仕置きだな」
“お仕置き”とは言っているものの、小波は時間を守れていないことに腹を立ててなどいない。
それでも“お仕置き”という言葉を使うのには理由がある。
二人が付き合い始めて間もない頃、お互いの性癖を知ってもなかなか欲求に従えないでいた。
小波はいつも気丈なリンを虐めることに抵抗があったし、リンも虐めて欲しいと言うにはプライドが邪魔した。
そんな折、リンの不手際で小波が被害を受けることがあった。その際小波はふざけて“お仕置き”と称してリンを陵辱したのだ。
このとき二人は気付いたのだ。“お仕置き”という大義名分があれば無理なく調教ができると。
今では“お仕置き”は小波がリンを責めるための、またリンが小波に責められるための口実となっていた。

小波はバッグのファスナーを開け、中を物色しだした。
このバッグの中にはリンを調教するための道具が沢山詰まっている。
小波はバッグからピンクローターを取り出す。今まで何度もリンに快楽を与えてきた道具だ。
「ホテルまでこれを付けてもらう」
リンは絶句した。これまでの調教はいずれも人目につかない所で行われてきた。
こんな格好で街を歩くことさえ恥ずかしいというのに、ローターをつけて人前に出るなどもっての外だ。
「そんな!?」
想像しただけで震えるリンに構うことなく、小波はローターを肉芽へと押し付ける。
「ひぃっ!」
十分に開発されたリンの身体は、否応無く反応してしまう。クリトリスは途端に大きくなり、皮を剥いて外へと飛び出す。
小波はそんなリンの反応を満足げに眺めた後、ローターが落ちないようにしっかりとテープで固定する。
「こんな状態で外を歩くなんて……」
「何勘違いしてるんだ?」
現状を憂うリンに小波が追い討ちをかけるように語りかける。その手には新たなローターが握られていた。
「今日はローターを3つ用意したからな。乳首にも付けるぞ」
クリトリスだけでさえどうなるかわからないというのに、さらに乳首まで責められるというのか。
あまりの要求に、リンはぞっとする。
身を震わせるリンを小波は強引に抱きよせて口づけする。と同時に口移しで何かの錠剤を送る。
リンにとっては完全な不意打ちだ。とっさのことについ錠剤を飲んでしまう。
「ぅん…… 何を飲ませたの!?」
「すぐにわかるよ。毒じゃないから安心しろ」
まだ聞きたいことがあるリンだったが、小波に何を言っても答えるはずもない。
小波のことだし毒の類ではないだろう。諦めて早くホテルへ行くことにする。
「さあ行くぞ。言い忘れてたけど、ホテルに着くまでにイったらまたお仕置きだからな」
小波は追加の課題に、リンはまた頭を悩ませることになった。

公園からホテルまでは歩いて10分程度。ただ歩くだけならばなんて事はない距離である。
それでも今のリンにとっては地獄のような時間となっていた。
3つの弱点から連続的に与えられる振動に加え、白昼堂々こんな痴態を繰り広げているという事実がリンの官能を責め立てる。
それでもなんとか堪え、道のりも半分を迎える頃になると刺激にも慣れてくる。
この調子で行けば何とかなりそうだ。そう思うリンに新たな衝撃が襲い掛かる。
「!?」
突如ローターの振動が強くなる。リンは何が起こったか理解できず小波を見る。
「驚いたか? このローター、リモコンで操作できるんだ」
必死に耐えようとするリンだったが、変幻自在に強度を変える球体に対して彼女の身体はあまりに頼りなかった。
「もうイったのか。リンは堪え性がないな」
往来で絶頂に達してしまう恥辱はリンの被虐心を煽る。そんなリンに小波の言葉がトドメを刺す。
「今の顔、すっごいエッチだったぞ。周りの奴らに気付かれたんじゃないのか?」
リンには顔から火が出そうなほどの恥辱に悩まされながら、ゆっくりと進むことしかできなかった。

ホテルへと辿り着く頃にはリンは一人で立つことさえままならない状況に追い詰められていた。
小波の腕に抱きつく姿は、仲の良いカップルの様である。
リンにとってこんな姿を人前に晒すことはこれ以上ない屈辱であったが、意思とは裏腹に身体は言うことを気かない。
既にチェックインしてあるらしく、すぐさま部屋と向かうことが唯一の救いだった。

部屋へ辿り着くなりベッドに倒れこむリン。身体はとっくに限界だったようだ。
「お願い、小波君。もう外してもいいでしょ?」
「ああ。でもまだお仕置きがあるからな」
小波はリンに取り付けたローターのスイッチを切り、手早くテープを外す。
ぐったりとしたリンの身体を小波は抱き起こし、備え付けの椅子へと運ぶ。
リンを座らせると、小波はまたバッグの中身からあるものを取り出した。
縄である。緊縛プレイは二人の間で特にポピュラーなプレイなので縄の使用頻度は高い。
今では小波も縄の扱いに長けるようになっていた。
リンは瞬く間に椅子に縛りつけられる。
両手は背もたれの後ろで拘束され、自由に動かすことができない。
左右の足はそれぞれ手すりに固定されており、大きく股が開かれる形になった。
女性の恥ずかしい部分を隠すことができない体勢である。
肥大化したクリトリスも、熟れたヴァギナも、アナルさえも公開する恥辱にリンは気が狂いそうだった。
「いい眺めだな」
小波はリンの開かれた股の前に移動し、彼女の恥ずかしいところ全てを特等席で見ている。
リンは見られるだけで気をやってしまいそうなほど感じていた。
小波のことだからこれだけで終わるわけがない。
これからどんなお仕置きをされるのか、想像するだけで女性器は濡れそぼる。
過剰に分泌された愛液は重力に従って下方へと流れ、肛門を淫らにコーティングする。
その様子を見て、小波は次のお仕置きを思いついたようだった。

小波の手には奇妙な道具が握られていた。
大小大きさの異なる球体が数珠繋ぎになっており、一番大きい球体には指が引っ掛けられるぐらいの輪っかが取り付けられている。
「何なの、それ?」
初めて見る異様な物体をリンが不安げに尋ねる。
「これはアナルビーズって言うんだ。このビーズを尻の穴に入れて引っ張る玩具だよ」
楽しそうに道具の解説をする小波とは正反対に、その卑猥な使用法を聞いたリンは言葉を恐怖した。
小波は緊張で強張ったリンのアナルにビーズを一つずつ丁寧に押し込んでいく。
このアナルビーズは奥に行くたびにその直径を大きくしてある。そのため、後の方になるに従って肛門への刺激も大きくなっていくのだ。
無論腸内の異物も多くなっていくため、身体の中からの圧迫感も増大していく。
時間と共に肥大していく苦痛にリンは苛まれる。
「よし。全部入ったな」
挿入が終わると今度は尻から生える輪っかに指をかける。
アナルというのは入れるよりも抜くことで快楽を得られる器官である。
故にこの道具もアナルから引き抜くことで最大の快楽を得られるのだ。
これまでの調教でそのことを知っているリンは、その快楽に耐えるべく身構えた。
しかしリンの次なる恥辱はまったく別の場所から始まるのだった。

「こ、小波君。縄を解いて」
「まだお仕置きの最中だぞ」
唐突に調教を止めるように言い出すリンに、小波が呆れたように返す。
間に休止を置いたらしらけてしまう。そんなことリンもわかっているだろうに。
「終わったらすぐ戻ってくるから、また縛られに来るから速く」
「どうしたんだよ」
小波の問いかけに、説明を躊躇うリン。しかしこのままでは開放してもらえない。観念したようにリンが口を開く。
「ト…… トイレに行きたいの」
恥ずかしがりながら答えるリンに、なるほどとばかりに小波が頷く。
「ようやく効いてきたか」
小波は一人納得する。当然理解できないリンは小波に説明を求める。
「さっき公園で薬を飲ませたよな。あれ、利尿剤だったんだ。
本当は尿意に耐えながらホテルまで行かせるつもりだったんだけど効くまで結構時間がかかったな」
「わかったから、トイレに行かせて」
「いいこと思いついた。ちょっと待ってろ」
「え? どこへ行くの? 速く解いて」
部屋から出る小波。リンは置き去りにされてしまう。
縛られて自由を奪われたリンはどうすることもできず、ただ漏らさないように下腹部に力を込めるだけだった。

小波が部屋へ帰ってくる。ペットボトルを買ってきたようだ。
速く解けというリンの言葉を無視してペットボトルの中身を捨てる。
空になった容器の口をリンのクリトリスへと押し付けた。
リンは一瞬何をしているのかわからなかったが、すぐにあることに思い至る。
「まさか!」
「その通り。この中にすれば解かずに済むな」
「そんな……お願い小波君、縄を解いて」
「それじゃあチャンスをあげるよ」
アナルビーズへと手を掛ける。
「これを引き抜いて、漏らさなかったら解いてもいいぜ」
リンは言葉を失う。極限まで我慢しているのにそんなことされて耐えられるはずもない。
なんとか止めさせようとするリンを無視して一気にアナルビーズを引き抜く。
肉体も精神も限界まで虐められたリンに強烈な刺激が襲い掛かり、頭の中が真っ白になる。
耐えられなくなりペットボトルへと黄色い液体が注がれる。
女性は一度尿を出すと途中で止めることができない。リンは止められない洪水に翻弄されるしかなかった。
「沢山出たな。もうちょっとで溢れるところだったよ」
目の前にたった今排泄した液体を持ってこられ、リンの羞恥は燃え上がる。
何より恥ずかしいのは小波の前で放尿したときに快楽を感じたことである。
あまりに破廉恥な事実がプライドを蝕んだ。
きっとこの男はこのことに気付いているだろう。
これからのお仕置きのネタに使われるかと思うと、今から気が滅入る。
もっとも今そんなことを気にしている余裕など無いのだけれども。

小波も満足しただろう。ようやく開放されると、リンは心の底から安堵した。
リンが人並み以上の体力を持っていたとしても、これ以上続けられては身体が持たない。
息も絶え絶えといった様子で絶頂の余韻に浸るリンは、小波の行動に気付けなかった。
「な、何をしてるの小波君?」
小波は野外でリンがつけていたローターを再び装着させていた。
「俺は疲れたからこれで休むけど、リンにはまだおしっこ漏らしたときのお仕置きが残ってるだろ」
そう言う小波の手には、バイブレーターが握られていた。


結局リンが開放されたのはこれから2時間後のことだった。
普通とはかけ離れた小波とリンの関係は、一人の少女と出会いを経て更に歪んだ関係へと発展することになるのだが、それはまた別のお話である。

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