最終更新:ID:mjixZnHmHQ 2015年11月22日(日) 21:41:59履歴
「今度の休み、私の家に来てくれないか?」
紫杏にそう言われたとき、小波は一も二もなく了承した。
出会ってからだいぶ経つ二人は徐々にその距離を縮めていき、既に男女の関係になっている。
年頃の男子である小波はもっと紫杏との情事を楽しみたかったが、そのためには大きな障害が存在した。
紫杏は自治会長で、小波は甲子園出場を決めた野球部のキャプテンである。二人とも多忙を極めた。
もちろん自治会の手伝いなどで会って話をすることぐらいはできるが、流石にエッチをするほどの余裕はない。
紫杏の作った恋愛禁止令もまた二人の情事を邪魔する一因となっていた。
以前ならば紫杏と一緒にいるだけでも満足できたかもしれない。
しかし一度セックスの味を覚えた小波は物足りなさを覚えていた。
そんな折にこの提案である。
何とか紫杏と秘め事ができないかと悩んでいた小波にとって、紫杏の誘いはまさに渡りに船だった。
彼女の実家には一度行ったことがあるが、今回は父親はいないらしい。つまり、二人きりということになる。
これで何もないと思う男はいない。
(そういえばバレンタインデーは紫杏を食べたんだよな。
もうすぐホワイトデー。ということは今度は俺が食べられる番か!)
自分に都合の良い妄想をしつつ、小波は次の休日を今や遅しと待ちわびた。
待ちに待った休日、紫杏の家へ着いたとき小波はそわそわとしていた。
幾らなんでも急に「エッチしたい」などと言えるはずもない。
どうしたものかと悩んでいると、紫杏が口を開く。
「さて、着いてそうそう悪いがつき合ってもらうぞ」
「え!?」
唐突な提案に小波がたじろぐ。
今まで何回かセックスをしてきたが、いずれも小波が迫っていた。
紫杏がエッチに関して積極的になることはあまりなかったのだ。
それだけに小波は衝撃を受ける。
「そんな、いきなりなんて。いや、駄目なわけじゃないぞ、むしろやりたくてしかない」
「何か勘違いをしていないか?」
動揺して思っていることを口走る小波を紫杏が一蹴する。
「今日はこれに付き合って欲しい」
そう言って紫杏は懐から何か取り出した。
「これはPカード?」
「そうだ。小波には私にPカードを教えて欲しい」
事の始まりは修学旅行にまで遡る。
2日目の夜、青葉主催のPカード大会が行われた。その大会に紫杏も参加したのだが、結果は惨敗だった。
紫杏はそれが気に入らないらしい。
紫杏は自治会長が賭け事に弱いと舐められるなどと言っているが、なんてことは無い。ただ単に負けっぱなしが嫌なだけである。
猥らなことを期待していた小波は少し落胆した。
「せっかくの休暇につき合わせてしまってすまないとは思う。しかしお前しか頼れる人間がいないんだ。
カズも朱里も、こういったことには無頓着だからな」
紫杏の上目遣いの視線が小波の心をくすぐる。思えば紫杏に頼りにされることは初めてな気がする。
小波は彼女に付き合うのも悪くないと思い直し手伝うことにした。
「なんで勝てないんだ!」
「むしろ俺が聞きたいよ……」
小波の考えはあっさりと変わった。
あれから3時間が経過した。もう何ゲーム目になるかも分からないほどPカードをやったが、紫杏は1勝もできない。
流石に小波も飽きてきている。
とっとと負けて終わらせたかったが、鋭い紫杏には手を抜くとすぐにばれてしまう。
こちらから話しかけてもゲームに集中している紫杏はまともに応えてくれない。
もっと二人で話したり、一緒にご飯を食べたり、楽しい時間になると予想してた小波にとってこの時間は苦痛だった。
ただひたすらPカードのみやり続けるのは罰ゲームにさえ思えた。
(せめて俺も楽しめる何かがあればいいんだけど)
このとき小波の脳裏にすごい考えが浮かんだ。
もしこのアイデアが受け入れられれば、この退屈な時間は一変してバラ色に変わるだろう。
さっそく紫杏に提案する。
「なあ、紫杏。紫杏が勝てないのは危機感が足りないからだと思うんだ」
「危機感だと?」
「ああ。俺達はペラに対して貪欲だ。でも紫杏はどうだ?
紫杏は頭もいいし、自治会の活動もあるからペラには困ってないんじゃないのか?
ペラに対する執念がないから、負けても構わないという甘えがあるんじゃないのか?」
「そう言われるとそうかもしれない」
「そこでだ、紫杏が本気で負けたくないと思うような状況でやればいいと思うんだ」
「なるほど…… と言っても具体的にはどうすればいいんだ?」
「それならいい考えがある」
もったいぶるように間を置いたあと、小波は自信満々に口を開いた。
「脱衣Pカードだ」
「何を言っているんだ……」
あまりのくだらなさに紫杏は呆れている。
「1ゲーム負けるたびに服を一枚ずつ脱いでいくんだ。
先にどちらかが全裸になったら終わり。俺の服が少ないのはハンデってことでいいからさ」
小波は構わず説明をする。紫杏の視線がだんだん哀れむようなものになっていく。
「な、いい考えだろ?」
「お前にとってはな」
「そう。このゲームのいいところは俺が楽しいってことだ。このままじゃ俺がつまらなくていけない」
「もしかして退屈だったか?」
見ると紫杏は不安そうな目をしている。小波は調子に乗る失言したことに気付いた。
「別に紫杏と一緒にいるのが不満ってわけじゃないんだ。
ただせっかく二人きりなんだからさ、もっといつもできないようなことをしたいだけなんだ。
ちょっと調子に乗りすぎた。ごめん」
「いや、謝らなくてもいい。こっちも自分の都合しか考えてなかったしな。
よし、お前の意見も取り入れてみよう」
こうして(小波にとって)夢のゲームが幕を開けた。
「なんで勝てないんだ!」
脱衣Pカード開始から30分、紫杏は連敗に次ぐ連敗で残る衣類は上下の下着のみとなっていた。
それもそのはず、紫杏の裸を見たいがために小波が全力を出したのだ。
エロスのパワーは偉大である。小波は欲望によって常時心眼状態というチートモードに突入している。
やる気の無かった小波にさえ勝てなかった紫杏には手も足も出ない。
「さあ、後2枚だ。仮にも自治会長ともあろう人が、まさかここで逃げるわけないよな」
逃げ道を封じる小波。ここまで来たら逃す気は無いようだ。
「当たり前だろう! これから負けなければいいだけだ!」
意気込んだはいいものの、そう都合の良いことは起こらない。
「ロン、リーチ一発バラバラ。これでハコだよな」
「そ、そんな」
先ほどの決意も空しく、あっさりと負けてしまう。
「さあ、脱いでもらうぞ」
選択肢は2つ。ブラかショーツか。どちらにしても乙女にとって隠しておきたい場所を晒さなければならない。
意を決し、ブラを外すことにする。背中に手を回し、ホックに手をかける。
そんな紫杏の一挙一動を小波は見逃さんとする。
「おお……」
今まで何回か紫杏の胸を見てきた小波だったが、いつも自分が下着を脱がせてきた。
彼女が自分からブラを外すのを見るのは初めてである。
ついついじっと見つめてしまう。
紫杏は小波の視線から逃れるように胸を隠す。
「あんまりジロジロ見るな!」
「どうでもいいけど、手で隠してたらPカードできないぞ」
紫杏の両手はバストを押さえつけているが、このままではPカードをすることができない。
必然的に乳房を小波に見せなければいけない。
「うう、仕方ない……」
渋々両手を放す紫杏。乳が顕わになる。
「やっぱり紫杏のおっぱいはいいなぁ」
「は、早く始めるぞ」
こんな辱めは一刻も早く終わらせたい。紫杏は幸せそうな顔で胸を見つめる小波を急かす。
今から逆転できるとは思わないが、せめて一矢報いたかった。
「さあ、最後の一枚も脱いでもらうぞ」
奇跡の大逆転なんて、そうそう起こるものではない。
結局紫杏は負けてしまった。
紫杏は最後の砦を取り去ることに戸惑いを感じていたが、やがて観念したように下着に手を掛ける。
女唇を覆っていた白い布が取り外され、小波の目を釘付けにする。
よく考えれば今までのセックスは服を半分着せたままやってきた。
小波は初めて見る紫杏の全裸を舐め回すように凝視する。
その視線が紫杏の羞恥を加速させた。
「さて、そろそろお開きにするか」
十分に紫杏を堪能した小波はPカードの終了を持ちかけた。勿論この後エッチなことをする気満々である。
「待て。私はまだ一度も勝っていないぞ」
未だ勝てない紫杏が不満を口にする。このままでは休日を潰した意味が無いし、何より負けっぱなしというのが気に障った。
「そんなこと言ったってもう脱ぐもの無いじゃないか」
「負けたらお前の言うことを何でも聞こう」
「何でも!?」
紫杏の負けず嫌いな発言が小波の心を動かす。
「それじゃあ、次負けたら……」
「な……」
小波は紫杏の耳元で囁く。その内容に紫杏の顔が一瞬で羞恥に染まる。
「そんな恥ずかしいこと、できるか!」
「じゃあやめる? 一回も勝ててないけどな」
「な!? いいだろう。絶対に勝ってやる」
あえて煽るような発言をする小波にまんまと乗せられる紫杏。
「今度こそ負けないからな」
「悪い、紫杏。初手あがり、嫌な物一色、ドラ1。数え役満だ」
「な……」
開始早々決着がついてしまった。紫杏はもう言葉も出なかった。
「それじゃあ約束通りにしてもらうぞ」
小波はジッパーをゆっくりと下ろす。既に肉棒は暴発しそうなほど膨張している。
「本当にこれを舐めるのか?」
「そうだ。紫杏だって知らない訳じゃないだろ」
小波が提案した罰ゲームはフェラチオだった。
紫杏は恐る恐るペニスを握り、顔を近づける。
今までのセックスは小波がリードを取り、紫杏はされるがままだった。
そのため紫杏が情事のときに小波に何かしたことは無い。こんなに近くで異性の性器を見ることも初めてである。
「ほら、早く」
「わかってるけど」
躊躇しながら舌で舐める。口の中に牡の味と匂いが広がる。
「ちゅっ、ん、はぁ、んっ」
慣れないながらもペニスに口付けし、キャンディを舐めるかのように舌を這わせる。
紫杏のたどたどしい舌使いから与えられる刺激自体は弱い。
しかしあの紫杏が顔を真っ赤にしてペニスを舐める様子はそれだけで小波を興奮させる。
紫杏もだんだん慣れてきたためか舌の動きも活発になり、小波の性欲に拍車を掛ける。
もともとあまり無かった理性が消し飛んでいくのが小波にもはっきりとわかった。
「俺だけ気持ちよくなるのも不公平だよな」
強引に紫杏の身体を持ち上げると、彼女の秘所が目の前に来るように体位を変える。
俗に言うシックスナインの格好である。
「な!?」
急に身体を動かされて驚く紫杏に小波が容赦ない言葉を掛ける。
「なんだ、もう濡れてるのか。意外と紫杏ってエッチだな」
「そ、そんなことない」
「そういや危機感を出すために脱衣罰ゲームをやったけど、結局効果無かったな。
裸見られるのが好きなんじゃないのか?」
言葉攻めに紫杏が身悶える。酷いことをされているのに、何故か心が興奮していく。
「まあ、そんな紫杏が好きなんだけどね」
小波は笑いながら女性器にキスをする。
「ひゃっ! ちょっと!」
「止まってるぞ。ちゃんと舐めてくれ」
そんなことを言われても、紫杏は集中できない。
快楽に耐えながらも懸命に舌を動かす。
舌で舐める卑猥な音が響く中、二人の悦楽は臨界点に達する。
「う…… 出すぞ!」
「あ、あたしもイク!」
二人は同時に果てる。紫杏の顔に白濁液が掛かり、妖艶な化粧を施す。
「気持ちよかった……」
「そ、その……」
満足げな小波に、紫杏が躊躇いがちに話しかける。
「そろそろ挿入れてくれないか」
舌で刺激されるだけでは我慢できなくなった紫杏が、恥ずかしげに提案してくる。
小波は即座に了解した。
「こ、こんな格好でするの?」
紫杏は両肘を床に付け、四つん這いになっていた。
尻は小波に向けられ、恥ずかしい部分が丸見えになる。
自分から頼んだとはいえ、羞恥で気が狂いそうだ。
淫靡な光景を目の当たりにして、小波の股間は再び力を取り戻す。
「ああ。後背位って言うんだ。気持ちいいらしいぞ」
勃起したペニスにコンドームを被せると女性器へと押し当てる。
それだけで紫杏の鼓動は高まっていく。
「挿入れるぞ」
肉棒がゆっくりと膣へ侵入していく。ペニスが進むたびに二人の肉欲が燃え上がっていく。
ペニスが奥に到達する頃には二人とも止められなくなっていた。
「動かすからな」
初めは緩やかな動きであったが、次第に歯止めが利かなくなり全力で腰を前後へ振るようになる。
紫杏を求める小波はあたかも獣のようだった。
「あ、あ、あ、あ!」
紫杏もまた突かれるたびに意識が飛びそうになる。
二人はもう細かいことはどうでもよくなっていた。
ただ本能のままに快楽を貪りあう。
「あ、あたしもう駄目!」
「俺も限界だ!」
やがて二人は限界を迎える。
ゴム越しでも確かに感じられる脈動に、紫杏は言いようの無い幸福感を覚えた。
あれから二人は時間も忘れて身体を重ね、気付けば帰らなければならない時間になっていた。
「なあ小波、結局Pカードの特訓にはならなかったわけだが」
「あー、ごめん」
今更ながらに小波が謝罪する。
紫杏とセックスしていると、どうしても抑えきれなくなってしまうらしい。
自重しなければ、と考えている小波に紫杏が語りかける。
「いや、責めているわけではない。
ただPカードが弱いままというのも気に入らない。
小波にはまた付き合って欲しいんだ。
その…… ルールはこのままで構わないから」
紫杏の目には、明らかに期待の色が浮かんでいる。
小波の答えなど、一つしかなかった。
紫杏にそう言われたとき、小波は一も二もなく了承した。
出会ってからだいぶ経つ二人は徐々にその距離を縮めていき、既に男女の関係になっている。
年頃の男子である小波はもっと紫杏との情事を楽しみたかったが、そのためには大きな障害が存在した。
紫杏は自治会長で、小波は甲子園出場を決めた野球部のキャプテンである。二人とも多忙を極めた。
もちろん自治会の手伝いなどで会って話をすることぐらいはできるが、流石にエッチをするほどの余裕はない。
紫杏の作った恋愛禁止令もまた二人の情事を邪魔する一因となっていた。
以前ならば紫杏と一緒にいるだけでも満足できたかもしれない。
しかし一度セックスの味を覚えた小波は物足りなさを覚えていた。
そんな折にこの提案である。
何とか紫杏と秘め事ができないかと悩んでいた小波にとって、紫杏の誘いはまさに渡りに船だった。
彼女の実家には一度行ったことがあるが、今回は父親はいないらしい。つまり、二人きりということになる。
これで何もないと思う男はいない。
(そういえばバレンタインデーは紫杏を食べたんだよな。
もうすぐホワイトデー。ということは今度は俺が食べられる番か!)
自分に都合の良い妄想をしつつ、小波は次の休日を今や遅しと待ちわびた。
待ちに待った休日、紫杏の家へ着いたとき小波はそわそわとしていた。
幾らなんでも急に「エッチしたい」などと言えるはずもない。
どうしたものかと悩んでいると、紫杏が口を開く。
「さて、着いてそうそう悪いがつき合ってもらうぞ」
「え!?」
唐突な提案に小波がたじろぐ。
今まで何回かセックスをしてきたが、いずれも小波が迫っていた。
紫杏がエッチに関して積極的になることはあまりなかったのだ。
それだけに小波は衝撃を受ける。
「そんな、いきなりなんて。いや、駄目なわけじゃないぞ、むしろやりたくてしかない」
「何か勘違いをしていないか?」
動揺して思っていることを口走る小波を紫杏が一蹴する。
「今日はこれに付き合って欲しい」
そう言って紫杏は懐から何か取り出した。
「これはPカード?」
「そうだ。小波には私にPカードを教えて欲しい」
事の始まりは修学旅行にまで遡る。
2日目の夜、青葉主催のPカード大会が行われた。その大会に紫杏も参加したのだが、結果は惨敗だった。
紫杏はそれが気に入らないらしい。
紫杏は自治会長が賭け事に弱いと舐められるなどと言っているが、なんてことは無い。ただ単に負けっぱなしが嫌なだけである。
猥らなことを期待していた小波は少し落胆した。
「せっかくの休暇につき合わせてしまってすまないとは思う。しかしお前しか頼れる人間がいないんだ。
カズも朱里も、こういったことには無頓着だからな」
紫杏の上目遣いの視線が小波の心をくすぐる。思えば紫杏に頼りにされることは初めてな気がする。
小波は彼女に付き合うのも悪くないと思い直し手伝うことにした。
「なんで勝てないんだ!」
「むしろ俺が聞きたいよ……」
小波の考えはあっさりと変わった。
あれから3時間が経過した。もう何ゲーム目になるかも分からないほどPカードをやったが、紫杏は1勝もできない。
流石に小波も飽きてきている。
とっとと負けて終わらせたかったが、鋭い紫杏には手を抜くとすぐにばれてしまう。
こちらから話しかけてもゲームに集中している紫杏はまともに応えてくれない。
もっと二人で話したり、一緒にご飯を食べたり、楽しい時間になると予想してた小波にとってこの時間は苦痛だった。
ただひたすらPカードのみやり続けるのは罰ゲームにさえ思えた。
(せめて俺も楽しめる何かがあればいいんだけど)
このとき小波の脳裏にすごい考えが浮かんだ。
もしこのアイデアが受け入れられれば、この退屈な時間は一変してバラ色に変わるだろう。
さっそく紫杏に提案する。
「なあ、紫杏。紫杏が勝てないのは危機感が足りないからだと思うんだ」
「危機感だと?」
「ああ。俺達はペラに対して貪欲だ。でも紫杏はどうだ?
紫杏は頭もいいし、自治会の活動もあるからペラには困ってないんじゃないのか?
ペラに対する執念がないから、負けても構わないという甘えがあるんじゃないのか?」
「そう言われるとそうかもしれない」
「そこでだ、紫杏が本気で負けたくないと思うような状況でやればいいと思うんだ」
「なるほど…… と言っても具体的にはどうすればいいんだ?」
「それならいい考えがある」
もったいぶるように間を置いたあと、小波は自信満々に口を開いた。
「脱衣Pカードだ」
「何を言っているんだ……」
あまりのくだらなさに紫杏は呆れている。
「1ゲーム負けるたびに服を一枚ずつ脱いでいくんだ。
先にどちらかが全裸になったら終わり。俺の服が少ないのはハンデってことでいいからさ」
小波は構わず説明をする。紫杏の視線がだんだん哀れむようなものになっていく。
「な、いい考えだろ?」
「お前にとってはな」
「そう。このゲームのいいところは俺が楽しいってことだ。このままじゃ俺がつまらなくていけない」
「もしかして退屈だったか?」
見ると紫杏は不安そうな目をしている。小波は調子に乗る失言したことに気付いた。
「別に紫杏と一緒にいるのが不満ってわけじゃないんだ。
ただせっかく二人きりなんだからさ、もっといつもできないようなことをしたいだけなんだ。
ちょっと調子に乗りすぎた。ごめん」
「いや、謝らなくてもいい。こっちも自分の都合しか考えてなかったしな。
よし、お前の意見も取り入れてみよう」
こうして(小波にとって)夢のゲームが幕を開けた。
「なんで勝てないんだ!」
脱衣Pカード開始から30分、紫杏は連敗に次ぐ連敗で残る衣類は上下の下着のみとなっていた。
それもそのはず、紫杏の裸を見たいがために小波が全力を出したのだ。
エロスのパワーは偉大である。小波は欲望によって常時心眼状態というチートモードに突入している。
やる気の無かった小波にさえ勝てなかった紫杏には手も足も出ない。
「さあ、後2枚だ。仮にも自治会長ともあろう人が、まさかここで逃げるわけないよな」
逃げ道を封じる小波。ここまで来たら逃す気は無いようだ。
「当たり前だろう! これから負けなければいいだけだ!」
意気込んだはいいものの、そう都合の良いことは起こらない。
「ロン、リーチ一発バラバラ。これでハコだよな」
「そ、そんな」
先ほどの決意も空しく、あっさりと負けてしまう。
「さあ、脱いでもらうぞ」
選択肢は2つ。ブラかショーツか。どちらにしても乙女にとって隠しておきたい場所を晒さなければならない。
意を決し、ブラを外すことにする。背中に手を回し、ホックに手をかける。
そんな紫杏の一挙一動を小波は見逃さんとする。
「おお……」
今まで何回か紫杏の胸を見てきた小波だったが、いつも自分が下着を脱がせてきた。
彼女が自分からブラを外すのを見るのは初めてである。
ついついじっと見つめてしまう。
紫杏は小波の視線から逃れるように胸を隠す。
「あんまりジロジロ見るな!」
「どうでもいいけど、手で隠してたらPカードできないぞ」
紫杏の両手はバストを押さえつけているが、このままではPカードをすることができない。
必然的に乳房を小波に見せなければいけない。
「うう、仕方ない……」
渋々両手を放す紫杏。乳が顕わになる。
「やっぱり紫杏のおっぱいはいいなぁ」
「は、早く始めるぞ」
こんな辱めは一刻も早く終わらせたい。紫杏は幸せそうな顔で胸を見つめる小波を急かす。
今から逆転できるとは思わないが、せめて一矢報いたかった。
「さあ、最後の一枚も脱いでもらうぞ」
奇跡の大逆転なんて、そうそう起こるものではない。
結局紫杏は負けてしまった。
紫杏は最後の砦を取り去ることに戸惑いを感じていたが、やがて観念したように下着に手を掛ける。
女唇を覆っていた白い布が取り外され、小波の目を釘付けにする。
よく考えれば今までのセックスは服を半分着せたままやってきた。
小波は初めて見る紫杏の全裸を舐め回すように凝視する。
その視線が紫杏の羞恥を加速させた。
「さて、そろそろお開きにするか」
十分に紫杏を堪能した小波はPカードの終了を持ちかけた。勿論この後エッチなことをする気満々である。
「待て。私はまだ一度も勝っていないぞ」
未だ勝てない紫杏が不満を口にする。このままでは休日を潰した意味が無いし、何より負けっぱなしというのが気に障った。
「そんなこと言ったってもう脱ぐもの無いじゃないか」
「負けたらお前の言うことを何でも聞こう」
「何でも!?」
紫杏の負けず嫌いな発言が小波の心を動かす。
「それじゃあ、次負けたら……」
「な……」
小波は紫杏の耳元で囁く。その内容に紫杏の顔が一瞬で羞恥に染まる。
「そんな恥ずかしいこと、できるか!」
「じゃあやめる? 一回も勝ててないけどな」
「な!? いいだろう。絶対に勝ってやる」
あえて煽るような発言をする小波にまんまと乗せられる紫杏。
「今度こそ負けないからな」
「悪い、紫杏。初手あがり、嫌な物一色、ドラ1。数え役満だ」
「な……」
開始早々決着がついてしまった。紫杏はもう言葉も出なかった。
「それじゃあ約束通りにしてもらうぞ」
小波はジッパーをゆっくりと下ろす。既に肉棒は暴発しそうなほど膨張している。
「本当にこれを舐めるのか?」
「そうだ。紫杏だって知らない訳じゃないだろ」
小波が提案した罰ゲームはフェラチオだった。
紫杏は恐る恐るペニスを握り、顔を近づける。
今までのセックスは小波がリードを取り、紫杏はされるがままだった。
そのため紫杏が情事のときに小波に何かしたことは無い。こんなに近くで異性の性器を見ることも初めてである。
「ほら、早く」
「わかってるけど」
躊躇しながら舌で舐める。口の中に牡の味と匂いが広がる。
「ちゅっ、ん、はぁ、んっ」
慣れないながらもペニスに口付けし、キャンディを舐めるかのように舌を這わせる。
紫杏のたどたどしい舌使いから与えられる刺激自体は弱い。
しかしあの紫杏が顔を真っ赤にしてペニスを舐める様子はそれだけで小波を興奮させる。
紫杏もだんだん慣れてきたためか舌の動きも活発になり、小波の性欲に拍車を掛ける。
もともとあまり無かった理性が消し飛んでいくのが小波にもはっきりとわかった。
「俺だけ気持ちよくなるのも不公平だよな」
強引に紫杏の身体を持ち上げると、彼女の秘所が目の前に来るように体位を変える。
俗に言うシックスナインの格好である。
「な!?」
急に身体を動かされて驚く紫杏に小波が容赦ない言葉を掛ける。
「なんだ、もう濡れてるのか。意外と紫杏ってエッチだな」
「そ、そんなことない」
「そういや危機感を出すために脱衣罰ゲームをやったけど、結局効果無かったな。
裸見られるのが好きなんじゃないのか?」
言葉攻めに紫杏が身悶える。酷いことをされているのに、何故か心が興奮していく。
「まあ、そんな紫杏が好きなんだけどね」
小波は笑いながら女性器にキスをする。
「ひゃっ! ちょっと!」
「止まってるぞ。ちゃんと舐めてくれ」
そんなことを言われても、紫杏は集中できない。
快楽に耐えながらも懸命に舌を動かす。
舌で舐める卑猥な音が響く中、二人の悦楽は臨界点に達する。
「う…… 出すぞ!」
「あ、あたしもイク!」
二人は同時に果てる。紫杏の顔に白濁液が掛かり、妖艶な化粧を施す。
「気持ちよかった……」
「そ、その……」
満足げな小波に、紫杏が躊躇いがちに話しかける。
「そろそろ挿入れてくれないか」
舌で刺激されるだけでは我慢できなくなった紫杏が、恥ずかしげに提案してくる。
小波は即座に了解した。
「こ、こんな格好でするの?」
紫杏は両肘を床に付け、四つん這いになっていた。
尻は小波に向けられ、恥ずかしい部分が丸見えになる。
自分から頼んだとはいえ、羞恥で気が狂いそうだ。
淫靡な光景を目の当たりにして、小波の股間は再び力を取り戻す。
「ああ。後背位って言うんだ。気持ちいいらしいぞ」
勃起したペニスにコンドームを被せると女性器へと押し当てる。
それだけで紫杏の鼓動は高まっていく。
「挿入れるぞ」
肉棒がゆっくりと膣へ侵入していく。ペニスが進むたびに二人の肉欲が燃え上がっていく。
ペニスが奥に到達する頃には二人とも止められなくなっていた。
「動かすからな」
初めは緩やかな動きであったが、次第に歯止めが利かなくなり全力で腰を前後へ振るようになる。
紫杏を求める小波はあたかも獣のようだった。
「あ、あ、あ、あ!」
紫杏もまた突かれるたびに意識が飛びそうになる。
二人はもう細かいことはどうでもよくなっていた。
ただ本能のままに快楽を貪りあう。
「あ、あたしもう駄目!」
「俺も限界だ!」
やがて二人は限界を迎える。
ゴム越しでも確かに感じられる脈動に、紫杏は言いようの無い幸福感を覚えた。
あれから二人は時間も忘れて身体を重ね、気付けば帰らなければならない時間になっていた。
「なあ小波、結局Pカードの特訓にはならなかったわけだが」
「あー、ごめん」
今更ながらに小波が謝罪する。
紫杏とセックスしていると、どうしても抑えきれなくなってしまうらしい。
自重しなければ、と考えている小波に紫杏が語りかける。
「いや、責めているわけではない。
ただPカードが弱いままというのも気に入らない。
小波にはまた付き合って欲しいんだ。
その…… ルールはこのままで構わないから」
紫杏の目には、明らかに期待の色が浮かんでいる。
小波の答えなど、一つしかなかった。
コメントをかく