思えば、朝からそわそわしていた。
時たま俺に、熱い視線を送っていた。
見つめ返せば、頬を赤らめ慌ててそっぽを向き。
いつもより多目に甘えてきて。
食卓には、張り切って精力の源を並べすらした。
けれども、恥ずかしいのか、はっきりと口にはしようとしない。
年不相応に、いろいろと幼い我が恋人だ。
性のいなし方もまだまだ未熟で、自らの欲望をなかなか直情的に訴えられないらしい。
だから彼女は、婉曲に婉曲を重ねておねだりしていた。
目まぐるしい目配せで、大げさな身ぶり手振りで、愛くるしい振る舞いで、今晩、愛してください、と。
夕食後、夜伽の誘いをかけると、彼女は赤に染まった。
嬉しくて、ちょっと不安で、でもやっぱり楽しみです。
そんな、分かりやすすぎる空模様を顔に張り付かせて、入浴に向かった。
つくづく愛しいと思う。かわいらしいと思う。かけがえのない、大切な存在だと思っている。それゆえに、不思議だった。
俺はなぜ、彼女を。
目に入れても痛くない彼女を。愛してやまない彼女を。

「あれ、どうしたんだよ美空ちゃん」

イジメよう、などと思ってしまったのか。

イジメ方はいたって簡単である。
入浴に向かった美空ちゃんを見送った後、これ見よがしな場所に一冊の、文字通りのハウツー本を隠す。
そして、彼女と入れ替わりに風呂に入る。
これだけだ。
仕掛けはこれだけで、いい。

「な、なんなんですかこれはぁ!」
先の上機嫌はどこへやら、風呂上がりの俺を待っていたのは、涙目で頬を膨らませた美空ちゃんだった。
予想通り、期待通りの反応に隠れてせせら笑いつつ、どうしたんだよ、ととぼけた。
「どーしたもこーしたもありません!一体何なんですかこのいやらしい本は!」
突き出された本の表紙には、挑発的な笑みを浮かべた美女が写っている。
すらりと延びた脚は、高い背丈の礎となり、湾曲を描く腰つきは、胸元の豊かな膨らみと共に抜群のプロポーションを生み出していた。
足先からてっぺんまで、何もかもが、滑稽なほど美空ちゃんとは対照的である。
「何って、ただの本だろ」
「ただの本には、女の人の裸なんて、載ってません!」
声を荒げる美空ちゃん。俺が隠していた一冊の女性写真集、いわゆるエロ本を忌々しげに振り回している。
「だいたい欲張りなんですっ!こ、こんなおっぱいの大きなひとばっかりっ!!
贅沢は敵なんですよ!?清貧ですよせーひん!人間、ちょっと足りないくらいがちょうどいいのに、どうして、どうしてあるもので我慢できないんですかぁ!」
憤怒に腕をばたつかせ、空を舞う冊子はペラペラと捲られていく。
登場する女性たちは確かに、衣装や状況こそ違えど、みな豊かな胸元をたたえていた。
どうやら、彼女を差し置いて、俺が「大きなひと」にうつつをぬかしているとでも思ったらしい。よほど悔しいのか、嫉妬にまみれた雄叫びが、耳をつんざいた。
……しかし、本当に「ちょっと」なのか。
はたして「ある」と言えるのだろうか。
彼女が怒号を発する一方で、俺の脳裏には冷酷な思考が走る。
「……そりゃ、さ」
さすがにそれを言葉には出せず、柔らかな口調で語りかけた。
「なんですかっ!」
「俺は美空ちゃんが大好きだし、君以外の女性に心奪われたりしないよ。でも、たとえば……そうだな、俺は野菜より肉の方が好きだけど、だからといって肉ばっかり食うわけにはいかないだろう?」
年端のいかない子を諭すように、手のひらを頭にかぶせる。
暫時、口を開けて呆けていた美空ちゃんだが、やがて話を理解したのか、勢いよく俺の手を払いのけた。
心底心外だったのだろう、目元にはついに、うっすらと涙が浮いていた。
「じゃ、じゃあ、なんですか、わたしじゃあどうしても足りないところがあるって言うんですかぁっ!」
「まぁ、人間持って生まれたものは覆し難いよな」
「そんなことありませんっ!ち、ちっちゃいからってできないことなんて無いですっ、わたしだって一人前の大人で……その、立派なオンナなんですっ!ですからっ、
その間違った認識を改めてあげますからっ、どうぞ、何なりとお申し付け下さいっ!」

――その言葉を待っていた。
種を撒き、誘導し、ようやくとった望みの言質に舌舐めずりする。
誇りを懸けた、美空ちゃん魂の咆哮も、俺にしてみれば罠にかかった獣の悲鳴に同じであった。
「……そうか、なら、ちょっと耳を貸して――」
自ら首を絞めた、哀れな獲物にゆっくりと歩み寄る。熱冷めやらぬ美空ちゃんの耳元に、そぅっと唇を添えて、一言、呟いた。
「…………ぱいずり?って、なんですかぁ?」
険しい表情から一転、無垢な質問が返ってきた。
そうか、知らないのか、と俺は苦笑いして、事の詳細を教えてやる。
「…………!?そ、そんなこと、できな――」
「――いことは無い、んだろ?」
「だからって、でも、えっと……」
必死に言葉を探す美空ちゃん。破廉恥な行為を少し想像してしまったのか、羞恥に真っ赤になっている。
「……何か、言うことは見つかったかな?」
「えっと、その、むぅぅぅぅ……」
適当に泳がせた後、頃合いを見て、俺は最後通告を叩きつけた。
美空ちゃんは答えない。沈黙は降伏の意思表示と受け取れる。
「ま、自分の言葉には責任持たなきゃな。大人なんだし」
「……うあぁ」
平時から、大人であることに多大な執着を見せている彼女だ。俺の文句にケチを付けたくても、
それは同時に己の矜持を傷つけることになる。
ジレンマの渦の中に美空ちゃんが沈むには、そう時間はかからなかった。

「さて、じゃあ美空ちゃん、そろそろお願いしようかな?」
「ほ、ほんとにほんきなんですかぁ……?」
「もちろん本気だ。早く脱いでくれよ、その可愛いパジャマを」
厳しく促すと、美空ちゃんの小さな手が、おずおずと首元に向かった。
ボタンに手をかけ、しかし、そこで動作が中断される。
美空ちゃんが、情けを求めるように、こっちを覗き込んできた。
瞳には恐怖が浮かび、今にも涙がこぼれ落ちてしまいそうである。
「……」
この、無言の懇願には、さしもの俺も幾分揺れた。
「どうした、脱げないのなら脱がしてあげようか?……それとも、前言撤回する?やっぱりできません、無理です、って」
もっとも、揺れただけで、倒れはしない。
今さら良心に逃げるというのはあまりに中途半端である。
「…………、わかりました、わかりましたよっ!」
理性とプライド。その狭間でぐらついていた天秤は、とうとう後者に傾いだ。
震える手付きでボタンをひとつふたつと外し、薄いオレンジ色の、花びらのような寝間着が剥がれる。
その下は、真っ白い簡素なシャツであった。
飾り気のない、ロゴすらもないさらっとした白。
何にも染まっていないがゆえの危うさは、この子の神秘的な妖力を引き出し、男の嗜虐心を煽る。こんな展開でなければ間違いなく、俺自身の手で脱がしていただろう。
欲望が高ぶる。生暖かい唾を飲み込み、つかみかかりたい衝動を何とか押さえ付ける。
俺の理性も、そう長くは続くまい。自覚はあったが、かまわなかった。
なぜなら、もう持たせる必要が消えたからだ。
最後の一枚、わずかなためらいを見せたものの、美空ちゃんはそれを自ら捨てた。
白い生肌が蛍光灯の下に晒される。あると思っていた胸当ては存在せず、ほんのわずかな肉のもり上がりが、その先を飾る桜色の突起が、俺の目に映った。「……そういや、夜は着けないんだったか。そんだけ平らなら昼も要らないんじゃないか?」
「よけいなお世話ですっ!」
下卑た忠告を送ってやると、一目散に駆けつけてきた両の手のひらが、俺の視線を遮った。
ぴと、と胸元に手が張り付いている。小さな小さな手のひらにさえおとなしく収まってしまう、可愛らしくも幼い彼女のふくらみ。それは妙齢の女性としてはあまりに寂しい、微弱な隆起であった。
実の年齢に高いプライドを持つ美空ちゃんである。
彼女が、自身の未発達な体型に大いなるコンプレックスを抱えていることなど、とうに知っていた。
知りながら、いや、知っているからこそ俺は要求したのだから、我ながら残酷である。

「……さて、脱いだな。じゃあこっちに来てくれ。俺も脱いだ」
正直、多少ならず罪悪感は感じている。
しかし、それを外面に出すことはない。
素知らぬ顔で、ベッドの縁に腰かけている俺のそばまで、美空ちゃんを呼び寄せ、そのまま、そこに膝を付くよう指示する。
彼女ごと挟むように両足を開き、半分勃ちあがった己の半身が彼女の胸元に当たるように、俺は体勢を整えた。
ようやく、準備完了である。
「手を外してくれよ、美空ちゃん」
上から目線で咎めると、彼女はしぶしぶ従った。
再びお披露目される、ほんのりふくらんだ乳房と、豆のような乳首。
どこまでもコンプレックスなのだろう。本人の望む、大人の仲間入りには程遠いなだらかな曲線を、恨めしそうに見下ろしている。
「じゃあ、初めようか。……無理はするなよ?」
「そっ、そっちこそ」
売り言葉に買い言葉。強がっているものの、不安を隠し通せてはいない震え声。
見え見えの空元気を振り絞り、美空ちゃんは行為を開始した。

……もっとも、開始した、といってもそこは性知識の未熟な子である。
当然、経験があるわけもなく、右も左もわからぬ彼女は、とりあえず俺の説明をなぞろうと、なけなしの胸間に俺の肉棒をあてがった。
もちろん、それは谷間などと呼べる深さではなく、贔屓目に見てもせいぜい浅瀬が良いところであった。
このままでは、挟んで刺激する、という俺の教えを完遂出来ない。焦ったのか、たまらず美空ちゃんは、両サイドから寄せて上げて援軍を呼んだ。
が、それでもやはり、元が元だ。挟めるだけの分量には程遠く、俺を埋没させることも一向に叶わない。
不甲斐ない自らの肉体に向けてか、それとも無茶な要求で脅した俺に向けてか、ふぎゅ、と美空ちゃんは呻いた。
目尻には悔しさの露が光っており、そんな彼女をにやにや見下すのは愉悦の極みだった。いじめっ子冥利に尽きるというものだ。
「どうした?そろそろギブアップしといた方がいいんじゃないのか?」
「だ、誰がっ!」
俺としては情けをかけたつもりだった申し出を、美空ちゃんは猛然と突っぱねた。
ニヤつく俺を憎々しげに睨んで、彼女は次なる一手に出た。
胸を擦り付けたまま、小柄な体躯を上下させ始めたのだ。
深刻なボリューム不足ゆえに、独立性を欠く彼女の乳房。
それ単体を動すのは無理だと悟った彼女は、自らの体ごと胸を動かし刺激を与えようとしていた。
「んんっ……、はぁ、はぁ……」
……その姿は、確かに訴えるものはあった。
もともと負けん気の強い子だ。さんざんからかわれて、挑発されて、何とかして俺の鼻をあかしてやりたいと思っているのだろう。
焦燥に駆られ、白い裸身に汗を浮かべながら、必死に上下運動を続けている。
時折こちらを見上げて、どうだろうかと俺の反応を伺う美空ちゃん。余裕の笑みを返し、彼女の小さな期待を壊してやる度に幼顔は泣きそうに歪み、焦った彼女はますますストロークを加速させるのだ。
年端もいかない、少女のごとき風貌の彼女が、自分の股ぐらに膝まずき、その薄い胸で不向きな奉仕に従事している目下の構図。
なんとも前近代的で、インモラルな光景は、男を高揚させるものがあり、俺とてうわべほど余裕綽々なわけではなかった。

しかし、やはりと言うべきか、それだけでは足りない。
精神面の影響は否定しないが、結局は肉体の問題なのである。肌
触りこそ素晴らしいものの、柔らかみに欠けている、といった、彼女の体つきの貧相さから来る物足りない感覚は、美空ちゃんの大きなウィークポイントだった。
加えて、ついさっきまで行為の意味すら知らなかった彼女が、自らの乳分の欠乏を補うだけの性技を会得している筈もなく。
つまり、この勝負は初めから、彼女にとって負け戦だったのだ。勿論俺はそこまで織り込み済みである。
行為自体を知らないのは意外だったが、どちらにしろ、平時の交わりから俺の負けはないと踏んでいた。
……それでも。
「はぁ……んはぁ……んんぅ……!」
いつの間にかずいぶん湿り気を帯びた、美空ちゃんの吐息が耳に届き、俺は些か同情を覚えた。
……それでも、先の俺の忠告に従っていれば、彼女はまだ、ただ負けるだけで済んだのだ。
人間、不向きな課題になりふり構わず強引な手段を取れば、成功しようが失敗しようが、大抵それなりの代償を払うことになる。
肉棒を通じて伝わる、美空ちゃんの乳首の感触は、初めに比べてかなり固くなっていた。
乳房を自由に操れない分、彼女の動きにはどうしても粗が出る。時々、彼女のかわいらしいぽっちが俺のモノに擦れるのだ。
疲労や焦燥も手伝って次第にその頻度は増えていき、
結果として美空ちゃんは、俺を悦ばせるつもりが、自分自身を刺激してしまっていた。
「んうっ……はぁぅっ……」
「なあ、美空ちゃん。今思いっきり喘いだよな?」
「あえ……いで、なんか……いませんっ……ひぁう、そ、それより、どうですか……、すこ、しは……」
「んー、ぜんぜん余裕かな?」
「むうぅぅぅぅぅ……」
最後の最後までいじめ倒してやろう。そう決めていた俺が冷ややかな返答をすると、美空ちゃんはべそをかきながら、また少し動きを速めた。
集められるだけの脂肪をかき集め、必死の形相で俺に挑むも、頬にはとうとう涙が伝い初めていた。
乳頭はぷっくりと膨れ上がり、主の意思に反し当初の目的を忘れてしまったかのようだった。
「はぁ……、ひっ、ふえぇ……はぁ……はぁ……はぁ……、ひっく」
喘ぎ声にも泣き声が混じりだした。もはや彼女の姿は悲痛以外の何物でもなく、さすがにこれ以上は無理だと判断した俺は、引導を渡してやることにした。
繰り返した上下のストローク。
単純だがなかなかの重労働に疲労困憊の美空ちゃんは、一瞬動きを止めた。
その瞬間、俺は彼女に手を伸ばした。
彼女の胸元の、膨らんだ二粒のさくらんぼ。
よく熟れたそれらは、いいかげん収穫時だ。生暖かいふたつに触れた俺は、ひきつった表情の美空ちゃんに笑みを向けて、ぎゅぅっ、と摘まんだ。

「ふぁあっ!?やあああぁぁぁあぁっ!!」
ひときわ大きな美空ちゃんの喘ぎ。それが、試合終了のゴングだった。
絶頂へと達した美空ちゃん。ぷしゅ、とくぐもった破裂音がどこからともなく聞こえ、彼女のパジャマの股部には、半円状に染みが広がっていった。
体中を細かく痙攣させ、快感の余韻に、美空ちゃんはだらしなく顔を崩していたが、しばらくして我に帰ったのか、絶望的な局面に茫然自失としていた。
無理もない。俺をイカせるつもりだったのが、あろうことか先に、しかも一人だけ達してしまったのだ。
彼女にとってただの敗北ではない。考えうる限り最悪の敗北だった。
俺は追撃に取りかかる。子どもっぽさを刷り込ませるように、呆けている美空ちゃんの頭をわしわしとなで回した。
「残念だったな。というか美空ちゃんが気持ちよくなっちゃってどうするんだよ」
「ふぇ……うぇぇっ、ま、まだ、もうちょっと時間を下さいっ!ひっく、わ、わたしは、ひっく、まだ、諦めてません……」
「諦めてなくても、試合終了だよ。美空ちゃんの負けだ。時間の問題じゃない、身体の問題なんだよ」
「そ、そんなぁ……」
「まあ、美空ちゃんのおっぱいがちっちゃいのは美空ちゃんのせいじゃないし、人間向き不向きもある。仕方ないよ。俺は美空ちゃんの良いとこいっぱい知ってるし、というか実はちっちゃいのも好きだし…………って、美空ちゃん?」
彼女は、俯いていた。
今夜、何度も弄られて、からかわれて、泣きべそをかいても立ち向かってきた彼女が、初めて頭を垂れていた。
小刻みに揺れる肩。ぽつぽつと降り落ちる雨。しまった、と思えど、時すでに遅かった。
「ふえぇぇぇん……あんまり、あんまりですよぉ……、ひっく、ひっく……、わぁぁぁぁぁぁん……」
普段あれほど大人に拘っていた美空ちゃんが、四肢を投げ出し、恥も外聞も捨て、さながら子どものように泣きわめいていた。
……やり過ぎたか、とは我ながら無責任な思いである。
ズボンを履き、俺は号泣する彼女を胸に抱え込んだ。
「ふえぇぇぇん……ひぐぅっ、ふえぇぇぇぇ……」


「ぐすっ、いいですか、いじめる方は軽い気持ちでも、いじめられる方はめちゃくちゃ傷つくんですよ!」
「はい、はい、おっしゃる通りです……」
「はいは一回ですっ!」
あれから。
ようやく泣き止んだ美空ちゃんに、俺は説教されていた。
完全なる正論に、正直ぐうの音も出ない。
「まったくもうっ、だいたいわたしが普段、その、み、見た目のことでどれだけ耐えがたきを耐えているか、
考えたことあるんですかっ!それをだしにいじめるなんて信じられませんっ!鬼畜の所業ですっ!」
と、まあ。こんな調子でたっぷり小一時間、つらつらと彼女の小言は続いた。
今夜の俺がいかに酷かったか、いじめがどれほど幼稚で愚かな行為か、時計が半分回るまでまくし立て、ようやく腹の虫はおさまったらしい。
「はぁ……いいでしょう、少しは反省したみたいですし、今日はこのへんで勘弁してあげます!じゃあ、もう寝ましょう!」
ぷいっと顔を背けて、ベッドへ向かおうとする美空ちゃん。
しかし、俺にはあと一点だけ、することが残っていた。
視線を下に向けて、今夜最後のいじわるを、彼女にぶつけた。「ところで美空ちゃん。パジャマびしょびしょだけど、寝るのなら着替えなくていいのか?」
返事の代わりに、ぴきん、と彼女は固まった。
濡れた股間に手をやり、張り付いたパジャマを気持ち悪そうに摘まんでいる。
察して下さい、と呟きが聞こえてきた。
もちろん察している。だいたいは。けれど、俺は美空ちゃんの口から聞きたいのだ。
「……責任とって下さい」
「ん?」
「ああもう、みなまで言わせないでくださいよ!わたしを泣かせた罰です!責任とって一緒に寝てくださいっ!」
そっぽを向いたまま、恥ずかしげに叫んだ美空ちゃんを、後ろから抱き込んだ。
彼女の頬は、やっぱり赤かった。

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