ネット上の奇妙な怪物との事件から2ヶ月が経った。
俺は無事会社に就職でき、生活の変化にも慣れて、ついでに開田くんが職探しのために部屋をしばら
く空けているため広々と使うことができたり一般には順風満帆と言える日々を過ごしていた。
一般には。
だが、俺の心はぽっかりと穴が開いたままだ。
毎日が辛い。

ピンクに会いたい。そんなどうしようもない思いが、俺の心を支配している。野球ばかりしてきた俺
にとっての初恋の人だった。
彼女とは3ヶ月前に別れた。もうこの町には戻らないと言っていたが、俺はまだそれを受け入れられ
なかった。いや、頭では理解しているが、感情がそれを否定していた。
失恋の爪痕は大きく、
もしかしたら帰ってくるんじゃないか、そんな淡い希望を抱きながら生活していた.
―この日までは。

今日は日曜だった。わりと自由に過ごし、9時頃、そろそろ飯でも食おうと思い
コンビニで買った弁当を開けようとしたところに、インターホンが鳴った。
食事の瞬間を邪魔され、少しイライラしながら応対しようとした。
時間が、止まった。


目の前には、見慣れたピンクのパーカー、鼻の頭にあるそばかす。
口がうまく動かない。
「久しぶり。元気にしてた?」
やっと体が動き始めた。

「ピンク…ピンクー!」
「うわっ、ちょっと、急に抱きつかないでよ。」

「なぁピンク、急にどうしたんだ?」

とりあえずお茶を出しながら聞く。聞きたいことはいっぱいあるが、ものごとには順序というものが
ある。

「えっとね、とりあえず他の仲間とも合流できたし色々一段落ついたから、ブラックは恋人のとこに
行って、朱里―そういやあんたは会ったことなかったわね。カズの同級生なんだけど―
も恋人のとこに行って、カズも恋人に会いに行ったわ。
あぁもう何で揃いも揃って女のヒーローはみんな彼氏持ちなのよ!
んで一人残されたあたしはあたしは戦友のとこでもいこうかなぁって思ったワケ。
ねぇ、せっかくだし遊ぼうよ!あたしゲーム持ってきたし。」

戦友。
そう言われるのは少し嬉しいが、それ以上に寂しい。
俺はやっぱり戦友止まりなのだろうか。
男の家に遊びに来ている自覚はないのだろうか。思考が負のスパイラルに陥り始めたその時に、
悩みの種のおかげである考えが浮かんだ。

じゃーんっ、とピンクがに見せてきたものは、『ほるひすフィーバー2』
同色のほるひすを四つ集めて消したり、違う色と組み合わせたりして、連鎖させたりするゲームだ。
俺の十八番でもある。
とある名案が浮かんだ。ピンクは俺がこれの達人であることを知らない。


「なあピンク、どうせやるなら勝った方が負けた方の言うことを一つ聞くってのはどうだ?」
「あ、それ燃えるわね。よーし、受けてたつわよ!」

俺は心中で笑いつつ、算段を立てた。勝ちすぎると怪しまれる。わざと負けつつ、最後には勝ちをさ
らう。これがベストだ。

こうして、初心者らしいピンクの調子に合わせて時折負けつつ、俺は勝利した。

「あ〜あ、もう少しだったのに〜〜」
知らぬは本人ばかりなり。

「じゃあ、一つお願いを聞いてもらうとしよう。」
お茶を飲んでいるピンクの眉間にシワがよる。

「ちょっと、あんまりおかしなこと言わないでよね。」
「あぁ。―俺のお願いは、ピンクに俺の質問に答えてもらうことだ。」
「へ、そんなことでいいの?なぁんだ。」

きょとん、とした表情でお茶をおかわりしているピンクを
尻目に、俺は覚悟を決めた。

「ピンクは、俺のこと好きか?」
ごふっ、とピンクがお茶を吹き出す音がした。
「いいいいきなり何言いらすのよ!冗談もほどほろに―」

「俺はピンクが好きだよ。この数ヵ月間、ピンクに会えなくてとっても辛かった。ピンクは今のまま
の関係でよかったのかもしれないけど、俺はもう耐えられなかったんだ。だから、ピンク、お前の気
持ちを聞かせてくれ。それが、俺の願いだ。」


一気に言いきって、ピンクの方を見る。顔を俯かせ…肩を震わせている。震わせている?なぜ?
まさか…泣いているのか?
「お、おい、ピンク…?大丈夫か?」
ピンクのそばにかけよると、その瞬間、席を切ったように声をあげて泣き出した。とりあえず体を寄
せて抱き締めようとしたが、縮こまってしまっている。いったい何が悪かったのか。


しばらくすると、泣き声が小さくなっていった。一旦、泣き止んだようだ。
「ピンク…もう大丈夫か?」
「…うん。ごめんね、せっかく楽しくしてたのに。」
「いや、泣かせてしまったのは俺だ。悪かった。だけど、どうして泣ちゃったのか、聞いていいか?」
ピンクのまだ赤い目をまっすぐ見ながら、俺は訊いた。

「…あのね、アタシもたぶん、アンタの…あなたのことが好きなんだと思う。あなたと別れてから、
アタシは何をやっても手につかなかった。
あなたと会いたくてしかたがなかった。でもね、ブルーの
時もこうだったし、忘れられはしないけど、
そのうち自分を誤魔化せるぐらいにはなると思ってたの。
だけどね、駄目だった。誤魔化すどころか、日が経てば経つほどあなたに会いたい気持ちは大きく
なる一方だったのよ。

たぶん、あなたといると楽しかったからでしょうね。…ブルーの時は、アタシはただ使われてるだけだった。
ブルーはアタシのことなんかせいぜい、同じヒーローぐらいにしか…
最悪、道具としか思っていなかったわ。達成感はそこそこあったけど、楽しくはなかった。
虚しささえ感じていたわ。けれど、あなたはアタシを見てくれた。ヒーローであって、女でもあるアタシとず
っと付き合ってくれたし、クサってたアタシに道を示してくれた。

そして、一緒にその道を歩いてくれた。あなたといると、安心できたわ。
あなたと別れて、あなたが思い出になって
初めてわかったわ。好きだったんだなぁ、って。

でもね、ダメなのよ。アタシはあなたとは付き合えない。
あなたはすごい人よ。内定先が倒産して、しかも訳のわからないゲームに巻き込まれて。
アタシなら何もかも投げ出して逃げ出すわ。でも、あなたはそれに立ち向かった。そして打ち勝って、
就職までしちゃった。そんなすごい人と、アタシみたいな女はつりあわないわ。」


そんなことは――」

「そんなことはない。うん、あなたならそういってくれるでしょうね。優しいもの。あなたは。
でもね、アタシはね、自分で言うのもなんだけど、本当にダメな女よ。
泣き虫だし、根性ないし、何より、アタシは酷い女なのよ。ヒーローの仲間が消えてから、
アタシはなぜか消えなかったオレンジたちと暮らし始めたの

…そのうち、オレンジがアタシに恋してるって気がついたわ。
アタシに気に入られようと一生懸命なその姿は、かつての、
ブルーに気に入られようとしていたアタシにそっくりだったから。
でも、アタシはどうしてもオレンジを好きになれなかった。それだけじゃなくて、
オレンジの気持ちに気づいていないふりをして、はっきりと断わらなくて、
せめてオレンジの前から居なくなることすらできなくて、しかも自分で働きもしないで、
オレンジに毎日養ってもらっていたのよ!

どう?最低でしょう?
こんな女が、あなたみたいな人と付き合っちゃダメなのよ。
だからアタシは、あくまで戦友として、親友としてあなたのとこに遊びに来たつもりだった。
楽しくゲームして、楽しく別れる、それでいいや。ちょっと寂しいけど。って思ってたのよ。

なのに、あなたから好きだって言われて…
ア、アタシにとって、両思いっていうのは、夢物語だったのよ。だから、とっても…とっても嬉しひ
くっ…かったわ。でもす、すぐに、アタシみたいな、お、女が幸せになってはダメだって思っちゃっ
て…。あぁ、せっかく…ブルーのことは慣れてきたのにっ…また苦しむんだな、せっ…せっかく両思
いなのにな…。そう考えたらもうどうしようもなく悲しくって…。」


そういうことか。
嗚咽混じりに言いきったピンクはあまりにいじらしく、抱き締めたくなった、というより気づいたら
抱き締めていた。

「…!離してよぉ…」
離すもんか。
ここで離したら一生後悔する。そんな気がする。


「ピンク、お前は酷い女なんかじゃない。」
「慰めなんて―」

「慰めでも、気休めでも、同情でもない!
もしお前が過去にそんなことを誰かに言われたのなら、俺はそいつのことを絶対に許さない。
俺の大好きな人を傷つけたそいつを、絶対にだ。
だけど、お前が自分のことをそう思っているんなら、俺が何度でも否定してやる!

俺は知っている。確かに少し泣き虫で根性無しだけど、時々すごく頑張るピンクを、
夏の暑い日にも休まずに町のパトロールをしたり、ごみ掃除をした後にジュースを飲みながらにっこり笑うピンクを、
呪いのゲームに協力してくれたピンクを、そして、俺を銃弾から守ってかっこよく戦うピンクをだ。

ピンクのことを好きになって、俺は恋愛ってものが…
人の心ってものがどんなに複雑で辛いものか、俺なりにわかったつもりだ。
だからピンク、お前が背負ってきた苦しみも、少しでも分かったつもりだ。

もう十分だ、ピンク。お前はもう十分苦しんだ。
それに、俺はブルーやらオレンジとのことは知らないが、これだけは言える。
俺の方がお前を…ピンクを幸せにできる!

…なぁ、ピンク、俺って野球ばっかりやってきたからさ、趣味が少ないんだ。その少ない趣味の一つ
が映画鑑賞なんだ。特に恋愛映画が好きなんだよ。
その少ない趣味を、俺から奪わないでほしいな。」


気付けば、ピンクはまた泣いていた。だが、今度は一人ではない。俺の胸のなかで、だ。
この涙は、決して悲しみの涙ではない、と俺は思いたい。


ピンクが顔をあげた。泣き張らした目はまだ赤いが、その瞳に悲しみの色は見えない。よかった。

「…ありがとう。アタシはあんたに救われてばっかりね。」
「いいんだよ、俺はピンクと居るだけで救われてるからな。ピンクと居るだけで、俺は幸せだ。」
「…ねぇ、アタシを幸せにしてくれるって言ってたよね。」
「あぁ。」
「じゃあさ…今日、一緒に寝てくれる?いっぱい泣いて、疲れちゃった。」
「…勿論OKだ。」

ベッドに二人ならんで横たわる。一人用だから少し狭いが、そんなことは問題じゃない。
「本当にありがとうね。あんたには、とっても感謝してる。」
「俺たちは、ずっと二人でいろんななものと戦ってきただろ。
二人で助け合えば何でも大丈夫だ。」
「うん…。」

お互い緊張して会話が続かない。思い切って俺はピンクの体に触ってみた。
柔らかい感触を感じる。

「ひゃっ!」
「ごめんピンク。…そろそろ我慢できないかもしれない。
もし嫌なら、今のうちにはっきりと言ってほしい。今ならまだ何とか…」
「ううん、いいよ。…アタシと合体して、ほしい…」


その言葉を境目に、俺の理性は飛んでいった。
ピンク色のパーカーのチャックをおろす。そしてピンク色のアンダーシャツをずらすと、
これまたピンク色のブラジャーに包まれた、控えめな乳房があった。
「…小さいでしょ。」
ピンクの自嘲的な呟きが聞こえる。少し気にしているみたいだ。

「あーあ、失敗したのよね。」
「何がだ?」
「高校の時の野球部のマネージャーがね、服越しに見てもそんなに大きくは見えないけど、
脱いでみるとぼいーんってあってさ、それにちょっと憧れて、
人間の姿になる時にイメージしてたんだけどね、こうなっちゃったのよ。」

失敗してくれて良かった。
「いや、俺はこっちの方が好みだ。」
胸に手を伸ばし、撫でながら答える。

なるほど、確かに小さい。だが、瑞々しく、柔らかなそれは、俺を興奮させるに十分だ。
「んん…そ、そう…?良かった…ひぁあ!?」
なだらかな双丘の頂点にある二粒の赤い果実。俺は左手をピンクのズボンの中に差し込み、
ふさふさとした感触の奥にあるふにふにを撫でたり、擦ったりしながら右手でそれを存分に楽しんだ。
吸ったり、擦ったり、摘まんだり、甘く噛んだり…ピンクの喘ぎ声も心なしかだんだん甘くなっているようだ。
いつの間にか、ピンクの胸の頂点もピンと固くなり、左手も濡れていた。


「きれいだよ、ピンク。それに…いやらしいな。」
「んっ…はぁっ…そ、そんなことない…よ。ふぁぁあっ!」

俺はにやにやしながら言葉で責める。ピンクはいじめるとかわいい。

「本当か?下の方はもうびしょびしょだけどな」
「!?」
「嘘つきにはお仕置きしないとな。」

ちょっと強めにピンクの桜色の粒に噛みつく。と、その瞬間、
「んぁあああああああ!」
どうやら達したらしい。ピンクのズボンを脱がす。と、やっぱりピンク色の、最早役割を果たせてい
ないびしょ濡れの下着が露になった。

それを取り払うと、そこにはピンク色の、ぐっしょり濡れた割れ目が…。
なんとも官能的だ。いただきます。


「あっ…んぁっ!はぁっ…」

花弁の上にあるぷっくりとした小さな豆をいじりながら、指を一本、二本と入れたり出したり…。ピ
ンクの秘所はまるでおもらししたかのように濡れていて、蜜がとろとろと溢れていた。

「やぁぁぁ…も、もうだめぇぇぇ!」

軽く指で挟むと同時に、またイッたらしい。軽く痙攣しながら、息も切れ切れに、ピンクが呟いた。
「ねぇ…そろそろさ…してくれない…?もぅ限界…」
俺とてかなりギリギリだが、ここはもう一踏ん張りだ。無理やり欲望を押さえつけて、
もう少しだけ意地悪してやる。

「ん?何をしてほしいんだ?はっきり言ってくれないとわからないぞ。」
「ぅうう…イジワル…アタシの…こ、ここに…あなたのを、い…いれてぇぇぇ…」

自分の股間におずおずと手を伸ばし、顔を真っ赤に染めて懇願するピンク。
ダメだ。もう無理。可愛すぎて我慢の限界。

「わかった。だけどピンク、痛かったらすぐに言えよ。
どうしても初めては仕方ないけど。」

こくん、とうなずくピンク。よし。準備万端。

ずぶ…と、ゆっくり挿入していく。予想はしていたが、やはりかなりキツい。
ピンクを目をやると、かなり痛そうだ。


「ピンク、…大丈夫か?」
「痛いわよ…でも、我慢する。…アタシは、あなたと合体したい。
くぅ…今我慢しなかったら、アタシは絶対後悔するわ。」

そこまで言われたら男としてやらないわけにはいかない。…彼女の気持ちを踏みにじるわけにはいかない。
ゆっくり進んでいくと、俺の先端がピンクの、処女の証に突き当たった。あと少しだ。

「いくぞ…ピンク。」
「うん…来て…」

俺はグッと腰を入れて、一気に突き破った。

「ぅあっ…いたい…いたいよぉ…あああ…」
「ごめんピンク!精一杯痛くないようにしたつもりだったんだけど…」
「ううん、いいよ。…だって、これでアンタと合体できたんでしょ。しあわせ、よ…。」
「ああ。―君のスキマを埋めている、だ。」

「ばか…」

顔をこれ以上無いほど真っ赤に染めてピンクが呟く。うん、このセリフ使ってみたかった。

「もう大丈夫かな?」
「うん…いいよ。」

ピンクの言葉を聞いた俺は、腰の動きを再開し、ゆっくりと、
そしてだんだん早くピンクの秘所に擦り付けるような運動を始めた。
次第に、ピンクも俺も快感の波に襲われ始めた。
そして…

「あっ、んっ、ふぁ…きて!んっ、アンタのっ、ぅあっ…あなたのっ、ことっ!
ぁああっ、だいすきっ…よおぉぉ!」
「俺もだ!…ピンクのことっ…だいすきっ…だっ!イクぞ…ピンク…!」
「アタシもっ…もうだめっ…、イッちゃう…やぁぁぁぁぁぁーっ!」

俺とほぼ同時に、ピンクも今日3回目の絶頂を迎えた。さんざん我慢していた俺は、
疲労感に教われてベッドにぐったりと倒れこんだ。


「ねぇ。しちゃった、ね。」
しばらくの時間が経って、ピンクが話しかけてきた。

「ああ。…ありがとう、ピンク。俺の願いに答えてくれて。」
「いいのよ、お礼なんて。アタシは元々願いを叶える存在なんだから。
…これからはあなた専用だけどね。」
「なぁピンク…幸せになろうな。二人一緒に…いつまでも一緒に。」
「…うん.」

二人は抱き合ったまま、眠りに落ちた。至福の表情と共に。



街でたまに目撃されるピンク色の仮面ヒーローがいる。
女性のようだがマスクをとらないので「実は中身は男なんじゃないか」というウワサがあるらしい。

…そのウワサは真実だ。

また、

「恋人がいて、昼夜問わず合体している」
というウワサも、姿は見えないが、どこからか聞こえてくる声を発信源として、
広まっているらしい。

…そのウワサも真実だ。


ブラックめ…。

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