「そういえばさ…ピンクって子供とか好き?」
何時ものようにボランティア活動を終えた帰り道、あいつはそんなことを聞いてきた。
「な、何でそんなことを聞くのよ!?」
「いや、時々迷子の泣いている子をあやしてるピンクが優しいからさ」
…正直なところ無邪気な子供はいろいろ汚い大人よりも好きなんだろう。
けど、それは子供好きというよりはヒーローの使命から来るからなのかもしれない。
「…そう見える?ならやっぱりヒーローだからじゃないかな」
やっぱり嘘だ。本当の私は純粋な目で私を見てくる子供が好きだ。
でもそういうのはあいつに知られたくないからつい嘘をついてしまう。
「そっか…そんなもんか。じゃあ今日はこれで」
「うん、また来週にね」

あいつはそんなつもりはないんだろうけど子供が欲しいんだろうか?と考えてしまう。
そうなると問題なのは私の本当の身体だ。不安で怖くなる。
あいつ…いや、皆とは違って私の肉体はかりそめの身体。
本当の私はスーツであり、そうなると子供なんて作れないだろう。
「やっぱりあいつと一緒にいない方がいいのかなあ…」
「…考えすぎ。そんな理由で彼はピンクを捨てない」
「う…で、でも…その…」
「ピンクは考えすぎや。あいつはそんな狭い男じゃないって」
ブラックやダークスピアから励まされるのは嬉しいけど…
「だって2人ともきちんと身体は存在するじゃない…」
「………」
「うっ…」
「はあ…ごめん、今日は寝るわ。お休み」
…何やってるんだろう私。


「うーん、あかんなあ。ありゃあうじうじし続けるで」
「心配ない。既に対策は構築済み」
「そっか。なら安心やな」
「世の中には養子という制度がある」
「せやなー…ってそれ根本的な解決になっとらん!!」ポカン!
「…痛い。養子は冗談。本当の対策は彼に頼んだ」
「…頼むで、ほんま。あんたの冗談は冗談っぽく聞こえへん」
「…ごめん」


「小波君、今日はデートでやんすか?」
「うん?今日は仕事の後にブラ…知り合いに呼ばれたから行くだけだよ」
「そうでやんすか。なら夕飯はおいらのだけで問題ないでやんすね」
「うん、そうだね。じゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃいでやんす。さて、おいらも働きに行くでやんすかね」

…って爽やかな朝だったはずなんだけどなあ…はあ。
「…単刀直入に、ピンクの子供が欲しい?」
喫茶店で盛大に紅茶を吹き出すはめになったブラックの一言だ。
「ゲホッ…な、何を薮から棒に!?」
「ピンクが、あなたが子供が欲しいと感じて悩んでいたから」
そりゃ…その…いずれ結婚したら欲しいっちゃ欲しいけどさ…
「…ま、まだ結婚してないし…そりゃあいずれ欲しくなるだろうけど」
「わかった。ありがとう」
そういってブラックはあっさりと喫茶店を去って行く。何だったんだろう?
「あ…会計。ってまた俺のおごりか…」

さて、今日もスーパーでのバイトを終えた私は皆のいるビルに帰ってきたのだけど…
「ねえ…どうして奴がいるの?」
「私が呼んだから」
「あ、はじめまして。ブラックの親友やらしてもらってます大江和那です」
「あ、よろしくお願いします。で、この方は誰?」
「…ピンク」
「お前ピンクか。へー本当に女の子だったんだな!久しぶりー」
「何であんたがここにいるのよ!?」
「私が呼んだから。ちなみに理由はあなたのため」
「どういうこと?」
「彼はあくまでヒーローとして私達を呼び出した。けど私は人間が本体だった」
「いやー俺にはよくわかんないんだけど真央は人間が本当の姿だったんだよね?」
「そして私はスーツが本当の身体ってね」
「けど、彼の認識が変わればある程度のことは可能になるかもしれない」
「なるほど。だからわざわざ呼び出したっちゅうわけや」
…そういうことか。それにしてもあいつは変わらないなあ。
「じゃああとよろしく。私は彼と食事してくる」
「…えーと、じゃあそういうことで。またなピンク」
「…ほなうちはあいつの試合でも(無断で)見に行こうかな」
…皆気を利かせていなくなっていた。なんだかなあ…
そして気がついたら私はあいつの家の前に来ていた。

意を決してドアの横に取り付けられたチャイムを鳴らす。
少し経ってから聞き慣れない声で返事が返ってきた。
「はいはい、誰でやんすか?」
「あ、あの…って湯田君?」
やんすという口調にふとあの高校にいた湯田というメガネを思い出す。
「違うでやんす。ところであんた誰でやんすか?」
違うか。よく見たら似てないし、何より湯田君はプロ選手だったか。
「あ、ごめんなさい。ここって小波…さんの家じゃないんですか?」
「ああ、小波君の知り合いでやんすか。小波君なら今そこのコンビニにいるでやんす」
「ありがとうございます。じゃあ行ってみます」
軽くお辞儀をし、急いで近くにあるコンビニへと向かう。
「…小波君、いつの間にあんな可愛い女の子と知り合ったでやんすかね?」

コンビニに入ると本棚の前にあいつはいた。どうやら立ち読みをしているようだ。
「まったく、立ち読みとは正義のヒーローがすることかしら?」
ひそかにあいつの後ろに回り込み耳元でひそひそと囁く。
「うわあ!?ピ、ピンク!?何でここに?」
驚いたあいつは読んでいた本を取り落とし、周囲の注目を集める。
「何で…って小波に会いたくなったからだけど」
「え、あ、うん。じゃあ喫茶店にでも行こうか」
「…こんな夜にやっている喫茶店なんてあるの?」
「あ、そうだね。じゃ、じゃあ居酒屋に行こうか」
気のせいかあいつは私のことを直視しないようにしているような…?

ブラックのせいでピンクのことを見ると意識してしまう…困ったな。
しかもわざわざ夜に俺に会いに来てくれるなんて…余計意識してしまう。
「んー何考えてるのかしら?あんたも飲みなさいよ」ケラケラ
…前言撤回。酔って絡まれてるとさすがにそういう感情は冷めるわ。
「別に…そういうピンクは何考えてるのさ?」
「んー?小波との子供が欲しいけど不安とか考えてないよー」ケラケラ
言葉と顔は笑っているが本当に悩んでいるのだろう。俺は…どうするべきだろうか。
「…なあピンク」
「何よ?」
ピンクの酔いがさめた頃を見計らって問い掛ける。
「お前、俺のこと好きか?」
以前同じ質問をしたことがある。その時はこういうことはあまり深く考えてなかった…けど今は違う。
「…好きよ。ってこの質問前にもしなかったっけ?」
「なら問題ないよな。行くぞ」
「え、ちょ、ちょっと?どこに?」
ああ、こうなったら腹を括ってやるよ。サンキュー、ブラック。


「ここは…」
「見ればわかるだろ…」
ピンクを連れて来たのはラブホテル。もちろんそういうつもりだ。
「…えっとさ…わ、私でいいの?」
「ピンクだからいいんだよ。さあ行こう」
ちなみに俺はこういうところは初めてだ。まあ何とかなるだろ。

機械に悪戦苦闘しつつ部屋に入るとシンプルなベッドに2人で腰掛ける。
互いに緊張しているのかしばし無言のまま時間が過ぎる。
「…あのさ、とりあえずお互いにシャワー浴びてこよう」
「う、うん。じゃあ先にお願いします」
ピンクに促されて俺は緊張しながらシャワーを浴びに向かった。

どうしよう、どうしよう、どうしよう?
ダークスピアと戦った時や野球大会決勝戦より緊張している。
えっと…今まで自分の身体が人間って自信がなかったから避けていたからだろうか。
でももう後戻りはできない。あいつのことは好きだから問題はないんだけど…
けどやっぱり身体が…でもあいつはそんなことじゃ嫌いにならないだろうし…
と、思考が無限ループしているうちにシャワーを浴び終えたあいつが出てきた。
「…じゃ、じゃあ次どうぞ」
「あ、うん」
…まあ、もういいや。

さて、冷静を装って出てきたはいいけどどうすればいいんだろう。
心臓は物凄い早さでドキドキしている。緊張のあまり喉が渇く。
何とか落ち着こうと必死になっているとシャワーの音が止んだ。
そしてベッドに座り、出てくるピンクを迎えるための覚悟を決める。
「…おまたせ」
「…綺麗だ」
出てきたピンクの身体を見た俺は何もかもを忘れ、一言だけ喉から飛び出した。
「あ、あまり見ないでよ。胸だってそんなに大きくないから恥ずかしいし」
恥じらいつつ胸や局部を手で隠すピンクがとても可愛く、愛しくなる。
「ご、ごめん。ピンクがあまりに可愛くて…」
「ば、馬鹿!!そんな恥ずかしいこと言わない…」
真っ赤になって怒るピンクの口にキスをする。
舌を互いに絡め、互いに相手を求める情熱的なキス。
身体が溶けるような錯覚を覚えながら口を離す。
混ざり合った唾液が糸を引き、床へと垂れる。
「…ベッドに行こう」
「…うん」


ピンクをベッドに寝かし、覆いかぶさるような体勢を取る。
再び先程のようなキスをしながらピンクの膨らみかけの双丘に手をのばす。
「んっ!」
手が先端部に触れた瞬間ピンクの口から艶やかな吐息が漏れた。
始めは優しくゆっくりと。少しずつ激しく強く揉みしだく。
それに合わせてピンクの吐息もだんだんと激しくなる。
「こ、小波…わ、私…何かきちゃうよ…」
「いいよ、いっちゃいなよ」
スパートをかけてピンクを絶頂へと導くために激しく強く乳首を弾く。
その瞬間ピンクの身体は大きく震え、ワンテンポ遅れて絶頂へと達したのだった。
「…ハァハァ…」
「うん、まあこれなら下の方はあまり必要ないかな」
余韻に浸り、ぐったりとしているピンクの秘部を確認する。
思いの外濡れているそこを見て、軽く指で触れてみる。
「あっ!!ちょ、ちょっと!私まだイッたばか…んっ!」
割れ目を触り、そのまま指をピンクの中に入れ、問題はないか確かめてみる。
中で動かす度にピンクが反応するのが嬉しくていろいろ動かしてみる。
「あっ…ちょっと…ま、また…あっ、いっ…いくぅ!!」
イッたばかりの状態でさらに刺激を与え続けられたピンクが再び絶頂に達した。
そして落ち着いた涙目のピンクに叩かれて、説教されたのは言うまでもないことだろう。

「さて…そろそろいいかな?」
「あ…う、うん…」
「初めては痛いって言うからなるべく優しくするつもりだけど」
「けど?」
「我慢できなくなったらごめん」
「うん…ありがとう」
ピンクの身体を弄るうちに限界まで膨張した俺のあれをピンクの秘部に当てる。
「…いくよ?」
「…うん、きて」
ゆっくりと、勢いよく行かないように慎重にピンクの中へと挿入を始める。
一瞬ピンクは苦悶の表情を浮かべたもののすぐに笑顔に変わる。
「…だい…じょうぶか?」
締め付けられることで与えられる快感を必死に堪えながらピンクに尋ねる。
「う、うん。きちんとほぐしてもらったから…」
我慢しているのはわかっている。そんなピンクが愛しくて抱きしめながらキスをする。
挿入したまま動かず、ピンクが楽になるまでキスを続ける。
永遠のようで一瞬のように感じた時間が経ち、ピンクが言う。
「ありがとう。もう大丈夫だから動いていいよ」
「わかった。いくよ、ピンク」
ゆっくりと、可能な限り痛くないように俺は腰を動かし始めた。


次第に慣れてきたのか、ピンクの吐息も苦しそうなそれから甘い声へと変化していく。
「ああ、小波!気持ちいい!気持ちいいよお!」
「お、俺もだよ、ピンク!」
本能のままに快感を求め、ひたすら腰を打ち付ける。
ピンクもまた合わせるように腰を振り、快感を貪ろうとする。
そんなペースなため、あっという間に絶頂の波が互いに近づいていた。
「ああ、小波!わ、私、もう…」
「お、俺も…そろそろ…」
「一緒に!一緒にいこう!」
「ピ…ピンク!」
「小波!」
互いの名を叫びながら2人は絶頂に達したのだった。

「…あーあ、中に出しちゃったね」
程なく、結合を解いた俺とピンクはベッドに寝そべりながら会話していた。
「あー…その…ごめん」
あまりに気持ち良くて何も考えないで出してしまっていた。
「ま、いっか。もしできちゃったら責任取ってよ?」
「…できなくても責任は取るつもりだよ」
そのために指輪も買いに行くつもりだ。給料三ヶ月分のを。
「…え、それって?」
「さてと、そろそろ帰ろうか」
「ちょ、ちょっと!最後まで聞かせなさいよ!」


「問題なく吹っ切れた模様」
「そっか。なら明日からまた元気になるなあ」
「このビデオを見せるのが楽しみ」
「せやな…」

その後、上機嫌で帰ってきたピンクがブラック達にからかわれたのは言うまでもないことだろう。
あと俺とピンクに子供が出来たのかはみんなの想像に委ねたいと思う。
一つだけ言えることは、俺とピンクはその後幸せに暮らせたということだけだ。

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