アルツハイマー型の場合、進行を遅らせる薬が開発されている。

アリセプト
日本で唯一使用が認められているのが塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)です。
記憶や学習といった認知機能と深く関係するアセチルコリンの減少を防ぐ作用があります。
アセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)の働きを抑え、
脳内にアセチルコリンをためておく作用があります。
⇒認知症の進行を遅くする。

アルツハイマーの治療では、認知機能障害に対する薬で症状の進行を遅らせながら、
「認知機能刺激療法」や「回想法」などの「リハビリテーション」などをおこなって、
認知機能を刺激します。また、「BPSD(周辺症状)」が現れている場合は、
適切な「介護」を行い、対処していきます。BPSDが悪化した場合などには、
必要に応じて「非定型抗精神病薬」や漢方薬の「抑肝散(よくかんさん)」などが用いられます。
「抗うつ」があったり「睡眠障害」があれば、「抗うつ薬」や「睡眠薬」も使います。

進行を遅らせる薬とは?
日本で現在使われている薬は、「ドネペジル(アリセプト)」、
また、日本では2011年に承認された「リバスチグミン(エクセロン)」
「ガランタミン(レミニール)」「メマンチン(メマリー)」です。
これらの薬は、症状の進行を遅らせる効果が期待できますが、
症状を一時的に改善するための薬であり、
アルツハイマー病を根本的に治療する薬ではありません。
根本的に治療する薬に関しては、現在研究や開発が進められており、
臨床試験の結果を待っている状況です。

ドネペジル(アリセプト 発売日:1999年11月)は、
働きから「コリンエステラーゼ阻害薬」と呼ばれています。
脳が機能するためには、神経細胞の間で情報を伝達する必要があります。
神経細胞の突起接合部である「シナプス」では、突起先端から
「神経伝達物質」の一種である「アセチルコリン」が放出され、
それを次の神経細胞の受容体が受けとることで、情報が伝わります。
このとき、アセチルコリンを分解する「コリンエステラーゼ」という酵素も放出され、
アセチルコリンが分解されることで情報伝達が終了します。
アルツハイマー病では、神経細胞が弱ったり、
死滅したりするためアセチルコリンが減り、
シナプスの情報伝達機能が低下します。

ドネペジルの作用によって、神経細胞の間の情報伝達が改善すると、
アルツハイマー病の症状が一時的に改善したり、進行が遅くなったりします。
薬の形状は、経口薬となり、副作用としては、吐き気や興奮といった症状があります。
また、「メマンチン(メマリー)」との併用も可能のようです。

リバスチグミン(エクセロン 発売日:2011年7月)は、
ドネペジルとほぼ同じ作用をもつ薬です。
薬の形状は、パッチ剤(貼り薬)となり、副作用としては、
めまいや便秘といった症状があります。また、他の薬との併用も可能です。

ガランタミン(レミニール 発売日:2011年3月)は、
コリンエステラーゼの働きを阻害する働きに加え、
脳の全体にある「ニコチン受容体」を刺激し、
認知機能を高める働きがあります。
副作用としては、嘔吐や眩暈といった症状があります。
また、この薬はアリセプトとの併用が不可です。

その他の治療法
認知機能の維持・改善にはごく初期からの治療が必要と言われています。
芸術療法(絵を描いて脳を活性化させる)や音楽療法も早期に実施すれば
進行を抑えることができると言われており、
現在では実施を取り入れる施設も増えてきているようです。

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