レビー小体型認知症は、一次性認知症の中でアルツハイマー病に次いで多い病気で、
一次性認知症全体の約2割を占めるといわれるほど比較的頻度の高い認知症の1つです。
特に60〜80歳代に多く、まれに40〜50歳代でも発症することがあります。
レビー小体型認知症とは、「レビー小体」
(αシヌクレインというたんぱく質が主な成分)の出現によって、
主に感情や記憶を司る「大脳辺緑系」の神経細胞が死滅しています。
進行していくと記憶に関わる「海馬」が萎縮します。
レビー小体型認知症の症状は、初期より認知機能障害に加え
「幻視」「幻聴」など特徴的な症状が現れます。
またパーキンソン病にも「レビー小体」が見られ
関連も深いことからパーキンソン症状に似た症状が起こることもあります。

主な症状
記憶障害の低下
記憶障害・見当識障害・注意障害・視空間障害・判断力の低下

幻視・幻聴

パーキンソニズム
  • 筋肉の収縮・動作が遅くなる・ひきづるような足取り・嚥下困難・小声になる

その他の症状
  • うつ状態・被害妄想・自律神経機能異常・レム睡眠行動障害

具体的な症状の例
  • 部屋の隅に子供や動物がいるなどといった実際にはないものが見える
  • 小股で歩く
  • つまずきやすくなる
  • 急ぐと上半身が前に出てしまう
  • 睡眠時に大声で叫んだり、暴れたりする
  • 転倒や失神を繰り返す

認知障害と精神症状
レビー小体型認知症の認知機能障害は、
アルツハイマー型認知症とは少し異なっています。
アルツハイマー型認知症では、比較的近い時期の記憶をとどめておく事が難しくなる
「もの物忘れ」で始まることが多いのですが、
レビー小体型認知症の患者さんでは、こればかりではなく、
初期より幻覚、特に幻視が現れることがあります。

幻視とは、実際には存在していないものがあるものとして生々しく見える症状で、
“壁に虫が這っている”、“子供が枕元に座っている”などがよくみられます。
“ふとんが人の姿にみえる”といった錯視の症状もしばしばみられます。
これらの視覚性の認知障害は暗くなると現れやすくなります。

また、気分や態度の変動が大きく、一見全く穏やかな状態から無気力な状態、
興奮、錯乱といった症状を一日の中でも繰り返したり、
日中に惰眠をむさぼったりすることもあります。

運動機能障害
もう一つの大きな特徴は、パーキンソン病に似た歩行の障害や体の固さを伴う点です。
このためレビー小体型認知症の患者さんではアルツハイマー型認知症の患者さんと比べて転倒の危険が高く、
また、寝たきりにもなりやすいといえます。

自律神経障害
自律神経の障害が出ることも特徴のひとつです。このため、便秘や尿失禁が目立ち、
日常生活に支障をきたすものとしては、起立性低血圧など血圧の調節障害が見られることです。
起立性低血圧とは、座った状態から、立ち上がった時に大幅な血圧の低下がみられる症状で、
ひどい場合には失神を起こすこともあり、これが原因で立位歩行が困難になる場合もあります。

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