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19年9月12日 合同分科会 議事録10

議事録1         >10


 それから申し上げたかったことは別にもう二点ございます。

 実はこのペーパーでは学力向上が最初に来ていて、その中に全国の学習状況調査をやって学校改善推進事業に生かそうというようにございますが、表現等を気をつけていただきたいと思うことに、先般の足立区の例がございます。学校選択制を導入するがゆえに学力テストをやって、いいテスト成績にするためにテストで点の取れない子供の成績は加味しないとか、誤回答を指示するなどというようなことをやった実態がございます。平均点が高いイコールいい学校ではないというようなことは誰もが考えられることですし、いまさら言うまでもなく皆さんが質が大事だとおっしゃっておられますが、では学校の質とはなんなのか。そこをどうやってみていけばいいのか。そこの基準が明確にならないまま、学力テストをやれば平均点が高いといい学校と見るという傾向があるのは仕方がない。

 そういうときに、学校側から「おたくのお子さんはテストは受けてもいいですが点は加味しませんがいいですよね」と言われたときに、保護者は何もいえないでしょう。また、学校側が安直にそういった方向に走るのもまた、プロの教育者としていかがなものかという倫理的な側面はいうまでもないですが、現実的に点が低いと予算がつかないというようなことを自治体がしてしまうと、こういう流れができてしまうことは想像に難くありません。

 点数の取れない子イコール勉強のできない子、わからない子、ダメな子ではないんです。何度も申し上げておりますが、人間には認知と学習スタイルに多様性があり、その認知と学習スタイルに応じた指導をするだけでなく評価もしていかなければ、個々の子供の学力や能力は正しく測ることなどできません。そもそもマルチプルインテリジェンス的に考えれば、能力を正しく測ることなど非常に困難なことなわけですから。足立区の場合、LDやADHDの子供たちを排除したような報道もありましたが、そもそもLDやADHDの子を排除するという発想が許しがたい。それは子供たちの課題ではなくて、teaching disability、つまり教える側の問題,指導する者の課題であることをはっきりと打ち出すべきだと私は考えます。

 結局、各地域あるいは教育現場、あるいは教育委員会、あるいは保護者たちも「いい学校」の基準が分からないので、学力テストに頼らざるを得ないという現状があるわけで、国として再生会議としてやるべきことはこういった不明瞭なところをすこしでもクリアにしていくことではないでしょうか。

 ですから、そこをそうではないやり方、何ができるのかということをもう少し我々の中から提言していければいいのかなというのが1点です。

 それからもう一点は、前に補佐官もおっしゃっておられましたが、山村留学とか農村での自然体験はすばらしいのですが、山村や漁村でもいじめはひどく不登校も少なくありません。この間、いじめ自殺があったのも北海道の地方でしたし、教師がいじめに加担したと言われ地域も、福岡県の都市部ではありませんでした。実際、都市部よりも地方のほうがシャッター商店街も多く、仕事もなく、大人が行き詰っているがゆえいじめや不登校も少なくなく、いろいろな意味でしんどいという現状があります。数年前の調査ですが、全国一不登校児童生徒の多い都道府県は山陰のある県でした。もちろん、調査の仕方にもいろいろありますから一概には申し上げられませんけれども、やはりこのペーパーによりますと都市部の子は地方に行って自然体験をつみましょう、では地方の子供たちはどうすればいいのでしょうか。ここで申し上げたい地方とは京都市のようなところではなく、過疎の地域、人もこない、予算もつかないようなところのことです。そういった経済格差が直接教育格差に直結しているような地域に住む子供たちにどういう提言ができるのか。そこを慎重に考える必要があると思っております。

 そして、3つ目は先ほどもお話ししましたが、先進国では1クラス20人とか25人なんですね。日本は40人学級ですよね。ここを変えていかなければ本当に学校の先生は大変なんだと思っています。本当の意味での骨太というのは、そこまで踏み込んだ提言ではないかと思っています。

 それから、最後になりますが。この夏にアメリカの、世界中からディスレクシアの子供が集まる専門の私立学校やアスペルがー症候群の子供たちのためのやはり専門学校、あるいは公立学校で非常に成果を上げているというようなところを取材して歩いたんですが、最先端のところは確実にエビデンスベースでの指導を導入しようとしていますし、なかでも少しでも予算のあるところはエビデンス・ベースの乳幼児教育に非常に力を入れているのが印象的でした。これは前にも話しましたが、香港やフィンランドでもそうです。

 それからコミュニケーション。ただ、単なる語学教育ではなくて、そのベースとなる批判力、つまりクリティカルシンキングや表現力、論理力、対人関係能力等の部分に非常に力を入れています。新聞の報道によりますと文科省のほうでも我々の提言とか発言を受けてくださったのか、やはり踏み込んでそういったところをやっていかなければとおっしゃっておられるようですが、あらためて学力向上以前のベースとなるこういった力をエビデンス・ベースのメソッドで乳幼児期から導入していきませんと、このグローバル社会の今日、5年後、10年後は日本はもう先進国ではなくなってしまうのではないかなという危機感を覚えて帰ってまいりました。それだけを申し上げたいなと思いました。以上です。

○野依座長 いろいろ活発なご意見を承っておりますけれども、時間がもうございませんので、今日はこれで終了とさせていただきたいと思います。本日は大変お忙しいところを活発にご意見を賜りましてどうもありがとうございました。


議事録1         >10
2007年11月06日(火) 06:16:17 Modified by ID:UPKaER2Bsw




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