議事録１　２　３　４　＞５　６　７　８　９　１０

---

○葛西委員　ただいまご説明のあった中で、予算要求の部分ですが、教員の定員増、給与増ということを出していらっしゃいます。現在、教員は大量退職時代に入っておりますし、また児童数は急速に減っているという状況なんですね。そういう状況の中でさらに教員数を増やすというのは、これは改革に逆行することではないのか。

　教員一人当たりの児童・生徒数は減ってきていますし、児童・生徒一人当たりの教職員数は増えているわけです。私は、教育現場における先生の熱意ですとか、あるいは質ですとか、そういうものの改革をすることが教育の改革なのであって、教育の改革ということに便乗して単に教員数を増やすということは好ましくないと思います。

　私は、人間が大幅に新陳代謝するこの時期をとらえるというのは、改革のタイミングとしては非常にいいタイミングだと思います。したがって、子供の数も減っている今の状況において、より少ない精鋭でもって、より質の高い教育をしていくということが非常に大事なんだと思うんですね。

　子供に向き合う時間を増やすとかいろいろ言っていますが、そういうことのためには先生の本職である授業に先生が専心できるような環境をつくってあげることのほうが大切ではないかなと思います。ですから、質の向上を量的なものでトレードオフしようという考え方は、これは教育の再生そのものの考え方としては逆行的効果を持つのではないかなと思います。

　教育再生会議が予算を査定するわけではありませんので、ここで私は感想を申し上げるのにとどめるんですが、やはりそこのところを予算要求する側もきちんと踏まえて本来要求すべきであったのではないかと思います。

　ここでもそういう議論もあったわけでありまして、いささか教育再生会議がある以上、それに便乗して予算の過大な要求や予算拡大に結びつけようという考え方が安易に出過ぎているという印象を持ちました。以上であります。

○野依座長　どうもありがとうございました。私はその問題につきましては、先生の質、それから量ということももちろん大事だろうと思いますけれども、学校のマネジメントの問題が非常に大きいのではないかと思います。

　これは特に学校と社会との際といいますか、そこのところがうまくいっていない。これは国立大学も全く同じでございまして、事務が弱い。つまり国際化であるとか、情報化であるとか、あるいは知財、産学連携、そういったものにかかわるマネジメントの能力が国立大学も欠けている。同じようなことが初等教育、中等教育でもあるのではないか。

　例えばモンスターペアレンツが押しかけてきて、いろいろなことを対処するというのは本来学校の先生の問題ではなくて、私は事務といいますか、マネジメントの問題だろうと思うんですね。私は学校の先生を増やすというよりも、事務体制をもっと強化するということが大事であって、義家委員がおられたときに伺った話では、30人の先生で事務が１人とか、そんな話を聞いたように思うんです。それでは学校の運営というのは、マネジメントというのはできていかないのではないかと私は思っております。

　白石委員、どうぞ。

○白石委員　会議の行く末がどうなるかわからない段階でこういう発言はいかがかと思うんですけれども、私は今の葛西委員の発言に大賛成でございます。

　2006年の骨太で今後５年間で１万人減らす計画というのが既存計画としてありまして、それとの整合性の問題とか、もう少し視野を広げてみれば、この教育再生会議で決まったことを実行部隊でどのように咀嚼し、それを実行されているのかということを少し見たときに、私はこの会議の報告書は軽んじられているのではないかという印象をぬぐいされません。

　今の定数計画の話も１つでございますが、パブリックコメントが始まっている学校評価などを見ますと、学校内での評価というものを主軸に位置づけて、保護者へ児童による第三者評価というのはどちらかと言えば副次的なものにしているとか、教育再生会議で求めたことは規律、規範ということは確かに書きましたけれども、それが武道やダンスを必修化されることと何の関係があるのかとか、こちらで決まったことと実行部隊でやろうとしていることの整合性がどうも見えないと思うんですね。

　もしこの会議でこれからも存続していくのであれば、やはりそこの整理をきちんとしていただかない限りは、私たちも時間がない中で一生懸命議論をしているわけですし、相互不信感が出てくることは否めないのではないかと思います。以上です。


議事録１　２　３　４　＞５　６　７　８　９　１０