事変下、日本は何に怒っていたのか／南京事件
- 満州事変／支那事変と続く中、民衆は何に怒りを感じ、世論はどのように高揚していったのだろうか？
- 本当に、民衆は、軍部にマインドコントロールされたバカばかりだったのだろうか、１つ１つの事件で検証してみたい
◇ ◇ 幣原（注１）外交の失敗 ◇ ◇
- 人権外交／協調外国を取り続けるが、国民革命軍が起こした略奪行為である南京事件に対して、欧米各国との歩調を合わせず、1人無抵抗主義を貫き、その結果、南京の日本居留民は多くの犠牲をだす。それ以降、あれほど熾烈であった排英運動が排日運動に転換。
- これは、前年の起った英国が同様な事件である万県事件の対応とが比較される、英国は無慈悲に強者の力を誇示したのに対し、日本は自国の民を犠牲にしても支那な対して、慈悲的な処置をとった。これが結果的に、中国に軽んじられ、英米に遺恨を残し、国内に置いては反中や政治不信に発展した。
- 幣原外交は論理的は道義的には真に申し分のない対応であるが、中国の、余りにも悲惨な歴史を経て培われた「弱肉強食」の民族性を理解してないと指摘されている。
- 幣原外交の如き「同情」は中華民族に対しては「軽蔑」に変わる。イギリスが萬縣事件で取った如く「あくまでも強者の力を無遠慮で無制限に発動」するコトこそ意味があり、これは高圧的だけでは抵抗にあうが、中国語でいう「没法子」（訳；しかたがない）と思わせる所まで追い込み、強健を発動しなくてはならないと。魯迅が言った如く「中国人は、最終的には、奴隷になりたがる民族。」と。
- これに、関連して昭和9年に起きた蔵本事件に参考にしている。これは日本側の勘違いで、日本上海領事員の失踪を南京政府の殺害であると疑った事件であるが、その時の国民党政府が満州事変のきっかけともなった中村大尉殺害事件と連想させ、慌てふためき、強攻策を取ろうとしていた日本側を掌を返すように丁重に遇したとされている
- この南京事件の報告を受けた北京外交団を開き、結局、蒋介石に最後通牒を突きつけることになる、
『どこの国でも、人間は同じく心臓は１つです。ところが中国には、心臓は無数にあります。１つの心臓だと、その１つを叩き潰せばそれで全国が麻痺状態に陥るものです。
しかし、中国という国は、無数の心臓を持っているから、１つの心臓を叩き潰しても、他の心臓が動いていて、鼓動が停止しない。すべての心臓を一発で叩き潰すことは出来ない。
あなた方の国はそれでいいかも知れませんが、中国に大きな利害を持っている日本としては、そんな冒険的なことに私は加わりたくない。』
◇排日運動なり、隣国を憎む排外思想にはこのような記述がある。
１）ロシアによる主導説；
1919年、カスピ海沿岸で行われた「ソビィエト・ロシア会議」において、対支那工作で下記のような項目がある。
「支那において、帝国主義を起こし、帝国主義国家の権益を阻害するには、隣国を憎むという感情を植えつけねばならない。」
それ以降、ロシアの対支工作は徹底的に、隣国を憎む感情を植えつけるコトに終始する。
２）民族性；
元来、中国人は生まれながらにして排外思想の持ち主で、外国人のみならず自分以外は排除する国民である。
注１）本名、幣原 喜重郎。戦前に4回外務大臣を務め、終戦後は第44代内閣総理大臣、第40代衆議院議長に就任した。従一位勲一等男爵
◆ ◆ 結言 ◆ ◆
- この幣原の『心臓・無数論』は一見、もっともらしい正論に聞こえる。しかし、ＮＨＫの論説委員当たりの論評にしか思えない。呑気に中国論を語っている間に自国の居留民が暴行・略奪されているのである。
私の趣旨が飲み込めたと見えて、蒋介石はその通りにやった。
とあるが、これは、あくまでも欧米流の正当外交で盗人にこんな正論を吐いて何になろうか。これで、謝罪や賠償金を貰っても、果たして遺族は納得するのか、その後も漢口事件等の日本人に対する殺害事件が相次ぎ幣原の言うような『紛争の原因を一掃』とはいかなかったコトは歴史が証明している。
- 中国人が、魯迅の言うように「奴隷になりたがる国民性」かどうかは定かではないが、華僑系の企業に見られるような、絶対的なワンマン経営でないと成り立たないとされている。民主主義的な自主性に任せると混乱して経営が立ち行かないと、その原因は、中国人の公徳心のなさや自律心のなさが挙げられる。
- 私の経験からしても、要求を呑んで、頭の中では「これで貸しを作ったから、いつかは貸しを返してもらうだろう。」と思うのは間違いで、要求は限りなくエスカレートする。日中友好でも、相手の要求は一方的な「take」だけで、「Give」などは、パンダとトキぐらいだろう。
- ここであげる中国の排日に至った経緯は、個人としては余り釈然としない。余りにも独善的で唯我独尊の民族性がそこにはあるような気がする。それが、現実を振り返るとギャップがあるためにどうしても責を他に委ねないといけないのだろう。
ーー銀市場以外の１つの販路を造ったあると同時に、アメリカを援助し銀買上げ法案
を完成せしめる協定である。
この年の中国は大幅な貿易赤字を抱えており、財政的にも破綻状態で、アメリカにも多額の借金をしている。
◇これらは、当時、中国事情が詳しいと思われる下記に識者の文献等を参考
○吉岡文六（東京日々新聞政治部長。当時、読売の正力松太郎、東京日々の吉岡と言われたとされている。昭和19年、新米記者の書いた記事が、東条英機の逆鱗に触れ責任を取って辞職。日華事変当時、7年間南京に駐在。）
○多賀宗之（支那駐留陸軍少将、後に福州領事館武官。）
○大谷光瑞（浄土真宗本願寺派の第22世門主。計3回にわたり、西域探検を行う。後に中華民国政府の最高顧問に就任した。）
○松岡洋右（第14代満鉄総裁、後に外務大臣。外務大臣当時、国際連盟脱退、日独伊三国同盟の締結、日ソ中立条約の締結など第二次世界大戦前夜の日本外交の重要な局面に立ち会う。敗戦後はA級戦犯容疑者としてGHQ命令により逮捕されたが、結核悪化のため東京裁判公判法廷には一度のみ出席し、その後、東大病院で病死）
2007年03月29日(木) 23:17:14 Modified by yuyu122222