南京大虐殺；日本人証言 まとめ
- 南京虐殺があったとされる当時の従軍記者等の証言をまとめてみる。
| 発表された時代 | 氏名 | 所属 | &color虐殺の対象 | 目撃の有無 | 取った行動 | 日本軍への感想／述べた言葉 |
| 昭和12年 | 中島今朝吾 | 第十六師団長 | 民間人 | 微妙；ただし、強盗のみ | 日誌から | 堂々たる将校様の盗人だから真に驚いた |
| 昭和13年 | 杉山平助 | 作家 | 民間人含む | 無；相当数 | ｢支那と支那人と日本｣で出版 | とっとり早い殲滅は一種の慈悲 |
| 昭和13年 | 石川達三 | 作家 | 民間人含む | 微妙；数千人以上 | 「生きている兵隊」で中央公論にて発表 | 日本人はもっと反省を |
| 昭和13年 | 西條八十 | 作家 | 兵隊 | 不明；死体の山は見る | 紀行を文芸春秋に発表 | 特にコメントなし |
| 昭和13年 | 火野葦平 | 作家 | 捕虜 | 有；40人 | 2000年に新資料で発表 | 戦争は悲惨なモノだと感じた |
| 昭和21年 | 石川達三 | 作家 | 民間人含む | 微妙；数千人以上 | 「読売」のインタビュー | 東京裁判の意味有らしめたい |
| 昭和41年 | 大宅壮一 | 作家 | 特に記述ナシ | 微妙；相当数 | サンデー毎日のインタビュー | 南京占領したら戦争を終わりだと思い、張り切りすぎ |
| 昭和47年 | 日高信三郎 | 大使館参事官 | 民間人も | 有；発砲を確認 | 城山三郎とのｲﾝﾀﾋﾞｭｰにて | 憲兵に注意 |
| 昭和50年 | 松本重治 | 同盟通信 | 特に記述ナシ | 松井大将の訓戒のみ | 各通信社に配信 | 日本軍は悪いコトをした |
| 昭和50年 | 足立和雄 | 朝日新聞 | 便衣兵(市民含む) | 有；数十人 | 1人のみ助ける | これで、日本軍の勝つ見込みナシと判断 |
| 昭和57年 | 前田雄二 | 同盟通信 | 捕虜 | 有；10人と死体の山 | この年本にて発表 | 気持ち悪くなり、逃げるように立ち去る |
| 平成元年 | 佐藤振壽 | 毎日新聞 | 敗残兵 | 有；百人程度 | 南京戦史資料集で発表 | 痛恨の情に堪えない |
| 平成13年 | 新井正義 | 同盟通信 | 女子大生 | 直接はなし | 金陵女子大学(旧支局は街の中)の校長より助けを求められる | 軍司令部に注意 |
共通する事項
◆南京陥落の昭和12年12月13日〜松井司令官の｢兵の暴行を叱責｣する訓戒の昭和12年12月17日頃までには、｢敗残兵が穴の淵に座らされ、日本兵に銃で撃たれた後、転げるように死体が落ちていく。｣場面を確認している。これは、どうも1ヶ所ではなさそうなので、三百人〜数千人程度の被害はあったのであろう。その後は、治安も落ち着き平静を保っているように思われる。
これは、当時中国軍の中でも蒋介石直轄の精鋭部隊として知られていた｢駐軍八十八師司令郡」との戦いが終わり、興奮が冷め遣らないで起こした行動なのか、大宅壮一が言うように『これで長かった日支の戦争』が、終結したという開放感かはよくわからない。
◆多くの現場にいわせた日本人が、中国人の死体の山を目撃しているが、これが、日本へによる敗残兵の処置か、戦闘行為によるよるものか、あるいは国民党による物かは誰も説明していない。
◆憲兵の目が行き届かずに、多少なりとも、民間人への残虐行為や暴行はあったのではと推測される
◆１人だけ見解が違うのは、石川達三だけで、西條八十らに比べても、遅く南京に入って来ているにも関わらず、『大きな建物へ一般の中国人数千をおしこめて床へ手榴弾をおき油を流して火をつけ焦熱地獄の中で悶死させた 』等の日本軍の残虐行為を目撃しており、(これは、後に「中央公論」から小説「生きている兵隊」として出版、発売禁止処分を受け、その後「新聞紙法」違反で起訴、禁錮四ヵ月、執行猶予三年の判決を受ける。)
他の目撃者からして、信憑性にかけるが、断定するのは止めておこう。
あくまで個人的見解
私の民間人の虐殺は存在したと12月20日前後には、ある程度治安も良くなり、落ち着いた。となる根拠には、余り取り上げられないが、杉山平助の文書が一番参考になると考えられる。
根拠は左記の通り、
�‘邉�訪問が、その年の12月27日〜12月30日と南京占領からさほど発っておらず、当時の状況が把握しやすい
�∧絃呂鯑匹犖造蝓�中国に精通しており、中国人気質も理解している。
�Ｆ洩祖命�などの従軍記者や軍関係者より、まだ中立的な立場で見られる。
�ぐ貳屐�南京についての記述が多い（石川達三を除いて）
※ただし、氏は、中国に対しては、『無能国』等の蔑視は見られる。
民間人の虐殺に触れた箇所
◆夜になると、若い従軍記者が、ランプのまわりで、いつしか議論に熱中している。
外は暗闇だ。死体はまだ、いたるところに転がっている。戦争と人道についての議論が始まった。
『戦争が始まった以上は、勝利のためには、そしてその戦果を確保するためには、何をやっても構わん、この場合一切の道徳律は無力であり、無能である。』と私は論じた。
『今度の戦争では、戦闘員と非戦闘員の区別などは、厳格な意味であり得ないないのである。てっとり早い殲滅は一種の慈悲ですらありえる。』
- 随分、乱暴な議論であるが、この若い従軍記者の議論が、意図的な虐殺かどうかはわからないが、前後の内容からして、非戦闘員の殺戮を指していることには間違いない。ただし、杉山平助は、これほど殺戮容認派にも関わらず一件も、そのような状況には出くわしていないのだから、占領２週間後の12月27日〜12月30日には、ある程度の治安は維持されていたのであろう。
南京の状況---------------------------------------------------------
・南京に近づくにつれ、支那の土民たちの、往来を歩いている数を増した。もちろん、腕には、
日の丸のしるしが巻いてある。
夕霧のかすむ頃に、私達は南京城に入った。左右の建物は、すべて空虚である。どこかで、
２〜３軒、燃えているが・・実に静かな火事というものがあるものだ。
私は一人でブラブラと散歩に出かけてみた。支那人の避難民が往来に溢れ、それは何万という
数に達していた。
私はいつかその中に吸い込まれ、たった1人で歩いて行った時には、そして、行けども行けど
も、この群集から離れない時に、さすがに恐怖の念が私を襲った
南京には３０万人の避難民が残っているというが、その大部分は乞食同然の無智な貧乏人ばかりである。 だいたいに２０円の旅費のある人間は逃げたと聞いている。残っている人間は、資産２０円以 下といってよい最下級が大多数だ。
南京事件 否定説の反論
・文化人が多く従軍記者として行ったにも関わらず、何も見ていない⇒
- 上記のように、全ての文化人が、中国人の死体とは接している。特に、『大宅壮一さえも、疑問視している。』との一般的な論調であるが、大宅は、かなりの肯定論のうちの入る。ただし、南京大虐殺３０万人説には否定の見解。
入城した日によって、証言の違いが見られる。
| 入城日 | 氏名 | 目的 | 虐殺の対象 | 見たか伝聞か？ | 虐殺の手段 | 民間人について | 死体について |
| 12月13日前後 | 火野葦平、前田雄二等の南京在住の従軍記者など | 『中支那方面軍』と帯同 | 捕虜や敗残兵の虐殺は確認 | 本人が確認 | 銃殺・日本刀 | 暴行や狼藉は伝聞にて知る | 死体の山を見る |
| 12月18日〜 | 西條八十、松本重治 | 慰霊祭に出席 | 民間人含む | 記述なし | − | 西條八十 記述なし／松本重治 伝聞にて | 西條八十 死体の山を見る／松本重治 記述なし |
| 12月27日〜 | 杉山平助 | 文化人のペン記者として | 民間人含む | 伝聞；従軍記者から | 記述なし | 伝聞で知る | 死体が転がっているのは、何度も見る |
・南京には、当時２０万人しか住んでいなかった。⇒
- 上記の『南京には３０万人残っているが、ほとんどが南京から逃げており、残っている人間は、資産２０円以下といってよい最下級の者が大多数だ。』との証言とは合致しない。この杉山の証言だと、南京に入城する際の記述にも、沿道の大部分は無人の野である。南京に近づいてくると、南京の方から引き返してくる歩兵隊や砲兵隊やにひっきりなしに出会うようになった。とか支那の土民達の、往来を歩いているのも数がましたとはあるが、流民が大勢押し寄せてくる記述はなし。反対に南京近辺以外は閑散とした様子が伺える。
- また、『夕霧のかすむ頃に、私達は南京城に入った。左右の建物は、すべて空虚である。』との記述からすると、３０万人でも相当数の人間が居なくなったと想定される。
- 『中支那方面軍』が南京占領前の印刷物を見ると、百万都市という記述が見られ、当時の日本人にとっては、南京＝百万都市と認識していたモノと思われる。
◆南京が人口百万の都会としては、いささか其の規模が小さい嫌いがないでもないが・・
（私の見た支那／雨宮大佐 より）
- 現在でも、８０万〜９０万都市でも、百万都市というコトが度々あるので、その数値の信憑性は難しいが、当時、南京について書かれている施設の多様性や中国有数の蒋介石自慢の『陸軍中央軍官学校』があったことを考えれば、２０万人都市は、余りにも過少の数字のように思う。
■しかし、これが、多くの人間が闘争した後の、陥落直前の数字だとすると、アテズッポウでも悪くない数字である。（ラーべ日記でも、２０万人〜２５万人と記す）当時、南京は貧乏人がいない近代都市とされている。
陥落前に訪れた雨宮大佐の記述から
| 新しい南京は、近代都市として少しも恥ずかしくないのみか、街路も建築も整然たるものがあり、モダンな文化住宅が並び、立派に舗装された自動車道には、新型の高級車が織りように行き交うという有様である。 |
| なお、これまでの南京の街には、到る所に苦力や乞食が巣をなしていたので、都市の美観を損ずることが多かったが、蒋介石はこの点を留意して、南京郊外に１グループ数千個の平民住宅を数グループ建造し、実に簡素な清潔なものと改め、これによって、乞食や苦力の醜い姿や、汚い小屋も影を消すようになった。南京の主な社会施設は下記の通り |
社会施設
- 養老院 大隊長あがりの老軍人が多い／規律正しく、行儀がいい
- 廃兵院 戦争で傷ついた者が収容
- 救済院 私娼が多く、水害や飢饉等で避難した者が集められる
- 施療院 貧困者のために、極めて安い診療費で見てもらえる往診所
- 孤児院 どちらかというと、育児を行い、軍隊の養成如きも実施
- 遺族学校 軍人の遺族を収容
このように、現在の中国と比較しても数段に社会設備が整っている。その他、中山陵や明の故宮、始皇帝の造った運河の秦誰など重要文化財が国民党の手で厚く管理されているコトがわかる。
往時の人口：１００万人 − 逃げたくとも金がない；２０〜３０万人 ＝ 逃走した者；７０〜８０万人
かなりの人数が、「軍官学校などの陸軍養成所」と「今でいう国家公務員」＋「蒋介石の保護の退役軍人や遺族」である。わざわざ、日本軍占領下の南京に留まる必要のない人間ばかりである。
なお、日本陸軍の資料によれば、南京要塞は抗日作戦計画に基き昭和十年以来５千万元の経費を以て現代式に増強された頑固なる要塞との記述もある。（この頃の、中国の国家予算；約９兆元）
・証拠の写真がない。⇒
- 同盟の前田記者の証言に『私は、これから処刑されようとする捕虜の顔を次々に凝視していた。同じような土気色の顔で表情はなかった。この男たちにも父母があり兄姉があり弟妹があるだろう。しかし今は人間ではなく物質として扱われている。交代で突き刺す側の兵隊も蒼白な顔をしている。刺す掛け声と刺される死の叫びが交錯する情景は凄惨だった。私は辛うじて十人目まで見た時、吐き気を催した。そして逃げるように校庭を出た。』とある。
- このような状況で中国人が写真を撮れるとは思えない。杉山氏の証言どおり、貧しい貧民層しか残っていないのなら、カメラを所有していた者もまずいないであろう。
・民間人の暴行を目にしたモノはいない。⇒
- ここで、民間人の暴行を確認したのは、日高大使館参事官1人に限られる。中島第十六師団長は伝聞なのか、自分自身の眼でみてそう言ったのかは微妙である。しかし、散発的な暴行であれば、大概は家屋とか路地裏で行われるのだから目検できないのも当然かと思う、だから、あったとも言えないが。
ちょっとした疑問
石川達三は南京から帰国後、「生きている兵隊」にて南京虐殺の小説を書きます。石川が南京に入場したのは翌年の１月５日で、１月中に日本に帰国していますから、どんなに長くとも南京駐在は１ヶ月足らずのはずです。
この期間内で自分の見聞だけで、これだけの内容を書いたとは思えません。
かなりの噂や伝聞によりの創作があるのでしょう、そして、この石川の書物は発禁となり、禁固４ヶ月の刑に服します。これをもって、あの時代は『言論の自由』がなかったというのは早急ではないでしょうか。
この内容が、当時出版できたほうが驚きです。
一方、アメリカでは、ルーズベルトの政策を批判したかどで、『暗黒大陸中国の真実』を書いたライク・タウンゼントが投獄されています。タウンゼントの著書を一応目を通しましたが、批判というより「亜細亜のコトは余り干渉せずに、日本に任せた方がいい。」という提言程度です。
しかし、石川の禁固４ヶ月に対し、タウンゼントは１年の刑に服しています。
そして、石川は戦後も作家として活躍しますが、タウンゼントは意識的かはわかりませんが、その後の評論活動は終わっています。日本が民主主義国家になったとの反論もありましょうが、タウンゼントは、昭和５０年まで健在だったのです。その間には、『マッカシーの赤狩り』『朝鮮戦争』『ベトナム戦争』があり、彼の説は、ほぼ正しかったこと証明されています。石川の小説は、いまだに真偽の分かれるところです。
一概に、『戦前の日本は言論統制が厳しく』『アメリカは言論自由な民主主義国家』とは言えないでしょう。
⇒南京大虐殺 その２へ
南京大虐殺；死体の山の謎に行く⇒
2007年04月09日(月) 18:05:35 Modified by yuyu122222