ゴース、あるいはゴスム Kos, or some say, Kosm

１．前提となる情報

和名：ゴース、あるいはゴスム*1
英名：Kos, or some say, Kosm*2
漢名：科斯又名科斯移*3

２．和名から読み取れる情報

日本語「ゴース」を手掛かりとして見つけられたのは古代ギリシャ語γόος*4 *5（ラテンアルファベット表記：góos）だ。語義は「悲嘆の声を上げる、嘆き悲しむ、涙を流す、滴り落ちる」。またγόοςとは、プロテシス（遺体の埋葬準備）のあいだ、故人の親類の女たちがあげる悲嘆の泣き声*6をも指す。

一般的にγόοςは「ゴオス」と日本語では表記されるようだが、「ゴース」と表記しても日本語においては発音にあまり差はない。そういったことから管理人は上位者ゴースの名前解釈にγόοςを用いていきたいと思う。それに上位者ゴースは子を亡くした母なのだ。彼女はγόοςの叫びを上げるに相応しい状態にある女性ではないだろうか？

またγόοςは上位者ゴースの英名Kosにも繋げられるかもしれない語である。なぜと言うならγόοςの一文字目が「γ / Γ　ガンマ」であるからだ。ラテンアルファベットのCとGはこの文字を起源とする*7。であるからγόοςは「góos」とも「cóos」とも伝承され得ると管理人は思う。そして多くの人に情報が伝わっていく中でCがKに置き換わり、長母音が欠落してCóosがKosになって、それがコゥスという音として漢字文化圏に伝わり「科斯」と表記されたのかもしれない。全部管理人の想像だが。

３．英名から読み取れる情報

海外勢の考察で「kosあるいはkosmってcosmosに関連してたりするんじゃない？」*8って意見があって興味深い。インド・ヨーロッパ祖語の語根*kes-*9（意義：擦る、擦り付ける、掻き集める、櫛で梳く、注意深く探す）という言葉があり、その派生語にインド・ヨーロッパ祖語*kós-mo-sがあるのでなかなか無視できない意見だ。

但しインド・ヨーロッパ祖語*kós-mo-sの語義は余り宇宙っぽくはない。インド・ヨーロッパ祖語*kós-mo-sから発展したバルト・スラヴ祖語*kasmasがあって、その子孫としてスラヴ祖語*kosmъ*10（ラテンアルファベット表記にすればkosmʺ）というのはありはするのだが、スラヴ祖語*kosmъの語義は「巻き毛、髪の房」。語の由来からしてそうではあるのだがcosmos感はない。

そして何にせよ語頭音がカ行だ。「ゴース」も「ゴスム」も語頭音はガ行なのに。このズレは何に由来するのだろうか。

とまあ未解決の難題をメモしたところで次の話題に移りたい。主題は「Kosm」だ。これは割と素直に宇宙に繋がる。というのもオランダ語接頭辞「kosm-」*11が「宇宙」の意味らしいからだ。オランダ語kosmischは英語のcosmicに翻訳される*12のでそういうものなんだろう。

オランダ語kosmischは英語cosmicに繋がり、
英語cosmicは当然ながら英語cosmos*13の関連語であり、
英語cosmosの語源は古代ギリシャ語κόσμος（kósmos）*14で、
古代ギリシャ語κόσμοςの由来はヘレニック祖語*kónsmos、インド・ヨーロッパ祖語*ḱónsmosや*ḱens-*15にあり、
インド・ヨーロッパ祖語*ḱens-の語義は「公表する、告知する、宣言する、宣告する、秩序立てる」とかであり、
英語cosmosに連なる言葉たちが示す「宣言することが宇宙を秩序立てること」という発想は『神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。」‭‭創世記‬ ‭1‬:‭3‬』に近く、なるほど宇宙的だと管理人は思ったり。‬‬‬‬

そういった情報を踏まえた上で、管理人はKosmという上位者の名前もこの系譜に連ねてもいいかもしれないと思う。KosmがGosmになるルートは皆目見当もつかないが。

４．漢名から読み取れる情報

「科斯」という熟語は姓の漢字変換として実際に用いられている。経済学者ロナルド・コース*16/Ronald Coase*17の名前が中国語で「罗纳德·科斯」*18と表記されるのでそれは確かだ。ちなみにCouseの発音は「コゥス」*19。有名人の名前は発音を探すのが本当にラクで最高だ。

つまりゴース＝科斯＝Coase＝コゥス。うん、語頭音が違う。

また科斯移に関しては本当に情報がなく分からない。情報をお持ちの方はぜひ管理人までお知らせください。言語は問いません。