呪術王ザラマン Salaman the Master Pyromancer

１．前提となる情報

和名：ザラマン*1
英名：Salaman*2
漢名：札拉曼*3

２．和名・漢名から得られた情報

和名単体では気になる情報は見つけられなかった。また漢名についてもダークソウル以外での「札拉曼」の使用事例を見つけられず。

ただありがたいことにForvoで「札拉曼」の発音を登録して下さった方がいらしたため、発音は判明。管理人には「札拉曼」の北京語発音は「ヂャァラァマン」*4のように聞こえた。日本語文字では表記できない音があるため正確ではないが……。

ダークソウル以外で「ザラマン」、「札拉曼」という単語にお心当たりの方は是非とも管理人のTwitterにご一報ください！

３．英名から得られた情報_フィンランド語salama

和名・漢名に比べて英名Salamanから得られた情報はなかなか膨大深長だった。ザラマンの項を書くのがこうも遅れたのはそのためである。関連情報も多ければ、その情報一つひとつを理解するために必要とされる情報もまた多い。情報をまとめながら、ザラマンの語源考察にはリアル啓蒙というかリアル理力が要求されているのをひしひしと感じた。

さて、ではSalamanの具体的情報の提示に移る。

Wiktionaryによればsalamanとはフィンランド語名詞salamaの属格単数形*5であり、Forvoよりその発音が「サラマン」であることが確認できた。この発音はゲーム内におけるSalamanの発音*6と（日本語的には）同じであり、関連性があると見てもよいだろう。

そしてそのsalamaの意味はなんと「lightning, bolt」*7（稲光、電光、稲妻、雷）である。

ザラマンはサラマンであり「稲妻」でもあった可能性を示すこの情報に接して管理人はしばし呆然とした。ダークソウル世界の「稲妻」がグウィンと無関係であるとは考えづらいからである。しかしそら辺に関する考察はブログ記事で詳細を書いているので、この項ではその点はあまり深追いしない。話が終わらなくなる。

４．英名から得られた情報_インドネシア語salaman

ここまでの間にForvoのリンク先を確認された読者はインドネシア語salamanの存在にも気付かれたことと思う。この情報は管理人に突如なる東への針路変更を強いてきた。突然すぎて管理人は呆気にとられたものである。フロムは一体情報を何ヶ国後に分割しているのだろうか。

インドネシア語salamanはインドネシア*8の土地の名前*9である。発音は「ザラマン」*10。そう、インドネシア語salamanは、その発音が和名「ザラマン」にクリーンヒットするのだ。発音が和名と合致し綴りが英名と同一であるために、管理人はインドネシア語salamanを考察にあたって無視することができない。管理人にインドネシア語は読めないのに。泣きたい。

salamanの意味は管理人がインドネシア語に明るくないのではっきりとは分からない。ただ類語と思われるsalamを調べることでいくつか情報が見つかった。

salamの意味は「平和、敬意の表明」*11 *12であり、ber- + salam + salam + -an という成り立ちをするbersalam-salamanの意味が「握手して挨拶する」*13であるらしい。とすればsalamanの意味・用法はヘブライ語の挨拶シャローム（שָׁלוֹם šālôm 「平和」の意）*14や英語のyour majesty（[呼びかけとしての]陛下　直訳：あなたの威厳）*15のようなものなのであろう。日本語でこれをどう訳せばいいのかは分からないが。「本日はお日柄も良く」？

またSalaman地域に住む人々の多くがケドゥ・ジャワ語*16（ジャワ語*17の一種）を話すらしい。そこで思い起こされるのが廃都イザリスの元ネタがアンコール・ワットにある*18という情報だ。アンコール・ワット*19は当たり前ながらカンボジア*20にあって、カンボジアの人の多くはクメール語*21を話す。ここでジャワ語とクメール語のWikipediaリンクを開いて頂きたいのだが、ジャワ語圏とクメール語圏の距離は「近い」と表現できる距離ではないだろうか――少なくとも西欧よりは相対的に。

ゆえにジャワ語圏出身？のザラマンがクメール語圏在住？のクラーナ師匠に会いに行くというのはなかなか有り得そうな話であると管理人は考えている。

５．まとめ

以上の理由から、ザラマンは「サラマン」であり「稲妻」であり、やっぱり「ザラマン」であり「挨拶の言葉」であり「ジャワ語圏の人」なのではないか？と管理人は推測している。

そして漢名「札拉曼」の語頭発音が濁音なのは、黄河文明が地理的にジャワ語圏に近いためにジャワ語発音がそのまま伝わったためではないかとも思う。中原の文明範囲は本当に広いから。「中華」の名は誇張ではない。