伝承の森ミルウッド the fabled Millwood forest

１．前提となる情報

和名：伝承の森ミルウッド*1
英名：the fabled Millwood forest*2
漢名：

２．和名から読み取れる情報

「伝承を得意とした森」、あるいは「伝承の中で語られる森」ミルウッド。

３．英名から読み取れる情報

Millwoodは古英語mylenweardに由来する姓*3。おそらく成り立ちはmylen(mill)*4＋weard(watchman)*5。粉ひき小屋の見張り＝製粉業者だろうか。そしてfabledは「物語に名高い」「伝説的な」*6。であればミルウッドは「物語に名高い」「粉ひき屋」の森。？？　伝説的な粉ひきって誰？

……となっていたのだが、ソラール/Alchemist（@Alchemist_exe_）さんからfabledはラテン語「for/ fari/ fatus 言う、話す、会話する」*7に由来する語であると教えて頂き、道が開けた。ミルウッドは「物語られる」「粉挽き」の森、と解釈できるのではないだろうか。

製粉業者は臼挽く人。臼の神話と言えば北欧神話の「グロッティの歌」*8。グロッティの歌を簡単に説明すると以下の通り。

昔々、フロージ王（豊穣神フレイ）が女巨人たちに欲しいものを何でも生み出せるグロッティの石臼を挽かせ、黄金、平和、幸福を作り出させた。しかしフロージ王が女巨人たちにほとんど休みを与えなかったために彼女たちは海王を生み出し、海王はフロージ王を殺して、女巨人たちや石臼などを船に乗せて去った。けれども海王が船上で石臼から塩を作らせすぎたために船は沈んだ。石臼はまだ海の中で塩を生み出し続けていて、だから海の水は塩辛いのだ。

「フロージの粉」が黄金のケニング*9なのはこの物語に由来する（ケニングは表現法の一種で、剣を「傷付ける鍬」と敢えて表現する、みたいなやつ。海を「鯨の道」とか表現したり。たいてい何らかの神話や叙事詩が由来。黄金のケニングには「巨人の声」なんてものもある*10。

こんな感じに臼と黄金と豊穣神（男）は関連がある。ミルウッドは臼の所有者である豊穣神フレイがいた、もしくはいる場所なのかも。

４．漢名から読み取れる情報

５．豊穣神と雷

男性豊穣神は雷とセットであることが結構ある。バビロニアの神アダド（雨風によって肥沃をもたらす豊穣神であると共に、風雨・雷・洪水によって自然を破壊し暗黒と死をもたらす恐ろしい神でもある）*11や、スラヴ神話のペルーン（石臼に乗って空を飛びながら稲妻を放ち雷鳴を轟かせる神で、農作物の実りを豊かにする慈雨をもたらす。そのため雷や雨、それによってもたらされる豊穣の神ともされる）*12、北欧神話のトール（雷神であり春の神であり天候神であり、その槌で結婚・埋葬等を清める農民・農業の保護神）*13、日本神話の賀茂別雷神（若いエネルギーを蓄えた雷の神であり、雷は五穀豊穣をもたらすため農業神でもある）*14なんかがそうだ。

ダークソウル物語において雷といえばグウィンである。であるならグウィンもまたアダドやペルーンのような豊穣神であったのではないだろうか？ そしてグウィンの担当地域は男神豊穣神と縁故と思われるミルウッドだったのでは？さらに言えばミルウッドの現状からしてグウィンは豊穣の権能を失っていたのではないか？