■ 地図情報


【白の森 入り口】




【白の森 猿の縄張り】 ← 【現在地】




【白の森 最奥部への道】




そこに、絶望があった。

部屋の中には、否、部屋の先には何もない。
全周を、絡み合う木々が塞いでいる。

行き止まり。
それがこの強行突破の結末。


『あ…………え?』


現実を信じられない、という声が聞こえる。
それは少年の物だったようにも、少女の物だったようにも、あるいは自分自身の物であったようにも、あなたには思えた。


部屋の中にも、部屋の先にも、何もない。
あるのは、そう、樹上だけ。

明確な憎悪を黄色い瞳に灯し、あなた達を睨む七匹の猿が、そこに居る。


だが、脅威はそれだけではない。

最早少女程の耳を持たないあなたにも十分に分かる。
あなた達は完全に囲まれつつある。
何匹居るかと耳を澄ます事は既に無駄だ。

まるで嵐の中に居るようだ。
樹上を駆ける足音は集い合わさり轟音と化し、聞き分けるなどいかなる生命でも不可能事。



あなたが命を落とすのに、一手のミスすら必要ない。
生命の灯火は、あと十数秒で消えるだろう。

果たして、希望は残されているのか。

……そのような奇跡の目は薄い。
あなた達三人の誰もが、そう理解させられた。


3人でフラッシュ投擲投石、フラッシュと見せかけ投石、接近暴風投石&地面に落ちた場合双剣攻撃で
猿7体を倒す
少年少女ネズミは捜索、貴女は耐久寄りエンチャントで残りの投擲物&投擲済みの物を拾い上げて投擲
物とし応戦してヘイトを稼ぐ(貴女「ここは私に任せて!」)
敵がいないと貴女が判断次第少年、エルフに合流



やりましょう、と声が聞こえた。

絶望に閉ざされていた思考が、小さな音を立てて動き始める。
やるとは何だ。
何が出来るというのか。
この場は既に死の運命に満ちている。
奇跡など起こるはずもない。


『やるんです!
 戦って勝つしかありません!

 さっさと構えて!
 僕達にもあなたにも、ここで死ねない理由があるでしょう!』


ああ、とあなたは息を吐く。

そう、あなたには一つの使命がある。
姉に救われたあなたには、姉を迷宮から救い出すという義務がある。
このような所で、足掻きもせずに失って良い命ではない。


力を失おうとしていた体内の嵐を、再び呼び戻す。
魔力の源泉たる心臓からは、既に半分の力が失われている。
だが、これより対峙する殺意の群れは、加減をして切り抜けさせてくれる程優しくはない。

ならば話は単純。
その身に宿すあらゆる力を振り絞り、倒れる前に活路を開くしか、最早残された道はない。


『今!』


少年の叫びと共に、樹上へ向けて強烈な光が放たれる。
まずは眼前の障害を。
光を直視し目を潰した、七匹の猿を最短時間で叩き落す!



◆ 命中判定は、全員の目標値が10を超えているため省略されます


>>↓1 コンマ判定 【投石の威力 あなた】

筋力 12

目標値 12


>>↓2 コンマ判定 【投石の威力 少年】

筋力 9
武器 1

目標値 10


>>↓3 コンマ判定 【投槍の威力 少女】

筋力 4
武器 3

目標値 7



※ これらの判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します


【あなた】

クリティカル!!


【少年】

差 2


【少女】

差 4


放たれた弾丸は三つ。
そのどれもが致命の刃と化して猿を襲った。

眉間へと吸い込まれた少年の石は、一匹の猿を昏倒させ、樹上より引き摺り下ろした。

頭蓋に槍が食い込む個体も悲惨だろう。
正確に脳を貫いた一撃は、無慈悲に一つの命を終わらせた。

そして最も劇的だったのはあなたの石だ。
それは目に捉えられぬ豪速で飛翔し、一つの心臓をこの世から消し去った。

更にそれだけでは留まらない。
皺だらけで、身を守る毛皮も持たない、見るからに脆い猿の体を貫通した一投。
勢いの一切を失わない一石は、背後の個体の喉に炸裂し、その骨を叩き折ったのだ。


初手で四体。
あなた達は僅かな期待を抱いただろう。
部屋の内には残り三体。
あと一手、もう一度今の攻勢を再現したならば、あるいは、と。

だが、その一手は遥かに遠い。

敵はあなた達の攻撃手段を理解した。
二度目は決して許しはしないと、その身を宙に躍らせる。



【敏捷対抗】

基準値 5

敏捷 6 (パーティー平均)

敏捷 -13 (敵平均)

目標値 -2


判定に自動失敗します


その速度はあなたの理解を超えている。

頭上に音。
しかし見上げれば既に遅い。
音の主は走り去り、かと思えば視界の下方に肌色の影が微かに過ぎる。

宙を走る姿は最早影すら映らない。
あなたに捉えられたのはただ一つ。

どことも知れぬ虚空より放たれた、六つの風の刃のみ!



◆ 敏捷判定の大差のため、攻撃目標はランダム選定されます
◆ 突入時の作戦であなたが防御担当に指定されているため、結果が良い程あなたに攻撃が集中します


>>↓1 コンマ判定 【攻撃目標の決定】

幸運 9

目標値 9


【攻撃目標の決定】

目標値 9  出目 6

差 3


◆ あなたは四つの風の刃を受けます
◆ 幸運値の差により、残りの風の刃は少年へ向かいます



魔力が可視化された視界の中、あなたはその軌道を正確に捉えた。

刃は六つ。
内四つはあなたへと、残る二つは少年へ、並ぶあなた達を挟み込むように、
その喉を掻き切らんと飛び迫る。

極限の集中の最中、引き伸ばされた時間の中で、あなたは気付く。
もしあなたが回避を選んだならば、全ての刃が少年へと襲い掛かるだろう。
そして彼は未だ、致命の刃の存在を完全には知覚できていない!


>>↓1  どう対処する?

少年に向かった刃を手袋で打ち消し残り四つは貴方の体で受け止める


あなたは咄嗟に少年を抱え込んだ。

回避を選べば少年は死ぬ。
ならば体で防ぐしか道は無い。

あなたの両手には魔力を打ち消す手袋がある。
少年を狙う二つをそれで消し、残る四つを耐え切る事を、あなたは選択した。



>>↓1 コンマ判定 【風の刃 首狙い】

耐久 7
装備 3

目標値 10

※ 四連の刃のため、最終ダメージ値が四倍化します


>>↓2 コンマ判定 【風の打ち払い】

敏捷 6
装備 1

目標値 7


【風の刃 首狙い】

目標値 10  出目 1

クリティカル!!


【風の打ち払い】

目標値 7  出目 6

判定に成功しました


少年を狙った刃は打ち消され、あなたの首に迫る死は何の結果も残さない。

猿達は驚愕に包まれる。
風の刃は彼らの持つ最大の武器である。

確かに一撃で首を落とせるようなものではない。
だが決して鈍くはないそれを四つ。
急所たる首に受けて血も流さぬ生物は、彼らの常識には存在しない。


猿にとっての悲劇は、続く。

誰の意識からも外れた第三勢力。
最も小さき軍勢は、今この時をもってその行動を決定した。


彼らはずっと迷っていた。

最も新しく、最も大きな仲間は、攻撃を行った。
果たしてそれは敵対か?
それともただの狩猟であるのか?

彼らの知能は低く、その判断は保留され続けていた。

どちらなのか?
手伝うべきか?
それともこれは余計な世話か?


……その判断は、今この瞬間下された。


仲間が攻撃を受けた。
血を流していないなど些細な事だ。

それは、明確すぎる敵対である。


敵対者にはどうするべきか?

決まっている。
本能だけで生きる彼らは叫ぶ。


殺せ。
殺せ。
殺せ! 殺せ! 殺せ!
今すぐに、躊躇いなく、その命に牙を突き立てろ!

絶対に生かしておくものか。
例えこの身がどれ程矮小であろうとも。
仲間を傷付ける者を、生かしておく理由があるものか!



◆ 魔物の情報を獲得しました、情報を開示します


■シックスレッグ・ラット

◆特殊能力

【復讐者】

この生物は仲間を傷付けた相手を許さない。
対象となる生物への攻撃を察知した場合、全ステータスに+2の補正を受け、凶暴化する。
この状態では絶対に逃走しない。



>>↓1 コンマ判定 【敏捷対抗】

基準値 5

敏捷 12 (シックスレッグ・ラット)
驚愕 3

敏捷 -13 (無毛の猿)

目標値 7




【敏捷対抗】

目標値 7  出目 1

クリティカル!!


宙を駆ける一匹の猿は、突然背に受けた衝撃に目を見開いた。

自身の速度に絶対の自負を持っていたのだろう。
有り得るはずのないそれに慌てて目を向け、そして見た。

赤い軍勢。
禍々しい真紅に染まる数十の瞳が、そこにある。


どれほど凶暴化しようとも、鼠は鼠。
牙も爪も極小さく、皮膚を切り裂いたとしても軽症にしかなりえない。

だが、それならば、軽症ですら死を招く、急所を狙えば良いと彼らは知っている。


それはまるで首飾りのようだった。
鼠達は群れ連なり、猿の首をぐるりと囲んで小さな牙を突き立てる!



>>↓1 コンマ判定 【鼠の首飾り】

筋力 3
急所 3

目標値 6


しかし、それが猿の皮膚を穿つ事はなかった。

猿の腕が混乱と共に振り回され、首を覆う鼠達を振り払う。

そして、宙に放り出された鼠へと……。



>>↓1 コンマ判定 【被害軽減判定 鼠】

耐久 3

目標値 3


※この判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します


【被害軽減判定 鼠】

目標値 3  出目 10

ファンブル!!


赤い雨が降り注ぎ、臓物が弾け飛ぶ。

風の刃。
あなたの肌を切り裂く事はなかったそれは、しかし小さな鼠達には十分過ぎた。

風が舞い、風が舞い、風が舞う。
猿達は今まさに仲間の命を奪おうとした鼠に、執拗なまでに刃を放つ。
その度に、小さな命が消えていく。

五体を保ったまま着地できた者は居ない。
その全てが、小さなかけらとなって散らばった。





……しかし、彼らの死は無駄ではない。

猿達が狂乱のままに魔法を放った時間は、決して短いものではない。
あなた達が次の一手に辿り着く、世界で最も貴重な時を稼ぎ出してみせたのだ。


少年の手に魔力が集う。
そこから光が生まれると知る猿達は、咄嗟にその目を固く瞑った。
それこそがあなた達の狙いであると知る事もなく。



◆ 非視認補正により命中判定が自動成功します


>>↓1 コンマ判定 【投石の威力 あなた】

筋力 12

目標値 12


>>↓2 コンマ判定 【投石の威力 少年】

筋力 9
武器 1

目標値 10


>>↓3 コンマ判定 【投石の威力 少女】

筋力 4

目標値 4



※ これらの判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します


【あなた】

差 3


【少年】

差 5


【少女】

差 -1 (判定失敗)


二体の猿が更に落ちる。
残ったのはただ一匹。
しかし、少年の手口を完全に知った一匹だ。

更にあなた達の行動はこれで二手。
周囲に集う群れの様子も、忘れてはならない。


>>↓1 コンマ判定 【猿の増援】

幸運 9

時間 -2

目標値 7


森を覆う嵐の音は激しさを増す。
今はまだ、それがあなた達を打つ事はない。
だが時間の問題だ。
あと一手、それが最後に残る猶予であろう。

その事実に猿は笑う。
後は逃げ続ければ良いだけなのだ。


だが、その嘲笑を更に嘲笑う、あなた達の最後の一手が炸裂する。
嵐は森を覆っている物だけではない。
エルフの少女の手の中にも、特大のそれが宿っている!

足を置く風が突然に乱れ、猿は抵抗も出来ずに鼠の血に染まる赤い大地に叩き落された。

双剣が奔る。
それは復讐のごとく、牙に穿たれるはずだった、首へと向けて放たれた。



◆ 目標値13により判定に自動成功、猿が死亡します


部屋の中の七体はこうして打ち砕かれた。
だが勝利に浸る暇はない。

嵐は間近に近付いている。


"ここは私に任せて、隠し通路を探して!"


その絶叫に、二人は弾かれるように動いた。

二人にも理解できたのだろう。
最早通路を逃げ戻る時間はない。
ここから助かる道があるとすればただ一つ。
隠し通路が縄張りの外へ繋がる事を、祈る他に手立てはないのだ。



>>↓1 コンマ判定 【猿の増援】

幸運 9

時間 -4

目標値 5


>>↓2 コンマ判定 【隠し通路の発見 少女】

感覚 9

?? -3

目標値 6


【隠し通路の発見 少年】

感覚 3

?? -3

目標値 0

判定に自動失敗します


『……あった!』


少女の喜声が響く。
つられてそちらを見れば、少女は壁を形作る木々を叩いていた。
しかし、どこにも木の実は見当たらない。

まさか、死の恐怖の余り幻覚を?

そう考えるあなたへ、少女は叫ぶ。


『迷宮が作った壁じゃない!
 木を組み合わせて壁に見せてる!

 今すぐぶちぬいて!』


言われて再び見れば、ほんの僅か、直視しても疑わしいほどの違和感がある。
そう、猿達は自分達の手で壁を作り、棲家へ繋がる通路を消していたのだ。



◆ 魔物の情報を獲得しました、情報を開示します


■無毛の猿

◆特殊能力

【隠蔽】

この生物は偽の迷宮の壁を作成できる。
通路発見判定、違和感感知判定に-3の補正。

あなた達はこの能力に関するこれ以上の情報を持たない。


この中で最大の筋力を持つのは、あなただ。
当然、即座に少女の発見した偽の壁へ突撃を敢行する。


しかし、それを邪魔するものがある。

轟、と風が鳴く。
それで、あなた達は悟った。

ついに、猿達の増援があなた達の首を奪いに来たのだ。


偽の壁と言えど、その硬度は高い。
二人に壁の破壊を任せ、あなたがその背を守り続けるか。
それともその逆の手か。

あなた達は選択しなければならない。


>>↓1  どうする?

少年フラッシュ貴女魔力撃で壁破壊、敏捷全ブースト隠し通路に駆け込み


ついに増援が樹上より顔を見せる。

両手には滞る風の塊。
それがまさに刃の形を取り、襲いかからんとした瞬間のこと。

少年が最大級の光を解き放った。
一瞬の目くらましでは足りない。
いっそその目を潰すとばかりに煌々と森を照らし出す。



しかし、その光で真実目を潰すなど不可能だろう。
稼げる時間はやはり一手分。

もしこれが失敗したならば、今度こそ死は免れない。



>>↓1 魔力撃に幾ら魔力を籠めますか?

どうせ死んだら終わりなんだここは万全を期して8突っ込もう


心臓より汲み上げた、膨大な魔力を渦巻かせる。
暴風では足りない。
嵐でも不足に過ぎる。

異常な密度で凝り固まるそれは、既に肉眼ですら捉えられる黒い雷を纏い―――。



>>↓1 コンマ判定 【豪腕の一撃】

筋力 12
装備 1
魔撃 8

目標値 21

※ この判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します


差 16



その一撃は、天より下る裁きにも似ていた。
世界を割る轟音を伴って、黒雷が何もかもを蹂躙する。

それが、眼前の障害のことごとくを打ち砕いた。

偽の壁は跡形もなく吹き飛び、その短い通路の全てを曝け出す。



その先には深い霧。
あなたはそれに見覚えがあるだろう。

昨晩踏み入った最奥部への道。
それと全く同じ深さ。
間違いなく、西の森へと続いている。


確信を抱いたあなたは、その両足に最後の魔力を送り込む。
揺れ始める視界を強く睨み、あなた達は最後の希望へ駆け抜ける!



その一撃は、天より下る裁きにも似ていた。
世界を割る轟音を伴って、黒雷が何もかもを蹂躙する。

それが、あらゆる死の運命を打ち砕いた。


【轟音 猿】

威力 16
感覚 8
聴覚 1

耐久 -2

目標値 -23 (自動失敗 / 気絶)


【轟音 少女】

耐久 3

威力 -16
感覚 -9
聴覚 -1

目標値 -23 (自動失敗 / 気絶)


【轟音 少年】

耐久 5

威力 -16

目標値 -11 (自動失敗 / 気絶)


【轟音 あなた】

耐久 7

威力 -16

目標値 -9 (自動失敗 / 気絶)




【気絶からの覚醒 耐久対抗】

基準値 5

耐久 7

耐久 -2 (無毛の猿)

目標値 10 (自動成功)




あなたが目を覚ますと、周囲には多くの影が転がっていた。

少年と少女と、皺だらけの裸の猿が数十。
その内少女と猿は耳から血を流しているのが見て取れた。
恐らくは鼓膜が破れたのだろう。
それだけの規格外の轟音であった。

あなたは自身の腕を見つめ、戦慄する。
全力で放つ魔力とは、これほどのものであったのかと。


とはいえ、これは好機である。
猿に起き上がる気配は未だない。
行動を起こすならば一切の邪魔は入らないだろう。


そう思い身を起こしたあなただったが、揺れる視界に再び膝を着く。
もしやと思い心臓を探れば、そこには気絶している間に回復しただろうほんの一掬いの力しか残っていない。
あなたの魔力は、先の一撃で使いきられてしまったようだ。



>>↓1  どうする?

狼の心臓を食べて二人を抱えて隠し通路を抜ける


あなたは少年の荷物を漁り、そこから狼の心臓を取り出した。

この心臓にも魔力が宿っていると、少年は言っていた。
ならば、これを食べれば魔力を回復できる可能性がある。
今の魔力が不足した状態では、不測の事態に対し満足な対処は難しいだろう。

狼の体毛と同じ、闇色に染まるそれに、あなたは意を決して歯を立てた。



>>↓1 コンマ判定 【時間短縮】

筋力 9

耐久 -4 (シャドウ・ウルフ)

目標値 5

※ この判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します


あなたは想像以上の心筋の硬さに、
そして未調理による余りにも酷い味に苦労しながらも、何とかそれを咀嚼し飲み込む事に成功した。

込み上げる吐き気を必死に堪え、自身の魔力を探る。
……残念ながら、取り戻せた魔力はさほど多くはない。
もし今魔法を扱おうとすれば、使用自体は問題なく出来るだろうが、
その後十分な意識を保てるかは運次第になるだろう。

それでも、視界の揺れは収まった。
あなたは急ぎ二人を抱え、偽壁の残骸が散らばる通路へ歩み入る。


短い通路の先の大部屋を、あなたは育児部屋だと判断した。

地面には十匹ほどの小さな猿と、大きく腹が膨れた二匹の猿。
猿達はどうやら縄張りの一部を隠し、共同で子供を育てていたらしい。
こちらも耳から血を流し、ぐったりと倒れこんでいる。

まだ起き上がるどころか、身動ぎする様子もない。
時間の余裕はありそうだった。



二人を抱えたまま、部屋の壁に沿って回る。
一見して分かる通路はなく、行き止まりのようにも見える。




◆ 地図情報を更新します

【猿の縄張り】




【最奥部への道】





>>↓1  どうする?

クモ部屋まで引き返す。フィジカルブースト敏捷へ使用
途中少年が起きたら、少女に活いれてもらう


【21:30】


あなたは道を引き返し、大蜘蛛の部屋まで戻ると決定した。

現状、迷宮の中で最も安全と思えるのは、そこしかない。
もしこの育児部屋にも隠し通路があったとして、霧の濃さから考えて西の森に出るはずだ。
全く道の分からない濃霧の中を、二人を抱えて出口を目指す、などという試みは自殺に等しいと思えたのだ。

そうと決まれば一刻も早く脱出を行うべきだろう。
あなたは二人を抱え直し、魔力を両足へと集中させた。


◆ フィジカル・ブースト

敏捷 1 → 2 (魔力不足により、強化値自動決定)


途端、強い眩暈があなたを襲う。
視界に映る全てが崩れ、溶け合い、絡み合っていく。



>>↓1 コンマ判定 【朦朧抵抗】

意思 3

目標値 3


【朦朧抵抗】

目標値 3  出目 1

クリティカル!!


だが、耐えられない程ではない。
歯で唇を噛み切り、その痛みで無理矢理に意識を繋ぎ止める。

と、その時だ。
あなたは不意に体が軽くなったのを感じた。
魔力が腹の中から湧き出してきているのだ。

あなたはつい先程口にした狼の心臓を思い出す。
そこに宿る魔力は、全てがあなたの体に溶け出したわけではなかったのだ。

回復した量は、先程よりも明確に多い。
今襲い来た眩暈どころか、僅かに残っていた不快感すら消え去った。
いける、とあなたは確信する。
猿の縄張りを抜けるまで、あなたの魔力は間違いなく持つはずだ。

今や問題はたった一つ。
猿達がその目を覚ますまでに、出口へ辿り付けるかどうかだけ。



>>↓1 コンマ判定 【脱出時間短縮】

敏捷 2

目標値 2


※ この判定は、目標値と出目の差によって結果が変動します


【脱出時間短縮】

目標値 2  出目 9

差 -7

時間短縮に失敗しました


あなたは猿に刺激を与えないよう、そっと隠し通路へ向かう。
鼓膜が破れ耳が使えない上に、かなり深く昏倒しているように見える。
だが、万が一はあってはならないのだ。

一歩ずつ、確実に歩みを進める。



>>↓1 コンマ判定 【気絶からの覚醒 少年】

耐久 5
時間 1

目標値 6




◆ NPCの行動理念が優先されます、安価指定行動 【少女に活を入れてもらう】 はこの後に保留されます



その時、何かが動く感触が伝わり、あなたは酷く驚愕しただろう。
だが、すぐに脇に抱えた少年が覚醒しかけているのだと気付く。

あなたの筋力は人外の域にあるが、自分で歩けるならば当然その方が脱出には有利だろう。
静かに腰を落とし、少年の手足を地面に着けさせる。


『ぅ……ここは?
 ……いえ、どうなりましたか?』


少年は完全に目を覚ましたようだ。
混乱していたのも束の間。
すぐに目を見開き、状況を把握しようとしている。

あなたはそれに端的に答えた。
詳細を説明する余裕があるとは限らない。
ここは聖地ではなく、育児部屋であり、猿が気絶している間に脱出するべきだ、と。

しかし、少年はあなたの提案に少し考えた後、首を横に振った。


『これは千載一遇の好機です。
 今なら邪魔は入らない。
 聖地を目指すべきだと、僕は思います』


少年の瞳の光は強く、その意思は固そうに見える。
彼を説得しようとするならば、あなたは自身の言葉に説得力を持たせなければならないだろう。



>>↓1  何と答える?

分かった、行こう


あなたは少年の説得を諦めた。
半ば睨む程の瞳の力に、生半な言葉は届かないと判断したのだ。
考えを曲げさせるならば相当の時間がかかる可能性もある。
それならば、さっさと聖地を探してしまう方が早い。

あなたは少年へ頷いて肯定を示し、次いでぐったりとした少女を見せる。
少年はすぐに意図を理解し、少女へと手を伸ばした。



>>↓1 コンマ判定 【気絶からの覚醒 少女】

耐久 3

目標値 3


【気絶からの覚醒 少女】

目標値 3  出目 1

クリティカル!!


少女の背に当てられた少年の手が、一度力強く押し込まれる。
すると、少女はいとも簡単に覚醒した。
衝撃のためか小さく咳き込み、目を白黒させている。

しかし、どうやら一人で動く事は難しそうだ。
やはり鼓膜が損傷しているのだろう。
酷くふらつき立ち上がる事も出来ず、口からも呻き声が漏れるだけだ。

それを見て、少年はすぐさま長い両耳に手を当てた。


『……治療の難しい破れ方はしていないようですね。
 これなら、短時間で治せます』


少年が呟く。
奇跡を用いて治療を行う際、魔力の手応えで凡その具合が分かるらしい。
それによれば、少女は簡単な治療で聴力を取り戻す事が出来るようだ。

勿論、この場に留まって治療を行うのは危険が大きい。
ひとまずは背に負ったまま、癒しながら移動を行うべきだと、あなた達は結論した。



◆ クリティカル効果により、少女の鼓膜が移動中に自動回復します


あなた達は通路を抜け、多数の猿達が倒れる大部屋へと出た。
聖地を目指す以上、この部屋にもう用は無いはずだ。

だが、もしあなたに何かやりたい事があるならば、それを行う事も出来る。
ただし当然、時間をかけすぎるようならば猿が覚醒する可能性もあるだろう。



>>↓1  どうする?

ネズミの亡骸を一匹だけでも持っていこう


大部屋を抜ける途中、あなたの目に留まる物があった。
草の緑の中、一箇所だけ赤く染まる場所。
小さな命達の欠片が、そこにある。

あなた達に時間は無い。
猿はいつ覚醒するか分からない。
余計な事をしている暇などありはしない。


だが、そして勿論、あなたのその行動が、余計である訳もなかった。


胴を二つに割り裂かれた、一匹の鼠をあなたは拾い上げる。

鼠達の姿はどれも良く似ていて、見分けなどつけようもない。
なのに何故だろうか。
その一匹は、あなたの手から始めに餌を食べた一匹だと、あなたには理解できた。


恐らく、あなたが餌を与えず、懐かれる事もなく、ここに連れてこなければ、今も森の中を駆け回っていただろう。

ごめんなさい。
そう声を出しかけて、あなたは訂正した。

ありがとう、と。




鼠は小さく、拾い上げるにも、別れを告げるにも、かかった時間は最小であった。
あなた達は何事もなく、鼠達の眠る部屋を抜けていく。


【21:45】





あなた達は曲がる通路を走り、細長い大部屋へ至る。

その入り口の罠に、気付かない訳がない。
あなたが拾い上げてきた鼠が教えてくれているようだ。
折角体を張って見つけた罠を、どうか忘れてくれるなと。



部屋を走りつつ、あなたは地図を脳裏に描く。
縄張りの未踏破区域への道は二つ。

細長い大部屋を出てすぐの道か。
それとも最初の小部屋からの道か。

あなた達の選択は……。


>>↓1  どちらへ進む?

北に行きたいし見つけていない罠とかで時間もかけたくない
細い大部屋近くの道で


あなた達は大部屋を出て、そのまま正面へと走った。
向かうべきは北、そして時間をかけるわけにはいかない。
順当に考えて少しでも可能性が高い方向へ、迷わずに突き進む。



◆ 地図情報が更新されます




そこは、森の中で始めて見る部屋だった。

違和は頭上にある。
迷宮の天井を形作る枝に蔓が絡みつき、地面に届くほどに長く垂れ下がっている。
そこから生える細長い実を見て、あなたはここが農園なのだと気付いた。

視線を巡らせれば、薄い霧のかかる部屋の南側に、天井から外された蔓が巻かれて置かれている。
いや、正確にはこれから天井に掛けられる予定だった物か。

迷宮は満月の夜に組み変わる。
時期が来る度に蔓を外し、終わればまた絡め、猿達は農園を維持してきたのだろう。
その知能に、あなたは改めて身を震わせた。



猿達が起きていたならば、死に物狂いで守っただろう部屋は、しかし今はあなた達以外何も居ない。
通路は二本、東と北へ延びている。





>>↓1  どちらへ?

勿論北へ


◆ 地図情報が更新されます





北の部屋へと踏み入れば、真っ先に積み上げられた実が目に入る。
先程の部屋が農園ならば、こちらは貯蔵庫だ。
驚くべき量の備蓄である。

あなたは大部屋に倒れる猿達を思い起こす。
仮に猿があの倍は居たとしても、相当の期間を食い繋ぐ事が出来るだろう。

もし、あなた達が隠し通路のあった大部屋を目指さず、農園を発見したとして、
蔓の全てを燃やし兵糧攻めを試みる、などという未来もあったかも知れない。
その場合、こうして大量の食料がある以上、何の効果も上げる事はなかっただろう。

勿論、それはもしもの話である。
全く別の手段を取ったあなた達には、何の関係もない話だ。



目に入る通路は一つ。
あなた達には幸いな事に、それは北へと向かっている。



>>↓1 コンマ判定 【猿の覚醒】

幸運 9

時間 -1

目標値 8


そこにあったのは、残骸だった。

部屋にはうず高く、残骸が積まれている。
あなたは縄張りを進む中で見た、幾つかの人工物を思い出しただろう。

朽ちた壁材。
崩れた井戸。

広場の中央に鎮座するのは、そういった物の山であった。

砕けた器、半ばで折れた鍬や鋤、千切れて原型の分からない衣服のような物、明らかな人の営みの痕跡がその山から顔を出す。




『……もう大丈夫そう。
 下ろして。
 自分で歩けるわ』


あなたの背後、少女を負う少年の背から声が聞こえた。
振り返って見れば、少女は自分の足でしっかりと大地に立っていた。


『まだ……残ってたのね。
 もうとっくに、迷宮に呑まれて無くなってると思ってたのに。

 村の跡よ。
 私達エルフは、聖地を囲んで村を作るの。

 これがここにあるなら、聖地はすぐそこにある、っていうこと』


少女は一人歩を進める。
何かを確信したように、真っ直ぐに迷いなく。
部屋の隅の壁へと向かって。


『……ほら、やっぱり。
 ここよ、また隠してある。

 お願いしていい……?』


少女は不自然な程に弱弱しい声で、あなたへと頼んだ。

無論、あなたに断る理由はない。
魔力は未だ回復してはいないが、猿が動く気配もない今、木々を退け道を開くだけなら魔力を用いる必要はない。


あなたは偽の壁を形作る壁に手をかけ、そして……。


暖かな風が吹いた。

取り払われた壁の向こうから、神聖な気配を伴って。



半ば物質化し、蛍のような光となった魔力が風に乗り舞い踊る。

迷宮の中という事も忘れ魅入るあなたに、囁くような声が聞こえる。

それは余りに小さく、そして現世の命とは位階を別にしているのだろう。
異国の言葉のようなそれを、あなたは理解する事が出来ない。



囁きに答える者は一人。

涙を滲ませた声で、少女だけが風に応えた。



『……えぇ、ただいま。
 また会えて、良かった』





◆ エルフの聖地に到達しました、特殊攻略を終了します


■ 地図情報が更新されました


【白の森 入り口】




【白の森 猿の縄張り】 ← 【現在地】




【白の森 最奥部への道】





その余りの清浄さに、あなたは一時自身の存在すら見失っただろう。

風に招かれた聖地の中。
一本の巨木を中心とした円形の広場は、何の異常もない正常の森となっている。
そこは、数多の詩人が謳った理想郷であった。


迷宮を形作る木々は偽者だったのだと、あなたは気付く。

この一角、迷宮の魔力を退け、在りし日の姿を保つ森の木には、魂がある。
瑞々しい生命力に溢れたそれらは、過日の豊かさを無言の内に物語る。

森の民は飢えを知らない、と人は言う。
当然だろう。
この森さえあるならば、畑の一つ、家畜の一頭も要らないに違いない。


巨木を囲むように舞う光は、精霊だろうか。
今は姿を消した古き神、その御使いと伝えられる彼らは無邪気に、あなた達を歓迎するように歌い踊る。


その光景の中へ、少女が歩み入る。
顔の高さに掲げた指先に止まる幾つかの光に声をかけ、何事かを囁きあいながら。


巨木の前に立った少女は、あなたへ振り向いて言った。


『……ありがとう。
 あんたが居なかったら、きっとここには帰ってこれなかった。
 本当に感謝してるわ。
 人生で一、二を争うくらいね』


声からは既に涙の気配は消えていた。
悪い物が全て洗い流されたような、透明な微笑みを湛えている。


『私は少しやる事がある。
 初めての事だからハッキリとはわからないけど、多分短い時間じゃない。

 悪いんだけど、適当に時間潰しておいてくれる?
 ここには魔物は入ってこれないし、寛いでいてくれていいわ。
 やっちゃいけない事は精霊達が教えてくれるから、それだけ気を付けて』


少女は再び巨木へ向き直り、指先の光と声を交わす。

少年はと探せば、地面から顔を出す木の根に腰掛けて水筒を取り出す所だった。
あなたの視線に気付くと、少女と同じように透明に笑った。


あなたは何をしても良い。
ここは伝承に語られる楽園であり、一切の危険はあなたに向かう事はないだろう。



【22:00】


>>↓1  どうする?

なにやろうか、取り敢えず休息



あなたは少年に倣って休息を取る事とした。
縄張りへ踏み入ってからこちら、酷使し続けた体と心が何よりもそれを欲したのだ。

休息の場所に選んだのは、入り口近くの木の根だった。
少女は絶対の安全を口にした。
あなた自身も聖地の静寂を打ち破る者が居るとは思えない。
だが、万が一はあってはならない、と考えたのだ。


荷物を降ろし座り込めば、想像以上の疲労感に思わず息を吐く。
まるで体が木の根と繋がってしまったようだ。
ここから立ち上がるには相当の気力が必要に違いない、などと大真面目に考える程。


そんなあなたの下へ、幾つかの光が集まってくる。
少女は、やってはいけない事は精霊が教えてくれる、と言っていた。
もしや座ってはいけない場所だったか、と焦るあなただが、すぐに違うと気付くだろう。

淡い光、精霊達はじゃれつくように、あなたの頭の周りを楽しげに飛び交う。


それが唐突に、何かを伝えたがっているように、あなたは感じた。



>>↓1 コンマ判定 【精霊言語】

感覚 7

目標値 7


ぱちん、と音を立てて、あなたの中の何かが世界と繋がった。


"ありがとう"

"みんなみんな よろこんでる"

"ありがとう ありがとう"

"またあえた わたしのこどもにまたあえた"


あなたの頭の中に言葉が響く。
それは精霊の言葉。
限られた者にしか心を開かない、気ままなる古き神々の言語。


"おれいをしなきゃ"

"ちからになろう"

"あなたのために しゅくふくを"

"あなたのあゆむみちゆきを かぜのいのりが ひらくように"


精霊達はその光を強め、あなたの掌に集う。

あなたの脳裏に一つの像が結ばれた。
柔らかな風を纏うそれはやがて、現実すらも侵食する。



>>↓1  あなたが思い浮かべたイメージを指定して下さい

稲妻のように速い足


あなたの手に集った風と光は、見慣れた形に収束する。

それは飾り気のない焦げ茶色のブーツ。
だが、そこに秘められた未知の魔力を、あなたは正確に理解した。



◆ 【ブーツ・オブ・ライトニング】 を入手しました


■ ブーツ・オブ・ライトニング

攻撃補正 1
防御補正 1
命中補正 2
回避補正 2


◆ 特殊能力

【雷速】

このアイテムはあなたの肉体を雷の速度で運ぶ事ができる。
雷速での移動により、回避・命中・移動判定を確定成功させる。
また、あなたの考えうる他のあらゆる行為に応用できる。
この能力は一日に一度だけ使用可能。




ブーツの持つ魔力に驚愕している間に、精霊達は飛び去っていった。
巨木の枝に止まり、小さな声で笑いあっている。

そこへ向かって手を振り、あなたは感謝を伝えた。



【22:15】


>>↓1  どうする?

精霊と会話、姉について聞けるか試みる


あなたはふと思いつく事があった。

どうやら精霊達とは会話を行う事ができるようだ。
ならば、姉についても聞けるのではないだろうか?

精霊達は、少女の言も合わせて考えれば、ずっとここに居た可能性が高い。
迷宮を駆けるその姿を、もしかしたら見ていたかも知れないのだ。


その考えに至ったあなたは居ても立っても居られず、最も近くの光に声を投げかける。
自分によく似た、双剣の少女を知らないか、と。

彼らの返答は……。


"たすけにいった"

"わたしのこどもを たすけにいった"

"だけどそのまま どこかへいった"

"まってるのに まってるのに こどもたちはかえってこない"


そう伝えて、精霊達は悲しむように散っていく。
あなたが再度呼びかけてみても、彼らはその耳を貸そうとしない。

やがて、あなたを避けるように光を瞬かせて消えていってしまった。


あなたはしばし光を追って、問いかけ続けた。
しかし、それに答える声は聞こえない。

どうやら、あなたが精霊から聞き出し得る情報は、先の言葉が全てのようだ。



【22:30】


>>↓1  どうする?

安全なとこでも散策?


あなたはもう一度座る気持ちも起きず、そのまま散策を行う事にした。

手に入るかと思った姉の情報。
それが目の前をすり抜けていった感触に、耐えかねたためであろう。


瑞々しい木々の間を歩けば、やはりここは迷宮の中なのだと気付く事ができた。
平穏に包まれる森の外に、絡み合う壁が見えるのだ。
巨木を中心とした円形の内にのみ、楽園が唐突に存在している。

それだけ特別な物なのだろう巨木を振り向けば、少女がその幹に額を当てていた。
今や精霊の言語を理解できるあなたには、感覚的に理解が出来た。

巨木自体と会話をしているのだ。
その内容は分からない。
だがきっと、穏やかで優しいものである事だけは、微笑む少女の顔を見れば誰にでも分かる事だ。

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