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大日本帝国
大日本帝󠄁國
Empire of Japan

(国旗)
(国章)
天皇：徳仁陛下
His majesty the emperor Naruhito
国歌：君が代
Kimigayo
公用語：日本語
首都：東京市
政府
内閣総理大臣岸田 文雄
官房長官松野 博一
内務大臣金子 恭之
外務大臣林 芳正
大蔵大臣鈴木 俊一
陸軍大臣吉田 圭秀
海軍大臣斎藤 聡
拓務大臣岸田文雄
法務大臣古川 禎久
文部科学大臣末松 信介
農林水産大臣金子 原二郎
通商産業大臣萩生田 光一
運輸大臣斉藤 鉄夫
建設大臣野田 聖子
郵政大臣山口 壯
地図

大日本帝国(英名:Empire of Japan)は東アジアに勢力圏を持つ立憲君主制国家である。カムチャツカ半島から続く弧状列島である日本列島を主な領土とし、朝鮮半島や台湾島、西太平洋に広大な海外領土を持つ。また豪州の葛城共和国と国家連合を、フィジーと自由連合を組織している他、「大日本帝国と不可分的関係を持つ独立国家」である満洲国に大きな影響力を持っている。首都は東京府東京市。大日本帝国憲法の元、天皇を中心に政治が行われている。主な居住民族は日本人であり、彼らの通用する日本語は大日本帝国の公用語(非公式)として帝国内で使われている。

ページマップ

概要

地理

  • 首都：東京市
  • 最大の都市：東京市
  • 面積：988,906km2
  • 人口：243,414,000人
  • 時間帯：UTC +9時間

政治

  • 政体：プロイセン式立憲君主制
  • 天皇：徳仁(第126代)
  • 議会：貴族院と衆議院の二院制
  • 政府：岸田文雄内閣(第101代)

経済

  • 通貨：日本円
  • 国内総生産：

国土

我が国の領土は大日本帝国の根幹を成す本土である内地と、海外領土である外地に別れ、それぞれの法的扱いが全く異なることから範囲は厳密に定められている。内地と外地はそれぞれ、
  • 内地
    • 本土(2庁3府43県)
      日本主要4島及び南西諸島・千島列島・樺太など
    • 朝鮮地方統監府(2府18県)
      朝鮮半島・済州島・鬱陵島
    • 台湾地方統監府(8県)
      台湾島・澎湖諸島
    • 南洋庁
      グアム島・南マリアナ諸島・カロリン諸島・マーシャル諸島
    • 東葛庁
      北東パプアニューギニア・ビスマルク諸島・ソロモン諸島・ニューへブリディーズ諸島・ナウル・ギルバート諸島・エリス諸島
  • 外地
となっている。
大日本帝国の行政区分

内地(本土)

内地とは、平たく言えば大日本帝国の本土と呼べる部分である。古くから日本人の居住する地域、あるいは明治期以降日本人が植民した地域が内地と定義されている。

古来より日本人が居住した本州・四国・九州・佐渡・淡路・隠岐・対馬・壱岐の地域は「大八洲」と呼ばれ、諸説はあるが701年の大宝律令の時には令制国として分割され日本の領土として認識されていた。
中世から近世にかけては、日本人は徐々に蝦夷地(北海道)へと進出して植民を続けて行った。江戸時代の中期にはロシア帝国の南下を警戒して、幕府は近藤重蔵や間宮林蔵を探索に派遣。「大日本恵登呂府」の碑を択捉島に建てたことが日本の領有の根拠となり、1855年にロシア帝国との間に締結された日本国魯西亜国通好条約によって択捉島と得撫島の間に国境線が定められ、北海道は日本の領土となった。
明治維新後は、かつて日清両属であった琉球王国に琉球藩を設置した上でかの王を藩王に封じ、その後廃藩置県で沖縄県を設置して琉球を内地に編入した。同時期に千島列島について、ロシアと千島樺太交換条約を締結することにより得撫島以北の18島も内地に編入している。
樺太はかつて蝦夷地の延長として日本人(倭人)も居住していた土地であった。江戸時代末期に日露和親条約で日露雑居の土地と定められたのち、千島樺太交換条約で樺太全島をロシアに割譲することとなるが、日露戦争での戦勝により帝国は講和条約のマンチェスター条約で北緯50°以南の樺太島を獲得している。この後は準内地という立ち位置であったが、1943年に内地に編入され、現在に至っている。
そのほか、小笠原諸島・北大東島・南大東島・硫黄島・北硫黄島・南硫黄島・南鳥島・魚釣島・沖大東島・竹島・沖ノ鳥島・大鳥島(ウェーク島)に関してもそれぞれ法令で内地に編入されている。また、後述するが朝鮮、台湾、南洋庁、東葛庁も内地編入が行われている。

内地の行政は、かつての外地であった朝鮮総督府や南洋庁でみられた間接統治機構はなく、帝国政府の直轄となっている。政府の下には軍管区に対応して地方統監府が置かれ、その下に庁府県と呼ばれる広域行政単位が置かれている。一応、庁府県の上には地方と呼ばれる更に大きなくくりがあるが、これらは曖昧で揺れが大きく、更に非公式な区分である。庁府県の内部には市町村が置かれ、このうち町村をまとめる郡が置かれている。一部の市は政令指定都市や中核市に指定されている。
大日本帝国郡域図

旧外地(内地)

旧外地とは、法的には内地であるものの、元々外地であったところから皇民化政策が功を奏し内地に編入された地域を指す。もちろん政令には内地と外地のみが規定されており「旧外地」なんてものはないが、市井では便宜上日本列島及び樺太庁を「本土」、それ以外の内地を「旧外地」などと呼ばれており、この記事もそれに準じ分けている。

朝鮮
朝鮮は元々は清国の属国であったが、日清戦争の勝利後は大韓帝国として独立。その後日露戦争と3度にわたる日韓協約の末、1910年に韓国併合という形で帝国に編入され、1980年に内地編入されている。朝鮮地方統監府の下に2府18県が設置され行政権を行使し統治を行っている。

台湾
元々清国の領土であったところ、日清戦争の講和条約、下関条約で帝国に割譲され領土となる。1938年には新南群島の領有宣言を行い編入したが、1952年にインドシナに売却する形で手放している。1972年に内地編入され、台湾地方統監府の下8県が置かれて統治が行われている。

南洋庁
1919年にドイツとの戦後処理条約・ケルン条約を締結して獲得した旧ドイツ領ニューギニアのうち、赤道以北の部分に成立した地域である。マリアナ諸島と米西戦争が存在しない関係でドイツがそのまま買い取ったグアム島、カロリン諸島、ラリック列島、ラタック列島などから構成されている。1955年に内地編入がされた後もパラオ諸島のコロールに南洋庁が置かれて行政を担っている。

東葛庁
南洋庁と同じタイミングで設置され、旧ドイツ領ニューギニアの赤道以南(ニューギニア島北東部、ビスマルク諸島、ブーゲンビル島、ナウル島)をもって成立した。1945年には旧英領のソロモン諸島・ニューヘブリディーズ諸島・ギルバート諸島・エリス諸島・フィジー諸島に進駐し編入している。1955年に内地編入されたのち、支庁の一つであったフィジー諸島が1993年に分離し自由連合として半独立国となった。新英島(ニューブリテン島)のラバウルに置かれた東葛庁が行政を行っている。

外地

外地とは大日本帝国の本土である内地以外の地域であり、主な住民が日本人以外の地域である。現在はほとんどが内地編入され、外地のほとんどは租借地によって占められている。

関東庁
1905年の日露戦争の講和条約であるマンチェスター条約により、帝国がロシアの租借していた遼東半島の租借権を引き継ぎ外地に加わった。当初は統治機構として関東都督府が置かれていたが、1919年に陸軍部が関東軍として独立すると、関東都督府民政部は関東庁へと再編され現在に至る。1920年の支那国成立後は支那国からの租借地、1932年の満洲国成立以降は満洲国からの租借地と移り変わっている。当初の租借期限は25年であったが、1915年に租借期限が1997年までに延長。1996年に再び租借に関する条約が締結されて2096年までの租借が認められた。

海南庁
海南庁の領域は海南島及び雷州半島である。支那事変の最中の1939年に帝国海軍が占領し、1944年の支那国との条約で租借地として獲得した。元々は台湾の植民地として計画されたものの、計画の変更により海南庁が統治機構として独立して設置された。

フィジー(自由連合)
1993年にフィジー諸島が東葛庁より分離して成立し半独立国となった立憲君主制国家。大日本帝国とは自由連合という形で連合しており、統治機構も高度な自治程度であることから法律上は外地と扱われている。

その他

「大日本帝国と不可分的関係を持つ国家」として満洲国が存在する。満洲事変を経て1932年に建国された国家であり、以降は日本人の移住先としての機能を果たしてきた。詳しくは満洲国のページを参照。
また、1944年の支那事変終結により満洲国を含め支那の各勢力で連合が組織され、以降中華連邦として支那大陸に存在している。この中華連邦も我が国の影響下にある国家の一つである。詳しくは中華連邦のページを参照。

歴史

大日本帝国の歴史は以下の通りである。

【略史】

【近代以降の詳史】

政治


帝国憲法下の統治機構

本邦の政治体制はプロイセン式立憲君主制であり、大日本帝国憲法を最高法規として政治が執り行われている。この政治体制は主に天皇に軍の統帥権や内閣の任命権などの権力を集中させ(中央集権)、内閣や帝国議会などの諸機関は天皇を輔弼、協賛する機関であるとするものである。

天皇

建国以来約2600年の間、代々天皇家が天皇位を世襲し国家元首として鎮座している。現在は第126代天皇の徳仁陛下を元首としている。帝国憲法に於いては天皇は万世一系であり(第一条)、神聖な存在である(第三条)と明記されている。また天皇には統治権の総攬(第四条)や陸海軍の統帥権(第十一条)などの大権が認められている。
昭和期に於いては特に、大日本帝国の統治権の主体は天皇にあるとする穂積八束らの提唱する「天皇主権説」と、大日本帝国の統治権の主体は国家にあるとする美濃部達吉らの提唱する「天皇機関説」で大きな対立を引き起こしたが、1935年に岡田啓介内閣により発された「国体明徴声明」により天皇が統治権の主体であるとする「天皇主権説」が認められ現在に至っている。

議会

帝国議会という名の国会が置かれ、貴族院と衆議院の二院制を採用している(第三十三条)。貴族院議員は皇族・華族などを天皇が勅任する任命制(第三十四条)、衆議院議員は身分に関わらず公選制で任命される(第三十五条)。任期はそれぞれ7年と4年で、衆議院は天皇によって任期途中での解散が可能(第七条)。選挙は中選挙区制で行われ、選挙権は25歳以上の男子に与えられている。帝国議会は毎年開催され(第四十一条)、会期は3ヶ月であるが(第四十二条)天皇陛下の勅命により会期の延長(第四十二条)や臨時国会の召集が可能となる(第四十三条)。帝国議会は三権分立の思想のもと、三権のうちの立法権を有する機関として法案を提出し(第三十八条)、法案や予算案の審議(第六十四条)を行うが、帝国憲法においては帝国議会は天皇の協賛機関と定められており(第五条)、天皇大権を記した帝国憲法の影響を色濃く受けている。また、帝国議会のほかにも天皇の諮問機関たる枢密院が存在する。

内閣

内閣と呼ばれる政府が存在し、国内の行政を行っている。内閣の下では国の業務をそれぞれの省庁が分轄して行っており、国の成立当初から統廃合を繰り返し現在は1府14省とその外局などで構成される。また、内閣にはこれらの省庁の長として国務大臣が、国務大臣をまとめ内閣の代表となる人物として内閣総理大臣がそれぞれ所属している。
三権のうちの行政権を担っているが、帝国憲法下ではあくまで統治権は天皇が総攬することとなっており(第四条)、内閣はあくまで天皇を輔弼する立場であること(第五十五条)が記されている。

【内閣の組織図】

憲法

本邦は1890年に施行された欽定憲法である大日本帝国憲法を最高法規として政治が行われている。この憲法のあらましとしては、天皇は政治や軍事の総攬を行う大権を有し、臣民に於いても憲法の範囲内で権利が認められるというものである。この憲法は不磨の大典として、現代に至るまで一度も改正されていない。

【大日本帝国憲法】

第一章 天皇
第一條 天皇ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス
第二條 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ繼承ス
第三條 天皇ハ�胆札縫轡匿�スヘカラス
第四條 天皇ハ國ノ元首ニシテ統治權ヲ總攬シ此ノ憲法ノ條規ニ依リ之ヲ行フ
第五條 天皇ハ帝國議會ノ協贊ヲ以テ立法權ヲ行フ
第六條 天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス
第七條 天皇ハ帝國議會ヲ召集シ其ノ開會閉會停會及衆議院ノ解散ヲ命ス
第八條 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル爲緊急ノ必要ニ由リ帝國議會閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ敕令ヲ發ス
2.此ノ敕令ハ次ノ會期ニ於テ帝國議會ニ提出スヘシ若議會ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ將來ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ
第九條 天皇ハ法律ヲ執行スル爲ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸�謄鴒畤淵好諤�ニ必要ナル命令ヲ發シ又ハ發セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ變更スルコトヲ得ス
第十條 天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各々其ノ條項ニ依ル
第十一條 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
第十二條 天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム
第十三條 天皇ハ戰ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ條約ヲ締結ス
第十四條 天皇ハ戒嚴ヲ宣告ス
2.戒嚴ノ要件及効力ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條 天皇ハ爵位勲章及其ノ他ノ榮典ヲ授與ス
第十六條 天皇ハ大赦特赦減刑及復權ヲ命ス
第十七條 攝政ヲ置クハ皇室典範ノ定ムル所ニ依ル
2.攝政ハ天皇ノ名ニ於テ大權ヲ行フ
第二章 臣民權利義務
第十八條 日本臣民タル要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第十九條 日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ應シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得
第二十條 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ從ヒ兵役ノ義務ヲ有ス
第二十一條 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ從ヒ納税ノ義務ヲ有ス
第二十二條 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ居住及移轉ノ自由ヲ有ス
第二十三條 日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問處罰ヲ受クルコトナシ
第二十四條 日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ權ヲ奪ハルヽコトナシ
第二十五條 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ及搜索セラルヽコトナシ
第二十六條 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ侵サルヽコトナシ
第二十七條 日本臣民ハ其ノ所有權ヲ侵サルヽコトナシ
2.公益ノ爲必要ナル處分ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第二十八條 日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス
第二十九條 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集會及結社ノ自由ヲ有ス
第三十條 日本臣民ハ相当ノ敬禮ヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ從ヒ請願ヲ爲スコトヲ得
第三十一條 本章ニ掲ケタル條規ハ戰時又ハ國家事變ノ場合ニ於テ天皇大權ノ施行ヲ妨クルコトナシ
第三十二條 本章ニ掲ケタル條規ハ陸海軍ノ法令又ハ紀律ニ牴触セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス
第三章 帝國議會
第三十三條 帝國議會ハ貴族院衆議院ノ兩院ヲ以テ成立ス
第三十四條 貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族華族及敕任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
第三十五條 衆議院ハ選擧法ノ定ムル所ニ依リ公選セラレタル議員ヲ以テ組織ス
第三十六條 何人モ同時ニ兩議院ノ議員タルコトヲ得ス
第三十七條 凡テ法律ハ帝國議會ノ協贊ヲ經ルヲ要ス
第三十八條 兩議院ハ政府ノ提出スル法律案ヲ議決シ及各々法律案ヲ提出スルコトヲ得
第三十九條 両議院ノ一ニ於テ否決シタル法律案ハ同會期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス
第四十條 兩議院ハ法律又ハ其ノ他ノ事件ニ付キ各々其ノ意見ヲ政府ニ建議スルコトヲ得但シ其ノ採納ヲ得サルモノハ同會期中ニ於テ再ヒ建議スルコトヲ得ス
第四十一條 帝國議會ハ毎年之ヲ召集ス
第四十二條 帝國議會ハ三箇月ヲ以テ會期トス必要アル場合ニ於テハ敕命ヲ以テ之ヲ延長スルコトアルヘシ
第四十三條 臨時緊急ノ必要アル場合ニ於テ常會ノ外臨時會ヲ召集スヘシ
2.臨時會ノ會期ヲ定ムルハ敕命ニ依ル
第四十四條 帝國議會ノ開會閉會會期ノ延長及停會ハ兩院同時ニ之ヲ行フヘシ
2.衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ貴族院ハ同時ニ停会セラルヘシ
第四十五條 衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ敕令ヲ以テ新ニ議員ヲ選擧セシメ解散ノ日ヨリ五箇月以内ニ之ヲ召集スヘシ
第四十六條 兩議院ハ各々其ノ總議員三分ノ一以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ爲ス事ヲ得ス
第四十七條 兩議院ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第四十八條 兩議院ノ會議ハ公開ス但シ政府ノ要求又ハ其ノ院ノ決議ニ依リ秘密會ト為スコトヲ得
第四十九條 兩議院ハ各々天皇ニ上奏スルコトヲ得
第五十條 兩議院ハ臣民ヨリ呈出スル請願書ヲ受クルコトヲ得
第五十一條 兩議院ハ此ノ憲法及議院法ニ掲クルモノヽ外内部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムルコトヲ得
第五十二條 兩議院ノ議員ハ議院ニ於テ發言シタル意見及表決ニ附院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ但シ議員自ラ其ノ言論ヲ演説刊行筆記又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ公布シタルトキハ一般ノ法律ニ依リ處分セラルヘシ
第五十三條 兩議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内亂外患ニ關ル罪ヲ除ク外會期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕セラルヽコトナシ
第五十四條 國務大臣及政府委員ハ何時タリトモ各議院ニ出席シ及發言スルコトヲ得
第四章 國務大臣及樞密顧問
第五十五條 國務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス
2.凡テ法律敕令其ノ他國務ニ關ル詔敕ハ國務大臣ノ副署ヲ要ス
第五十六條 樞密顧問ハ樞密院官制ノ定ムル所ニ依リ天皇ノ諮詢ニ應ヘ重要ノ國務ヲ審議ス
第五章 司法
第五十七條 司法權ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ
2.裁判所ノ構成ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第五十八條 裁判官ハ法律ニ定メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ニ任ス
2.裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ處分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルヽコトナシ
3.懲戒ノ條規ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第五十九條 裁判ノ對審判決ハ之ヲ公開ス但シ安寧秩序又ハ風俗ヲ害スルノ虞アルトキハ法律ニ依リ又ハ裁判所ノ決議ヲ以テ對審ノ公開ヲ停ムルコトヲ得
第六十條 特別裁判所ノ管轄ニ属スヘキモノハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條 行政官廳ノ違法處分ニ由リ權利ヲ傷害セラレタリトスルノ訴訟ニシテ別ニ法律ヲ以テ定メタル行政裁判所ノ裁判ニ属スヘキモノハ司法裁判所ニ於テ受理スルノ限ニ在ラス
第六章 會計
第六十二條 新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ變更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
2.但シ報償ニ属スル行政上ノ手數料及其ノ他ノ収納金ハ前項ノ限ニ在ラス
3.國債ヲ起シ及豫算ニ定メタルモノヲ除ク外國庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ爲スハ帝國議會ノ協贊ヲ經ヘシ
第六十三條 現行ノ租税ハ更ニ法律ヲ以テ之ヲ改メサル限ハ旧ニ依リ之ヲ徴収ス
第六十四條 國家ノ歳出歳入ハ毎年豫算ヲ以テ帝國議會ノ協贊ヲ經ヘシ
2.豫算ノ款項ニ超過シ又ハ豫算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝國議會ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
第六十五條 豫算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ
第六十六條 皇室經費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年國庫ヨリ之ヲ支出シ將來�甞曠鰺廛好訃豺腑鮟�ク外帝國議會ノ協贊ヲ要セス
第六十七條 憲法上ノ大權ニ基ツケル既定ノ歳出及法律ノ結果ニ由リ又ハ法律上政府ノ義務ニ属スル歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝國議會之ヲ廢除シ又ハ削減スルコトヲ得ス
第六十八條 特別ノ須要ニ因リ政府ハ豫メ年限ヲ定メ繼續費トシテ帝國議會ノ協贊ヲ求ムルコトヲ得
第六十九條 避クヘカラサル豫算ノ不足ヲ補フ爲ニ又ハ豫算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル爲ニ豫備費ヲ設クヘシ
第七十條 公共ノ安全ヲ保持スル爲緊急ノ需用アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝國議會ヲ召集スルコト能ハサルトキハ敕令ニ依リ財政上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
2.前項ノ場合ニ於テハ次ノ會期ニ於テ帝國議會ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
第七十一條 帝國議會ニ於テ豫算ヲ議定セス又ハ豫算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ豫算ヲ施行スヘシ
第七十二條 國家ノ歳出歳入ノ決算ハ會計檢査院之ヲ檢査確定シ政府ハ其ノ檢査報告ト倶ニ之ヲ帝國議會ニ提出スヘシ
2.會計檢査院ノ組織及職權ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第七章 補則
第七十三條 將來此ノ憲法ノ條約項ヲ改正スルノ必要アルトキハ敕命ヲ以テ議案ヲ帝國議會ノ議ニ附スヘシ
2.此ノ場合ニ於テ兩議院ハ各々其ノ總員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多數ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ爲スコトヲ得ス
第七十四條 皇室典範ノ改正ハ帝國議會ノ議ヲ經ルヲ要セス
2.皇室典範ヲ以テ此ノ憲法ノ條規ヲ變更スルコトヲ得ス
第七十五條 憲法及皇室典範ハ攝政ヲ置クノ�稜轡鰄旅好好襯灰肇鯑瀬�
第七十六條 法律規則命令又ハ何等ノ名稱ヲ用ヰタルニ拘ラス此ノ憲法ニ矛盾セサル現行ノ法令ハ總テ遵由ノ效力ヲ有ス
2.歳出上政府ノ義務ニ係ル現在ノ契約又ハ命令ハ總テ第六十七條ノ例ニ依ル

皇室典範

大日本帝国憲法に皇室に関する記述はあるものの、皇室に関する規定は専ら1889年に定められた皇室典範により定められている。大日本帝国憲法からは独立していることから帝国議会はこれに介入できず、皇室典範の改廃は天皇陛下により行われる。

【皇室典範】

第一章 皇位繼承
第一條 大日本國皇位ハ祖 宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ繼承ス
第二條 皇位ハ皇長子ニ傳フ
第三條 皇長子在ラサルトキハ皇長孫ニ傳フ皇長子及其ノ子孫皆在ラサルトキハ皇次子及其ノ子孫ニ傳フ以下皆之ニ例ス
第四條 皇子孫ノ皇位ヲ繼承スルハ嫡出ヲ先ニス皇庶子孫ノ皇位ヲ繼承スルハ皇嫡子孫皆在ラサルトキニ限ル
第五條 皇子孫皆在ラサルトキハ皇兄弟及其ノ子孫ニ傳フ
第六條 皇兄弟及其ノ子孫皆在ラサルトキハ皇伯叔父及其ノ子孫ニ傳フ
第七條 皇伯叔父及其ノ子孫皆在ラサルトキハ其ノ以上ニ於テ最近親ノ皇族ニ傳フ
第八條 皇兄弟以上ハ同等內ニ於テ嫡ヲ先ニシ庶ヲ後ニシ長ヲ先ニシ幼ヲ後ニス
第九條 皇嗣�李端礇録費鵐良埃�ノ重患アリ又ハ重大ノ事故アルトキハ皇族會議及樞密顧問ニ諮詢シ前數條ニ依リ繼承ノ順序ヲ換フルコトヲ得
第二章 踐祚卽位
第十條 天皇崩スルトキハ皇嗣卽チ踐祚シ祖 宗ノ��器ヲ承ク
第十一條 卽位ノ禮及大嘗祭ハ京��ニ於テ之ヲ行フ
第十二條 踐祚ノ後元號ヲ建テ一世ノ間ニ再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制ニ從フ
第三章 成年立后立太子
第十三條 天皇及皇太子皇太孫ハ滿十八年ヲ以テ成年トス
第十四條 前條ノ外ノ皇族ハ滿二十年ヲ以テ成年トス
第十五條 儲嗣タル皇子ヲ皇太子トス皇太子在ラサルトキハ儲嗣タル皇孫ヲ皇太孫トス
第十六條 皇后皇太子皇太孫ヲ立ツルトキハ詔書ヲ以テ之ヲ公布ス
第四章 敬稱
第十七條 天皇太皇太后皇太后皇后ノ敬稱ハ陛下トス
第十八條 皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃親王親王妃內親王王王妃女王ノ敬稱ハ殿下トス
第五章 攝政
第十九條 天皇未タ成年ニ達セサルトキハ攝政ヲ置ク
2.天皇久キニ亘ルノ故障ニ由リ大政ヲ親ラスルコト能ハサルトキハ皇族會議及樞密顧問ノ議ヲ經テ攝政ヲ置ク
第二十條 攝政ハ成年ニ達シタル皇太子又ハ皇太孫之ニ任ス
第二十一條 皇太子皇太孫在ラサルカ又ハ未タ成年ニ達セサルトキハ左ノ順序ニ依リ攝政ニ任ス
  • 第一 親王及王
  • 第二 皇后
  • 第三 皇太后
  • 第四 太皇太后
  • 第五 內親王及女王
第二十二條 皇族男子ノ攝政ニ任スルハ皇位繼承ノ順序ニ從フ其ノ女子ニ於ケルモ亦之ニ準ス
第二十三條 皇族女子ノ攝政ニ任スルハ其ノ配偶アラサル者ニ限ル
第二十四條 最近親ノ皇族未タ成年ニ達セサルカ又ハ其ノ他ノ事故ニ由リ他ノ皇族攝政ニ任シタルトキハ後來最近親ノ皇族成年ニ達シ又ハ其ノ事故既ニ除クト雖皇太子及皇太孫ニ對スルノ外其ノ任ヲ讓ルコトナシ
第二十五條 攝政又ハ攝政タルヘキ者 �李端礇録費鵐僚鉄汽▲衙凜禄殿腑了�故アルトキハ皇族會議及樞密顧問ノ議ヲ經テ其ノ順序ヲ換フルコトヲ得
第六章 太傅
第二十六條 天皇未タ成年ニ達セサルトキハ太傅ヲ置キ保育ヲ掌ラシム
第二十七條 先帝遺命ヲ以テ太傅ヲ任セサリシトキハ攝政ヨリ皇族會議及樞密顧問ニ諮詢シ之ヲ選任ス
第二十八條 太傅ハ攝政及其ノ子孫之ニ任スルコトヲ得ス
第二十九條 攝政ハ皇族會議及樞密顧問ニ諮詢シタル後ニ非サレハ太傅ヲ退職セシムルコトヲ得ス
第七章 皇族
第三十條 皇族ト稱フルハ太皇太后皇太后皇后皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃親王親王妃內親王王王妃女王ヲ謂フ
第三十一條 皇子ヨリ皇玄孫ニ至ルマテハ男ヲ親王女ヲ內親王トシ五世以下ハ男ヲ王女ヲ女王トス
第三十二條 天皇支系ヨリ入テ大統ヲ承クルトキハ皇兄弟姉妹ノ王女王タル者 ニ特ニ親王內親王ノ號ヲ宣賜ス
第三十三條 皇族ノ誕生命名婚嫁薨去ハ宮內大臣之ヲ公吿ス
第三十四條 皇統譜及前條ニ關ル記錄ハ圖書寮ニ於テ尚藏ス
第三十五條 皇族ハ天皇之ヲ監督ス
第三十六條 攝政在任ノ時ハ前條ノ事ヲ攝行ス
第三十七條 皇族男女幼年ニシテ父ナキ者 ハ宮內ノ官僚ニ命シ保育ヲ掌ラシム事宜ニ依リ天皇ハ其ノ父母ノ選擧セル後見人ヲ認可シ又ハ之ヲ勅選スヘシ
第三十八條 皇族ノ後見人ハ成年以上ノ皇族ニ限ル
第三十九條 皇族ノ婚嫁ハ同族又ハ勅旨ニ由リ特ニ認許セラレタル華族ニ限ル
第四十條 皇族ノ婚嫁ハ勅許ニ由ル
第四十一條 皇族ノ婚嫁ヲ許可スルノ勅書ハ宮內大臣之ニ副署 ス
第四十二條 皇族ハ養子ヲ爲スコトヲ得ス
第四十三條 皇族國疆ノ外ニ旅行セムトスルトキハ勅許ヲ請フヘシ
第四十四條 皇族女子ノ臣籍ニ嫁シタル者 ハ皇族ノ列ニ在ラス但シ特旨ニ依リ仍內親王女王ノ稱ヲ有セシムルコトアルヘシ
第八章 世傳御料
第四十五條 土地物件ノ世傳御料ト定メタルモノハ分割讓與スルコトヲ得ス
第四十六條 世傳御料ニ編入スル土地物件ハ樞密顧問ニ諮詢シ勅書ヲ以テ之ヲ定メ宮內大臣之ヲ公吿ス
第九章 皇室經費
第四十七條 皇室�軾魅励竿颯脇奪望鏗曠鯆螢疽�庫ヨリ支出セシム
第四十八條 皇室經費ノ豫算決算檢査及其ノ他ノ規則ハ皇室會計法ノ定ムル所ニ依ル
第十章 皇族訴訟及懲戒
第四十九條 皇族相互ノ民事ノ訴訟ハ勅旨ニ依リ宮內省ニ於テ裁判員ヲ命シ裁判セシメ勅裁ヲ經テ之ヲ執行ス
第五十條 人民ヨリ皇族ニ對スル民事ノ訴訟ハ東京控訴院ニ於テ之ヲ裁判ス但シ皇族ハ代人ヲ以テ訴訟ニ當ラシメ自ラ訟廷ニ出ルヲ要セス
第五十一條 皇族ハ勅許ヲ得ルニ非サレハ勾引シ又ハ裁判所ニ召喚スルコトヲ得ス
第五十二條 皇族其ノ品位ヲ辱ムルノ所行アリ又ハ皇室ニ對シ忠順ヲ缺クトキハ勅旨ヲ以テ之ヲ懲戒シ其ノ重キ者ハ皇族特權ノ一部又ハ全部ヲ停止シ若ハ剝奪スヘシ
第五十三條 皇族蕩產ノ所行アルトキハ勅旨ヲ以テ治產ノ禁ヲ宣吿シ其ノ管財者ヲ任スヘシ
第五十四條 前二條ハ皇族會議ニ諮詢シタル後之ヲ勅裁ス
第十一章 皇族會議
第五十五條 皇族會議ハ成年以上ノ皇族男子ヲ以テ組織シ內大臣樞密院議長宮內大臣司法大臣大審院長ヲ以テ參列セシム
第五十六條 天皇ハ皇族會議ニ親臨シ又ハ皇族中ノ一員ニ命シテ議長タラシム
第十二章 補則
第五十七條 現在ノ皇族五世以下親王ノ號ヲ宣賜シタル者ハ舊ニ依ル
第五十八條 皇位繼承ノ順序ハ總テ實系ニ依ル現在皇養子皇猶子又ハ他ノ繼嗣タルノ故ヲ以テ之ヲ混スルコトナシ
第五十九條 親王內親王王女王ノ品位ハ之ヲ廢ス
第六十條 親王ノ家格及其ノ他此ノ典範ニ牴觸スル例規ハ總テ之ヲ廢ス
第六十一條 皇族ノ財產歲費及�躓�則ハ別ニ之ヲ定ムヘシ
第六十二條 將來此ノ典範ノ條項ヲ改正シ又ハ�疂筌好悒�ノ必要アルニ當テハ皇族會議及樞密顧問ニ諮詢シテ之ヲ勅定スヘシ

地方政府

地方自治について

帝国における地方政府、すなわち庁府県はもともと、帝国政府の地方における出先官庁のような存在であり、特に内務省が、処理するにはあまりに膨大で煩雑な作業となる教育、河川管理、市街化計画などの実務権限を庁府県に分掌していた。しかし、近代化に伴って増大し溢れた業務は中央から続々と権限が移譲され、それにもかかわらず内務省から派遣された首長を持ち内務省の監督を受ける庁府県は、日々の業務の非効率に不満を持ち、台湾総督府の地方自治制度に影響を受け憧れを抱くようになった。1945年には軍政整理の一環として軍官民の連絡組織として庁府県の上に立ちより広域を統括する地方統監府が各地方の軍管区に対応して設置され、庁府県は地方統監府の監督下に置かれることとなったものの、「結局中央の間接統治でなんもかわんねーじゃん」と不満の声は収まらなかった。そこで、帝国政府は妥協案として1951年に地方自治法を施行した。この法律では地方の「法の範囲内での自治」が認められ、帝国の地方行政の理念の礎となったことは言うまでもないだろう。
地方自治法ではまず、地方統監府ごとに地方評議会と呼ばれる帝国議会の地方版みたいなもの設置が定められ、議席の半数は地元出身の華族、残りは庁府県ごとの大選挙区制で公選される人々で構成された。任期は4年間であるが、解散の権限は天皇陛下が持っている(←ここめっちゃ大事)。首長(知事もしくは長官)に関しては従来通り中央から派遣されるが、その庁府県出身者のみに任命資格が与えられ、地方評議会による協賛を得て天皇陛下から任命される形となった。そのほか、地方評議会には帝国議会に代わり地方統監府内(或いは庁府県内)独自の条例を施行する権限が与えられるなど、地方の権限の大幅な拡大が盛り込まれている。帝国では中央政府の肥大化による諸問題を抱えていたことから、この地方自治法施行を皮切りに、満洲国の省旗制の実験結果なども踏まえて様々な権力分掌や地方自治の政策が推し進められている。

地方行政区分

大日本帝国には古来より、律令により定められた五畿七道(のち北海道が加わり五畿八道)という行政単位と、その中の令制国という行政単位が、更に内には郡と呼ばれる集落のまとまりのようなものが存在している。例えば畿内の中には摂津国・河内国・和泉国・山城国・大和国が存在し、摂津国の中に菟原郡や八部郡などが存在する〜といった具合である。これらの行政単位は長い期間残り続けたが、明治維新により国司が廃止されると名実ともに行政的な地理区分ではなくなり、以降は戦艦の名前や駅名、市町村名などに用いられるなど形骸化した歴史的呼称となっている。
五畿七道

これらの行政単位に代わり、現在は庁府県を正式な行政単位として地方自治などを行っている。これは廃藩置県に伴って設置され、2回の府県統合を経て明治の中頃には令制国を再編する形で3府(東京府・京都府・大阪府)42県と、開拓使から3県が設置されたのち再編された北海道庁、2度の琉球処分を経て設置された沖縄県の1庁3府43県体制となった。その後は1942年の樺太庁内地編入、1955年の南洋庁・東葛庁の内地編入、1972年の台湾の内地編入による5州3庁の8県(台北県・新竹県・台中県・台南県・高雄県・台東県・花蓮港県・澎湖県)への再編、1980年の朝鮮の2府18県の内地編入を経て現在は4庁5府69県体制が確立されている。
できごと庁府県
1893年1343
1942年樺太庁内地編入2343
1955年南洋庁及び東葛庁内地編入4343
1972年台湾内地編入4351
1980年朝鮮内地編入4569
庁府県の業務は主として地方行政の実務レベルの最高機関(後述の地方統監府はあくまで軍官民の連絡と地方の監視、地方立法などが目的の内務省外局)である故に多岐に渡り、地方評議会選挙の選挙管理や河川・道路の管理、市街化計画の立案、住民福祉など挙げ始めるとキリがないほどである。
庁府県地図

そんな庁府県の上には地方統監府が存在する。前述の通り、地方統監府は1945年の軍政整理の際に内務省の外局として各地方の庁府県を監督し軍官民の連絡機関として設置された、内務省と陸軍・海軍両省肝入りの組織である。各地の軍管区と対応して設置されており、戦時には軍管区司令部と緊密に連携し内地の防衛にあたることが求められている(元は軍管区が連絡を担当する予定であったが、陸軍の権限拡大を嫌う内務省が地方統監府という外局設置の形に持って行ったと言われている)。1951年の地方自治法の制定後は地方評議会が設置され、庁府県の監視を行う上で行政面でも意義深い機関となった。平時の主な業務は地方の監視と、条例などを審議する地方評議会の開催のほか、陸軍省から移管された憲兵、海軍省から移管された沿岸警備と領海監視、内務省特別高等課から移管された所謂思想警察などの業務をそれぞれ分掌されている。地方統監府は導入された1945年当初、内地に8つ設置されたが、1972年の台湾の内地編入で台湾総督府が廃止され台湾地方統監府が、1980年の朝鮮総督府廃止と朝鮮の内地編入に伴い李王が地方統監を世襲する形で朝鮮地方統監府が追加で設置された。なお、関東軍管区と呼ばれる軍管区は存在するものの、外地であるため関東州に地方統監府は置かれていない。また、南洋庁と東葛庁には人口規模の兼ね合いから地方統監府が設置されず、庁がそれぞれ地方統監府のような業務を行っている(地方評議会は存在しない)。

庁府県の下には郡と言うものが存在する。これは律令制時代の名残で庁府県と市町村の中間に位置づけられており、全ての町村は郡に属している(伊豆諸島と小笠原諸島を除く)が、業務上ほとんど効果がないとして1923年に廃止され、現在は地理名称としてのみ残る形となっている。現在では郡内の市町村合併で郡名を新市名に採用するなどの例はあるが、市制施行で郡から離脱するケースが相次ぎ郡の地理名称の存続自体が危ぶまれている。

現在では庁府県の下位の単位は市町村と呼ばれるものであり、地方自治の最小の単位でもある。明治期の市制および町村制によって設置が始まった市町村は最初は20000を超えたが、樺太や台湾の内地編入を受けてもなお、時代が下るにつれて合理化により数を減らしていき、現在は2000前後を推移している。市か町か村かはその自治体の人口規模によって決定するが、その名称に関わらず業務内容はほぼ同じであり、住民の戸籍管理やインフラ、初等教育学校の設置、福祉サービスの提供などを平時業務とし、戦時には兵士の招集業務を行う。また、市会・町会・村会と呼ばれる議会のようなものも存在し、市町村の首長は公選され市町村会の協賛を受けて任命される。基本的に市町村は庁府県の下に置かれるが、勅令で指定された人口100万人以上の都市は勅令指定都市として庁府県からは独立して地方統監府並の権限を得ている。この勅令指定都市には天皇陛下から市旗が下賜され、地方評議会の設置が認められるほか、行政単位として下に区を設置することが認められる。また、勅令指定都市には届かないものの地域の中核となりうる都市は中核市に指定され、庁府県に隷属するものの一部の業務を分掌されている。
なお、南洋庁および東葛庁では市町村制は施行されず、支庁が市町村の業務を行っている。

【統監府/庁府県一覧】

【政令指定都市一覧】

【中核市一覧】

軍事

帝国陸軍は明治維新期の薩長土肥から徴収された「御親兵」と呼ばれる天皇陛下直属の軍隊を起源に持つ。帝国海軍は江戸幕府の幕府海軍を起源に持つ。明治維新ののち、明治政府は御親兵を組織すると、幕府海軍の所有した艦艇や施設を接収し編入した。その後1870年に海軍を分離。これより我が国の軍事は帝国陸軍と帝国海軍の2本柱で構成されることとなった。
帝国陸軍は6鎮台制などを経て現在は内地23個師団と朝鮮3個師団、台湾軍1個師団、支那駐屯軍と関東軍、江夏軍、福州軍で構成されている。
また、帝国海軍は1907年の帝国国防方針によって戦艦8隻と巡洋戦艦8隻を整備すると定めた八八艦隊計画に則った艦艇整備を実施。予算の関係で計画の修正は重なったものの、その理念は現在の八四艦隊計画として生きている。

詳細な編制などについては大日本帝国陸軍および大日本帝国海軍?を参照。

地理

自然地形

日本列島はカムチャッカ半島から台湾にかけて円弧状に島々が並ぶことで形をなしており、その成り立ちや位置から造山活動の活発な地域となっている。そのため内地のおよそ7割を山岳地帯が占め、火山活動も活発であることから浅間山や阿蘇山に代表される活火山が多く存在する。この地理的特徴は日本各地に温泉の湧出と言う恩恵を与えている一方、関東大震災や阪神淡路大震災に代表される大地震が頻発する世界有数の地震地帯を生み出す側面もあり、一長一短である。また東日本大震災の例に見られるように、大地震はしばしば津波による甚大な被害をもたらす。台湾もほぼ同じ特徴を持つが、朝鮮半島は大陸部に位置することから造山活動はそれほど活発ではなく、古期造山帯が支配的である。活火山も全く存在せず、地震も日本列島から伝わるもの以外は殆ど発生しない安定陸塊である。
山地
我が国の最高峰は長らく富士山(3776m)であったが、台湾併合以降は新高山(3952m)となり、現在はニューギニア島のウィルヘルム山(4509m)が最高峰である。日本には他にも3000m級の山々が連なる山脈がいくつか存在し、その山脈を総称して日本アルプスと呼称している。そのほかの主な山脈として、日本列島では奥羽山脈や中国山地、四国山地、九州山地などが、朝鮮では咸鏡山脈や太白山脈などが、台湾では中央山脈が存在する。またニューギニア島にはウィルヘルム山擁するビスマーク山脈が島中央部を走っている。
海岸
海岸地形では、三陸地方や嶺南、伊勢志摩などではリアス海岸が見られるほか、海岸段丘や海食崖など多種多様な地形が存在する。
海洋
我が国は太平洋、日本海、オホーツク海、東シナ海、黄海の五つの海に囲まれており、特にオホーツク海では冬季に流氷が流れ着くなどの特色がある。これらの海には暖流である日本海流(黒潮)と対馬海流、寒流である千島海流(親潮)とリマン海流が流れており、特に日本海でリマン海流と対馬海流のぶつかる潮目と呼ばれる部分では漁業が盛んに行われている。
河川
我が国で一番長い河川は朝鮮と満洲国との境を流れる鴨緑江(790km)、日本列島では信濃川(367km)である。朝鮮半島は前述の通り地理的に例外的であるが、日本列島や台湾は島嶼であることから距離が短く高低差の大きい河川が目立つ。そのほかの代表的な河川として、石狩川、利根川、荒川、淀川、筑後川などが挙げられる。
湖沼
我が国で一番大きな湖は琵琶湖である。琵琶湖は世界でも稀な古代湖としても有名だ。他に本州には浜名湖や霞ヶ浦などの湖が存在するが、湖の多くは北海道に存在する。一方で朝鮮半島や台湾島に目を向けると、大きな湖はあまり見ることができない。

気候

国土の大部分は温帯に属するが、北海道や樺太、千島列島、朝鮮半島の中部〜北部は亜寒帯、台湾の南部や海南島及び南洋諸島は熱帯に属する。一口に温帯と言っても気候風土は様々で、太平洋岸では冬に乾燥するのに対して日本海岸では冬は豪雪地帯となるなど変化に富んでいる。国内各都市の平均気温は以下の通り。
気候区分都市名年平均気温年降雨日数
Dfb札幌11.0℃273.9日
Dwa京城12.8℃108.6日
Dfa(日本海側)新潟13.9℃246.0日
Cfa(太平洋側)東京17.6℃173.0日
Cfa(中央高地)甲府16.4℃173.0日
Cfa(瀬戸内)広島17.5℃182.0日
Cfa(南西諸島)那覇23.8℃276.0日
Aw高雄25.4℃84.2日
Afコロール27.7℃263.4日
注 京城と高雄、コロールは1991年〜2020年、その他は2023年のデータ

都市

交通

帝国臣民

臣民の多くは日本人であるが、北海道や琉球、台湾などを中心として旧土人(アイヌ)や琉球民族、朝鮮人、支那人などが居住している。

日本人

内地の人口の9割超を占めるのが日本人である。日本書紀の記述によると、伊弉諾と伊奘冉によって日本の島々と森羅万象を司る神々が誕生している。また、伊弉諾の左目から生まれたとされる天照大神こそが、天皇家の先祖とされている。このことから、日本人の存在も伊弉諾と伊奘冉によって作り上げられたという学説が定説となっている。最近は科学的見地から日本人は渡来系の民族である学説も提唱されているが一般的な学説とされていない。
彼らは本州を始めとする内地をルーツに持ち、多くは内地に住むが、朝鮮や台湾などの外地に移り住んだものも多数存在し、中には遠く豪州まで渡り国を建国した者たちもいる。特に満洲国に於いては100年前から満蒙開拓団として多数の日本人が移り住んでおり、現在では日系人が半数以上を占めている。
各地に方言が分布はしているものの、概ね共通して漢字・平仮名・片仮名を使用する日本語を通用する。この日本語は大日本帝国及び満洲国、葛城共和国の公用語として指定されている。満洲国に於いては新字体と呼ばれる、一部の漢字を簡略化した字体が採用されているが、その一方で大日本帝国では引き続き旧字体と呼ばれる字体が採用されている。また、日本語全体として言文一致はほぼ完成しているが、満洲国は先進的な取り組みとして公文書や法律文の積極的な口語体への置き換えを進めているのに対し、大日本帝国に於いては依然として公的な場では文語体使用の慣例が残っている。このように、日本語には地域ごとにさまざまな形で存在するのである。

旧土人(アイヌ民族)

北海道や千島列島、樺太の原住民である。法的には旧土人と称されていたが、近年になり国内世論を受けて過去の同化政策を撤回し、「アイヌ民族」として彼らの文化を尊重し保護する運動が為されている。尤も、白老に文化伝承館のようなハコモノを作るくらいで本当に「尊重」できているのかは甚だ怪しいところである。
古くから北海道などに住んでいたが、彼らの通用するアイヌ語には文字が存在しないため歴史などは全て口伝で残されており、アイヌ側には正確な記録は存在しない。現在残る彼らの「カムイ」観も多くは明治期の研究者が長老などからの証言を記録して明らかになったものであるのだ。さて、そのような事情から、彼らが歴史の表舞台に登場するのは鎌倉時代後期、青森県は十三湊でアイヌとの交易が行われたという記録からである。彼らは農耕を行わず、狩猟や採集を行う続縄文文化(擦文文化)を近代まで持ち続けており、鮭や毛皮などを持ち込み米と交易を行っていた。アイヌとの交易は何度か途絶えたもののその後も続き安土桃山時代には松前に倭人(日本人)が進出。江戸時代には道南に12の館が築かれた。しかし明治維新が起こると北海道の探索と開拓の機運が高まり、屯田兵が内地から派遣されるとアイヌ民族の生活は崩壊の一途を辿った。彼らは政府の同化政策の犠牲となったのである。強制的な移住や近代的生活の強要など、文化を破壊する政策はその後長らく続けられることとなった
結局、同化政策の影響で現在ではアイヌの村落は消滅するか近代化し、文化もほぼ消滅した。彼らは今、かつて北の大地に息づいた過去の民族となってしまったのである。

琉球民族

主に南西諸島に居住し、琉球諸語と呼ばれる日本語の亜種と位置付けられる言語を通用するのが琉球民族である。ただし、琉球民族の位置付けはかなり曖昧であり、「日本人とするにはあまりに非日本人的で、支那・台湾人とするにはあまりに日本人的」な民族である故に、琉球民族は日本人であるとの学説から独立した民族であるとの学説まで様々ある。また言語についても日本語の一方言であるという学説や独立した言語であるという学説などが存在する。定義が難しいことをどうかご理解賜りたい。
さて、琉球民族は古くより沖縄本島を中心に生活しており、19世紀終わりまでは独立した琉球王国という国家を持って中継貿易で栄えていた。この影響で彼らの文化には支那的要素が色濃く反映されている。しかし日本で明治維新が起こると日本政府は琉球処分を実施。沖縄県を設置して実質的に併合し、同化政策を推し進めていった。この過程で職を求め、琉球民族は職を求めて日本各地に散らばっていった。
現在でも彼らの子孫は沖縄を中心とした各地に息づいており、伝統文化も保持されている。しかし同化政策の影響と記憶はいまだ根強く沖縄県民に刻まれている。

朝鮮人

朝鮮半島に居住する民族である。古くから歴代中華王朝の影響を受けた民族であるが、一方で地理的に近いことから古来より朝鮮人は日本の文化に影響を与え続けている側面もある。例えば漢字や仏教などの今の日本人を構成する要素はあらかた朝鮮人から持ち込まれたものである。
元々朝鮮半島に居住し、現在でも大多数は朝鮮半島に残っているが、韓国併合の1910年から8年に渡り行われた朝鮮土地調査事業によって土地の収奪を受けた者を中心として内地への移住者が多く発生しており、内地の都市部を中心とした各地では韓国系住民が定住している。
元々彼らは独自の文化をもち、朝鮮語を通用しはっきりとした朝鮮人という帰属意識を保有する民族であった。しかし、1910年に大日本帝国が韓国を併合すると、政府は強硬な同化政策(皇民化政策)を実施した。最初は大きな反発があったが、この皇民化政策は時代を下るにつれ更に苛烈なものとなり、1940年代には創氏改名、1950年代以降は訓民正音(ハングル)の全面廃止といった政策が採られた。結局皇民化政策自体は、1980年の李王を擁立する形での朝鮮地方統監府設置を皮切りに段階的に廃止され、小渕恵三内閣の1997年に朝鮮文化振興法が施行されるまで実に87年もの間続けられることとなる。結果、長らくの同化政策により朝鮮文化と彼らのアイデンティティは大きく失われてしまった。高齢者層は朝鮮人としてのアイデンティティを保っているものの、特に若者層は日本名を名乗り、日本語で日常会話を行い朝鮮語はあまり話せず、ハングルは読めず、民族的帰属意識は薄れ、しかし日常的にキムチやサムギョプサルは食すると言った有様である。1990年代以降は徐々に学校での朝鮮語教育が再開され、朝鮮語出版物の検閲通過基準の緩和などの皇民化政策からの転換が為されたが、あまり効果は上がらず、核家族化の進んだ都市部の子供にとっては「おばあちゃん達の話す田舎言葉」と化している状態である。朝鮮地方統監府は今後この状態をいかに打破するかを真剣に検討している。

支那人

支那人は主に支那大陸に住む民族であり、その数は約14億人と世界人口の約2割を占めている。いわゆる漢民族と呼ばれる民族である。彼らは古く支那大陸の歴史の始まりである黄河・揚子江文明の時代より大陸に住みつき、異民族の侵入などを受けて混血が進んだものの独自の文化を築き上げて東アジアの中心的存在として長い間君臨し続けた。
さて、時は流れ大日本帝国が版図を拡大するにつれて、支那人の我が帝国内に占める割合も増加していった。特に関東州や台湾、海南島などに於いては住民の大部分を支那人が占める形となっている。彼らは主に支那語を通用しているが、大日本帝国の統治政策の一環として日本語教育が行われていることから、日本語を話せる者も非常に多い。
朝鮮やアイヌ文化圏などに於いては積極的な同化政策が進められ伝統文化の否定や徹底した言語教育が行われていたが、特に支那事変収束後は支那国政府への配慮も込め同化政策は行われず、彼らの文化を寛容に受け入れる文治政治の方針へと切り替えられている。そのため彼らは現在でも独自の文化と言語を保ち続け、帝国臣民としてのアイデンティティのかたわら支那人としてのアイデンティティを確立させている。

フィジー人

フィジー人は文字通り、フィジー諸島に居住する臣民の総称である。とはいえ、フィジー人と一口に言っても彼らは一様でなく、主に3種類の人種に大別される。フィジーの原住民であるイタウケ、英国の統治時代に契約労働者として移住したインド系、日本の統治開始後に開拓民として移住した日系である。
フィジー諸島は人口92万人と比較的小さな地域であるが、その中に3つの民族が混在して生活を営んでいる。イタウケは都市部から農村部まで幅広い場所で生活基盤を有し、村落ごとに言語の差異はあるもののフィジー語と呼ばれる言語を通用する。対してインド系住民は都市部で商いを営みながら生計を立て、主にヒンディー語を通用している。一方日系人は、旧来英国人が担っていたプランテーションの経営者層などの支配者層として進出しており、基本的に日本語を通用する。
このような複雑な社会構造の中、政府が共通言語として見出したのは………やはり日本語であった。フィジー諸島では日本による併合後、他の南洋の島嶼部と同様に日本語教育が推し進められ、英語に代わる共通語にせんと躍起していた。しかし、日本語は世界で最も難しい言語と謳われる言語であり、そうは上手くはいかなかった。言語に堪能なインド系の住民はまだしも、イタウケにとって日本語習得は困難を極め、日本語教育が成立しないといった事態が続出。政府が強硬に日本語教育を推し進めたこともありイタウケを中心にほぼ無学の住民が大量発生し、インド系とイタウケとの経済格差が大きくなる結果を生んだ。また公用語が日本語に切り替わったことにより、インド系とイタウケ、日系の三者の日常でのコミュニケーションに大きな支障をきたすようになり、彼らは徐々にまとまりを失い国内が分断されるような有様であった。
現在、フィジーが自由連合の一員として半独立国となった後も、フィジー人の中には言語の問題などもあり、人種間での対立構造が存在している。これらの対立構造は時には顕在化しテロ行為やヘイトスピーチなどがスバやナンディなどの都市圏で頻発する状態だ。政府はこの問題に対応すべく手を尽くしているが、どれも一過性のものばかりで、フィジー人の融和を促す結果には繋がっていない。

その他少数民族

上記に挙げたほかにも、朝鮮や台湾などを中心に少数ながら先住民族が存在する。また、南洋の島々にはざっと数千を超える部族が暮らしを営んでいる。これら全てを書き記すことは困難を極めるので、ここにまとめて記すものとする。
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