大日本帝国陸軍(Imperial Japanese Army, IJA)とは、大日本帝国の地上軍及び空軍の一部を管轄する軍隊組織。通称は帝国陸軍。創立は1871(明治4)年であり、大日本帝国海軍?より1年早い。帝国陸軍は大元帥たる天皇に直隷し、本土の防衛及び防空、在外邦人の軍事的保護、また防衛協定を結んだ同盟国の防衛をその責務とする。

概説

 建軍以来の伝統として独立・自治の風潮が非常に強く、現代としては非常に珍しく文民統制から独立した軍隊であり、「不磨の大典」である大日本帝国憲法制定後は構造上帝国陸海軍は文民内閣より独立し、大元帥たる天皇に直隷している。これは軍政・教育部門が当初フランスに倣ったのに対し、軍令部門が当初から参謀本部の独立志向が非常に強いプロイセンに倣ったことが影響している。特に陸軍三長官と呼ばれる陸軍大臣(大臣)、参謀総長(総長)、教育総監(総監)は軍部大臣現役武官制によって現役の(予備役でない)陸軍軍人が任命されることになっており、それぞれ独立して天皇に直隷する構造となっている。これら三長官は軍政部門を担当する陸軍省、軍令部門を担当する参謀本部、教育部門を担当する教育総監部の3つの官庁に対応しており、特に軍政の長である陸軍大臣と軍令の長である参謀総長がともに現役軍人であり、また官制上それぞれ独立していることは、しばしばこの2部門の対立と暴走を招いた。その立地から陸軍省は市ヶ谷、参謀本部は三宅坂と呼ばれる。
 帝国陸軍のもう一つの大きな特徴は、郷土師団と俗称される徴兵制の軍隊である。もともとはプロイセンの採用していたカントン制と呼ばれる徴兵制の一種に倣ったものであり、全国を幾つかの管区に分けて地域ごとに徴兵し、部隊を編成するものである。この管区制度は帝国陸軍の常設師団を「郷土師団」と呼ばれる、様々な側面において地域と密接に結びついた師団とし、特に日露戦争における帝国陸軍の勝利に大きく貢献した。現在では支那事変後に再編された内地25個、台湾2個、朝鮮6個の計33個師管区によって兵員の徴募が行われ、それぞれの地域における郷土部隊となっている。

編制

概説

(詳細は大日本帝国陸軍の編制を参照)

常備団隊編制

概説
 常備団隊編制表は帝国陸軍の常備軍を定める表である。この常備軍の編成は憲法第十二条「天皇ハ陸海軍ノ編󠄁制及常備兵額ヲ定ム」により規定された天皇大権であり、天皇が帝国陸海軍大元帥として行使する三つの大権のうちの一つ(他二つは第十一条の統帥権と、第十四条の戒厳宣告権)である。したがって常備軍の編成に対しては陸軍大臣及び参謀総長の帷幄上奏が大きな影響力を持つ。もちろん議会(帝国議会)や枢密院も口出しは可能だが、最終的には軍事のプロである陸軍の人間の意見が優先されることが多い。しかし過去に一度だけこの編成権が陸軍によって蔑ろにされたことがあり、それ以来は天皇も勅使を派遣して視察させ、あるいは自ら視察に赴いてから決定することの方が多くなった。それは支那事変前夜の1937年、第13・第15・第17・第21・第22の5個師団を関東軍が「後方警備用」として要求し、陸軍省が勝手に召集を始めていたという事例であった。これは支那事変による動員発令でうやむやになりかけたものの、昭和天皇が時の閑院参謀総長宮を問い詰めておおごとになり、関東軍総司令部の人間はすべて処分されることとなった事件である。この事件により天皇も議会もこの編成権に敏感になり、以後は常備軍の編制について必ず元帥府を開いて議論されることとなった。
帝国陸軍常備団隊編制表(2024年)
大元帥陛下(大本営陸軍部)直轄
    • 台湾軍
      • 第48師団
      • 台湾第1師団
      • 台湾第2師団
    • 朝鮮軍
      • 朝鮮第1師団
      • 朝鮮第2師団
      • 朝鮮第3師団
      • 朝鮮第4師団
      • 朝鮮第5師団
      • 朝鮮第6師団
    • 南方軍
      • 第17師団
      • 第25師団
      • 独立混成第3旅団
  • 北部方面軍
      • 第7師団
      • 第23師団
      • 千島混成第1旅団
      • 千島混成第2旅団
    • 第8軍
      • 第19師団
      • 第20師団
内地防衛総司令部
    • 東部軍
      • 近衛師団
      • 第2師団
      • 第13旅団
    • 中部軍
      • 第4師団
      • 第9師団
      • 第15旅団
    • 西部軍
      • 第5師団
      • 第6師団
      • 第11師団
      • 第18旅団
関東軍
    • 第2軍
      • 第3師団
      • 戦車第1師団
      • 戦車第2師団
      • 野戦重砲兵第1旅団
  • 第1方面軍
    • 第3軍
      • 第12師団
      • 第21師団
      • 独立混成第4旅団
      • 野戦重砲兵第2旅団
      • 野戦重砲兵第6旅団
      • 第1国境守備隊
      • 第2国境守備隊
      • 第3国境守備隊
      • 第4国境守備隊
      • 第9国境守備隊
      • 第10国境守備隊
      • 第11国境守備隊
      • 第12国境守備隊
    • 第5軍
      • 第8師団
      • 第10師団
      • 第22師団
      • 騎兵第3旅団
      • 野戦重砲兵第4旅団
      • 第14国境守備隊
  • 第2方面軍
    • 第4軍
      • 第14師団
      • 第8国境守備隊
    • 第6軍
      • 第1師団
      • 騎兵第2旅団
      • 野戦重砲兵第3旅団
      • 第5国境守備隊
      • 第6国境守備隊
      • 第7国境守備隊
      • 第13国境守備隊
      • 第15国境守備隊
  • 第3方面軍
    • 第7軍
      • 第16師団
      • 第23師団
      • 野戦重砲兵第7旅団
    • 関東防衛軍
支那駐屯軍
      • 海南駐屯混成旅団
  • 北支那方面軍
      • 第26師団
    • 察哈爾駐屯軍
      • 第27師団
      • 戦車第3師団
        ・騎兵第1旅団
        ・騎兵第4旅団
      • 独立混成第2旅団

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