フィギュアスケート×ファンタジーのテキストベースRPG

アウロラ【人名】


バルハリアで、最もあつく信仰されている女神。
オーロラを司る「愛と美の女神」であり、非常に多くの「二つ名」を持っている。
彼女の持つ「異界視」の力が、氷都世界にフィギュアスケートをもたらした。

彼女の名は、地球のローマ神話に登場する曙の女神アウローラと同一で
アウローラと同一視されるギリシア神話の女神エオスとも、多くの点で
似通った性質を持っている。
もしかすると、古代には地球でも信仰されていたのかもしれない。

しかし、地球では「マイナーな神」、バルハリアでは「主神」と扱いが全く異なり
また、地球人のイメージする「美の女神」とは、正反対のふるまいさえ見せる
謎多き女神である。

以下に、多岐に及ぶ彼女の性質と能力を、二つ名を交えて解説する。

バルハリアの主神


今でこそバルハリアの「主神」の地位に祭り上げられている彼女だが
もともとは力の弱い、下位の女神だったと伝えられている。
彼女より力の強い上位の神々は、氷都世界でおよそ750年前に起こった
「五王国」の崩壊時に死に絶えるか、氷都世界を見捨てて別の異界へ逃れたらしい。

異界を視る者


女神アウロラが持つ力の中で、最も代表的な「異界視」の力に由来する二つ名。
「異界視」とは、いわゆる千里眼の一種。
その場にいながらにして、異世界の光景が「見える」力。

それは「現在」だけでなく、遠い「過去」や、不確定な「可能性としての未来」にまで及ぶ。
また、一度見た映像は決して忘れることがなく、プロジェクターのように投影して
他の者に見せることもできる。

けれども、あまりに強力な力の代償なのか。
自分のいる世界、つまり氷都世界については、過去や未来を見ることができず
現在の出来事についても、見える範囲は限られるらしい。
まさに、灯台もと暗しと言えよう。

ただし、この力は決して便利なだけのものではない。
自分が見たいものをいつでも見られるとは限らず、時には
見ないほうが良かったものさえ勝手に「見えて」しまう。
制御できない情報の洪水は、人間に近い心を持つアウロラにとって大きな重荷なのだ。

けれども、そんな時に垣間見た「異界の舞姫」の華麗なる「氷上の舞」と
どんな困難にもくじけず立ち向かう「等身大の姿」は、何より美しいものとして
彼女の目に映ったのだろう。

オーロラの主


地球では「ノーザンライト」とも呼ばれる現象に「オーロラ」の名が付けられているが
氷都世界では、アウロラその人がオーロラそのものを司る女神として知られている。

実際、彼女はオーロラの道の管理者であり、オーロラの道の出入口を
開いたり閉じたり、氷都世界に来る旅人がいきなり危険な場所に出てしまわないよう
出口を寒くなく、安全な場所へ調整しているらしい。

また、万が一氷都世界に害を及ぼすようなものがオーロラの道に入り込んだ場合
アウロラの権限によって、どこか別の異界へ放逐することも可能だと言われている。

千変万化の美神(鏡像の呪い)


女神アウロラは、見る者によって異なる姿をしているという。
そのため、伝承の中でも個々に全く違う描写がされている。

しかも、複数の人間が同時にアウロラに謁見した時でも
彼女の姿は、一人一人個別に違って見えたらしい。
ただひとつ共通していたのは、どんなに異なる文化を持った者から見ても
「美しかった」ということだけ。

つまり、「スリムな女性が美しい」とする文化では、スリムな姿に。
「ふくよかな女性が美しい」とする文化では、ふくよかな姿に。
「たくましい女性が美しい」とする文化では、たくましい姿に。

いったい、これはどういうことなのか!?

この現象について、彼女はこう説明しています。
「あなたたちが見ている私の姿は、あなたたちの『心』が作り出した虚像。
あなたたちの『美しいと思うもの』が、ただ鏡写しになっただけの
『偽りの美』でしかなく、私の本当の姿ではないのです」

「みなが私を『美しい』とほめたたえる。
けれど、その美しさは決して『私自身の美しさ』では有り得ない。
これが、私にかけられた『呪い』なのです」

美のパトロン


アウロラは、自身が「美の女神」でありながら
「自分より美しい者」の存在を認め、なおかつ積極的に保護し援助を惜しまない。
その性格から「美のパトロン」と呼ばれている。

これは「鏡像の呪い」の存在が大きい。

地球の「美の女神」には、自分より美しい者の存在を認めず(許さず)
嫉妬の末、美しい人間の娘に呪いをかけて怪物に変えてしまった
エピソードがあることを考えると、異色の存在と言える。

なお、アウロラは、自分の姿を絵画や彫刻にしようとする者をも
広い心で許し、応援している。

「私自身は、私がみなにどんな姿として見えているのかを知る術がありません。
『虚構の姿』と割り切れば、私がどんな風に見えているのかを知るのも
案外面白いものですね」

魂の美を讃える者


「鏡像の呪い」により、自分の本当の姿を奪われてしまった女神アウロラ。
けれども、たった一つだけ「自分自身の美しさ」を他人に伝える方法がありました。

それは、容姿などの外見的な美しさではなく、心の美しさ。
他人の目に映る「虚像の美」ではなく、自分自身の行いによって、人々の信頼を得る。

それに気づいた彼女は、外見のみで人を判断せず、どんな者にも
優しく、親切に接するようになったといいます。

こうして、彼女は「魂の美を讃える者」と呼ばれるようになりました。

勇者の恋人


氷都には、戦いに敗れてさまざまな異界から落ち延びてきた
「勇者」と呼ばれる人々と、その子孫が暮らしています。

そのほとんどは、女神アウロラが「異界視」の力で発見した人々で
宿敵との決戦に敗北し、風前の灯となっていた彼らの命を、オーロラの道を開くことで
氷都世界に避難させ、救助したものです。

中でも、はじまりの地から逃れてきた勇者の一族「アウンの民」は特に有名で
過去には、氷都の人口の三分の一を占めた時期もありました。


そして、ほとんど全ての場合において、アウロラは自分が助けた勇者たちと恋に落ち
彼らとの間に、子をもうけるのです(子供にアウロラの力は継承されません)。

それゆえに、彼女は「勇者の恋人」と呼ばれています。

恋獄に囚われし者


アウロラは、神々の中でも特に「恋多き女神」として知られています。
異界の勇者から氷都の一般人まで、恋愛対象も幅広く
これまでに、数多くの恋物語が繰り広げられてきました。

まるで、青春の象徴そのものであるかのような彼女。
ですがその影には、悲しい事情がありました。

呪われた女神

はるかな昔、アウロラがまだ下級の神であったころ
とある上級神が、美しい彼女に恋をしました。
アウロラも、彼の求愛を受け入れ、ふたりは幸せな時を過ごしたといいます。

しかし、その上級神には、実は正式な妻がいたのです。
彼女は、アウロラよりもはるかに神格の高い、力の強い女神でした。
不幸なことに、アウロラはそれを知りませんでした。

やがて、夫の不倫は妻の知るところとなり。
自分の夫が、下級の女神に夢中になっているのに嫉妬した彼女は
アウロラに、こんな呪いをかけてしまったのでした。

「お前のようなあばずれ女には、神ではなく人間の男がお似合いだ」

こうして、神でありながら人間の男を愛するように宿命づけられた
アウロラは、数多くの人間と恋に落ちました。
けれども、神と人間の寿命の違いで、アウロラはいつも愛した男が
年老いて死んでゆくのを見送る立場となるのでした。

また、アウロラとその恋人たちとの間に生まれた子供たちも
嫉妬深き女神の差し金によって、その全てが争乱の絶えない異界へ追放され
戦いの中で殺されていったといいます。

嫉妬深き女神は、異界に追放したアウロラの子供たちが死んでいく様子を
アウロラ本人に見せるため、わざわざ「異界を視る力」を与えたとされています。

終わらない愛の牢獄

アウロラは今も「美のパトロン」として、気高い心を持つ勇者たちの危機を救い
やがて彼らと恋に落ち、結ばれて子を産み、休息を得て再起した勇者たちの
「元の世界への帰還」や、成長した子供らの「旅立ち」を見送り。

勇者たちがその命と引き換えに使命を果たすのを、異界から見届け
愛する者たちとの、離別の悲しみを背負いながらも
心は呪いにより老いることを許されず、終わりのない青春を生きる乙女として
また、異界視で見つけた新たな勇者に恋をする…。

女神アウロラは、これからも未来永劫に、この連鎖を繰り返していくのでしょう。

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