薄い膜のような湯気湧き立つ向こうからは、渓流の涼しげなせせらぎが聞こえてくる。 
 秋の紅葉真っ只中な山の澄んだ空気は、服を纏わない素肌にも優しい。そこに温泉の熱気が混ざりこみ、 
 一糸纏わぬ姿でぼんやりと湯の外で寛いでいても、肌寒さを感じるどころか、とても心地良い。 

まさに極楽――。 

 「いい所だね〜彩さん?」 
 「……え、ええ……」 

 彩さんと一緒だし。 


 『しあわせ湯』 


 「ねえ彩さん、ここに行ってみない?」 
ある昼下がり。俺は彼女の前に一枚の旅行パンフを差し出す。 
 見出しは『知る人ぞ知る秘湯!雄大な景色の眺めは最高!しあわせ湯』というもの。 
お茶を淹れながらエプロン姿の彩さんが聞き返す。 

 「秘湯ね……。どんな所なの?」 
 「うん、ホント田舎らしい。夜は星が綺麗に見える、と。ここからそこまで遠くもないし、しかも格安。 
  効力は慢性疲労回復・冷え症・美肌効果その他色々……。どうかな?」 
 「ふ〜ん……。……うん、私は行ってみたいわ」 
 「よし、じゃあ決定!」 

 夏の暑さも過ぎ去り、秋らしい雰囲気が街を包み初めた頃、俺と彩さんは旅行の計画を立てた。 
 二人とも相変わらず貧乏だけど、例のバッテリーが徐々に注目されて、多少生活に余裕ができた事もあり 
最近はこうして旅行に行くことが出来るようになった。――あまり高いところは彩さんに嫌がられるけれども。 

 単線の田舎列車と一日数本しかないバスを乗り継ぎ、半日かけてようやく到着した山奥の風情ある温泉旅館。 
 旅の疲れと共に思わず感嘆の吐息が漏れる。 

 「なかなか立派じゃないか」 
 「そうね、思っていたよりずっと良さそうだわ。しかも安いしね?」 
 「十分だよ」 

 到着した俺達を迎えてくれた女将から、この時期には珍しく他の宿泊者はいないという事、 
なので存分に寛いでほしいという旨を伝えられ最初は少し驚いたが、彩さんと二人きりなんて大変にラッキーだ。 

 部屋で一休みした後、せっかく温泉に来たので、ということで早速渓流の脇に湧いた露天風呂へ。 
 旅館からは少し離れたそこには檜の小屋が建てられており、そこで彩さんと別れ脱衣所に入る。 
 小波はそそくさと服を脱ぎ捨て、すぐに湯船に浸かる。 

 「ふう〜」 

その心地よさに思わず溜息が漏れる。 
 遠くを見渡すと広がるのは美しく紅葉した山麓。静謐とした自然の香りが鼻を擽り、開放的な気分になる。 
 最近は忙しくてゆっくり出来る時間があまりなかったのも重なって、少し気を抜くと溶けてしまいそうだ。 

と、小波が温泉を満喫している中、誰かが入ってくる音がした。 

……他の客がいたのか。 

そう思い振り向くと―― 

「!?――彩さん!?」 
 「え!?こ、小波さん!?どうして!?」 

 振り向くと、そこには躰にタオルをあてただけの姿の彩さんがいた。 

スラリとした肢体、しかしかなり大きめのバストがタオル越しでも十分に視認できる。 
 胸は辛うじて大事な部分を覆えているだけで、谷間は隠しおおせていないし、 
よく見ると頭頂部のピンとした尖りが布を押し上げていている。一方、膝上も数センチというレベルで、 
 少し歩いただけで太股の付け根が露わになってしまいそうな際どさ――というかほとんど見えてます――という扇情的な姿。 
 彩さんとは何度も行為を重ねたが、彼女の裸を白昼の元で見るのは初めてだ。 
 全くもって実に観賞のし甲斐がある―― 

「――ってどうしたの!?もしかして混浴?」 
 「だ、だって入口はここしか……ってきゃあ!」 

 急に恥ずかしさが込み上げて来たのか、彩さんが湯船に飛び込む。 
 小波にしても予期せぬ事であったので驚いたが、そこは時空パトロール、すぐに落ち着きを取り戻し状況を整理する。 

 1.山奥の秘湯 
 2.彩さんと一緒 
 3. 客は他にいない 

以上より考えられる、現在すべき行動は――すぐに導き出された。 

 「なるほど……脱衣所だけは別で温泉は一緒、ということか……」 
 「うう……恥ずかしい……」 
 「大丈夫。俺達しかいないし、リラックスしないと疲れるよ。それにタオルは入れちゃダメ」 
 「そ、そうだけど……」 

 顔を真赤にした彩さんが呟く。 
だがこんな美味しい状況、滅多にあるものではない。焦っては負けだ。 

 彩さんの緊張を解す為、数分湯船に浸かりつつ景色を楽しみ、他愛もない会話をする。 
こうして二人でゆっくり話をする時間も無かったせいか、とても楽しく、温泉の心地よさも相まって 
 このまま時が止まれば、などと思ってしまう。 

――っとつい忘れてしまうところだった。 
 大分緊張も解れリラックス状態の彩さんに俺は一つ提案をする。 

 「誰もいないんだし、洗いっこしようか?」 
 「え!そ、それは……どうしても……?」 
 「うん、どうしても」 

 真面目な表情で迫る小波に対して彩は断ることが出来なかった。 

  ……………… 

「じゃ、とりあえずそこに座ってくれる?」 
 「わ、私からなの?……わ、分かったわ……」 
 「よし、……それでは」 

 彩さんを座らせ、泡立ったタオルで力を入れ過ぎないようにして彩さんの白い背中を洗う。 
 肩、うなじ、腕、脇腹……。順番に丁寧に、彩さんの柔肌を味わいながら擦っていく。 
 次第に彩さんの頬もほんのりと紅みを帯びてきているのが分かる。 

 「んん……なんだか厭らしい手つきね……」 

そんな呟きを耳にしながら、手を止めず流していく。 

 後ろが一通り終われば、次は当然前だ。 
 彩さんと体を密着させ、後ろから抱いているような構図になる。 

 「え!ま、前は自分でやるから!」 
 「遠慮しないでって」 

そう言うと素早くタオルに泡を付け、彩さんの胸の上で絞る。忽ち乳房から下は泡まみれになる。 

 「え?何を……きゃあ!?」 
 「こういう大切な部分は丁寧にやらないと」 

そう言って小波は、乳房を下から掬うように撫で上げた。限界点まで上がり切ると、 
 形の良い乳房がぷるん、と弾ける。何度か繰り返すと、乳首が硬くなっているのが分かった。 
 小波はすかさず今までの動作を止め、乳房を包み込むように手を添えると指で乳首を摘む。 

 「あっ……ああっ……」 
 「もう硬くなってる……」 
 「あんっ!そ、そんな……んっ……」 

 彩さんの言葉をキスで遮る。 
 最初は驚いていた彼女も自ら唇を開き、互いの舌を絡めあう。 
 激しく音を立て濃厚なキスを楽しみながらも、洗う手を休める事はない。 
 彼女も、温泉の開放感もあってか、体をこちらに完全に預けてきた。 

 「ん……彩さん、表情がすごく色っぽい……」 
 「……ん、はぁ、だって、こんな事されたら……」 
 「じゃあ、これは……」 

 小波はシャワーで泡を流しながら、花冠に指を添え、少し強めに撫で上げる。 

 「え、そ、そこは……ひゃん!」 

 添えた指で陰核を探り当て、中指の先で弄ぶ。中指が陰核を弾くたび、彩さんは喘ぎ声を上げる。 

 「ああっ……!はぁ……ん!」 
 「さて、綺麗にしないと」 

そう言うと小波は脇に置いたシャワーを拾い、勢いを[強]にした。 
そのシャワーを右手に持ち、左手で彩さんの花冠を押し広げ、陰核に水流が当たるようにする。 

 「ああっ……!はぁあ……ああ……はぁ……ん!」 
 「どう?彩さん」 

 意地悪っぽく彼女に訊ねる。その間にも左手の自由な指で秘裂を撫で上げる。 

 「ど、どうって……ああっ!」 

 小波は陰核を摘み上げながら、シャワーを花冠に押し付けた。 

 「だ、ダメ……本当にダメな、のっ……ああっ……あああん!」 

 数回身体を震わせ、へたり込んでしまう。 

 「相変わらず感じやすいんだね、彩さんは」 
 「……ああ……もう本当に恥ずかしくて死にそうよ……」 
 「でも良かったでしょ?さて、次は?」 
 「……もう、我慢できないの……お願い……」 

トロンとした表情を浮かべそんなことを呟かれると、理性というものが吹き飛んでしまった。 
 小波は彼女を抱きかかえると、白い湯気が立ち上る湯船の方へ向かう。 
そして抱きかかえたまま浴槽へと浸かる。 

 「彩さん……上に」 
 「え……?温泉の中で……?わ、わかったわ……」 

 湯船の中で天を仰ぐ亀頭の延長線上には、彩さんの秘所がある。 

 「そのまま、腰を下げて……」 
 「う、うん……」 

 彩さんは湯船の中でそそり立つモノを持ち、自分の秘裂へと導く。 
 刺激は強烈だった。 

 「ん……ああぁあぁあ!」 
 「くっ!」 

これは想像以上だった。挿入の快感と共に、お湯が包み込むように纏わりついてくる。 
 一方の彼女の方も、一度絶頂を迎えていること、温泉の効果で血行が良くなっていることで敏感になっていた。 

 「つ、これは……」 
 「ああ!そんな……あああぁ!」 


 気を抜くとこちらもすぐに果ててしまいそうだ。 
 一定のストロークを保ちつつ、下から上へ、彩さんの細い体を突き上げていく。 
 温泉がローション代わりとなって滑りも良く、腰を動かす度にお湯が撥ね、 
 目の前にある白い乳房もぷるぷると上下に揺れる様子は非常に官能的だ。 

 「ああっ、んんんっ……!ダメ……そんなにしたら……はああぁん!」 

 普段ではあまり声を上げない、彼女の妖艶な嬌声。これも温泉と自然の齎す効力だろうか。 

 「あ、んはあっ……お、奥に……奥まで当たってるの……」 

 子宮の奥まで突き上げる度に喘ぐ様子は視覚的にも、触覚的にも、そして聴覚的にも強烈過ぎた。 
あまり余裕がない小波は最後のスパートをかける。 

 「あん、ああんっ、んん、ああああっ!」 
 「彩さん……そろそろもう……」 
 「うんっ、中に……ふあああああっ!」 
 「くっ!」 
 「あ、ああああぁっ――――!!」 

  ……………… 

「いや〜、運動した後の温泉は格別だね」 
 「もう、小波さんてば……。でも本当にいい所ね……」 
 「これがホントの『しあわせ湯』ってことだね?」 
 「違うと思う……。でも「しあわせ」って何かしら……。 
  好きな人と一緒に健康で、お互いに支えあって……。これも「しあわせ」ってことなのかしら?」 
 「それは人それぞれじゃないかな。 
  ――最も、俺は彩さんと同じ考えだけどね?」 
 「小波さん……」 

だから―― 
「だから、夜も頑張ろう?」 .

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます